ITパスポート 2011年 春期 問11
問題文
製造業のA社では、製品の組立てに必要な部品を購買している。A社では、自社の仕入金額全体に占める割合が大きい部品を、重点的に在庫管理を行う対象として選びたい。このとき利用する図表として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:ガントチャート
イ:管理図
ウ:特性要因図
エ:パレート図(正解)
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製品の組立てに必要な部品の在庫管理で利用する図表【ITパスポート 解説】
正解の理由
部品ごとの仕入金額が「仕入金額全体に占める割合(どれだけコストに影響するか)」を基に、重点管理対象を決めたい場面では、寄与度を大きい順に並べて累積比率まで見られる図表が最適です。これを実現するのがパレート図(Pareto chart:要素の寄与度を大きい順に棒グラフで示し、累積比率を折れ線で表す図)です。したがって、選択肢の中では エ(パレート図)が適切です。
パレート図は「少数の重要な要素が大きな影響を与える(80/20の法則)」を視覚化できます。部品の仕入金額で並べれば、全体のコストの大半を占める少数の部品(A群)を素早く特定できます。これにより、在庫管理の優先順位(どの部品を厳しく管理するか)を合理的に決められます。
解法ステップ
- 各部品について「仕入金額」を集める。
- 各部品の割合を計算する。式は次の通りです。
- 割合が大きい順に部品を並べ替える(降順)。
- 並べ替えた順に累積比率を計算する(上から順に足していく)。
- 棒グラフで各部品の割合を表示し、同じ図に累積比率の折れ線を重ねる(これがパレート図)。
- 折れ線の累積比率が例えば80%になる地点を目安に、上位の部品群を重点管理対象(A群)とする。
簡単な数値例:
- 部品A: 50万円、部品B: 30万円、部品C: 10万円、部品D: 10万円(合計100万円)
- 割合:A 50%、B 30%、C 10%、D 10%
- 累積:A 50%、A+B 80%、A+B+C 90%、100% この例では、AとBの2品で全体の80%を占めるため、まずこの2品に重点を置く、という判断ができます。
(参考:Excelで作る場合は、データを降順に並べ、棒グラフを作成してから累積比率の列を折れ線で追加し、右軸に割り当てます。)
選択肢別の誤答解説
-
ア: ガントチャート(Gantt chart:作業の開始・終了や進捗を時間軸で示す図)
→ ガントチャートはスケジュール管理やプロジェクトの進行状況確認に使います。部品ごとの金額比率や累積割合は示せません。したがって在庫の重点部品を選ぶ用途には不適切です。 -
イ: 管理図(control chart:工程の品質や変動を時系列で監視し、管理限界を示す図)
→ 管理図は品質の安定性(異常や工程の変化)を監視するための図です。個々の項目の割合を比較・累積する目的とは異なります。 -
ウ: 特性要因図(特性要因図/フィッシュボーン図、Ishikawa図:問題の原因を分類して洗い出す図)
→ 特性要因図は「なぜ不具合が起きるか」を整理するための道具です。どの部品がコスト上位かを数値で示すものではありません。 -
エ: パレート図(Pareto chart)
→ 上述の通り、寄与度の大きい順に並べて累積比率を示すため、仕入金額で重点管理対象を決めるのに最適です。
よくある誤解
- 「円グラフ(パイチャート)でも同じだろう」
→ 円グラフは各要素の割合は示せますが、要素を自動的に大きさ順に並べたり累積比率が一目で分かる形にはなりません。優先順位を決めるにはパレート図の方が分かりやすいです。 - 「管理図やガントチャートで比率を出せるはずだ」
→ これらの図は用途が違います。数字は別途計算できますが、目的(「どれがコストの大きな要素か」を示す視覚化)に適した図はパレート図です。 - 「上位の品目=必ず優先的に在庫を多く持つべき」
→ 在庫管理では仕入金額だけでなく、納期リスク・欠品時の影響度・供給の安定性も考慮します。パレート図は優先順位決定の有力な材料ですが、唯一の判断基準ではありません。
補足コラム
- ABC分析との関係:パレート図はABC分析(在庫を価値や重要度でA/B/Cに分類する手法)に使えます。一般的にはA群が上位約70〜80%の価値を占める少数の品目、B群が次の15〜20%、C群が残りの少数・低価値群という分け方をします。
- 実務での使い方:仕入金額以外にも「消費量×単価」や「欠品時の影響度(納期遅延や生産停止リスク)」などの指標でパレート図を作ると管理が実態に合いやすくなります。
- Excelでの簡単手順:データを降順ソート → 割合列と累積割合列を作成(式は上記) → 棒グラフ作成 → 累積割合を折れ線で追加 → 累積割合に右軸を設定 → 80%ラインを追加。
簡単な自動計算の例(Python、小さな補助スクリプト):
items = {'A':500000, 'B':300000, 'C':100000, 'D':100000}
total = sum(items.values())
sorted_items = sorted(items.items(), key=lambda x: x[1], reverse=True)
cum = 0
for name, val in sorted_items:
pct = val/total*100
cum += pct
print(f"{name}: {val}円, 割合 {pct:.1f}%, 累積 {cum:.1f}%")
FAQ
Q. パレート図はどのくらいの割合を基準に重点を決めればよいですか?
A. 典型的には累積で上位70〜80%をA群(重点管理)にしますが、業種やリスク許容度によります。まずは80%を目安にして、実務で調整してください。
A. 典型的には累積で上位70〜80%をA群(重点管理)にしますが、業種やリスク許容度によります。まずは80%を目安にして、実務で調整してください。
Q. データは「数量」で作るべきですか「金額」で作るべきですか?
A. 管理目的によります。コスト削減が目的なら「金額(価値)」、欠品防止が目的なら「使用頻度(数量)」で作ると効果的です。両方を比較するのも有効です。
A. 管理目的によります。コスト削減が目的なら「金額(価値)」、欠品防止が目的なら「使用頻度(数量)」で作ると効果的です。両方を比較するのも有効です。
Q. パレート図だけで在庫方針は決められますか?
A. 単独では不十分です。発注リードタイム、納入の信頼性、欠品時の影響(生産停止など)も合わせて判断する必要があります。
A. 単独では不十分です。発注リードタイム、納入の信頼性、欠品時の影響(生産停止など)も合わせて判断する必要があります。
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