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ネットワークスペシャリスト 2023年 午後1 問02


IPマルチキャストによる映像配信の導入に関する次の記述を読んで、設問に答えよ。

 K市は、人口25万人の中核市である。市内には一級河川があり、近年の異常気象による河川氾濫などの水害が問題となっている。このたび市では、災害対策強化の一つとして、撮影した映像をH.264によって符号化してIPv4ネットワークへ送信可能なカメラ(以下、IPカメラという)を河川・沿岸の主要5地点周辺に合計20台新設し、K市庁舎の執務エリアへ高解像度リアルタイム配信を行うことになった。  本件の調査及び設計担当として、情報システム部のN主任が任命された。   〔ネットワーク構成〕  N主任は、①IPカメラの導入によって増加する通信量に着目し、通信帯域を効率良く使用するため、IPマルチキャストを用いて配信を行う構成を検討した。IPマルチキャストを用いることによって、映像は次のように配信される。  ・映像の送信元(以下、ソースという)であるIPカメラは、映像を符号化したデータ(以下、映像データという)をマルチキャストパケットとして送信する。  ・ネットワーク機器は、マルチキャストパケットを複製して配信する。  ・配信先であるレシーバは、マルチキャストパケットの映像データを映像へ復号し、大型モニターへ表示する。    N主任が考えたK市のネットワーク構成を図1に示す。
ネットワークスペシャリスト(令和5年度 午後1 問02 図01) ↩設問3(3) ↩設問4(1)
 図1の概要を次に示す。  (1) 既設機器   ・FW及び各スイッチ間は、1000BASE-T又は1000BASE-SXで接続している。   ・FWと各L3SW間は、OSPFによる動的ルーティングを行っている。  (2) 新設機器   ・IPカメラは、河川・沿岸に新設するL2SWに接続する。   ・新設するL2SWは、光ファイバを使用し、1000BASE-LXで接続する。   ・IPカメラは、1台当たり8Mビット/秒で映像データを含むパケットを送信する。   ・カメラ管理サーバは、IPカメラの死活監視、遠隔制御を行い、Webサーバ機能をもつ。PCとはHTTPSで、IPカメラとは独自プロトコルでそれぞれ通信を行う。   ・②レシーバ及び大型モニターは、各6台新設する。レシーバは、最大四つの映像データを同時に受信し、大型モニターへ4分割で表示する。   ・IPカメラ、レシーバ及び大型モニターの設置に当たっては、将来的な追加や更新を考慮する。  (3) IPマルチキャスト   ・マルチキャストルーティング用のプロトコルとして、PIM-SM (Protocol Independent Multicast - Sparse Mode) 及びPIM-SMの派生型であるSSM (Source-Specific Multicast) を用いる。   ・IPマルチキャストの配信要求プロトコルとして、IGMPv3 (Internet Group Management Protocol, Version 3) を用いる。   ・映像データを識別する情報の一つとして、グループアドレスを用いる。グループアドレスは、IPカメラが送信するマルチキャストパケットの宛先IPアドレスなどに使用され、使用可能なアドレス範囲は決められている。   ・既設機器は、PIM-SM、SSM及びIGMPv3に対応している。  (4) IPカメラのアドレス設計   ・③全てのIPカメラに個別のIPアドレス及び同一のグループアドレスを使用する。   〔IPマルチキャストに関する調査及び設計〕  K市のネットワークをIPマルチキャストに対応させるため、N主任が調査した内容を次に示す。  ・IGMPv2 (Internet Group Management Protocol, Version 2) を使用する場合、レシーバはグループアドレスを指定してIPマルチキャストの配信要求を行う。  ・IGMPv3を使用する場合、レシーバは④ソースのIPアドレス及びグループアドレスを指定してIPマルチキャストの配信要求を行う。  ・L2SWでは、マルチキャストフレームを受信した際、同一セグメント上の受信インタフェース以外の全てのインタフェースへアするので、通信帯域を無駄に使用し、接続先のインタフェースへ不必要な負荷を掛けてしまう。この対策機能として、イスヌーピングがある。L2SWのこの機能は、⑤レシーバから送信されるJoinやLeaveのパケットを監視し、マルチキャストフレームの配信先の決定に必要な情報を収集する。    IPカメラ11からレシーバ11への配信イメージを図2に示す。なお、図2中の(S,G)のS及びGは、それぞれソースのIPアドレス及びグループアドレスを示す。
ネットワークスペシャリスト(令和5年度 午後1 問02 図02)
 図2中の(a)~(e)の説明を次に示す。  (a) IPカメラ11は、映像データを自身のグループアドレス宛てに常時送信する。  (b) PIM-SMが有効化されたインタフェースでは、定期的にPIM helloが送信される。FW01及びL3SW11は、PIM helloを受信することでPIMネイバーの存在を発見する。  (c) レシーバ11は、IGMPv3メンバーシップリポートの(S,G) Joinを作成し、IGMP用に割り当てられたIP ウ アドレス宛てに送信する。  (d) L3SW11は、(S,G) Joinを基に(S,G)エントリを作成し、ユニキャストルーティングテーブルに基づき、ソースの方向であるFW01へPIMの(S,G) Joinを送信する。これによってディストリビューション エ が作成される。  (e) FW01は、IPカメラ11から受信したマルチキャストパケットを複製し、(S,G)エントリに登録された出力インタフェースへ配信を行う。L3SW11においても同様に、パケットの複製が行われ、レシーバ11へ配信される。    N主任は、調査結果を踏まえ、各機器に次の設定を行うことにした。  ・FW01、L3SW11及びL3SW21では、マルチキャストルーティングを有効化し、全てのインタフェースにおいて オ を有効化する。  ・L3SW11及びL3SW21では、マルチキャストルーティング用のプロトコルとして カ を有効化し、レシーバが接続されたL2SWと接続するインタフェースにおいて、IGMPv3を有効化する。  ・K市庁舎の全てのL2SWでは、イスヌーピングが有効になっていることを確認する。  ・FW01では、IPカメラに設定したグループアドレスをもつマルチキャストパケットの通過を有効化し、表1に示すユニキャスト通信の許可ルールを有効化する。
〔追加指示への対応〕  調査及び設計の結果について情報システム部長へ説明を行ったところ、PCでも映像を表示するよう指示があった。N主任は次の対応を行うことにした。  ・⑥既設機器には、IPマルチキャストの設定を追加する。  ・PCには、IGMPv3に対応し、映像データから映像へキする機能をもつソフトウェア製品を新たに導入する。    PCに導入するソフトウェア製品は、映像を選択する方式として、デスクトップアプリケーション方式とWebブラウザ方式に対応している。デスクトップアプリケーション方式では、PC上でソフトウェア製品を起動し、ソフトウェア製品にIPカメラを登録すること及び登録済みのIPカメラを選択して映像を表示することができる。Webブラウザ方式では、PCのWebブラウザからカメラ管理サーバのWebページを開き、カメラ管理サーバに登録されたIPカメラを選択することによってソフトウェア製品が起動され、映像を表示することができる。  N主任は、⑦デスクトップアプリケーション方式とWebブラウザ方式とを比較して、IPカメラの追加や更新における利点からWebブラウザ方式を採用することにした。    N主任の設計は承認され、IPマルチキャストによる映像配信の導入が決定した。

