ITパスポート 2012年 春期 問30
問題文
SLAの中に含めるサービスレベルに関する条文の例として、最も適切なものはどれか。ここで、甲は委託者、乙は提供者とする。
選択肢
ア:乙が監視するネットワークにおいて回線異常を検知した場合には、検知した異常の内容を60分以内に甲に報告するものとする。(正解)
イ:乙は別に定める秘密事項を第三者に開示しないものとする。ただし、事前に甲から書面による承諾を得た場合はこの限りではない。
ウ:作成されたプログラムなどに瑕疵があった場合、乙は別に定めるプログラムなどの検収のための引渡しの日から1年間の瑕疵担保責任を負うものとする。
エ:納入物に関する著作権は乙に留保される。ただし、甲は本件ソフトウェアの著作物の複製品を、著作権法の規定に基づいて複製、翻案することができる。
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SLAに含めるサービスレベル条文の例【ITパスポート 解説】
正解の理由
SLA(Service Level Agreement:サービスの提供水準に関する合意書)は、サービス提供者が守るべき「測定可能なサービス水準」を定める文書です。ここで重要なのは「何を」「いつまでに」「どのように測るか」が明確であることです。
選択肢のうち、ア「乙が監視するネットワークにおいて回線異常を検知した場合には、検知した異常の内容を60分以内に甲に報告するものとする。」は、
- 「回線異常を検知した場合」というトリガーが明確、
- 「60分以内に報告する」という具体的な時間(サービスレベル・目標)がある、
- 対象(監視するネットワーク)と行為(検知→報告)も明示されている、 ため、SLAで求められる「測定可能で実行可能なサービスレベルの条項」として最も適切です。したがって、本問題ではアが正しい選択になります。
解法ステップ
- 「SLAとは何か」を簡単に思い出す
- SLAはサービスの品質や応答時間など「数値や期限で測れる約束」を書く場所です。
- 各選択肢が「測定可能なサービスレベル」になっているかをチェックする
- 具体的な数値(例:時間、割合、回数)や条件があるか。
- SLA以外の契約書条項(秘密保持、著作権、瑕疵担保など)と区別する
- これらは別の契約条項で扱われることが多いです。
- 最もSLAの定義に合致する選択肢を選ぶ
- 今回は「検知→60分以内に報告」が該当します。
この手順で、選択肢の中からサービスレベル条項を見つけられます。
選択肢別の誤答解説
- ア: 正解。前述のとおり、条件と具体的な時間が示されており、SLAにふさわしい。
- イ: 誤り。内容は秘密保持(NDA:Non-Disclosure Agreement、機密情報を第三者に開示しない約束)に関する条項です。SLAはサービスの品質や応答時間などを定めるため、秘密保持は別の合意書や契約条項に含めます。
- ウ: 誤り。「瑕疵担保責任」は瑕疵(かし:製品や成果物の欠陥)に対する責任期間を定めるもので、一般に契約の「保証・責任」の項目に入ります。SLAは運用上のサービス品質(稼働率や応答時間など)を定めることが主目的であり、納品物の欠陥対応期間はSLAではなく契約本体の保証条項で扱われることが多いです。
- エ: 誤り。著作権(知的財産)に関する条項であり、SLAの範疇ではありません。SLAは著作権の帰属や利用許諾を定める場所ではありません。
よくある誤解
- 「SLAはすべての契約内容を含む」と考える誤解
- 実際はSLAは主に「サービスの提供レベル」に特化します。秘密保持、著作権、支払条件、瑕疵担保などは別の条項や別文書で扱うのが一般的です。
- 「曖昧な表現でもSLAになる」と考える誤解
- SLAは測定や検証が可能であることが必須です。「速やかに」「適切に」といった曖昧な言葉だけではSLAとして不十分です。
- 「SLA=罰則(ペナルティ)だけ」と思う誤解
- SLAはまず「約束の内容」を定めることが目的です。違反時の対処(罰則やサービスクレジット)を追記することもありますが、本質は約束の明確化です。
補足コラム
- SLAに入れるべき典型的な項目
- サービス対象範囲(何を監視・提供するか)
- 可用性(稼働率:例 99.9%)や応答時間(例 問い合わせに対して30分以内に初動)などの数値目標
- 測定方法(どのシステムで、どの期間で測るか)
- 報告方法(報告の形式・頻度)
- 例外事項(天災や破壊行為など、免責となる条件)
- 違反時の取り扱い(サービスクレジット、契約解除権など)
- なぜ「測定可能」が重要か
- 実際に守られているかを客観的に判断するためです。例えば「障害発生時に60分以内に報告する」と書けば、報告タイムスタンプで守られたか確認できます。
FAQ
Q1: SLAと業務委託契約(請負契約)の違いは何ですか?
A1: 業務委託契約は「仕事の依頼と報酬」を規定する総合的な契約です。SLAはその中で「どの程度の品質・対応時間でサービスを提供するか」を細かく定める補助的な合意です。契約書にSLAを別紙として添付することが多いです。
A1: 業務委託契約は「仕事の依頼と報酬」を規定する総合的な契約です。SLAはその中で「どの程度の品質・対応時間でサービスを提供するか」を細かく定める補助的な合意です。契約書にSLAを別紙として添付することが多いです。
Q2: 報告時間を「60分以内」とした理由は?
A2: SLAの時間は業務重要度や運用体制に基づいて決めます。短くすると運用負荷が上がり、長いと顧客の期待に応えられないため、双方で妥当性を議論して決定します。
A2: SLAの時間は業務重要度や運用体制に基づいて決めます。短くすると運用負荷が上がり、長いと顧客の期待に応えられないため、双方で妥当性を議論して決定します。
Q3: 瑕疵担保責任は絶対にSLAに入れないほうが良いですか?
A3: 必ずしも入れないわけではありませんが、瑕疵(プログラムの欠陥)に関する保証は通常、成果物引渡しや検収に関する条項で定めます。SLAは運用中のサービス品質に焦点を当てるため、分けて記載するのが明確です。
A3: 必ずしも入れないわけではありませんが、瑕疵(プログラムの欠陥)に関する保証は通常、成果物引渡しや検収に関する条項で定めます。SLAは運用中のサービス品質に焦点を当てるため、分けて記載するのが明確です。
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