情報セキュリティマネジメント 2023年 科目A 問09
問題文
情報システムのインシデント管理に対する監査で判明した状況のうち、監査人が、指摘事項として監査報告書に記載すべきものはどれか。
選択肢
ア:インシデント対応手順が作成され、関係者への周知が図られている。
イ:インシデントによってデータベースが被害を受けた場合の影響を最小にするために、規程に従ってデータのバックアップをとっている。
ウ:インシデントの種類や発生箇所、影響度合いに関係なく、連絡・報告ルートが共通になっている。(正解)
エ:全てのインシデントについて、インシデント記録を残し、責任者の承認を得ることが定められている。
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インシデント連絡体制【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
監査で指摘すべき事項(監査人が監査報告書に書くべき問題)は、組織の管理上の不備やリスクを高める運用上の弱点です。選択肢のうち、ウ「インシデントの種類や発生箇所、影響度合いに関係なく、連絡・報告ルートが共通になっている」は、すべての事案に同じ連絡先・経路を使うため、重大インシデントの速やかなエスカレーションや適切な担当者への連絡が阻害され、対応遅延や情報漏えいのリスクを高めます。よって監査指摘(是正を求めるべき不備)に当たります。
(注)インシデント=情報資産に対する望ましくない出来事やその兆候。監査人=第三者または社内の監査担当者で、業務や統制が適切か評価する人。監査報告書=監査結果をまとめた文書。
解法ステップ
- 「監査で指摘すべきもの」の意味を確認する(=業務上の不備や統制の欠如)。
- 各選択肢が「良い管理(適切)」を示すか、「不備(問題)」を示すか分類する。
- 不備に該当する選択肢を選ぶ。
- 良い管理=監査で指摘する理由が薄い(むしろ評価できる)。
- 不備=監査指摘の対象になる。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 「インシデント対応手順が作成され、関係者への周知が図られている。」
→ 手順と周知は管理上の良い実務です。監査では通常、文書化と周知は評価されます。したがって指摘事項にはなりません。 -
イ: 「インシデントによってデータベースが被害を受けた場合の影響を最小にするために、規程に従ってデータのバックアップをとっている。」
→ バックアップを規程どおり実施しているのは対策です。バックアップの存在自体は監査での指摘事項ではなく、むしろ正の評価になります。ただし、復旧手順やバックアップの検証が不十分なら別途指摘されます。 -
ウ: 「インシデントの種類や発生箇所、影響度合いに関係なく、連絡・報告ルートが共通になっている。」
→ これは問題です。例えば機密情報流出やサービス停止など重大案件は、経営・法務・広報など専門部署への迅速な連絡が必要です。共通ルートでは適切な人に届かず、対応遅延や二次被害が起こり得ます。監査指摘に該当します。 -
エ: 「全てのインシデントについて、インシデント記録を残し、責任者の承認を得ることが定められている。」
→ 記録と承認のルールは適切な管理です。注意点としては、すべての小さな事象に厳格な承認手続を要求すると対応が遅れる可能性があるため運用ルールで重大度に応じた扱いにするのが望ましいですが、文言自体は監査上の指摘事項には直ちになりません。
よくある誤解
- 統一された連絡ルート=「分かりやすくて良い」と考える誤解
→ 日常的な軽微事象では簡潔さが有利ですが、重大インシデントでは専門部署や経営への直接連絡が必要です。分かりやすさと迅速性はバランスで考えます。 - 文書化されている=必ず十分だと思う誤解
→ 手順や規程があっても、実態(実行・検証・更新)が伴わなければ意味がありません。監査は実行状況も見る点を忘れないでください。 - 監査指摘=すべて「黒」ではない誤解
→ 監査報告書には「指摘(是正が必要)」のほか「所見(改善を勧奨)」や「良好な点」の記載もあり得ます。指摘はリスクが高い不備に対して行われます。
補足コラム
実務での「連絡・報告ルート」の作り方(簡単イメージ)
- 重大度レベルを定義:例えばレベル1(サービス全停止、情報漏えい)、レベル2(業務影響あり)、レベル3(軽微)
- 連絡先マトリクス:レベル1 → 経営層+法務+広報+IT責任者、レベル2 → IT責任者+業務担当、レベル3 → 運用担当のみ
- 代替手段の用意:主連絡先が不在の際の代替電話番号、外部連絡先(警察、監督機関)
- 事前訓練:想定シナリオで実際に連絡ルートを使う演習を行い、実効性を確認する
職場での運用イメージ:連絡体制は「誰が」「何を」「どの順で」「どの手段で」伝えるかを図にして共有します。帳票やチャット、電話の使い分けを決め、定期的に見直します。
FAQ
Q: 監査人は良い点も報告しますか?
A: はい。監査報告書には良好な点や改善の提案も含められます。ただし「監査で指摘するべき事項」は実務上の不備やリスクを伴う点が対象です。
A: はい。監査報告書には良好な点や改善の提案も含められます。ただし「監査で指摘するべき事項」は実務上の不備やリスクを伴う点が対象です。
Q: 連絡ルートを共通にしている会社は必ず不合格ですか?
A: 組織の規模や業務内容にもよりますが、重要なインシデントで適切に対応できないリスクがあれば監査指摘になります。例外は少ないです。
A: 組織の規模や業務内容にもよりますが、重要なインシデントで適切に対応できないリスクがあれば監査指摘になります。例外は少ないです。
Q: 全てのインシデントで承認を要求するのは問題ですか?
A: 運用が遅れるなら改善が必要です。重要度に応じて承認レベルを変える運用設計(例:軽微は省略、重大は経営承認)が望ましいです。
A: 運用が遅れるなら改善が必要です。重要度に応じて承認レベルを変える運用設計(例:軽微は省略、重大は経営承認)が望ましいです。
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