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ITパスポート 2011年 春期 38


問題文

経理部では新たな財務会計パッケージを使用することになり、このパッケージを搭載した新サーバがベンダから納品された。サーバの運用管理は情報システム部が行うことになった。利用者部門である経理部と、運用部門である情報システム部の間で、サービスレベルの観点で合意すべき事項に関する記述a~dのうち、適切なものだけをすべて挙げたものはどれか。
a 財務会計パッケージを利用可能な時間帯 b 新サーバ購入費用の情報システム部との負担割合 c 新サーバをベンダから受け入れる際のテスト項目 d データのバックアップの取得範囲と頻度

選択肢

a
a, b
a, d(正解)
c, d

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経理部と情報システム部が合意すべきサービスレベル項目【ITパスポート 解説】

正解の理由

サービスレベル(サービスの品質や提供条件を明記する合意事項)とは、利用者部門と運用部門の間で「どのようにサービスを提供するか」を決めるものです。具体的には「いつ使えるか(可用性)」「どの範囲をどの頻度で保護するか(バックアップや復旧)」などが含まれます。
本問では、利用時間(a)とバックアップの取得範囲と頻度(d)がサービスレベルに該当します。したがって、適切な組合せは選択肢 (a と d)です。
(用語補足)
  • サービスレベル(Service Level:サービスの品質基準)…利用可能時間、応答時間、保守作業時間、復旧要件などを定める合意。
  • バックアップ…データを別に保存して、障害時に元に戻せるようにする作業。
  • ベンダ(vendor:供給業者)…システムや機器を販売・納入する業者。

解法ステップ

  1. 話の主語(合意する相手)を確認する
    • 利用者部門=経理部、運用部門=情報システム部。両者で決めるべきは「運用のルールや品質」。
  2. 「サービスレベル」に含まれる典型項目を思い出す
    • 可用性(利用可能時間)、性能、サポート時間、復旧目標(RTO/RPO)、バックアップ方針など。
  3. 各選択肢が「サービスの品質・提供条件」に該当するか判定する
    • a: 利用可能時間 → 該当(SLA項目)
    • d: バックアップの範囲・頻度 → 該当(データ保護の合意)
    • b: コスト負担割合 → 財務・契約上の事項でありサービス品質の定義ではない
    • c: ベンダ受入時のテスト項目 → 納入・受入検査の事項であり、利用者と運用部門間のサービスレベル合意の主題ではない
  4. 該当する組合せを選ぶ → (a, d)

選択肢別の誤答解説

  • ア: a(a のみ)
    • a は正しいが、バックアップ方針(d)もサービスレベルに含まれるため「のみ」は不十分です。
  • イ: a, b(a と b)
    • a は正しい。b(新サーバ購入費用の負担割合)は費用分担の話で、運用品質そのもの(SLA)には含めないため誤りです。費用は別途契約や予算で扱います。
  • : a, d(a と d)
    • 正解。利用可能時間とバックアップの方針は、運用部門がサービスを提供する条件として利用者と合意すべき基本項目です。
  • エ: c, d(c と d)
    • d は正しいが、c(ベンダから受け入れる際のテスト項目)は「納入・受入検査」の範囲で、ベンダと購買側(または情報システム部)で決めるべき事項です。利用者(経理)と運用部門のSLAで定義する内容ではありません。

よくある誤解

  1. 「費用負担もサービスレベルに含めるべき」と考える誤解
    • 誤解の理由:運用に関するあらゆる取り決めを1つにまとめたくなるため。
    • 正しくは:費用負担は契約・予算の領域で、SLAはサービス品質や提供条件が主題です。別文書で扱うのが普通です。
  2. 「受入テスト(受け入れ検査)はSLA項目だ」と混同する誤解
    • 受入テストは機器やシステムを納品する段階の検査で、納入者(ベンダ)と受け入れ側(発注者)で合意します。運用開始後の提供条件(SLA)とは役割と目的が違います。

補足コラム

SLA に含めると便利な項目(運用合意チェックリスト例)
  • 利用可能時間(例:平日9:00–17:30、緊急時24時間)
  • 障害時の連絡先と初期応答時間(例:受理から30分以内に連絡)
  • バックアップの範囲(データベース全体・設定ファイルなど)と頻度(毎日/週次)、保存期間
  • 復旧目標(RTO、RPO)
    • RTO(Recovery Time Objective:復旧完了までに許容できる時間)
    • RPO(Recovery Point Objective:復旧時に許容できるデータ損失の範囲。直近何時間分のデータまで許容するか)
  • メンテナンス時間帯と事前通知方法(定期保守の日時と利用影響)
  • 責任範囲(誰が何を実施するか。例:情報システム部はOS/ミドルウェアの保守、利用部は業務データの整合性確認)
SLA は「丸暗記」ではなく、自分の職場の実務(業務時間、重要データ、復旧の許容度)に合わせて考えることが重要です。

FAQ

Q1. バックアップの頻度はどのように決めれば良いですか?
A1. 業務の重要度と許容できるデータ損失量(RPO)で決めます。例えば、重要な取引データなら数時間ごと、日次処理だけなら日次で十分です。
Q2. 受入検査(ベンダの納品時のテスト)は情報システム部だけで決めて良いですか?
A2. 技術的な検査は情報システム部が主導しますが、業務機能に関わるテスト項目(経理業務が正常に動くか)は利用部門(経理)も関わるべきです。これは「受入検査」で扱う内容です。
Q3. SLA にコストのことは一切書かないのですか?
A3. 基本的にコスト負担は別の契約書や予算書で扱います。ただし、運用範囲を変えることで追加費用が発生する場合は、その発生条件や負担方法を補足文書で明確にしておくと誤解が減ります。


関連キーワード: サービスレベル合意, 可用性, バックアップ方針, RTO, RPO, 受入検査, 運用管理, ベンダ受入, 費用負担, サポート時間
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