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ITパスポート 2016年 春期 46


問題文

過去の類似プロジェクトのコスト実績を用いて、新たに開始するプロジェクトのコストを類推し見積もった。このようなコスト見積り方法の特徴はどれか。

選択肢

詳細情報から積み上げる見積り方法より作業負荷が大きい。
プロジェクトの初期より後期の段階で活用されることが多い。
他の見積り方法より正確なコスト見積り結果が期待できる。
他の見積り方法より見積りに要する費用は少ないが、正確さでは劣る。(正解)

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過去の類似プロジェクトのコスト実績を用いて見積もった方法の特徴【ITパスポート 解説】

正解の理由

この問題で述べられているのは「類推見積り(類似プロジェクトの実績を基に見積もる方法)」です。類推見積りは、過去の似たプロジェクトの実績を参考にして新しいプロジェクトのコストを推定します。その特徴は「見積りにかける手間や費用(工数)が少なく、短時間で概算を出せる」一方で「詳細に分解して積み上げる方法(積み上げ見積り/ボトムアップ)ほど正確ではない」点です。したがって、選択肢のうち、見積りの費用は少ないが正確さでは劣るという説明をしている が正しい理由になります。
(用語補足)
  • 類推見積り:過去の類似プロジェクトの実績を元に見積もる方法。
  • 積み上げ見積り(ボトムアップ):作業を細かく分解して各作業を見積もり、それらを合算して求める方法。

解法ステップ

  1. 問題文から「過去の類似プロジェクトのコスト実績を用いている」と読み取り、「類推見積り」を想起する。
  2. 類推見積りの主な特徴(短時間・低コストで概算、精度は低め)を思い出す。
  3. 選択肢と見比べ、特徴に一致するものを選ぶ。具体的には「見積りに要する費用は少ないが、正確さでは劣る」が一致するため を選ぶ。
短い覚え方:類推見積り=「早い・安い・ざっくり(精度低め)」

選択肢別の誤答解説

  • ア: 「詳細情報から積み上げる見積り方法より作業負荷が大きい。」
    誤り。積み上げ見積り(ボトムアップ)は作業を細かく分解して見積もるため手間と工数が大きくなる。一方、類推見積りは過去データを参照するだけなので作業負荷は小さい。
  • イ: 「プロジェクトの初期より後期の段階で活用されることが多い。」
    誤り。類推見積りは情報が少ない初期段階で用いられることが多く、早期に概算(概算予算や計画の大枠)を出すために使われる。後期では詳細見積り(積み上げ等)に置き換えることが一般的。
  • ウ: 「他の見積り方法より正確なコスト見積り結果が期待できる。」
    誤り。類推見積りは早く出せる反面、プロジェクト間の違い(スコープ、技術、チーム、条件)に左右されやすく、一般に積み上げ見積りより精度が劣る。
  • エ: 「他の見積り方法より見積りに要する費用は少ないが、正確さでは劣る。」
    正しい。この文は類推見積りの典型的な長所(コスト・工数が少ない)と短所(精度が劣る)を端的に表している。

よくある誤解

  1. 「類推見積りはいつでも簡単で正しくない」
    → 実務では、真に類似した過去プロジェクトが揃っている場合、かなり有用で比較的精度の高い概算が得られます。要は「どれだけ類似性を判断できるか」が鍵です。
  2. 「初めから積み上げ見積りだけ行えば良い」
    → 初期段階では詳細情報が無く積み上げが不可能なことが多いため、まずは類推で概算を出し、後で積み上げに切り替えるのが現実的です。
  3. 「見積りに費用がかからない」
    → 類推見積りは通常は低コストですが、過去データの収集や類似性の分析には時間と労力が必要な場合があります。

補足コラム

  • 類推見積りは英語で "analogous estimating" と呼ばれ、プロジェクトマネジメントの早期フェーズ(概算見積り、ROM=Rough Order of Magnitude)で使われます。
  • 他の見積り方法との比較:
    • 積み上げ見積り(ボトムアップ):詳細度が高く精度は高いが工数・コストが大きい。
    • パラメトリック見積り:過去データを基に統計や単価(パラメータ)を掛け合わせて算出する方法。類推見積りと似るが、より数値モデル的で再現性がある。
  • 精度を上げるコツ:過去プロジェクトのスコープ・前提条件・環境をできるだけ揃える、補正係数を用いる(規模差や技術差を掛け合わせる)など。
簡単な例(イメージ):
  • 過去プロジェクトAの実績費用:1,000万円(同等の規模)
  • 新プロジェクトは規模が1.2倍と見積もれる場合:概算 = 1,000万円 × 1.2 = 1,200万円
    (このような単純なスケーリングが類推見積りではよく使われます)
簡単な計算例(Python)
past_cost = 10_000_000  # 1,000万円
scale = 1.2  # 20%大きい
estimated = past_cost * scale
print(f"概算見積り: {estimated} 円")  # 1200万円

FAQ

Q1. 類推見積りはどの段階で使うべきですか?
A1. 主に企画段階や予算検討の初期段階で使います。詳細な作業内容が固まっていないときの概算として有効です。
Q2. 類推見積りの精度を改善する方法は?
A2. 過去プロジェクトの条件を詳細に比較し、スコープ・人数・技術的難易度などの差を補正係数で調整する、複数の類似プロジェクトの平均を使う、専門家の意見を合わせる、などがあります。
Q3. 「費用は少ない」とは具体的に何を指しますか?
A3. 見積り作業に投入する人的工数や時間が少なくて済む、つまり見積り作業自体のコストが低い、という意味です。完全に無料というわけではありません。

関連キーワード: コスト見積り、類推見積り、積み上げ見積り、パラメトリック見積り、見積精度、見積工数、概算見積り、ボトムアップ
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