ネットワークスペシャリスト 2009年 午前2 問07
問題文
TCP/IPネットワークで使用されるARPの説明として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:IPアドレスからMACアドレスを得るためのプロトコル(正解)
イ:IPアドレスからホスト名(ドメイン名)を得るためのプロトコル
ウ:MACアドレスからIPアドレスを得るためのプロトコル
エ:ホスト名(ドメイン名)からIPアドレスを得るためのプロトコル
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IPアドレスからMAC変換【午前2解説】
正解の理由
ARP(Address Resolution Protocol)は、IPv4ネットワークにおいて「IPアドレスを持つホストのMACアドレスを取得する」ためのプロトコルです。送信側が送信先のIPアドレスは分かっているが、そのホストのイーサネット(MAC)アドレスが分からない場合、ARP要求(ブロードキャスト)を送って応答を得る仕組みを用います。したがって選択肢アが正解です。
ARPはリンク層(主にイーサネット)で動作し、要求→応答→ARPキャッシュ格納という流れでアドレス解決を行います。ARPはIPv4固有の仕組みで、IPv6では代わりにNeighbor Discovery Protocol(NDP)が使われます。
解法ステップ
- 問題のキーワードを把握:ARP → アドレス解決、IPv4の周辺で使うものと知る。
- 「誰から誰へ」変換かを確認:IP→MAC か MAC→IP か、または名前解決(DNS)かを区別する。
- OSI階層で考える:名前解決(DNS)はアプリケーション層/トランスポート層寄り、ARPはリンク層の機能である点で区別する。
- 選択肢を当てはめて排除:IP→ホスト名(逆引き)はDNS、ホスト名→IPはDNS(順引き)、MAC→IPは歴史的にRARPやBOOTP/DHCPの役割であるため除外し、最終的にIP→MACがARPであると判断する。
実務的には、ARP要求はブロードキャスト(例:FF:FF:FF:FF:FF:FF)で送られ、該当IPを持つホストがARP応答で自分のMACを返します。その応答は送信元のARPキャッシュに格納され、以後はキャッシュ参照で通信が行われます。
選択肢別の誤答解説
-
ア(IPアドレスからMACアドレスを得るためのプロトコル)
正しい。ARPはIPアドレスをキーにして対応するMACアドレスを求めるプロトコルで、ローカルリンク内でブロードキャスト質問→ユニキャスト応答の流れで動作します。選択肢はARPの基本機能を正確に表しています。 -
イ(IPアドレスからホスト名(ドメイン名)を得るためのプロトコル)
誤り。IP→ホスト名の逆引きはDNSのPTRレコードを使った「逆引きDNS」が行います。ARPとは別の仕組みです。 -
ウ(MACアドレスからIPアドレスを得るためのプロトコル)
誤り。ただし注意点として、MAC→IPを目的としたプロトコルは歴史的に存在します。代表例はRARP(Reverse ARP)で、固定IPを元に復元する用途やディスクレス端末が自身のIPを知るために使われました。さらに実運用ではBOOTPやDHCPがクライアントのMACアドレスを手がかりにIPアドレスを割り当てます(つまりMACアドレス情報を使ってIPを決める仕組みはある)。しかしこれらはARPの役割とは別物です。 -
エ(ホスト名(ドメイン名)からIPアドレスを得るためのプロトコル)
誤り。ホスト名→IPはDNSの順引き(A/AAAAレコード)で行います。ARPは名前解決ではなく、IPとMACの物理アドレス解決に特化しています。
よくある誤解
-
「ARPは名前解決(DNS)と同じ」
混同しやすいですが、ARPは「IP⇄MAC」のリンク層の解決であり、DNSは「ホスト名⇄IP」の名前解決です。目的と動作層が異なります。 -
「MACアドレスからIPアドレスを得るプロトコルは存在しない」
これは誤りです。歴史的にRARPが存在し、現在はBOOTP/DHCPがクライアントのMACアドレスを利用してIPを割り当てます。つまりMACを手がかりにIPを決める仕組みは実在しますが、それはARPの役割ではありません。 -
「ARPはIPv6でも使われる」
IPv6ではARPの代わりにNeighbor Discovery Protocol(NDP)が用いられます。機能的には類似していますがプロトコルは異なります。
補足コラム
- ARPキャッシュとコマンド例(代表的な操作)
- Windows:
arp -aでキャッシュ表示、arp -dで削除(管理者権限)。 - Linux:
ip neighまたはarp -n。
例(Linuxの出力例):
$ ip neigh 192.0.2.10 dev eth0 lladdr 00:11:22:33:44:55 REACHABLE - Windows:
- グラチュイタスARP(gratuitous ARP)
自分のIPをブロードキャストしてネットワークに通知することで、重複IP検出やキャッシュ更新に使われます。VMや高可用性構成でよく利用されます。 - プロキシARP
ルータがローカルネットワーク内のホストのために代理でARP応答を返し、異なるサブネットの通信を可能にする技術です。運用上の注意(ルーティングの複雑化やセキュリティ)があります。 - セキュリティ面
ARPは検証機構がないため、ARPスプーフィング/中間者攻撃に使われやすいです。静的ARPや検出ツール、スイッチのポートセキュリティ等で対策します。
FAQ
Q1: ARPの問い合わせはルータを越えて届きますか?
A1: いいえ。ARPはリンクローカル(同一ブロードキャストドメイン)で動作します。ルータはARP要求を転送しません。ルータに到達する場合はルータ自身のMACアドレスで通信します。
A1: いいえ。ARPはリンクローカル(同一ブロードキャストドメイン)で動作します。ルータはARP要求を転送しません。ルータに到達する場合はルータ自身のMACアドレスで通信します。
Q2: IPv6でARPの代わりに使われるものは?
A2: Neighbor Discovery Protocol(NDP)です。ICMPv6の一部で、IPv6アドレスとリンク層アドレスの解決や近傍の検出を行います。
A2: Neighbor Discovery Protocol(NDP)です。ICMPv6の一部で、IPv6アドレスとリンク層アドレスの解決や近傍の検出を行います。
Q3: ARPテーブルが古くなる理由と対処法は?
A3: ARPエントリは一定時間で期限切れ(タイムアウト)になります。問題がある場合はキャッシュ削除や再起動、ネットワーク機器の設定見直しで対処します。
A3: ARPエントリは一定時間で期限切れ(タイムアウト)になります。問題がある場合はキャッシュ削除や再起動、ネットワーク機器の設定見直しで対処します。
関連キーワード: ARP、RARP、DHCP、DNS、NDP、MACアドレス、IPアドレス、ARPキャッシュ、プロキシARP、グラチュイタスARP

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