ITパスポート 2016年 春期 問21
問題文
一定の条件に該当する会社に対して、取締役の職務に関するコンプライアンスを確保するための体制整備を義務付けている法令はどれか。
選択肢
ア:会社法(正解)
イ:金融商品取引法
ウ:公益通報者保護法
エ:民法
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取締役の職務に関するコンプライアンス体制の整備を義務付けている法令はどれか【ITパスポート 解説】
正解の理由
会社の取締役が適正に職務を行うよう、社内の仕組み(コンプライアンス体制や内部統制)を整備することを義務づけているのは、アの会社法(Companies Act:会社の組織や運営を定める法律)です。会社法は会社のガバナンス(統治)や取締役の責任を規定しており、取締役の職務の適正を確保するための体制整備を求める趣旨の規定が含まれます。
(参考の対比)金融商品取引法(イ)は主に上場会社の財務報告や証券取引の公正を目的とする法律で、財務報告に関する内部統制(いわゆる「内部統制報告制度」)を規定しますが、問いの「取締役の職務に関するコンプライアンス体制全般を義務付ける」点では会社法が該当します。公益通報者保護法(ウ)は内部通報者の保護を目的とし、民法(エ)は一般の私法(契約や債務など)を扱う法律です。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを探す:「取締役の職務」「コンプライアンス」「体制整備」「義務付け」など。
- 各選択肢の目的を頭の中で整理する。
- 会社法:会社の組織・取締役の責務・ガバナンスに関する法律。
- 金融商品取引法:証券や上場企業の財務情報の適正性確保が中心。
- 公益通報者保護法:通報者を保護する法律。
- 民法:個人・法人間の契約や権利義務の一般法。
- 「取締役の職務に関するコンプライアンス全般を義務化」している法律は会社のガバナンスを規定する法律だと判断し、アを選ぶ。
選択肢別の誤答解説
-
ア(会社法)
正解。会社の組織運営や取締役の責任、企業統治に関する規定があり、取締役の職務の適正を確保するための体制整備を求めます。 -
イ(金融商品取引法)
誤り。上場企業などに対して財務報告の信頼性確保のための内部統制制度(内部統制報告制度、いわゆるJ-SOX)を義務付けますが、これは主に財務報告に焦点があります。質問の「取締役の職務に関するコンプライアンス全般」に対する義務づけという点では会社法が適切です。 -
ウ(公益通報者保護法)
誤り。内部通報( whistleblowing:不正を告発する行為)を行った人を保護する法律です。通報者保護や通報制度の設置推奨はありますが、取締役の職務そのものの体制整備を直接義務づける法律ではありません。 -
エ(民法)
誤り。契約や債権・物権など幅広い私法ルールを定める法律で、会社の内部統制や取締役の職務に関する具体的なガバナンス体制の整備を義務づける内容ではありません。
よくある誤解
-
「金融商品取引法が内部統制を義務付けているからそれが正解」と考える誤り
→ 金融商品取引法は内部統制を定めますが、対象は主に財務報告の信頼性です。会社全体の取締役職務に関するコンプライアンス体制の義務化は会社法の領域です。 -
「公益通報者保護法があるから企業に体制整備義務がある」と混同する誤り
→ 通報者保護は通報者の権利保護が中心で、企業に対して“取締役の職務の適正確保”そのものを義務づける根拠とはなりません。
補足コラム
会社法に基づく体制整備の具体例としては、次のようなものがあります(会社の規模や形態によって求められる内容は異なります)。
- 取締役会による監督機能の強化や報告ルールの整備
- リスク管理や法令順守(コンプライアンス)に関する内部手続きの整備
- 内部監査や監査役によるチェック体制の導入
- 内部通報窓口の設置や社員への教育
一方、上場企業などは金融商品取引法に基づき、財務報告に関する内部統制の整備・報告(内部統制報告制度)も求められます。つまり、会社法と金融商品取引法は目的や対象が重なる部分もありますが、それぞれの役割は異なります。
FAQ
Q1. すべての会社に同じレベルの体制整備が義務付けられますか?
A1. 会社法の趣旨は全ての会社に適応しますが、具体的な求められ方は会社の種類や規模によって違います。上場企業や大会社はより厳格な体制を求められることが多いです。
A1. 会社法の趣旨は全ての会社に適応しますが、具体的な求められ方は会社の種類や規模によって違います。上場企業や大会社はより厳格な体制を求められることが多いです。
Q2. 金融商品取引法と会社法、どちらが優先されますか?
A2. 両法は目的が違います。会社法は会社の組織と取締役の責任を規定し、金融商品取引法は投資者保護や市場の公正を目的に財務報告の適正性を重視します。適用範囲に応じて両方の対応が必要になる場合があります。
A2. 両法は目的が違います。会社法は会社の組織と取締役の責任を規定し、金融商品取引法は投資者保護や市場の公正を目的に財務報告の適正性を重視します。適用範囲に応じて両方の対応が必要になる場合があります。
Q3. 体制を整備しないと罰則がありますか?
A3. 直接の罰則や行政処分がある場合もあれば、取締役の責任追及(損害賠償など)が生じる可能性もあります。上場企業なら金融商品取引法に基づく行政処分や市場の信頼低下といった大きな影響もありえます。
A3. 直接の罰則や行政処分がある場合もあれば、取締役の責任追及(損害賠償など)が生じる可能性もあります。上場企業なら金融商品取引法に基づく行政処分や市場の信頼低下といった大きな影響もありえます。
関連キーワード: 会社法、コンプライアンス、内部統制、コーポレートガバナンス、金融商品取引法、公益通報者保護法、内部監査

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