ITパスポート 2012年 春期 問09
問題文
X社の要員をA社に駐在させ、A社のプロジェクトリーダの指示の下でヘルプデスク業務を行っている。このときA社がX社と取り交わす契約書として適切なものはどれか。
選択肢
ア:請負契約書
イ:雇用契約書
ウ:売買契約書
エ:労働者派遣契約書(正解)
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他社常駐要員の契約形態の判断【ITパスポート 解説】
正解の理由
この設問では、X社の要員(X社の社員)がA社に駐在(常駐)して、A社のプロジェクトリーダの指示の下でヘルプデスク業務を行っています。ここで重要なのは「誰が日々の指示(業務のやり方や手順)を出しているか」です。日常の指揮・命令を受けてA社の指示で働いている場合、A社がX社と結ぶべき契約は エ の「労働者派遣契約書(worker dispatch:他社の労働者を一時的に受け入れて働かせる契約)」です。A社が作業の指示を出している点が、派遣の典型的な状況だからです。
解法ステップ
- 登場人物と関係を整理する:
- 要員はX社の社員(雇用関係はX社と要員の間)。
- 要員はA社の場所に常駐している。
- 指揮命令系統を確認する:
- 日々の業務指示をA社のプロジェクトリーダが出している → 指揮命令はA社。
- 契約形態を判定するルール:
- 指揮命令が派遣先(A社)から出る場合 → 労働者派遣。
- 作業の結果(成果物)に対して責任を持ち、作業方法は請負業者が決める場合 → 請負(contract for work)。
- 売買契約はモノの売買に関する契約、今回の要員常駐とは無関係。
- 雇用契約は雇う側と被雇用者の間の契約であり、A社とX社の間で結ぶものではない(関係性が違う)。
- 結論:A社とX社が結ぶべきは労働者派遣契約(エ)。
選択肢別の誤答解説
- ア: 請負契約書(請負:contract for work)
- 請負は「仕事の完成(成果物)」を請け負う契約です。請負業者は作業の進め方や指示系統を自分で管理します。本問ではA社のプロジェクトリーダが日常的に指示しているため、これは請負ではありません。
- イ: 雇用契約書(雇用:employment contract)
- 雇用契約は企業が労働者を直接雇うときに結ぶ契約です。本問では要員はX社の社員であり、A社がX社と「雇用契約」を結ぶわけではありません。したがって不適切です。
- ウ: 売買契約書(売買:sales contract)
- 売買契約は商品やサービスの売買に関する契約です。人を派遣して指示を受ける労働の関係とは無関係です。
- エ: 労働者派遣契約書(労働者派遣:worker dispatch)
- 要員が派遣先(A社)でA社の指揮命令を受けて働くケースは「派遣」に該当します。したがってA社とX社の間で結ぶべきは労働者派遣契約です。
よくある誤解
- 誤解1:常駐(駐在)=必ず請負だと思う
- 「常駐している=請負」と勘違いする人が多いです。常駐でも、指揮命令が派遣先にあるなら派遣です。請負は「成果責任」と「指揮命令の独立性」がポイントです。
- 誤解2:契約書の名前だけで判断してしまう
- 契約書の名称ではなく、実際の働き方(誰が指示しているか、成果責任は誰にあるか)で契約形態を判定します。名称と実態が異なると「偽装請負(disguised subcontracting)」になる恐れがあります。
補足コラム
- 「指揮命令」とは?
- 指揮命令(しきめいれい)は、誰が業務のやり方や時間管理などを決めるかを指します。例:ヘルプデスクで「今日の対応は君が行って」「この手順で対応して」とA社のリーダーが指示するなら、それはA社の指揮命令です。
- 偽装請負について
- 表面上は請負契約だが、実際は派遣先の指示で働かせていると、法律上問題になります。日本では労働者派遣法(worker dispatch law)に基づき、派遣についてのルールがあります。契約形態は実態に合わせることが重要です。
- 契約書に含めるべき事項(派遣の場合の例)
- 派遣期間、業務内容、派遣料金、指揮命令に関する合意、労働条件の取扱いなど。法令で定められた項目もあります。
FAQ
Q1. 「請負」と「派遣」を見分ける簡単なチェックは?
- A1. 「日々の業務指示を誰が出しているか?」を確認してください。派遣先が出すなら派遣、請負業者が自ら業務管理して成果で責任を取るなら請負です。
Q2. X社の社員がA社の管理下で働いているが、契約書は請負になっている。これは問題ですか?
- A2. 実態が派遣であれば法律的に問題になる可能性があります(偽装請負)。実態に合った契約形態にすることが必要です。
Q3. ヘルプデスク業務なら常に派遣ですか?
- A3. いいえ。ヘルプデスクでも、外部業者が自分で業務フローを管理し、成果に対して責任を持つ形なら請負になり得ます。日常的な指揮命令がどこにあるかが鍵です。
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