ネットワークスペシャリスト 2009年 午後1 問02
メールシステムの移行に関する次の記述を読んで、設問1〜3に答えよ。
X社は、社員250名の出版社である。自社でメールシステムを運用しており、外部メールサーバ、自社のドメインを管理しているDNSサーバ、プロキシサーバをDMZに設置し、内部メールサーバを社内LANに設置している。PCでのメールの送受信には、内部メールサーバとの間でSMTPとPOP3を利用している。PCには固定IPアドレスを割り当てている。PCからインターネットへのアクセスは、プロキシサーバ経由のHTTPとHTTPSだけを許可している。X社のネットワーク構成を、図に示す。

X社では、情報漏えい防止のため、ファイルサーバを活用してPCにデータを保存しない運用を徹底してきたが、メールデータはPCに保存せざるを得ず、以前から問題になっていた。そこで、X社は、メールの閲覧、作成、送信などをブラウザで行うことができるWebメールへの移行を決めた。また、メールシステムの運用に負担がかかっていることから、ASPであるJ社のメールサービスを利用することにした。
〔J社のメールサービス〕
J社のメールサービスは、PCのメールソフトを利用した送受信にも対応しているが、JavaScriptの非同期通信の機能による、画面遷移が起こらない動的なユーザインタフェースを実現する ア と呼ばれる技術を使ったWebメールの評判が高い。この技術によって、J社のWebメールは、PCのメールソフトと比べてそれら色々な機能と操作性を備えている。J社のメールサービスの主な設定項目を表に示す。


〔要件の整理〕
X社の企画会議にて、Webメールへの移行について次の要件を決定し、システム管理担当のR君が移行の検討を任された。
・インターネット接続回線の高速化は実施しない。
・Webメールの利用は社内からの接続に限定する。
・PCに保存していたメールデータをWebメールへ移行する。
・J社のメールサーバ(以下、ASPサーバという)との通信は暗号化する。
・Webメールの利用開始後、PCのメールソフトとメールデータを削除する。
R君は、内部メールサーバのログを調査し、メールのトラフィックを確認したところ、迷惑メールなどPCに取り込んでも読まないメールが多いことが分かった。JavaScriptのコードの読み込みなどWebメールの利用によって新たに増えるトラフィックもあるが、メールを読まないことで削減できるトラフィックもあることから、インターネット接続回線の帯域不足は発生しないと判断した。
次に、R君は、PCに保存しているメールデータをASPサーバに移行する方法を調査したところ、IMAPやIMAPSを利用すればASPサーバにメールデータをアップロードできることが分かった。まず、R君は、FWのエという機能を利用して、一つのグローバルアドレスを共有し、同時に複数のPCがASPサーバと通信する方式を考えた。しかし、PCのメールソフトがIMAPSには対応していないことが判明し、この方式では、ASPサーバとの通信が暗号化できないことが分かった。そこで、R君は、プロキシサーバに、IMAPとIMAPSを相互に変換するSSLゲートウェイ機能をもたせることにした。
R君は、ホームページの閲覧によるウイルス感染を防ぐために、現在利用しているプロキシサーバのウイルスチェック機能が、Webメールにも効果があるのかを調査した。Webメールで利用するHTTPSでは、PCは オ メソッドを利用してプロキシサーバへ接続先を指定し、SSLセッションをASPサーバとの間で確立する。そのため、プロキシサーバのウイルスチェック機能は効果がないことが分かった。
そこで、ウイルスチェック対策として、ASPサーバのウイルスチェック機能を利用することにした。さらに、OSやブラウザの脆弱性を悪用され、①メールを閲覧するだけでPCがウイルスに感染することを防ぐための対策も実施することにした。
〔移行手順の検討〕
R君は、次の移行手順を作成した。手順は、(a)から(i)の順番に実施する。
(a) ASPサーバの設定
(b) プロキシサーバへのSSLゲートウェイ機能の追加とFWの設定変更
(c) DNSサーバでX社のドメインの カ レコードの値をASPサーバの キ へ変更
(d) J社のメールサービスの利用開始
(e) PCのメールソフトの設定変更
(f) PCからASPサーバへのメールデータのアップロード
(g) ASPサーバ、FW及びプロキシサーバの設定変更
(h) PCに保存しているメールデータとメールソフトの削除
