ITパスポート 2014年 秋期 問37
問題文
システム開発プロジェクトで作成されるドキュメントのうち、開発の対象範囲を規定するものはどれか。
選択肢
ア:移行計画書
イ:結合テスト仕様書
ウ:要件定義書(正解)
エ:利用者マニュアル
🔒 解説は解答すると表示されます
システム開発で作成されるドキュメント:開発の対象範囲を規定するものはどれか【ITパスポート 解説】
正解の理由
開発の「対象範囲(スコープ)」を規定するのは、要件定義書です。要件定義書とは、システムに「何を」「どこまで」求めるかをまとめた文書です。ここには、業務で必要な機能(機能要件)や性能・信頼性などの条件(非機能要件:性能や可用性などの要件)に加え、導入範囲や除外項目、関係者(ステークホルダー)との合意事項が書かれます。つまり、開発で実装する範囲としない範囲を明確にする役割があるため、正解は ウ(要件定義書)です。
※用語:
- 要件定義書:requirements definition(何を作るかを決める文書)
- 非機能要件:性能や安全性など、機能以外の要求事項
解法ステップ
- 問題文のキーワードを探す:「開発の対象範囲を規定する」=「スコープを決めるもの」。
- 各選択肢が何を扱う文書かを思い出す。
- 移行計画書:既存データやシステムを新しい環境へ移す計画。
- 結合テスト仕様書:システムの部品同士のつながりを確かめるテストの手順や内容。
- 要件定義書:何を作るか、何を作らないかを定義する文書。
- 利用者マニュアル:ユーザー向けの操作説明書。
- 「対象範囲を規定する」機能を持つものを選ぶ→要件定義書(ウ)。
この順で考えると、迷わず選べます。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 移行計画書
移行計画書は、既存データや業務を新システムへ移す手順やスケジュール、担当者をまとめたものです。何を移すかは書かれますが、これは移行の詳細計画であり、システム開発の「対象範囲」を最初に決める文書ではありません。 -
イ: 結合テスト仕様書
結合テスト仕様書は、複数のモジュールやサブシステムが連携して正しく動くかを確認するためのテストケースや手順を示します。テストのための詳細設計なので、範囲を規定する文書ではありません。 -
ウ: 要件定義書
要件定義書は開発で実装すべき機能や性能、境界(インターフェースや対象業務の範囲)を明確にします。したがって、設問の「開発の対象範囲を規定するもの」は要件定義書(ウ)です。 -
エ: 利用者マニュアル
利用者マニュアルは、システムの使い方をユーザーに説明する文書です。操作方法や画面説明が中心で、開発範囲の決定には関係しません。
よくある誤解
-
要件定義書と設計書を混同する
- 誤解:要件定義書=設計書と考えてしまう。
- 解説:要件定義書は「何を作るか(何が必要か)」を定めます。基本設計書や詳細設計書は「どう作るか(設計・実装方法)」を示します。設計書は要件を受けて作られるので、役割が異なります。
-
移行計画書=範囲を決める文書だと思う
- 誤解:移行対象を書く=開発の範囲を定義していると考える。
- 解説:移行計画は主にデータや切り替え手順に関する計画です。範囲の正式な合意は要件定義で行うのが普通です。
-
利用者マニュアルに書いてあるから範囲が決まると思う
- 誤解:マニュアルに機能が載っている=その機能は確定済みと思う。
- 解説:マニュアルは完成後に作ることが多く、開発初期の範囲決定の根拠にはなりません。
補足コラム
-
要件定義書に書かれる具体例
- 対象業務(例:受注・在庫管理のみを対象、会計は別システム)
- 機能リスト(画面や帳票の概要)
- 非機能要件(応答時間、同時利用者数、稼働時間)
- 除外項目(今回の開発では対象外とする事項)
- 制約(使用する既存システム、法令、予算や期限)
-
スコープが曖昧だとどうなるか
スコープが不明確だと「スコープクリープ(要求や作業がだんだん増えること)」が起き、納期遅延やコスト増の原因になります。だから最初に要件定義書で明確に合意することが重要です。 -
覚え方(短いメモ)
「要件=何を、設計=どうする」
この一行を思い出すだけで、要件定義と設計の違いが判断できます。
FAQ
Q1: 要件定義書はプロジェクトの最初に作るのですか?
A1: 多くの場合、プロジェクト初期に作成します。経営目標や業務要望を具体的なシステム要件に落とし込むためです。ただし、アジャイル開発など段階的に要件を固める手法もあります。
A1: 多くの場合、プロジェクト初期に作成します。経営目標や業務要望を具体的なシステム要件に落とし込むためです。ただし、アジャイル開発など段階的に要件を固める手法もあります。
Q2: 要件定義書と基本設計書の違いは何ですか?
A2: 要件定義書は「何を作るか」を決めます。基本設計書は要件をもとに「どう実現するか(構造・画面設計などの大枠)」を示します。基本設計は要件定義の内容に基づいて作られます。
A2: 要件定義書は「何を作るか」を決めます。基本設計書は要件をもとに「どう実現するか(構造・画面設計などの大枠)」を示します。基本設計は要件定義の内容に基づいて作られます。
Q3: 要件定義書に書かれた範囲は変更できないですか?
A3: 変更は可能ですが、変更時には利害関係者の合意やスケジュール・コストの見直しが必要です。これを管理するのが「変更管理(チェンジコントロール)」です。
A3: 変更は可能ですが、変更時には利害関係者の合意やスケジュール・コストの見直しが必要です。これを管理するのが「変更管理(チェンジコントロール)」です。
関連キーワード: 要件定義, スコープ管理, 範囲設定, 非機能要件, 移行計画, 結合テスト, 利用者マニュアル, 基本設計, スコープクリープ, 変更管理, トレーサビリティ

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