ITパスポート 2012年 春期 問08
問題文
システム開発における業務要件を定義する目的として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:企業の経営資源を有効に活用し、統合的に管理すること
イ:業務フロー、組織、システムを抜本的に見直し、再構築すること
ウ:経営目標を達成するためにIT化の方針と実施計画を作成すること
エ:システム化の範囲と機能を具体化し、利害関係者間で合意すること(正解)
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システム開発における業務要件を定義する目的【ITパスポート 解説】
正解の理由
業務要件とは、システムに期待される「業務上の機能や範囲」を指します。例えば「どの業務を自動化するか」「誰がどのデータを扱うか」「何を達成したいか」などです。システム化(業務にコンピュータやソフトを導入すること)の前段階で、何を作るかを明確にすることが必要です。
選択肢の中で、業務要件定義の目的に最も合っているのは、システム化の範囲と機能を具体化し、関係者間で合意することを示した エ です。要件定義は「作るべきもの(範囲・機能)」を言語化して、利害関係者(業務担当者・管理者・ユーザー・開発側など)と認識を揃える工程だからです。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを確認:ここでは「業務要件を定義する目的」→「何を定義するか」「何のために定義するか」を問うている。
- 各選択肢を「目的に一致するか」でチェック:
- 「範囲と機能を具体化する」「合意を得る」と言っているものは業務要件定義に合致する。
- 「経営資源の有効活用」「抜本的に見直す」「経営目標のIT方針」は、別のレイヤ(ERP導入目的、BPR=業務改革、IT戦略策定)を指す。
- 最も直接的に「業務要件定義の目的」を述べている選択肢を選ぶ。→ エ
短い覚え方:業務要件=「作るものの範囲・機能を決めて合意する」
選択肢別の誤答解説
-
ア: 「企業の経営資源を有効に活用し、統合的に管理すること」
- これはERP(Enterprise Resource Planning:企業の経営資源を統合管理する仕組み)や業務改善の目的に近い表現です。業務要件定義の目的そのものではありません。目的がより上位の経営や業務改善の目標を示しています。
-
イ: 「業務フロー、組織、システムを抜本的に見直し、再構築すること」
- これはBPR(Business Process Reengineering:業務プロセスの抜本的再設計)の説明です。場合によっては要件定義で業務改善案を検討しますが、業務要件定義自体の主目的は「何を作るかを明確にすること」であり、必ずしも抜本的再構築を意味しません。
-
ウ: 「経営目標を達成するためにIT化の方針と実施計画を作成すること」
- これはIT戦略や情報化計画(ポリシーやロードマップ)に当たります。業務要件定義は、既に決まった方針や範囲のもとで「具体的なシステム要件」を決めて合意する工程です。方針作り自体が目的ではありません。
-
エ: 「システム化の範囲と機能を具体化し、利害関係者間で合意すること」
- 業務要件定義の核心を表しています。システム化の対象(スコープ)と必要な機能を明確にし、関係者の認識を合わせることが目的です。したがって正解は エ です。
よくある誤解
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「要件定義=設計の詳細を決めること」と考える
- 要件定義は「何をするか(業務の要請)」を決める段階で、詳細な画面設計やプログラム設計(技術的な設計)は後の工程です。混同すると早すぎる技術判断につながります。
-
「要件は現場の担当者だけが決める」と思う
- 要件は現場(業務側)の意見が重要ですが、管理者、ユーザー、運用担当、開発側など複数の利害関係者(ステークホルダー)で合意を取ることが必要です。合意がないと後でトラブルになります。
-
「要件は最初に一度決めれば終わり」と誤解する
- プロジェクト進行中に追加や変更(スコープ変更)が起きやすいです。変更は管理(要件管理)して、影響を評価して合意の上で進める必要があります。
補足コラム
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要件定義で作る代表的な成果物(アウトプット):
- 業務フロー図(業務の流れを図にしたもの)
- 要件一覧(機能要件・非機能要件)
- 非機能要件:性能、可用性、セキュリティなど、機能以外の要求事項
- スコープ定義(どこまでシステム化するか)
- ステークホルダー一覧と合意記録
-
要件定義がしっかりしていると:
- 開発の手戻りが減る(無駄な再作業が減る)
- 利用開始後の不満が少なくなる
- 予算や工数の見積もり精度が上がる
-
小さなプロジェクトでも要件を「書く」習慣は重要です。口約束だけでは後で食い違いが生じやすいです。
FAQ
Q1: 業務要件とシステム要件の違いは何ですか?
A1: 業務要件は「業務として何を実現したいか」を示す要件です。システム要件は「その業務を実現するためにシステムがどう動くか(技術的・画面・データなど)」を示します。順序としては業務要件→システム要件→詳細設計が自然です。
A1: 業務要件は「業務として何を実現したいか」を示す要件です。システム要件は「その業務を実現するためにシステムがどう動くか(技術的・画面・データなど)」を示します。順序としては業務要件→システム要件→詳細設計が自然です。
Q2: 要件定義は誰が主導するべきですか?
A2: 通常はプロジェクトのビジネス側(業務部門)とIT側(システム導入担当やコンサルタント)が共同で進めます。ファシリテートや合意取りまとめはプロジェクトマネージャや要件定義担当者が行うことが多いです。
A2: 通常はプロジェクトのビジネス側(業務部門)とIT側(システム導入担当やコンサルタント)が共同で進めます。ファシリテートや合意取りまとめはプロジェクトマネージャや要件定義担当者が行うことが多いです。
Q3: 合意できない利害がある場合はどうする?
A3: まずは目的・優先度を明確にし、利害者ごとに影響を評価します。必要ならスコープを分けてフェーズ分け(段階的導入)や妥協案を提示して合意を得る方法があります。
A3: まずは目的・優先度を明確にし、利害者ごとに影響を評価します。必要ならスコープを分けてフェーズ分け(段階的導入)や妥協案を提示して合意を得る方法があります。
関連キーワード: 要件定義、業務要件定義、ステークホルダー、要件書、要件管理、BPR、業務改善、システム設計、非機能要件、スコープ管理

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