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ITストラテジスト 2013年 午後104


健康管理ロボットの開発に関する次の記述を読んで、設問1〜3に答えよ。

 D社は、血圧計、体温計、体重計など(以下、健康計測機器という)の製造・販売をしている健康計測機器専用メーカーである。健康計測機器の販売数は、健康志向の高まりと、美客・ダイエットのブームが続いている間は一時的に伸びたが、現在は低下傾向にある。他社製品との競合による販売価格の引下げもあって、D社の売上、利益は、ともに減少してきている。  そこでD社では、売上と利益を増大させるために、これからも増え続ける高齢者を対象とした新たな製品戦略を立てることにした。   〔高齢者に関する健康管理の調査〕  D社は、新たな製品戦略の立案に当たり、高齢者を対象に、日常の健康管理の実態について調査し、その結果を次のようにまとめた。  ・血圧、体温、体重などは毎日計測した方がよいと思っているが、計測するのを忘れたり、記録するのが面倒だったりして続けることができない。  ・食事、運動などについて、医療機関でこまめにアドバイスしてほしい。  ・常用している薬を飲み忘れてしまうことが多い。  ・一人暮らしで話し相手がいないので、塞ぎ込みがちになることが多く、健康管理へのモチベーションを高く保つことが難しい。   さらにD社は、医療機関を対象に、高齢者の診断に関する要望について調査し、その結果を次のようにまとめた。  ・睡眠、食事、薬の服用などの生活状況のデータ(以下、生活データという)と、日常の血圧、体温、体重、歩行の歩数などの計測記録(以下、計測データという)の蓄積があれば、質の高い診断ができる。  ・生活データと計測データがあれば、その推移から適切な医療指導ができる。   〔新製品の機能要件〕  D社のITストラテジストであるE氏は、高齢者の健康管理について把握した実態を基に、新たな製品戦略の核となるものとして、生活データと計測データの収集・蓄積を通して利用者の健康管理を行い、あたかも家族のように利用者と日常会話を交わすマスコット型ロボット(以下、健康管理ロボットという)を開発することにした。そのために、E氏は、システムアーキテクトであるF氏に、健康管理ロボットに関する次の機能要件を実現するための仕様の検討を指示した。  ・血圧、体温、体重の計測と薬の服用を、適切なタイミングに行うように促す機能  ・血圧、体温、体重を計測するタイミング、薬を服用するタイミングを、利用者が簡単に設定できる機能  ・生活データと計測データを収集する機能  ・生活データと計測データの傾向から、健康管理のアドバイスを行う機能   〔健康管理ロボットの仕様〕  F氏は、E氏から提示された機能要件について検討し、実現可能性を踏まえて次の仕様をまとめ、E氏に報告した。  ・健康管理ロボットは、会話の内容とカメラの画像から生活データを収集し、規則正しい睡眠、食事及び薬の服用、並びに、血圧、体温、体重の計測を促す。  ・血圧、体温、体重を計測するタイミング、薬を服用するタイミングは、利用者と健康管理ロボットとの音声による会話形式で設定できるようにする。  ・健康管理ロボットは、新たに開発する通信機能をもった健康計測機器と歩数計から計測データを受信できるようにする。  ・健康管理ロボットは、生活データ及び計測データの傾向から健康管理のアドバイスを行う。アドバイスの一例を次に示す。   “今日の血圧が適正値を超えているよ。運動量が少ないようなので、散歩にでも行きましょうか。”  ・1台の健康管理ロボットの利用者は1人とする。    健康管理ロボットと健康計測機器の構成例を、図1に示す。
応用情報技術者試験(平成25年度 午後 問04 図01)
〔製品化を行う上での留意事項〕  E氏は、健康管理ロボットを製品化するに当たり、考慮する必要がある事項を次のようにまとめた。  ・①健康管理ロボットとD社の健康計測機器を組み合わせて使用させるための機能を戦略的に組み込む。  ・健康管理ロボットの使用開始時の設定、ソフトウェアバージョンアップなどの保守サービスに配慮する。  ・医療における診断は医師しかできないので、健康管理ロボットのアドバイスは、生活データと計測データを解析して求められる一般的な事項にとどめる。  ・健康管理ロボット及び各健康計測機器について、薬事申請も検討する。   〔ロボットの開発、製造、保守サービス〕  E氏は、F氏の検討結果を踏まえ、健康管理ロボットの開発、製造、保守サービスについて、これまでロボット開発の経験がない自社で行った場合と、既にマスコット型ロボットの開発・販売を行い、全国に保守サービス拠点をもつメーカーのG社に委託する場合との比較・検討を行った。この比較・検討では、保有技術、設計コスト、設計期間、生産設備、保守サービス体制の5項目について評価した。評価に当たっては、特に、他社に先駆けて健康管理ロボットを市場に出すこと、及び健康管理ロボットを数多く市場に普及させることを重視した。その結果、G社に開発、製造、保守サービスを一括して委託することにした。   〔新たなビジネスモデル〕  E氏は、健康管理ロボットを早期に広く普及させるために、健康管理ロボットを単体では利益を得られない低い販売価格に設定した。しかし、それでも健康管理ロボットを利用者に直接販売するだけでは、広く普及させることは難しいと考えた。  そこで、E氏は、健康管理ロボットが収集した生活データと計測データを対象としたシステムをクラウドコンピューティングサービス上に構築し、利用者の生活データと計測データを蓄積する機能をクラウドサービスとして提供することにした。さらに、健康管理ロボットを購入してD社と情報利用に関わる契約をした医療機関は、購入した健康管理ロボットによって蓄積されている生活データと計測データを有償でアクセスできるという新たなビジネスモデルを考えた。このビジネスモデルでは、医療機関を直接の顧客とし、医療機関から治療中の患者に健康管理ロボットを貸し出すという形態とした。また、健康管理ロボットの貸出しを受けた患者から個人情報の提供について、あらかじめ了解を得ることにした。

