ITパスポート 2026年 問37
問題文
Aさんは新規プロジェクトの計画段階の作業をしており、開発コストの見積りに着手した。この段階で短期的に概算費用を見積もる方法として、最も適切なものはどれか。
選択肢
ア:FP法を用いて見積もる。
イ:作業単位のコストを見積もり、合算して全体を見積もる。
ウ:予想されるソフトウェアのコード行数を基に見積もる。
エ:類似プロジェクトを参考に見積もる。(正解)
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概算費用の見積り(計画段階)【ITパスポート 解説】
正解の理由
計画段階のような情報がまだ限られた早い段階では、過去の類似プロジェクトを参考にする方法が最も実務的で現実的です。過去の実績から大枠の規模や費用感を得て、それを新規プロジェクトに合わせて補正する「類推見積り(アナロジー見積り)」が適しています。したがって選択肢の中では エ(類似プロジェクトを参考に見積る)が正解です。
理由を短くまとめると:
- 計画段階は詳細仕様が未確定で、精密な分解(ボトムアップ)や行数・機能点に基づく算出が難しい。
- 類似プロジェクト参照は、使えるデータが少ない段階でも「経験に基づく合理的な推定」ができる。
解法ステップ
- 情報の整理:現時点で分かっている範囲(目的、主要機能、想定人数・期間など)をまとめる。
- 類似プロジェクトの選定:自社や業界で「目的・規模・技術スタックが近い」過去のプロジェクトを探す。
- 比較と補正:規模や複雑さの差を比べ、比例や係数で補正する。簡単な式は次のとおりです。
例:過去案件が1,000万円で、新規は1.2倍の規模で、リスクや新技術分を0.1(10%)上乗せする場合、
- バッファ(予備)を設定:計画段階では不確実性が高いので、追加の余裕(コンティンジェンシー)を設定する。
- 検証:関係者や経験ある技術者にレビューしてもらう。必要なら上方・下方に修正する。
この順で行えば、情報が少ない段階でも妥当な概算が出せます。
選択肢別の誤答解説
-
ア: FP法を用いて見積もる。
FP法(Function Point Analysis:ファンクションポイント法、機能を点数化して開発規模を測る方法)は、機能の詳細が分かっていないと正確にカウントできません。計画段階のざっくり見積りには情報が不足しがちで、現実的ではありません。 -
イ: 作業単位のコストを見積もり、合算して全体を見積もる。
これはボトムアップ見積りです。正確な見積りが得られますが、各作業を細かく分解するためには詳細設計やタスク分解が必要です。計画段階ではまだその情報が揃っていないため向きません。 -
ウ: 予想されるソフトウェアのコード行数を基に見積もる。
LOC(Lines Of Code:コード行数)は言語や実装手法、開発者の習熟度で大きく変わります。初期段階での予測は不確実性が高く、誤差が大きくなりがちです。したがって概算向きではありません。 -
エ: 類似プロジェクトを参考に見積もる。
類推見積りは、情報が少ない段階で過去の実績を活用して短時間で合理的な概算を出せます。必要に応じて後工程で精度の高い手法(ボトムアップやFP法)に切り替えます。
よくある誤解
-
「詳細な方法=いつでも正しい」
→ FP法やボトムアップは精度が高いが、情報が無い段階で無理に使うと誤った値を出しやすいです。手法はプロジェクトのフェーズに合わせて選びます。 -
「過去案件の数字をそのまま流用すれば良い」
→ 類似プロジェクトを使う場合も、技術差・チーム構成・外部依存などを必ず補正しないと不適切になります。過去のままでは過小/過大評価になります。 -
「コード行数で比べれば正確」
→ コード行数は言語差や開発スタイルで大きく変わるため、比較対象が限定されていないと誤差が生じます。
補足コラム
見積り手法は大きく「トップダウン(上からの概算)」と「ボトムアップ(下から積み上げ)」に分かれます。
- トップダウン:類似案件参照や経験則で大枠を出す(今回のエがこれにあたる)。早く、低コストで概算を得られますが精度は限定的。
- ボトムアップ:タスクごとに時間・コストを積算する。精度は高いが詳細が必要で工数もかかる。
実務ではフェーズに応じて使い分けます。企画・計画段階はトップダウン、設計・実装段階はボトムアップへ移行して見積精度を高めていくのが一般的です。
また、見積りには常に「不確実性」がつきものです。概算見積もり(Rough Order of Magnitude)は誤差が大きくなるため、早期は余裕を持ったバッファ(例:±20〜50%程度)を想定する運用が多い点を覚えておくと実務で役立ちます。
FAQ
Q1: 類似プロジェクトが社内にない場合は?
A1: 社外のベンチマークや業界データ、ベンダー見積り、専門家の意見を組み合わせて類推します。複数情報を比較して信頼度を高めることが重要です。
A1: 社外のベンチマークや業界データ、ベンダー見積り、専門家の意見を組み合わせて類推します。複数情報を比較して信頼度を高めることが重要です。
Q2: いつFP法やボトムアップに切り替えるべきですか?
A2: 要求や設計の詳細が固まり、タスクや機能が明確になった段階で切り替えます。つまり見積り精度を上げたいときに適用します。
A2: 要求や設計の詳細が固まり、タスクや機能が明確になった段階で切り替えます。つまり見積り精度を上げたいときに適用します。
Q3: 類推見積りの信頼性を上げるコツは?
A3: ・複数の過去案件を参照する、・規模や複雑さの違いを数値で補正する、・レビューを必ず行う、の3点です。
A3: ・複数の過去案件を参照する、・規模や複雑さの違いを数値で補正する、・レビューを必ず行う、の3点です。
Q4: 見積り結果をどう提示すべきですか?
A4: 「推定値」+「想定条件(前提)」+「不確実性(誤差レンジ)」をセットで提示します。例:「約1,300万円(前提:要件A、チーム5名、誤差±30%)」
A4: 「推定値」+「想定条件(前提)」+「不確実性(誤差レンジ)」をセットで提示します。例:「約1,300万円(前提:要件A、チーム5名、誤差±30%)」
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