(i) 内部メールサーバと外部メールサーバの運用停止
次は、移行手順に関するT課長とR君の会話である。
T課長:移行手順(c)の後、インターネットからのメールはASPサーバに保存されるわけだな。ただ、移行手順(d)の後も、誤ってPCのメールソフトを使い続ける社員もいるだろう。そうなると、内部メールサーバにも新規のメールが保存され続けてしまう可能性があるが、何か防ぐ方法はないだろうか。
R君:②内部メールサーバの設定を変更すれば、PCのメールソフトでのメール送信はできなくなります。
T課長:では、その手順を追加しておいてくれ。メールデータのアップロードの際に考慮すべきことはないのかな。
R君:移行手順(e)と(f)の作業は各社員で実施してもらいます。手順書を作って説明会を実施する予定です。同時に作業を行う社員が多いと、インターネット接続回線が輻輳する可能性があります。そのため、社員をグループに分けて、グループ単位に作業期間を割り当てる予定です。
T課長:だが、作業期間を守らない社員が出そうだな。割り当てられた作業期間以外はアップロード作業ができないような対策はないのか。
R君:③FWの設定で対応したいと思います。手順に追加します。
R君の移行手順は企画会議で承認され、来月移行を開始する予定である。
設問1:
本文中及び表中のア〜オに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
ア:Ajax
イ:SMTP
ウ:POP3S
エ:NAPT
オ:CONNECT
解説
解答の論理構成
-
ア の判定
- 【問題文】「JavaScriptの非同期通信の機能による、画面遷移が起こらない動的なユーザインタフェースを実現する ア と呼ばれる技術」
- “JavaScript の非同期通信”と“画面遷移が起こらない”から、「Ajax」(Asynchronous JavaScript + XML)であることが分かります。
-
イ の判定
- 【問題文】表の「クライアントが利用するプロトコル」欄で「(25)」番ポートに対応するものを答える設定。
- ポート「25」は SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)です。
-
ウ の判定
- 同じ表で「(995)」番ポートに対応する暗号化 POP を示しています。
- ポート「995」は POP3 over SSL/TLS で、呼称は「POP3S」です。
-
エ の判定
- 【問題文】「FWのエという機能を利用して、一つのグローバルアドレスを共有し、同時に複数のPCがASPサーバと通信」
- 一つのグローバル IP を多数の内部端末で共有する NAT の一種=“NAPT”(Network Address Port Translation)です。
-
オ の判定
- 【問題文】「HTTPSでは、PCは オ メソッドを利用してプロキシサーバへ接続先を指定し、SSLセッションをASPサーバとの間で確立」
- HTTP プロキシでトンネルを張るときに使うのは CONNECT メソッドです。
以上より
ア:Ajax
イ:SMTP
ウ:POP3S
エ:NAPT
オ:CONNECT
ア:Ajax
イ:SMTP
ウ:POP3S
エ:NAPT
オ:CONNECT
誤りやすいポイント
- Ajax を “AjaX” などと大小文字を混在させると減点対象です。
- ポート「587」を見て SUBMISSION と結び付け、25 を誤って “SUBMIT”などと書くケースが散見されます。
- POP3S は「POPS」と書かれることもありますが、問題は「POP3S」を要求しています。
- NAPT と NAT を混同しやすいですが、設問は「ポート変換も行う」ことを明言しているため NAPT が正解です。
- HTTPS におけるプロキシ接続メソッドを「GET」と誤解してしまうミスが多発します。
FAQ
Q: Ajax と HTML5 の「Fetch API」は同じものですか?
A: いいえ。Ajax は XMLHttpRequest を中心とした“非同期通信+DOM更新”の総称で、Fetch API はより新しいブラウザ標準インタフェースです。本問は歴史的な呼称「Ajax」を聞いています。
A: いいえ。Ajax は XMLHttpRequest を中心とした“非同期通信+DOM更新”の総称で、Fetch API はより新しいブラウザ標準インタフェースです。本問は歴史的な呼称「Ajax」を聞いています。
Q: POP3S と IMAPS の違いは何ですか?
