ITストラテジスト 2023年 午前2 問22
問題文
資金決済法における暗号資産に関する記述として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:暗号資産交換業者は、情報の安全管理や広告・勧誘規制などの行為規制は受けるが、資本金額や純資産額などの財務的規制は受けない。
イ:暗号資産は、不特定の者に対して使用でき、電子的に記録され、移転できるものであり、法定通貨又は法定通貨建ての資産ではないが、法定通貨と相互に交換できる。(正解)
ウ:暗号資産は、ブロックチェーン技術を用いて集中管理されており、法定通貨と同様、銀行などの金融機関入手・交換できる。
エ:利用者の保有する暗号資産の残高や取引は、発行者によって利用者ごとに管理されているので、利用者は保有している暗号資産を発行者の指定する加盟店だけで使用できる。
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暗号資産の定義【午前2解説】
正解の理由
選択肢のうち、法律上の定義と整合するのは イ です。資金決済法における「暗号資産」は、不特定多数に対して使用されうること、電子的に記録されて移転できる価値であること、法定通貨や法定通貨建ての資産ではないこと、そして法定通貨と相互に交換できる可能性があることが要件として挙げられます。これらの要点を最も正確に表している記述が イ だからです。
※重要な点として、法的定義は技術的実装(たとえばブロックチェーンや分散台帳)を必須とはしていません。多くの暗号資産は分散型台帳技術を利用しますが、中央集権的に管理される仕組みのものも存在し得ます。したがって定義の要点は「電子的に記録・移転される非法定通貨の価値」であることです。
解法ステップ
- 問題文を読んで「法律(資金決済法)の定義」に合致するかを基準にする。キーワードは「不特定の者」「電子的に記録・移転」「法定通貨ではない」「交換可能」。
- 各選択肢の文言を上記キーワードと照合する。技術的実装(ブロックチェーン等)や運用形態(中央管理・発行者管理)を法的定義と混同しない。
- 誤った断定(必ず~である、~しない)や事実と矛盾する記述が含まれる選択肢を除外する。
- 残った選択肢が法的定義に合致すればそれが正答。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 誤り
「暗号資産交換業者は財務的規制を受けない」とする点が不正確です。暗号資産交換業者は登録制であり、情報管理や広告規制に加え、事業継続性や顧客資産の保全(分別管理)、経営の健全性に関する審査や報告義務など、財務・業務面の要件や審査が課されます。したがって「財務的規制は受けない」は誤りです。 -
イ: 正しい
前節の通り、法文上の主要要件を満たしています。技術実装を必須としない点にも合致します。 -
ウ: 誤り
「暗号資産はブロックチェーン技術を用いて集中管理される」とある点が矛盾しています。多くは分散台帳技術を用いることが多い一方、法的定義では技術的手段を限定していませんし、“集中管理される”ことを前提にするのは誤りです。また「法定通貨と同様に銀行などの金融機関で入手・交換できる」とするのも一般化しすぎです。日本では主に登録された交換事業者を通じて取扱われます(銀行が直ちに同等の役割を果たすわけではありません)。 -
エ: 誤り
「発行者が利用者ごとに残高や取引を管理し、利用を特定加盟店に限定する」とありますが、暗号資産は一般に譲渡可能な性質を持ち、利用範囲が発行者に限定されるとは限りません。発行者が管理する仕組み(集中型トークン等)もあり得ますが、それを法的定義として一般化するのは誤りです。
よくある誤解
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「暗号資産=必ず分散台帳(非中央管理)」
多くは分散台帳を使いますが、法的定義は技術実装を要件としていません。中央集権的に管理・発行されるトークンもあり得ます。 -
「銀行や金融機関が法定通貨と同じ方法で直接取り扱う」
実務上は主に登録された暗号資産交換業者が媒介します。銀行が暗号資産をそのまま保有・交換するかは個別の業務判断・規制対応によります。 -
「発行者が全ての残高を管理する=常に利用制限がかかる」
発行形態(管理型/自己管理型)によって扱いは異なります。ウォレットの種類(custodial / non-custodial)を区別して理解することが重要です。
補足コラム
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登録制と監督
日本では暗号資産交換業者は金融庁の登録制度下にあり、利用者保護の観点からシステム安全管理、内部管理、資産の分別管理、業務運営体制の整備、報告義務などが求められます。これらは単なる「行為規制」だけでなく、事業者の財務的健全性や顧客資産保全を含む広範な監督です。 -
技術と法の関係
法律は「何を扱うか」を定義し、どの技術で実装されるかまでは通常指定しません。したがって技術の進化(分散台帳、スマートコントラクト、集中管理型トークンなど)に合わせて運用や監督が検討されます。
FAQ
Q1: 法律上、暗号資産は必ずブロックチェーンを使わないといけませんか?
A1: いいえ。法的定義は技術的手段を限定しません。実務ではブロックチェーンが多用されていますが、必須ではありません。
A1: いいえ。法的定義は技術的手段を限定しません。実務ではブロックチェーンが多用されていますが、必須ではありません。
Q2: 暗号資産は銀行で普通に買えますか?
A2: 一般には登録された暗号資産交換業者を通じて購入・交換するケースが多いです。銀行が直接の窓口となるかは各金融機関の取り扱いによります。
A2: 一般には登録された暗号資産交換業者を通じて購入・交換するケースが多いです。銀行が直接の窓口となるかは各金融機関の取り扱いによります。
Q3: 発行者が管理するなら暗号資産は移転できないのですか?
A3: 発行形態によります。譲渡可能な設計の暗号資産が多い一方、発行者管理型の仕組みでは制限が付く場合もあります。
A3: 発行形態によります。譲渡可能な設計の暗号資産が多い一方、発行者管理型の仕組みでは制限が付く場合もあります。
関連キーワード: 暗号資産、資金決済法、暗号資産交換業者、分別管理、分散台帳、custodial、非中央集権化

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