ITパスポート 2010年 秋期 問28
問題文
別段の取決めがない請負契約の場合、民法に基づき、当事者である注文者又は請負人に課せられている義務のうち、適切なものはどれか。
選択肢
ア:請負人は、請け負った仕事を完成させる。(正解)
イ:請負人は、請け負ったすべての仕事を自ら行う。
ウ:請負人は、仕事の完成後、その仕事に起因して発生した欠陥に対して恒久的に責任を負う。
エ:注文者は、仕事に掛かる費用を請負人に前払する。
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別段の取決めがない請負契約における当事者の義務【ITパスポート 解説】
正解の理由
- 請負契約(請負契約(うけおいけいやく、contract for work):仕事の完成を約束し、完成したら報酬を受け取る契約)では、請負人(仕事を請け負う側、contractor)は「仕事を完成させる」義務を負います。これは民法に明記された基本的な義務であり、別段の取決め(当事者間で別の取り決めがない場合)ではこの規定が適用されます。したがって「請け負った仕事を完成させる」ことが適切な義務です。
(補足用語)民法(日本の私法の基本法、Civil Code):契約当事者の権利義務を定める法律。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを確認する:「別段の取決めがない」→ 当事者間に別の合意がなければ民法の規定がそのまま適用される。
- 「請負契約」の本質を思い出す:成果(仕事の完成)を渡すことが目的の契約である。
- 選択肢を一つずつ当てはめる:民法の規定と照らし合わせ、該当する義務を選ぶ。
- 最終的に「仕事を完成させる」義務が民法上の基本義務であることからアを選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- ア: 請負人は、請け負った仕事を完成させる。→ 正しい。請負契約の核心は「完成義務(仕事を完成させ、引き渡すこと)」です。
- イ: 請負人は、請け負ったすべての仕事を自ら行う。→ 誤り。請負人が自ら全部を行うことを民法が絶対に義務付けているわけではありません。実務では下請け(subcontract)に出すこともあります。ただし、当事者間で「自ら行う」と定めればその限りです。
- ウ: 請負人は、仕事の完成後、その仕事に起因して発生した欠陥に対して恒久的に責任を負う。→ 誤り。請負人には瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん:仕事に欠陥があった場合の責任)があり責任を負いますが、無期限に永久に責任を負うわけではありません。責任の範囲や期間は民法の規定や契約で定められます。
- エ: 注文者は、仕事に掛かる費用を請負人に前払する。→ 誤り。注文者(仕事を依頼する側、ordering party)は原則として契約で定めた報酬を支払う義務がありますが、前払いが原則ではありません。支払い時期は契約で取り決められます。
よくある誤解
- 「請負=全部自分でやらないといけない」と思う
- 実務では下請けを使うことが多く、民法も一律で「自ら行う」を禁止していません。契約で特に定めれば自ら行う義務にできます。
- 「欠陥が見つかったらいつまでも請負人が責任を負う」と思う
- 瑕疵担保責任はあるが、無期限の責任ではなく、期間や範囲は法令や契約によって制限されます。
- 「前払いが普通だ」と思う
- 支払い方法・時期は契約次第です。前払いは契約で合意した場合に限られます。
補足コラム
- 請負契約と委任契約(いにん、mandate)は異なります。請負は「成果(完成物)を作る」ことが目的です。委任は「ある事務を処理すること(手続きを行う)」が目的で、成果の完成が目的ではありません。例:家具を組み立てて完成させるのが請負。税務申告を代わりにやるのが委任です。
- 下請け(subcontract)は一般的ですが、請負人が下請けに出しても一次請負人(元の請負人)は注文者に対して責任を負います(連帯責任や説明義務など契約法上の問題が発生するため注意が必要です)。
FAQ
Q1: 「完成させる」とは具体的に何を指しますか?
A1: 契約で約束した仕様・成果物を満たす状態にすることです。仕様に合わない場合は完成していないと扱われます。
A1: 契約で約束した仕様・成果物を満たす状態にすることです。仕様に合わない場合は完成していないと扱われます。
Q2: 請負人が一部を下請けに出したら注文者は不利になりますか?
A2: 法的には元請負人(請負人)が注文者に対する責任を負います。下請けは実務上の問題(品質管理や連絡)を増やすことがありますので、契約で明確にしておくとよいです。
A2: 法的には元請負人(請負人)が注文者に対する責任を負います。下請けは実務上の問題(品質管理や連絡)を増やすことがありますので、契約で明確にしておくとよいです。
Q3: 契約書がなければどうなる?
A3: 別段の取決めがない場合は民法の規定が適用されます。だから問題文のように「別段の取決めがない」ことが重要です。
A3: 別段の取決めがない場合は民法の規定が適用されます。だから問題文のように「別段の取決めがない」ことが重要です。
関連キーワード: 請負契約、完成義務、請負人、注文者、瑕疵担保責任、下請け、報酬、契約書、民法の規定

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