ネットワークスペシャリスト 2017年 午前2 問05
問題文
スパニングツリープロトコルに関する記述のうち、適切なものはどれか。
選択肢
ア:OSI基本参照モデルにおけるネットワーク層のプロトコルである。
イ:ブリッジ間に複数経路がある場合、同時にフレーム転送することを可能にするプロトコルである。
ウ:ブロードキャストフレームを、ブリッジ間で転送しない利点がある。
エ:ルートブリッジの決定には、ブリッジの優先順位とMACアドレスが使用される。(正解)
スパニングツリープロトコルに関する記述【午前2 解説】
正解の理由
エが正解です。STPはネットワーク内のループを防ぐため、1台のルートブリッジを選出し、そこから見たツリー構造を作成します。ルートブリッジの選定にはブリッジプライオリティ(数値が小さいほど優先)とブリッジのMACアドレス(優先度が同じ場合に比較)を用います。よって「優先順位とMACアドレスが使用される」という記述は正しいです。
解法ステップ
- 各選択肢がSTPの目的と層(OSIモデル)に照らして合致するか確認する。
- 「プロトコルの層」「経路の扱い(冗長化=同時転送 vs 遮断)」「ルート選出の基準」の3点で評価する。
- 該当する基準を満たすのは「優先順位とMACアドレスでルートを決定する」選択肢のみであると判断する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 「OSI基本参照モデルにおけるネットワーク層のプロトコルである。」
→ 誤り。STPはデータリンク層(第2層)のプロトコルであり、ルーティングなど第3層の機能とは別である。 - イ: 「ブリッジ間に複数経路がある場合、同時にフレーム転送することを可能にするプロトコルである。」
→ 誤り。STPはループを防ぐために一部ポートをブロッキングし、冗長経路があっても同時転送は行わない。むしろ一部経路を遮断する設計である。 - ウ: 「ブロードキャストフレームを、ブリッジ間で転送しない利点がある。」
→ 誤り。STPの目的はループ防止であり、ブロードキャストを完全に遮断するものではない。ツリー経路上ではブロードキャストは転送される。 - エ: ルートブリッジの決定には、ブリッジの優先順位とMACアドレスが使用される。
→ 正解。ブリッジIDはプライオリティ(デフォルト値あり)とMACアドレスで構成され、低い値が優先される。
よくある誤解
- 「STPはネットワーク層(第3層)のプロトコルである」
→ 誤り。STPはイーサネットスイッチ/ブリッジの動作に関するデータリンク層(第2層)のプロトコルです。 - 「冗長経路があると同時に全経路でフレームを転送できる」
→ 誤り。STPはループ防止のために冗長経路の一部ポートをブロッキングして、同時転送を許容しません(目的は可用性とループ防止のバランス)。 - 「ブロードキャストフレームを全く転送しない利点がある」
→ 誤解。STPはブロードキャスト抑制のためのものではなく、ブロードキャストはツリー構造上で転送される(ただしループによるブロードキャストストームは防げる)。
補足コラム
- STPの代表仕様はIEEE 802.1Dで、ルート橋の選定やポート状態(ルート、指定、ブロッキングなど)を定義します。
- 後継技術として、より高速に収束するRSTP(802.1w)や、スケーラビリティと冗長性向上のためのMSTP/Multiple Spanning TreeやSPBなどがある点も押さえておくと実務で役立ちます。
- ルートブリッジの意図的な設定(プライオリティを下げる)で、ネットワーク設計者はどのスイッチを中心にツリーを形成するか制御できます。
FAQ
Q1: ルートブリッジの優先順位が同じ場合はどうなる?
A1: 優先順位が同じならばブリッジIDの残り部分であるMACアドレスで比較し、MACアドレスが小さい(数値上)機器がルートブリッジになります。
A1: 優先順位が同じならばブリッジIDの残り部分であるMACアドレスで比較し、MACアドレスが小さい(数値上)機器がルートブリッジになります。
Q2: STPは全ての冗長リンクを無効化するのですか?
A2: いいえ。STPはループを作るために必要な余分なリンクのみをブロッキングします。必要に応じてリンクはフォワーディング状態になり、障害時には自動で代替経路が有効化されます。
A2: いいえ。STPはループを作るために必要な余分なリンクのみをブロッキングします。必要に応じてリンクはフォワーディング状態になり、障害時には自動で代替経路が有効化されます。
Q3: RSTPとSTPの違いは?
A3: RSTP(802.1w)はSTPよりも収束(障害検知から正常化まで)の速度が速く、ポートの役割や状態遷移が簡素化されています。
A3: RSTP(802.1w)はSTPよりも収束(障害検知から正常化まで)の速度が速く、ポートの役割や状態遷移が簡素化されています。
関連キーワード: スパニングツリー, STP, ブリッジID, 802.1D, RSTP, ブロードキャストストーム, MACアドレス, スイッチ設計

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