A: POP3S は POP3 を SSL/TLS で暗号化したものでポート「995」、IMAPS は IMAP を SSL/TLS で暗号化したものでポート「993」です。取得方式(ダウンロードかサーバ保持か)の違いは POP3/IMAP 本来の仕様通りです。
A: POP3S は POP3 を SSL/TLS で暗号化したものでポート「995」、IMAPS は IMAP を SSL/TLS で暗号化したものでポート「993」です。取得方式(ダウンロードかサーバ保持か)の違いは POP3/IMAP 本来の仕様通りです。
Q: NAPT と PAT の用語は置き換え可能ですか?
A: 多くの文献で同義語として扱われますが、試験では RFC に合わせ「NAPT」表記が好まれます。問題文もこれに従っています。
A: 多くの文献で同義語として扱われますが、試験では RFC に合わせ「NAPT」表記が好まれます。問題文もこれに従っています。
関連キーワード: Ajax, SMTP, POP3S, NAPT, CONNECT
設問2:〔要求の整理〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(1)Webメールの利用を社内だけに限定するためのJ社のメールサービスの設定を、35字以内で述べよ。
模範解答
アクセス設定でプロキシサーバのIPアドレスだけを許可する。
解説
解答の論理構成
-
要件確認
- 企画会議で決定した要件に「『Webメールの利用は社内からの接続に限定する。』」とあります。
- つまり、社外から直接 ASP サーバへ HTTPS 接続されないようにする必要があります。
-
社内アクセス経路の整理
- PC は「『PCからインターネットへのアクセスは、プロキシサーバ経由のHTTPとHTTPSだけを許可している。』」ため、社内 LAN から外部へ出る通信は必ずプロキシサーバを経由します。
-
ASP サーバ側の設定項目の確認
- 表の「『アクセス設定 接続を許可するクライアントの IP アドレスを設定する。』」という機能は、ASP サーバが受け付ける送信元を IP アドレスで制限できることを示しています。
-
要件を満たす具体策
- 社内からの通信はすべてプロキシサーバに集約されるため、ASP サーバに登録すべき IP アドレスはプロキシサーバだけで十分です。
- これにより、社外や私物端末などプロキシサーバを経由しないアクセスは拒否され、要件を満たします。
-
文章化
- 以上から、解答は「アクセス設定でプロキシサーバのIPアドレスだけを許可する。」となります。
誤りやすいポイント
- クライアント PC の IP アドレスを列挙しようとする
→ PC には「固定IPアドレス」が振られてはいますが、直接インターネットへは出られないため無意味です。 - 「プロトコル設定」で HTTPS だけに制限すれば十分と考える
→ HTTPS のみ許可しても送信元 IP を制限しなければ社外からアクセスできます。 - DMZ 内の「外部メールサーバ」を残したまま流用できると勘違いする
→ 移行後は ASP サーバに一元化されるため、外部メールサーバではアクセス制御できません。
FAQ
Q: 社員が VPN で社外から社内プロキシを経由した場合はどうなりますか?
A: VPN で社内に入れば通信はプロキシサーバへ向かうため、アクセス設定で許可した IP からの接続として扱われます。
A: VPN で社内に入れば通信はプロキシサーバへ向かうため、アクセス設定で許可した IP からの接続として扱われます。
Q: 将来プロキシサーバを冗長化した際はどうすればよいですか?
A: 冗長化で IP アドレスが増える場合、アクセス設定に追加登録し、許可リストを更新してください。
A: 冗長化で IP アドレスが増える場合、アクセス設定に追加登録し、許可リストを更新してください。
Q: 動的 IP アドレスが割り当てられる場合でも同じ対策で良いですか?
