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ITパスポート 2016年 秋期 08


問題文

経営戦略に基づき全社の情報システム戦略を策定し、それを受けて個別システムについての企画業務、開発業務を行う。このとき、全社の情報システム戦略を策定する段階で行う作業として、最も適切なものはどれか。

選択肢

システム移行計画の立案
システムテスト計画の立案
情報化投資計画の立案(正解)
調達計画の立案

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全社情報システム戦略の段階で行う作業【ITパスポート 解説】

正解の理由

経営戦略に基づいて全社の情報システム戦略を策定する段階では、複数のシステムやプロジェクトの優先順位づけ、投資額の配分、期待される効果の整理といった「どこに、どれだけ投資するか」を決める作業が必要です。選択肢の中では、こうした作業に最も当てはまるのが の「情報化投資計画の立案」です。
「情報化投資計画」とは、企業全体のIT投資(情報化投資)について、目的・範囲・優先順位・投資額・期待効果(費用対効果)などをまとめる計画のことです。これにより経営資源(予算・人材)を戦略的に配分し、経営戦略とITの整合を図ります。対して他の選択肢(システム移行計画・システムテスト計画・調達計画)は、個別システムの実行段階や導入直前に行う詳細な作業であり、全社戦略を策定する段階の主対象ではありません。

解法ステップ

  1. 「全社の情報システム戦略を策定する段階」とはどのレベルの作業かを把握する
    • 企業全体の方針や投資配分を決める“上位(戦略)レベル”の作業。
  2. 各選択肢がどのフェーズの作業かを分類する
    • 投資計画 → 戦略・計画フェーズ(上位)
    • 移行計画、テスト計画、調達計画 → 実行・導入フェーズ(下位)
  3. 戦略段階で必要な成果物(投資方針、投資優先順位、ロードマップ等)を満たす選択肢を選ぶ
    • ここで該当するのが (情報化投資計画)。
この流れで考えれば、迷わず戦略フェーズに相応しい選択肢を選べます。

選択肢別の誤答解説

  • ア: システム移行計画の立案
    • システム移行計画は既に決めた新システムへデータやユーザーを移す具体的手順(いつ・どうやって切り替えるか)を決める作業です。これは個別システムの導入実行段階の作業であり、全社戦略策定の段階で行うものではありません。
  • イ: システムテスト計画の立案
    • システムテスト計画は開発・実装が終わった後に行う試験(動作確認)の計画です。テスト対象や手順、スケジュールを詳細に決めるため、やはり実行段階向けです。戦略フェーズの仕事ではありません。
  • ウ: 情報化投資計画の立案
    • 企業全体のIT投資配分や優先順位、投資効果の見積もりを行うため、全社の情報システム戦略を策定する段階で行うべき代表的な作業です。よって正解です。
  • エ: 調達計画の立案
    • 調達計画はハードウェアやソフトウェア、外部ベンダーをどうやって選び・購入するかを決める作業で、個々のプロジェクトで具体的な調達条件を詰めるフェーズの作業です。投資決定後に詳細化されます。

よくある誤解

  1. 「調達計画や移行計画も戦略の一部では?」
    • 調達や移行の方針は戦略に関連しますが、調達計画・移行計画は詳細な実行計画で、作るタイミングは投資決定後のプロジェクト実行段階です。戦略フェーズでは「どれをいつやるか(投資の優先順位)」を決めるのが中心です。
  2. 「情報化投資計画=ただの予算表」
    • 投資計画は単なる金額の一覧ではありません。期待効果の評価(ROIなど)やリスク、事業目標との整合性、実施時期(ロードマップ)を含めた意思決定資料です。
  3. 「テスト計画は早めに作る方が安心」
    • プロジェクト毎にテスト計画は重要ですが、戦略段階で詳細なテスト計画を作っても意味が薄いです。まずは投資するかどうかを決め、その後で各プロジェクトの詳細な計画を作ります。

補足コラム

情報化投資計画でよく使われる考え方や指標:
  • ROI(Return on Investment:投資利益率)
    • 投資のコストに対する効果を示す指標。計算式の一例:
  • 回収期間(投資を回収するまでの期間)や NPV(Net Present Value:正味現在価値。将来の便益を割引いて現在価値で評価)なども使われます。
  • ポートフォリオ管理(複数プロジェクトを組み合わせて最適な投資配分を決める考え方)を取り入れると、単発的な判断を避けて全体最適が図れます。
実務での流れ(簡易版):
  1. 経営戦略を確認(何を達成するか)
  2. 情報化投資候補(プロジェクト案)を洗い出す
  3. 各案の効果・コスト・リスクを評価(ROI等)
  4. 優先順位付けと予算配分(情報化投資計画)
  5. 投資決定後、個別システムごとに企画→調達→開発→移行→テスト... と詳細化

FAQ

Q1: 「情報化投資計画」はどのくらいの粒度で作ればよいですか?
A1: 戦略段階は概略で十分です。年度ごとの投資額、優先度、期待効果の見積り、リスク要因、ロードマップ(いつ実施するか)を押さえておけばOKです。詳細はプロジェクト化後に詰めます。
Q2: 投資効果が数字で出せない場合はどうする?
A2: 数字化が難しい効果(顧客満足度向上、ブランド強化など)は定性評価とし、重要度スコアや優先度判定基準を用いて比較します。可能な範囲で定量化(時間短縮●%、ミス削減で●万円相当等)すると説得力が増します。
Q3: 小さな改善でも情報化投資計画に含めるべきですか?
A3: 全社の視点で見て価値があるものは候補に含めます。小規模案件は後回しにしてもよいですが、積み重なると大きな効果になる場合はまとめて評価(バンドル)する方法もあります。

関連キーワード: 情報化投資計画、投資優先順位、ROI、投資評価、ITガバナンス、システム移行、調達計画、システムテスト、ロードマップ、ポートフォリオ管理
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