ITパスポート 2014年 春期 問37
問題文
情報システムの利用者対応のため、サービスデスクの導入を検討している。サービスデスクにおけるインシデントの受付や対応に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
選択肢
ア:利用者からの障害連絡に対しては、解決方法が正式に決まるまでは利用者へ情報提供を行わない。
イ:利用者からの障害連絡に対しては、障害の原因の究明ではなく、サービスの回復を主眼として対応する。(正解)
ウ:利用者からの問合せの受付は、利用者の組織の状況にかかわらず、電子メール、電話、FAXなどのうち、いずれか一つの手段に統一する。
エ:利用者からの問合せは、すぐに解決できなかったものだけを記録する。
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サービスデスクのインシデント受付・対応に関する記述【ITパスポート 解説】
まず用語をやさしく説明します。
- サービスデスク(利用者対応窓口): 利用者からの問い合わせや障害(サービスが使えない、性能が落ちた等)を受け付け、対応する窓口です。
- インシデント(incident): 予定外のサービス停止や機能低下など、サービスの正常な提供が妨げられる事象を指します。
- 問題管理(problem management): インシデントの根本原因(なぜ起きたか)を調べて再発防止する活動です。
- SLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意): 提供側と利用側で合意したサービス品質や対応時間の約束です。
今回の肝は「インシデント対応ではまずサービスの回復を優先する」という考え方です。これが最も適切な対応であるため、選択肢の中では イ が正しい説明になります。
正解の理由
サービスデスクの目的は、利用者が早く元の業務に戻れるようにすることです。インシデントが発生した際は、まず「サービスを回復する(復旧する)」ことが主眼となります。原因を徹底的に究明するのは重要ですが、それは主に問題管理の役割です。したがって、障害の原因究明よりもサービスの回復を優先して対応する、という考え方を示す イ が適切です。
理由を簡潔にまとめます。
- 利用者目線:業務が止まっている時間を短くすることが最重要。
- 組織運用:迅速な復旧(応急対応や回避策)を行い、その後で原因調査・再発防止を行うのが効率的。
- ベストプラクティス:ITIL(サービス運用の国際的な手引き)でも、インシデント管理は「サービス復旧優先」とされています。
解法ステップ
- 問題文で注目すべき語を探す:「サービスデスク」「インシデントの受付や対応」。
- インシデント対応の目的を思い出す:利用者の業務復旧が最優先(原因究明は別のプロセス)。
- 各選択肢をこの基準で当てはめる:サービス回復を優先する説明が正しいか否かで判断。
- 明らかに運用上不適切な選択肢(情報提供をしない、受付手段を一つに限定する、記録を限定する)を除外する。
- 残った選択肢が基準に合致すれば正解。
この順序で考えると素早く正解に辿り着けます。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 利用者からの障害連絡に対しては、解決方法が正式に決まるまでは利用者へ情報提供を行わない。
誤りです。利用者への状況説明や進捗報告は必須です。放置すると不安や混乱を招きます。SLAや社内ルールで定期的な連絡を義務づけることも多いです。初動で「把握しました」「対応中です」「暫定対応を行いました」などを伝えるのが適切です。 -
イ: 利用者からの障害連絡に対しては、障害の原因の究明ではなく、サービスの回復を主眼として対応する。
正しいです(理由は上記「正解の理由」を参照)。まずは復旧や回避策で業務継続を支援し、その後に原因調査と再発防止を行います。 -
ウ: 利用者からの問合せの受付は、利用者の組織の状況にかかわらず、電子メール、電話、FAXなどのうち、いずれか一つの手段に統一する。
誤りです。利用者の立場や状況に応じて複数の受付手段(電話、メール、Webフォーム、チャットなど)を用意するのが親切で実務的です。一つに限定すると連絡がつかない場合や緊急時に支障が出ます。 -
エ: 利用者からの問合せは、すぐに解決できなかったものだけを記録する。
誤りです。すぐに解決できた問合せも含めて記録するべきです。記録はナレッジベース(よくある事例集)作成や、対応履歴、統計(発生頻度や対応時間の分析)に役立ちます。記録を省くと同じ問合せが繰り返されやすくなります。
よくある誤解
-
インシデント対応=原因究明だと思う
- 誤解です。インシデント管理はまず復旧(応急処置や回避策)を行い、その後に原因究明(問題管理)を行います。順序が大事です。
-
利用者への連絡は面倒だから省略してよい
- これも誤解です。放置すると利用者の信頼を失い、被害が拡大することがあります。状況報告は簡潔でも必ず行います。
-
受付チャネルは技術者側の都合で一つに絞ればよい
- 利用者の利便性を優先してください。緊急の障害は電話やチャットで、詳細はメールや専用フォームで、という使い分けが一般的です。
補足コラム
実務では「一次対応(ファーストコール)」と「二次対応(専門対応)」に分かれます。サービスデスク(一次対応)は問合せを受け、簡単な復旧や回避策を実施します。必要なら二次対応にエスカレーションして専門チームが深掘り(原因究明)します。これにより利用者は早く業務を再開でき、組織は効率的に原因追及と再発防止ができます。
参考になるフレームワークとしてはITIL(Information Technology Infrastructure Library:ITサービス管理のベストプラクティス)があります。ITILではインシデント管理と問題管理を明確に区別しています。
簡単な現場例:社内プリンタが動かないときは、サービスデスクがプリンタの再起動や代替プリンタの案内をすぐ行い、業務を続けられるようにします。なぜプリンタが止まったか(ドライバ問題か、ネットワーク障害か)は後で専門チームが調査します。
FAQ
Q1: インシデントが発生したら、必ず記録するべきですか?
A1: はい。発生時刻、影響範囲、対応内容、担当者、解決方法などを記録します。将来の類似事象の対応や統計、SLA評価に役立ちます。
A1: はい。発生時刻、影響範囲、対応内容、担当者、解決方法などを記録します。将来の類似事象の対応や統計、SLA評価に役立ちます。
Q2: すぐに回復できない場合はどうしますか?
A2: 回復のための暫定対処(ワークアラウンド)を提示し、影響範囲を最小化します。同時に進捗を利用者へ定期的に報告します。必要なら優先度を上げて専門家にエスカレーションします。
A2: 回復のための暫定対処(ワークアラウンド)を提示し、影響範囲を最小化します。同時に進捗を利用者へ定期的に報告します。必要なら優先度を上げて専門家にエスカレーションします。
Q3: 原因究明は誰がやるべきですか?
A3: 原因究明は通常、問題管理や専門技術チームが担当します。サービスデスクは原因究明の情報収集と、必要なときのエスカレーション窓口を担います。
A3: 原因究明は通常、問題管理や専門技術チームが担当します。サービスデスクは原因究明の情報収集と、必要なときのエスカレーション窓口を担います。
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