A: 動的 IP の場合は固定化、または FW で静的 NAT を用い、ASP サーバにはそのグローバル IP を登録する必要があります。
A: 動的 IP の場合は固定化、または FW で静的 NAT を用い、ASP サーバにはそのグローバル IP を登録する必要があります。
関連キーワード: アクセス制御, プロキシサーバ, HTTPS, NAT, DMZ
設問2:〔要求の整理〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(2)メールのトラフィック確認について、R君が外部メールサーバのログを利用しなかった理由を、30字以内で述べよ。
模範解答
社内から社内あてのメールのログが残っていないから
解説
解答の論理構成
- まず、R君が確認したいのは「社員が実際に受信しているメールトラフィック量」です。
【問題文】「R君は、内部メールサーバのログを調査し、メールのトラフィックを確認したところ…」 - 外部メールサーバは DMZ にあり、役割はインターネットとの送受信です。
DMZ 側にあるため、社内 LAN 内だけで完結するメールは通過しません。 - 社員同士のメールは内部メールサーバだけで配送が完了します。
したがって外部メールサーバのログには「社内から社内あてのメール」が記録されません。 - 社内メールを含めた全量を把握する目的に合致しないため、外部メールサーバのログは利用しません。
⇒ 解答:「社内から社内あてのメールのログが残っていないから」
誤りやすいポイント
- 「外部メールサーバの方がインターネット経由の迷惑メールを多く記録しているはず」と考え、内部トラフィックを見落とす。
- DMZ と社内 LAN の配送経路を混同し、内部メールも必ず外部メールサーバを経由すると誤解する。
- ログ分析対象を「どの利用実態を把握したいのか」に結び付けず、単にログサイズの大小で選択してしまう。
FAQ
Q: なぜ内部メールサーバのログには社外とのメールも残るのですか?
A: 社内 PC は SMTP で内部メールサーバに送信を依頼し、外部宛てメールは内部メールサーバが外部メールサーバへリレーするため、両方の記録が残ります。
A: 社内 PC は SMTP で内部メールサーバに送信を依頼し、外部宛てメールは内部メールサーバが外部メールサーバへリレーするため、両方の記録が残ります。
Q: 迷惑メールの割合は外部メールサーバを見た方が正確では?
A: 迷惑メールが届いても社員が読まなければトラフィック削減効果があります。読み取られる量を知るには、最終的に PC が POP3 で取得した実績が分かる内部メールサーバのログが有用です。
A: 迷惑メールが届いても社員が読まなければトラフィック削減効果があります。読み取られる量を知るには、最終的に PC が POP3 で取得した実績が分かる内部メールサーバのログが有用です。
Q: DMZ に置かれた外部メールサーバが社内メールを通さない設計の利点は?
A: 社内メールが DMZ を通過しないため、外部ネットワーク障害や攻撃の影響を受けにくく、機密性も高められます。
A: 社内メールが DMZ を通過しないため、外部ネットワーク障害や攻撃の影響を受けにくく、機密性も高められます。
関連キーワード: メールサーバ, ログ分析, 内部通信, DMZ, トラフィック測定
設問2:〔要求の整理〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(3)本文中の下線①の対策として有効なJ社のメールサービスの設定を、25字以内で述べよ。
模範解答
HTMLメールの表示機能を無効にする。
解説
解答の論理構成
- 問題文には、下線①として
「メールを閲覧するだけでPCがウイルスに感染することを防ぐための対策」
が必要と明記されています。 - メール閲覧時に感染を引き起こす代表的な仕組みは、HTMLメールに埋め込まれた JavaScript や ActiveX、iframe などの悪意あるコードです。
- J社の設定項目には
「HTML メールの表示機能」
を有効/無効に切り替える選択肢が表形式で提示されています。 - よって、この機能を無効に設定すれば、HTMLタグやスクリプトがブラウザで解釈されず、閲覧“するだけ”で感染する経路を遮断できます。
- 以上より、求められる設定は
「HTMLメールの表示機能を無効にする。」
となります。
誤りやすいポイント
- 「添付ファイルの PC へのダウンロード機能を無効」にするだけでは、メール本文に埋め込まれた悪意あるスクリプトを防げません。
- 「ウイルスチェック機能」のみで十分と考えがちですが、未知のマルウェアやゼロデイ攻撃は検知をすり抜ける可能性があります。
- HTMLメールを単に“閲覧しないよう周知する”運用対策では、ユーザの操作ミスを排除できず技術的対策として不十分です。
FAQ
Q: テキストメールだけでもフィッシング被害に遭いませんか?
A: フィッシングはリンク誘導によって発生しますが、テキストメールはスクリプト実行を伴わないため、閲覧しただけでマルウェア感染するリスクを大幅に低減できます。リンク先をクリックしないよう周知することは別途必要です。
A: フィッシングはリンク誘導によって発生しますが、テキストメールはスクリプト実行を伴わないため、閲覧しただけでマルウェア感染するリスクを大幅に低減できます。リンク先をクリックしないよう周知することは別途必要です。
Q: HTMLメールを全社的に禁止すると業務影響はありませんか?