設問1健康管理ロボットの開発について、(1)、(2)に答えよ。

(1)E氏が、新興国としてマスコット型ロボットを考えたときに想定した利用者を、15字以内で述べよ。

模範解答

話し相手のいない高齢者

解説

解答の論理構成

  1. 利用者像を探す
    【問題文】の調査結果には、健康管理を継続できない理由として
    「一人暮らしで話し相手がいないので、塞ぎ込みがちになることが多く、健康管理へのモチベーションを高く保つことが難しい。」
    とあります。
  2. ロボットの役割を確認する
    健康管理ロボットの仕様では、
    「あたかも家族のように利用者と日常会話を交わす」
    と定義されており、会話による孤独感の解消が目的です。
  3. したがって、E氏が想定した利用者は「話し相手がいない高齢者」と導けます。

誤りやすいポイント

  • 「高齢者」だけで終えてしまい、話し相手がいない点を落とす。
  • 「独居高齢者」など原文と異なる語を使い、引用要件を満たさない。
  • ロボットの会話機能から子供や介護者を連想し、対象者を誤解する。

FAQ

Q: 「一人暮らしの高齢者」ではいけませんか?
A: 設問は利用者像を尋ねており、原文の表現「話し相手がいない」を含めることでロボットの会話機能との対応が明確になります。
Q: 介護施設の入居者も対象に含まれますか?
A: 施設入居者は必ずしも「話し相手がいない」とは限らないため、E氏が直接想定した利用者像とは別です。

関連キーワード: 生活データ, ユーザビリティ, ヒューマンインタフェース, 高齢者支援, 音声対話

設問1健康管理ロボットの開発について、(1)、(2)に答えよ。

(2)健康管理ロボットの開発、製造、保守サービスを自社で行うか、G社に委託するかを決定するに当たり、E氏が重視した項目を三つ挙げ、重視した理由をそれぞれ30字以内で述べよ。

模範解答

①:  項目:設計期間 又は 保有技術  理由:他社に先駆けて健康管理ロボットを市場に出したいから ②:  項目:生産設備  理由:健康管理ロボットを数多く生産する必要があるから ③:  項目:保守サービス体制  理由:数多く普及したときに保守サービスの拡充が必要だから

解説

解答の論理構成

  1. 評価対象となった五つの項目
    – 問題文に「“保有技術、設計コスト、設計期間、生産設備、保守サービス体制” の5項目について評価した」と明記されています。
  2. 重視すべき視点
    – 同じ段落に「“他社に先駆けて健康管理ロボットを市場に出すこと、及び健康管理ロボットを数多く市場に普及させることを重視した”」とあります。
  3. 「市場に出す速さ」を左右する項目
    – 速やかな上市には「設計期間」または即応できる「保有技術」が直結します。
  4. 「普及させる量」を左右する項目
    – 量産能力を示す「生産設備」が不可欠です。
  5. 「普及後の支援」を左右する項目
    – 全国で使われる機器を支えるには「保守サービス体制」が要件となります。
  6. 以上より、E氏が特に重視した三項目と理由は以下の通りになります。
    ① 設計期間(または保有技術):他社より早く市場投入するため
    ② 生産設備:大量生産で普及を促進するため
    ③ 保守サービス体制:普及後のサポートを万全にするため