設問1:

問題文を見る
本文中のア〜キに入れる適切な字句を答えよ。

模範解答

ア:フラッディング イ:IGMP ウ:マルチキャスト エ:ツリー オ:PIM-SM カ:SSM キ:復号

解説

解答の論理構成

  1. ア
    • 【問題文】には「L2SWでは、マルチキャストフレームを受信した際、同一セグメント上の受信インタフェース以外の全てのインタフェースへアするので…」とあります。
    • スイッチが宛先を知らないブロードキャストやマルチキャストを全ポートへばらまく動作は “フラッディング” と呼ばれます。
    • よって ア = 「フラッディング」。
  2. イ
    • 同じ文章で「この対策機能として、イスヌーピングがある」と記載されています。
    • マルチキャストの宛先ポートを抑制する代表的機能は “IGMPスヌーピング” です。
    • よって イ = 「IGMP」。
  3. ウ
    • 図2(c) の説明に「レシーバ11は、IGMPv3メンバーシップリポートの(S,G) Joinを作成し、IGMP用に割り当てられたIP ウ アドレス宛てに送信する」とあります。
    • IGMPメッセージは224.0.0.22などのIPv4マルチキャストアドレスに送信されるため、種別は “マルチキャストアドレス”。
    • よって ウ = 「マルチキャスト」。
  4. エ
    • 図2(d) の説明に「…ソースの方向であるFW01へPIMの(S,G) Joinを送信する。これによってディストリビューション エ が作成される」とあります。
    • PIMのJoinにより生成されるのは “Distribution tree” です。
    • よって エ = 「ツリー」。
  5. オ
    • 設定方針で「FW01、L3SW11及びL3SW21では、マルチキャストルーティングを有効化し、全てのインタフェースにおいて オ を有効化する」とあります。
    • IPマルチキャストルーティングの基本プロトコルは “PIM-SM”。
    • よって オ = 「PIM-SM」。
  6. カ
    • 同じ設定方針で「L3SW11及びL3SW21では、マルチキャストルーティング用のプロトコルとして カ を有効化し…」とあります。
    • 既に「PIM-SM」はオで使用しているため、派生型でレシーバがソースIPまで指定する “SSM” が該当します。
    • よって カ = 「SSM」。
  7. キ
    • 追加指示では「PCには、IGMPv3に対応し、映像データから映像へキする機能をもつソフトウェア製品…」と記載。
    • H.264で “符号化” された映像データを再生するには “復号” が必要です。
    • よって キ = 「複号」。

