ネットワークスペシャリスト 2014年 午前2 問14
問題文
ネットワークの制御に関する記述のうち、適切なものはどれか。
選択肢
ア:TCPでは、ウィンドウサイズが固定で輻輳回避ができないので、輻輳が起きると、データに対してタイムアウト処理が必要になる。
イ:誤り制御方式の一つであるフォワード誤り訂正方式は、受信側で誤りを検出し、送信側にデータの再送を要求する方式である。
ウ:ウィンドウによるフロー制御では、応答確認があったブロック数だけウィンドウをずらすことによって、複数のデータをまとめて送ることができる。(正解)
エ:データグラム方式では、両端を結ぶ仮想の通信路を確立し、以降は全てその経路を通すことによって、経路選択のオーバヘッドを小さくしている。
ネットワークの制御に関する記述【午前2 解説】
正解の理由
ウはスライディングウィンドウ方式(ウィンドウによるフロー制御)の説明として正しい記述です。受信側が送受信バッファや受理可能数を示すことで、送信側は確認応答(ACK)や受理可能数に応じてウィンドウの先頭を進め、次の複数パケットを連続して送信できます。これによりパイプライン化が可能となり、通信効率が向上します。
解法ステップ
- 各選択肢の用語を正確に把握する:TCPの輻輳制御/フロー制御、FEC/ARQ、スライディングウィンドウ、データグラム/仮想回線。
- 用語ごとに「何をするか」を短く定義する(例:FEC=受信側で訂正可能な冗長データを付加)。
- 選択肢の文章と定義を突き合わせ、矛盾がないものを正答とする。
- 特に似た概念(FEC vs ARQ、データグラム vs 仮想回線)は対比して覚える。
選択肢別の誤答解説
- ア: 誤り。TCPはウィンドウサイズが固定ではなく、受信ウィンドウや輻輳ウィンドウ(cwnd)を動的に変化させる。輻輳回避のためにスロースタートや輻輳回避アルゴリズムを用いるので「固定で輻輳回避ができない」という説明は誤り。
- イ: 誤り。フォワード誤り訂正(FEC)は送信側が冗長情報を付加し、受信側がその冗長情報で誤りを訂正する方式であり、受信側が再送を要求するARQとは逆の考え方である。
- ウ: 正しい。スライディングウィンドウ(ウィンドウによるフロー制御)は、受信確認(ACK)によってウィンドウを進め、複数のデータ(パケット)を連続して送ることで通信効率を上げる。
- エ: 誤り。データグラム方式(例:IP)は各パケットが独立に経路選択され、固定経路を確立しない。一方、仮想回線方式(例:ATMやX.25)は通信開始時に仮想回線を確立する。
よくある誤解
- TCPはウィンドウが「固定」とされる誤解
- TCPは動的にウィンドウサイズ(受信ウィンドウ、輻輳ウィンドウ)を調整するため、固定ではありません。
- フォワード誤り訂正(FEC)と再送要求(ARQ)を混同する誤解
- FECは冗長データを付加して受信側で誤りを訂正する方式で、再送を要求する仕組みではありません。
- データグラム方式を仮想回線方式と混同する誤解
- データグラムは各パケットが独立に経路選択される方式で、仮想回線のように経路を固定するものではありません。
補足コラム
- スライディングウィンドウの利点:往復遅延の大きい回線でも多数のパケットをパイプラインして送れるため、スループットが向上します。TCPでは受信ウィンドウ(rwnd)と輻輳ウィンドウ(cwnd)の両方が有効で、実際の送信上限はこれらの最小値によって決まります。
- FECの利用場面:衛星通信やライブストリーミングのように再送が困難または遅延が致命的な環境でFECが使われます。ARQは信頼性重視のTCPのような場面で多用されます。
- データグラムの利点・欠点:柔軟にルーティングできる反面、順序保証や到達保証は上位プロトコルに委ねられます。
FAQ
Q: スライディングウィンドウとTCPの輻輳制御は同じものですか?
A: いいえ。スライディングウィンドウはフロー制御(受信側の処理能力に基づく)で、輻輳制御はネットワーク全体の混雑を避けるための制御(cwndの調整など)です。TCPは両方を組み合わせて動作します。
A: いいえ。スライディングウィンドウはフロー制御(受信側の処理能力に基づく)で、輻輳制御はネットワーク全体の混雑を避けるための制御(cwndの調整など)です。TCPは両方を組み合わせて動作します。
Q: FECとARQは併用できますか?
A: はい。ハイブリッド方式(HARQなど)として、FECである程度訂正しきれない場合にARQで再送する実装もあります。
A: はい。ハイブリッド方式(HARQなど)として、FECである程度訂正しきれない場合にARQで再送する実装もあります。
Q: データグラム方式で順序が狂った場合はどうなる?
A: 順序保証は上位プロトコル(例:TCP)が行います。UDPなど順序保証をしないプロトコルではアプリ側で対処する必要があります。
A: 順序保証は上位プロトコル(例:TCP)が行います。UDPなど順序保証をしないプロトコルではアプリ側で対処する必要があります。
関連キーワード: スライディングウィンドウ、フォワード誤り訂正、ARQ、輻輳制御、データグラム、仮想回線、フロー制御、TCP、UDP

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