A: 表示を無効にしても、メールソースは保存されています。必要な場合は個別に管理部門がHTMLを確認する運用で代替でき、セキュリティリスクと比較して実務上の影響は小さいケースが多いです。
A: 表示を無効にしても、メールソースは保存されています。必要な場合は個別に管理部門がHTMLを確認する運用で代替でき、セキュリティリスクと比較して実務上の影響は小さいケースが多いです。
Q: スクリプトを除去する「サニタイズ」機能では駄目ですか?
A: サニタイズ機能は有効な対策ですが、万一フィルタの漏れがあると感染を許します。根本的に「HTMLメールを表示しない」設定の方が確実でシンプルです。
A: サニタイズ機能は有効な対策ですが、万一フィルタの漏れがあると感染を許します。根本的に「HTMLメールを表示しない」設定の方が確実でシンプルです。
関連キーワード: HTMLメール, スクリプト, サニタイズ, マルウェア, XSS
設問3:〔移行手順の検討〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(1)本文中のカ、キに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
カ:MX
キ:FQDN
解説
解答の論理構成
- 問題文には「DNSサーバでX社のドメインの カ レコードの値をASPサーバの キ へ変更」とあります。
- インターネット上で電子メールを配送する際、どのメールサーバ(Mail eXchanger)に届けるかを示すDNSレコードは「MXレコード」です。したがって カ には「MX」が入ります。
- 「MXレコード」の値には IP アドレスではなくホスト名を書き、これは完全修飾ドメイン名(Fully Qualified Domain Name:FQDN)で指定するのがDNSのルールです。よって キ には「FQDN」が入ります。
- 以上より、
・カ=「MX」
・キ=「FQDN」
となります。
誤りやすいポイント
- 「A レコード」と誤答するケース
A レコードはホスト名と IP アドレスを対応付けるためのもので、メール配送ルートを示す用途ではありません。 - 「CNAME」や「PTR」と混同
CNAME は別名定義、PTR は逆引き用です。メール配送の指定には関与しません。 - 「MXレコードの値を IP アドレスにする」誤解
MX は必ずホスト名(FQDN)で指定し、後続の A レコード解決で IP アドレスに変換されます。
FAQ
Q: MXレコードの優先度は設定しなくてよいのですか?
A: 本設問は値(ホスト指定)に焦点を当てています。優先度(preference 値)は複数のメールサーバを用意する場合に設定しますが、ここでは単一の「ASPサーバ」を指しているため割愛されています。
A: 本設問は値(ホスト指定)に焦点を当てています。優先度(preference 値)は複数のメールサーバを用意する場合に設定しますが、ここでは単一の「ASPサーバ」を指しているため割愛されています。
Q: FQDN の具体例は?
A: 例えば「mail.example.jp」のように、ホスト名からトップレベルドメインまで完全に記述された名前が FQDN です。
A: 例えば「mail.example.jp」のように、ホスト名からトップレベルドメインまで完全に記述された名前が FQDN です。
Q: MXレコードを書き換えるタイミングはメール停止を伴いますか?
A: 既存サーバへの配送が徐々に減少し、並行運用期間が必要です。問題文の手順(a)〜(i)で「(i) 内部メールサーバと外部メールサーバの運用停止」が最後に行われるのは、このためです。
A: 既存サーバへの配送が徐々に減少し、並行運用期間が必要です。問題文の手順(a)〜(i)で「(i) 内部メールサーバと外部メールサーバの運用停止」が最後に行われるのは、このためです。
関連キーワード: MXレコード, FQDN, DNS, メールリレー, ホスト名
設問3:〔移行手順の検討〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(2)本文中の下線②の設定変更の内容を、15字以内で述べよ。
模範解答
SMTPの機能を停止する。
解説
解答の論理構成
- 【問題文】には「PCでのメールの送受信には、内部メールサーバとの間でSMTPとPOP3を利用している。」とあります。したがって、PC のメールソフトが内部メールサーバへメールを送信するプロトコルは「SMTP」です。
- さらに会話文で T 課長は「内部メールサーバにも新規のメールが保存され続けてしまう可能性があるが、何か防ぐ方法はないだろうか。」と問い掛けています。
- これに対し R 君は「②内部メールサーバの設定を変更すれば、PCのメールソフトでのメール送信はできなくなります。」と回答しています。「メール送信ができなくなる=SMTP を使えなくする」ことを示唆しています。
- よって内部メールサーバ側で行う設定変更は、SMTP サービス(メール送信機能)を停止することです。
- 以上から、解答は「SMTPの機能を停止する。」となります。
誤りやすいポイント
- POP3 や IMAP の停止と勘違いしやすい
→ 送信を防ぐ目的なので、受信系プロトコルではなく SMTP が対象です。 - 「ポート25を閉じる」とだけ書く
→ 対象サービス名が明確でないと減点リスクがあります。 - ファイアウォール設定と混同
→ 会話中の②は「内部メールサーバの設定」であり、FW ではありません。
FAQ
Q: SMTP サービスを停止すると、受信メールの閲覧にも影響がありますか?
