ITパスポート 2012年 春期 問25
問題文
自己資本利益率を次の式で算出するとき、aに入れる適切な字句はどれか。
自己資本利益率 = 売上高利益率 × [ a ]
選択肢
ア:自己資本回転率(正解)
イ:自己資本比率
ウ:損益分岐点比率
エ:流動比率
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自己資本利益率の分解(売上高利益率 × [a])【ITパスポート 解説】
正解の理由
自己資本利益率(ROE:Return on Equity:自己資本に対する利益の割合)は、利益を自己資本で割った比率です。売上高利益率(売上に対する利益の割合)と売上高÷自己資本(=自己資本回転率)を掛け合わせると、元の ROE と同じ式になります。したがって、a に入るのは ア(自己資本回転率)です。
数式で示すとわかりやすいです。利益を P、売上高を S、自己資本を E とすると:
右辺の が「売上高利益率」、 が「自己資本回転率(equity turnover)」です。
解法ステップ
- 定義を確認する
- 自己資本利益率(ROE) = 利益 ÷ 自己資本
- 売上高利益率 = 利益 ÷ 売上高
- ROE を売上高を挟んで分解する(掛け算の形にする)
- ROE = (利益 ÷ 売上高) × (売上高 ÷ 自己資本)
- 比較して a に当てはまる語を選ぶ
- (売上高 ÷ 自己資本) を意味する指標が「自己資本回転率」なので、a = 自己資本回転率 → ア
実際の数値例(イメージ):
- 利益 P = 10、売上高 S = 200、自己資本 E = 50 のとき
売上高利益率 = (5%)
自己資本回転率 =
だから ROE = (20%)、または と一致します。
選択肢別の誤答解説
-
ア:自己資本回転率
正解。定義は「売上高 ÷ 自己資本」。売上高利益率と掛け合わせると ROE に一致します。 -
イ:自己資本比率(equity ratio)
説明:総資本(または総資産)に対する自己資本の割合。計算式は「自己資本 ÷ 総資本」。ROE を分解する式には現れません。比率の種類が違うため不適切です。 -
ウ:損益分岐点比率(break-even ratio)
説明:損益分岐点売上高の割合や、損益分岐点に関する指標。利益率や回転率の掛け算で ROE を表す式とは無関係です。 -
エ:流動比率(current ratio)
説明:短期的な支払能力を見る指標で「流動資産 ÷ 流動負債」。安全性の指標であって、収益性(ROE)を直接分解する値ではありません。
よくある誤解
-
「自己資本比率を掛ければ ROE が出る」と思う
- 自己資本比率は分子に自己資本を含む比率なので、ROE の分解式には使えません。混同しやすいので注意してください。
-
「回転率は在庫回転率だけ」と考える
- 回転率(turnover)は「売上 ÷ 何か」という形で多様な指標に使われます。自己資本回転率は「売上高 ÷ 自己資本」です。回転率=在庫回転率だけではありません。
-
「ROE が高ければ良い会社」と単純判断する
- 高い ROE は効率の良さの一指標ですが、借入で自己資本を減らして高く見える場合や一時的な利益で高くなる場合もあります。複数の指標を合わせて判断しましょう。
補足コラム
この分解は「デュポン・アイデンティティ(DuPont identity)」の考え方に近いです。デュポン分析は ROE をさらに細かく分解して、収益性(利益率)・効率(回転率)・財務レバレッジ(総資産÷自己資本)などの要因で説明します。今回は簡略版として売上高利益率と自己資本回転率の掛け算で説明される問題でした。
覚え方のコツ:
「利益率(%) × 回転率(回)」で「効率」を出すイメージ。利益率は一回あたりの取り分、回転率は何回分あるか、の掛け算です。
「利益率(%) × 回転率(回)」で「効率」を出すイメージ。利益率は一回あたりの取り分、回転率は何回分あるか、の掛け算です。
FAQ
Q1: 自己資本回転率はどう改善すれば良いですか?
A1: 売上を増やすか自己資本を圧縮する(効率的に資本を使う)ことで上がります。ただし自己資本を減らすと安全性が下がるのでバランスが重要です。
A1: 売上を増やすか自己資本を圧縮する(効率的に資本を使う)ことで上がります。ただし自己資本を減らすと安全性が下がるのでバランスが重要です。
Q2: 売上高利益率と売上高総利益率の違いは?
A2: 売上高利益率は一般に「利益(純利益や営業利益など)÷売上高」を指します。問題文で詳細がない場合は「利益÷売上高」と理解して差し支えありません。どの利益を使うか(営業利益・経常利益・純利益)は文脈で判断します。
A2: 売上高利益率は一般に「利益(純利益や営業利益など)÷売上高」を指します。問題文で詳細がない場合は「利益÷売上高」と理解して差し支えありません。どの利益を使うか(営業利益・経常利益・純利益)は文脈で判断します。
Q3: ROE と ROA の違いは?
A3: ROE(Return on Equity:自己資本利益率)は自己資本に対する利益率。ROA(Return on Assets:総資産利益率)は総資産に対する利益率です。資本構成や借入の影響で違いが出ます。
A3: ROE(Return on Equity:自己資本利益率)は自己資本に対する利益率。ROA(Return on Assets:総資産利益率)は総資産に対する利益率です。資本構成や借入の影響で違いが出ます。
関連キーワード: ROE、自己資本回転率、売上高利益率、デュポン分析、財務指標、損益分岐点、流動比率、経営分析

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