誤りやすいポイント

  • 「設計コスト」を選ぶ受験者が多いですが、問題文で強調されているのは速さと量であり、コスト優先ではありません。
  • 「保有技術」と「設計期間」はいずれか一方で良いのに、両方を書いてしまい項目が三つを超えるケース。
  • 理由に主観的な表現(例:安心だから)を書き、問題文引用の根拠が薄くなるミス。

FAQ

Q: 「設計期間」と「保有技術」はどちらを選んでも良いのですか?
A: はい。いずれも“他社に先駆けて…市場に出す”という目的を満たすために妥当な項目です。
Q: 「設計コスト」を挙げると減点になりますか?
A: 本問の着眼点は速さと量産・保守なので、「設計コスト」を重視したと回答すると的外れと判定される可能性が高いです。
Q: 三項目の順番は採点に影響しますか?
A: 順番は問いませんが、項目名と理由が対応していることが必須です。

関連キーワード: アウトソーシング, 量産体制, メンテナンス体制, タイムトゥマーケット, 技術保有

設問2

本文中の下線①において、戦略的に組み込まれる機能は何か。30字以内で述べよ。

模範解答

D社の健康計測機器と容易に接続できる機能

解説

解答の論理構成

  1. 問題が問うているのは、本文中の下線部①の具体的な「機能」です。
  2. 本文該当箇所は、
    “・①健康管理ロボットとD社の健康計測機器を組み合わせて使用させるための機能を戦略的に組み込む。”
    と記載されており、ここから読み取れる要件は「健康管理ロボット」と「D社の健康計測機器」をスムーズに連携させることです。
  3. 連携の実現には、利用者側で複雑な設定を必要としない“容易な接続”が不可欠です。
  4. したがって、①に戦略的に組み込むべき機能は「D社の健康計測機器と容易に接続できる機能」となります。

誤りやすいポイント

  • 「クラウドサービスとの接続」や「医療機関へのデータ提供」など、ビジネスモデル部分を答えにしてしまう。
  • 「健康管理ロボット自身の計測機能」と誤解し、Bluetooth搭載やセンサ搭載といったハード仕様を書いてしまう。
  • 「薬事申請に対応する機能」など、周辺の留意事項を解答に盛り込んでしまう。

FAQ

Q: “容易に接続”とは具体的に何を指しますか?
A: ユーザがコード入力や複雑なペアリング操作なしで、健康計測機器をロボットに認識させられる仕組み(自動認識、NFCタッチ、標準プロトコル自動設定など)を想定します。
Q: 連携対象はD社製以外の機器も含まれますか?
A: 本文は「D社の健康計測機器」と限定しています。自社製品と組み合わせることで収益源を確保する戦略です。
Q: この機能はハードウェアとソフトウェアのどちらで実装しますか?
A: 通信インタフェースはハードウェア、接続制御やペアリング支援はソフトウェアというように、両面での実装が一般的です。

関連キーワード: 無線通信, インタフェース, プロトコル, 周辺機器連携

設問3E氏が考えた新たなビジネスモデルについて、(1)、(2)に答えよ。

(1)D社が利益を得ることができる売上は何か。二つ挙げ、それぞれ15字以内で述べよ。

模範解答

①:クラウドサービスの売上 ②:健康計測機器の売上

解説

解答の論理構成

  1. 収益源を洗い出す
    新たなビジネスモデルの収益ポイントは、【問題文】の
    “健康管理ロボットが収集した生活データと計測データを対象としたシステムをクラウドコンピューティングサービス上に構築”
    “医療機関は、購入した健康管理ロボットによって蓄積されている生活データと計測データを有償でアクセスできる”
    という部分で示されています。ここから、医療機関向けにデータ閲覧を課金するクラウド型サービス収入が得られると読み取れます。
  2. もう一つの販売機会を確認
    E氏は留意事項として “①健康管理ロボットとD社の健康計測機器を組み合わせて使用させるための機能を戦略的に組み込む” と明記しています。
    ロボットが各種測定を促すことで “血圧計、体温計、体重計など(以下、健康計測機器という)の製造・販売” を強化でき、機器自体の販売数量増加が期待できます。
  3. 以上より、利益を生む具体的な売上は次の二つに集約されます。
    ・クラウド上のデータ提供に対する「クラウドサービスの売上」
    ・ロボット利用を起点に伸びる「健康計測機器の売上」