A: 影響ありません。受信は POP3(110番)で行われるため、SMTP(25番)を停止してもメールの取得は可能です。
A: 影響ありません。受信は POP3(110番)で行われるため、SMTP(25番)を停止してもメールの取得は可能です。
Q: 一時的に SMTP を止めるのではなく、ポートを変更する方法ではだめですか?
A: 目的は「誤って PC のメールソフトを使い続けることを防ぐ」ことです。ポートを変更しても設定を変更すれば送信できてしまうため、SMTP 自体を停止する方が確実です。
A: 目的は「誤って PC のメールソフトを使い続けることを防ぐ」ことです。ポートを変更しても設定を変更すれば送信できてしまうため、SMTP 自体を停止する方が確実です。
Q: 外部へのメール送信は全て ASP サーバ経由になるのですか?
A: はい。DNS の「カ レコード」を「ASPサーバの キ」へ変更することで、インターネットからの受信も送信も ASP サーバに集約されます。内部メールサーバは役割を終えます。
A: はい。DNS の「カ レコード」を「ASPサーバの キ」へ変更することで、インターネットからの受信も送信も ASP サーバに集約されます。内部メールサーバは役割を終えます。
関連キーワード: SMTP, POP3, メールサーバ, ポート番号, セキュリティポリシー
設問3:〔移行手順の検討〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(3)移行手順(e)の設定変更の内容を二つ挙げ、それぞれ20字以内で述べよ。
模範解答
①:受信プロトコルをIMAPにする。
②:受信サーバをプロキシサーバにする。
解説
解答の論理構成
-
移行前のメールクライアント設定
- 【問題文】には「PCでのメールの送受信には、内部メールサーバとの間でSMTPとPOP3を利用している。」とあり、受信プロトコルは POP3、受信サーバは内部メールサーバでした。
-
IMAPS 非対応という制約
- 「PCのメールソフトがIMAPSには対応していないことが判明」したため、PC から ASP サーバへ暗号化通信するには「プロキシサーバに、IMAPとIMAPSを相互に変換するSSLゲートウェイ機能」を追加して回避する方針になりました。
-
PC 側で必要となる設定変更
- 受信プロトコル:SSLゲートウェイへ平文で渡すため「IMAP」に切り替える。
- 受信サーバ :ゲートウェイを置いた「プロキシサーバ」を指定する。
- これらが移行手順(e)「PCのメールソフトの設定変更」で求められる二つの要素です。
-
よって解答
① 受信プロトコルをIMAPにする
② 受信サーバをプロキシサーバにする
誤りやすいポイント
- 送信側(SMTP/SUBMISSION)の設定変更を書いてしまう。設問は「設定変更の内容を二つ挙げ」としか書いていないが、段取り上、受信設定の変更が要件を満たします。
- 「IMAPSにする」と答えるミス。IMAPS は PC が非対応であることが【問題文】に明示されています。
- 内部メールサーバのアドレス指定を残したままにする誤答。ゲートウェイを通さなければ暗号化できません。
FAQ
Q: 送信プロトコル(SMTP 25/TCP)も変更しなくていいのですか?
A: 本設問は受信側の設定変更を問うています。送信は別途 SUBMISSION(587/TCP) などで ASP サーバへ切替える手順が想定されますが、解答対象は受信設定のみです。
A: 本設問は受信側の設定変更を問うています。送信は別途 SUBMISSION(587/TCP) などで ASP サーバへ切替える手順が想定されますが、解答対象は受信設定のみです。
Q: POP3 から IMAP へ変更するとローカル保存の挙動はどうなりますか?
A: IMAP はサーバ側にメールを保持し、クライアントは閲覧・操作のみ行う方式です。今回の目的「PCに保存していたメールデータをWebメールへ移行する」に合致します。
A: IMAP はサーバ側にメールを保持し、クライアントは閲覧・操作のみ行う方式です。今回の目的「PCに保存していたメールデータをWebメールへ移行する」に合致します。
Q: SSLゲートウェイを使う場合、PC から見て通信は暗号化されていないのでは?
A: PC とプロキシサーバ間は平文 IMAP、プロキシサーバと ASP サーバ間は IMAPS で暗号化される構成です。オフィス LAN 内での盗聴リスクを許容したうえでインターネット区間は暗号化されます。
A: PC とプロキシサーバ間は平文 IMAP、プロキシサーバと ASP サーバ間は IMAPS で暗号化される構成です。オフィス LAN 内での盗聴リスクを許容したうえでインターネット区間は暗号化されます。
関連キーワード: IMAP, POP3, SSLゲートウェイ, プロキシサーバ, メールクライアント
設問3:〔移行手順の検討〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(4)本文中の下線③の設定の内容を、35字以内で述べよ。
模範解答
作業期間ごとにIMAPを利用できる送信元IPアドレスを制限する。
解説
解答の論理構成
- 【問題文】には、メールデータのアップロードを行う (f) の作業が「IMAPやIMAPSを利用」して行われると記されています。
引用:「IMAPやIMAPSを利用すればASPサーバにメールデータをアップロードできる」 - さらに、T課長は「割り当てられた作業期間以外はアップロード作業ができないような対策」を求めています。
引用:「割り当てられた作業期間以外はアップロード作業ができないような対策はないのか」 - R君はその対策を「③FWの設定で対応」すると回答しています。
引用:「R君:③FWの設定で対応したいと思います」 - つまり、FW で IMAP 系ポートへの通信を「誰が・いつ」行えるかを制御すれば、指定期間外のアップロードを遮断できます。
- PC は全台「固定IPアドレスを割り当てている」ため、社員やグループ単位の識別は送信元 IP で行えます。
引用:「PCには固定IPアドレスを割り当てている」 - 以上より、解答は
「作業期間ごとにIMAPを利用できる送信元IPアドレスを制限する。」
となります。FW のアクセス制御リストで IMAP(143)/IMAPS(993) ポートを期間別・IP 別に許可するイメージです。
誤りやすいポイント
- HTTP/HTTPS の制御と混同し、メールアップロードも「HTTPS 制限」と答えてしまう。
- 「宛先 IP」だけを制限すると考え、送信元側の識別(固定 IP)を忘れる。
- IMAPS だけを対象にして IMAP(143) を漏らすパターン。
- 時間帯制御を FW ではなく DNS やプロキシで実施できると誤解する。
FAQ
Q: IMAP と IMAPS の両方を許可/遮断する必要がありますか?
A: はい。アップロード時にどちらのポートが使われるかは SSL ゲートウェイの設定次第ですが、一般的には 143 と 993 の両方を条件に含めるのが安全です。
A: はい。アップロード時にどちらのポートが使われるかは SSL ゲートウェイの設定次第ですが、一般的には 143 と 993 の両方を条件に含めるのが安全です。
Q: 送信元 IP ではなくユーザ認証で期間制限を掛ける方法は?
A: ASP 側のアカウント制御でも可能ですが、問題文では「③FWの設定」を求めているため、FW での IP+時間帯フィルタが前提です。
A: ASP 側のアカウント制御でも可能ですが、問題文では「③FWの設定」を求めているため、FW での IP+時間帯フィルタが前提です。
Q: ポリシー変更時に他の業務メールが止まる心配は?
A: 制御するのは IMAP 系ポートのみです。Web メールは HTTPS(443) を利用し、要件で「Webメールの利用は社内からの接続に限定」されているため、閲覧・送信には影響しません。
A: 制御するのは IMAP 系ポートのみです。Web メールは HTTPS(443) を利用し、要件で「Webメールの利用は社内からの接続に限定」されているため、閲覧・送信には影響しません。
関連キーワード: ファイアウォール, アクセス制御リスト, IMAP, ポートフィルタリング, 時間帯制御