誤りやすいポイント

  • 「健康管理ロボットの販売」を答えに含めてしまう
    →【問題文】に “健康管理ロボットを単体では利益を得られない低い販売価格に設定” とあり、利益源ではない。
  • クラウドサービス=サーバ利用料と分けて複数回答する
    →設問は「売上」単位で二つを求めているため、クラウド関連は一括でまとめる必要があります。
  • 「医療機関へのデータ提供料」を独立させ、クラウドサービスと重複回答する
    →データ閲覧はクラウドサービスの一部。別カウントすると冗長。

FAQ

Q: 健康管理ロボットの販売価格が低いのに採算は取れるのですか?
A: “健康管理ロボットを単体では利益を得られない低い販売価格に設定” としている代わりに、D社はクラウドサービス課金と健康計測機器の追加購入を通じて収益を確保します。
Q: クラウドサービスの顧客は誰になりますか?
A: “医療機関は…生活データと計測データを有償でアクセスできる” とあるとおり、直接の顧客は医療機関です。
Q: 個人情報の取り扱いは問題になりませんか?
A: “患者から個人情報の提供について、あらかじめ了解を得る” と明言されており、同意取得を前提に運用されます。

関連キーワード: クラウドサービス, データ課金, IoTデバイス, 付帯収益, ビジネスモデル

設問3E氏が考えた新たなビジネスモデルについて、(1)、(2)に答えよ。

(2)D社と契約したことで、医療機関は患者にどのような価値を提供できるようになるか。二つ挙げ、それぞれ30字以内で述べよ。

模範解答

①:蓄積された計測データと生活データに基づく質の高い診断 ②:計測データと生活データの推移に基づく適切な医療指導

解説

解答の論理構成

  1. 医療機関側のニーズを整理
    問題文には、医療機関の要望として
    ・「睡眠、食事、薬の服用などの生活状況のデータ(以下、生活データという)と、日常の血圧、体温、体重、歩行の歩数などの計測記録(以下、計測データという)の蓄積があれば、質の高い診断ができる。」
    ・「生活データと計測データがあれば、その推移から適切な医療指導ができる。」
    と明記されています。
    ここで「蓄積」と「推移」というキーワードがそれぞれ異なる価値を示していることに注目します。
  2. 新たなビジネスモデルが提供するリソースを確認
    ビジネスモデルの記述に「医療機関は、購入した健康管理ロボットによって蓄積されている生活データと計測データを有償でアクセスできる」とあります。
    つまり、医療機関は患者ごとの“蓄積されたデータ”と“時系列で見たデータの推移”を取得可能になります。
  3. 医療機関が患者へ提供できる価値を導出
    (1) データを「蓄積」した形で得られれば、診断時に断片的情報ではなく総合的な裏付けをもった「質の高い診断」が可能です。
    (2) データの「推移」を追跡できれば、生活改善や服薬・運動などに対してタイムリーで「適切な医療指導」を行えます。
  4. 以上より、模範解答
    ①「蓄積された計測データと生活データに基づく質の高い診断」
    ②「計測データと生活データの推移に基づく適切な医療指導」
    が導かれます。

誤りやすいポイント

  • 「質の高い診断」と「適切な医療指導」を逆に書き替えてしまう。両者は問題文中で対応する根拠が別々に示されています。
  • 「推移」の要素を落として単に“データを利用した指導”と書くと、価値の核心(時系列分析)を欠くため減点されやすいです。
  • 健康管理ロボット自身が診断するかのように記述してしまう。診断は医師のみという条件を忘れないこと。

FAQ

Q: 「推移」とは具体的にどのような利用を想定していますか?
A: 血圧や体重の増減トレンド、睡眠リズムの崩れなどを時系列で解析し、生活習慣病の早期兆候を把握するなどが典型例です。
Q: 健康管理ロボットが蓄積するデータ量に制限はありますか?
A: 問題文には容量制限の記述はなく、クラウドコンピューティングサービス上に蓄積するため、実務的にはスケールアウトで対応する想定です。
Q: 医療機関がデータを閲覧する際のセキュリティ要件は問われていますか?
A: 本設問では値段と提供価値のみが焦点であり、アクセス制御や暗号化などの詳細要件は問われていません。

関連キーワード: クラウドサービス, データ分析, IoT, 時系列データ, 音声インタフェース
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