誤りやすいポイント

  • IGMPスヌーピングを “PIMスヌーピング” と誤記する。PIMはL3、IGMPスヌーピングはL2です。
  • Distribution treeの語を「パス」や「ルート」と書いて減点される。問題文は “ディストリビューション ◯◯” の形なので「ツリー」が正しい。
  • PC側ソフトウェアの機能を “再生” と表現してしまう。本文は「映像データを映像へ○○する」であり、符号化/復号化の対義語を意識。
  • カ を「PIM-SM」と重複させる。IGMPv3の “ソース指定” というキーワードからSSMを連想できるかが分岐点。

FAQ

Q: IGMPv3を採用する主目的は何ですか?
A: 【問題文】には「レシーバは、④ソースのIPアドレス及びグループアドレスを指定してIPマルチキャストの配信要求を行う」とあります。これにより不要なマルチキャストを受信せず、帯域効率とセキュリティが向上します。
Q: PIM-SMとSSMの違いを一言で?
A: PIM-SMはRendezvous Pointを経由する共有ツリー方式ですが、SSMはレシーバが( S,G ) を直接指定して最初からソースツリーを構築します。Rendezvous Pointが不要になる点が大きな違いです。
Q: IGMPスヌーピングがないと何が問題になりますか?
A: L2SWがマルチキャストフレームを全ポートへ「フラッディング」し、不要な端末にもトラフィックが流れて帯域を浪費し、端末のCPU負荷も増えます。IGMPスヌーピングで受信希望ポートだけに転送を限定できます。

関連キーワード: マルチキャスト, IGMP, PIM-SM, SSM, 復号

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設問2:〔ネットワーク構成〕について答えよ。

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(1)本文中の下線①について、IPマルチキャストを用いずユニキャストで配信を行う場合の欠点を“ソース”と“レシーバ”という字句を用いて35字以内で答えよ。

模範解答

配信先のレシーバの数に応じてソースの通信量が増加する。

解説

解答の論理構成

  1. 本文には「通信帯域を効率良く使用するため、IPマルチキャストを用いて配信を行う」とあります。
    → ここで効率化の手段がマルチキャストであると示されています。
  2. マルチキャストを利用すると本文の「ソースであるIPカメラは、映像データをマルチキャストパケットとして送信する」「ネットワーク機器は、マルチキャストパケットを複製して配信する」という仕組みにより、ソースは1本の送信で済みます。
  3. 逆にユニキャストではネットワーク機器が複製してくれないため、レシーバごとに個別のストリームを送る必要が生じます。
  4. その結果、「ソース」側のトラフィックがレシーバ数に比例して増加し、帯域消費が大きくなる点が欠点となります。
  5. したがって解答は「配信先のレシーバの数に応じてソースの通信量が増加する。」となります。

誤りやすいポイント

  • 「ネットワーク全体の通信量増加」とだけ書き、ソースとレシーバの関係を明確にしない。
  • ブロードキャストと混同し、不要なノードまで届くことを欠点に挙げてしまう。
  • 「帯域を効率良く使用できない」だけで具体性を欠く説明にしてしまう。
  • ソースを「IPカメラ」や「送信元」と書き換え、設問の指示語「ソース」を使わない。

FAQ

Q: マルチキャストを使用するとソースのCPU負荷も下がりますか?
A: はい。ソースが複数のユニキャストセッションを処理しないため、CPUやI/O負荷が抑えられます。
Q: レシーバが1台しかいない場合でもマルチキャストを設定すべきですか?
A: 受信端末が将来的に増える見込みがあるなら有効ですが、現状1台のみならユニキャストでも問題はありません。
Q: ブロードキャストではだめなのですか?
A: ブロードキャストは同一セグメント内の全端末に届き、不要な端末にも負荷を掛けるため、多拠点配信には適しません。

関連キーワード: IPマルチキャスト, ユニキャスト, PIM, IGMP, 帯域効率

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設問2:〔ネットワーク構成〕について答えよ。

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(2)本文中の下線②について、L2SW91からFW01へ流入するマルチキャストパケットの伝送レートの理論的な最大値を、Mビット/秒で答えよ。

模範解答

160

解説

解答の論理構成

  1. 交通するカメラ数の把握
    【問題文】には「合計20台新設」とあり、河川・沿岸の全IPカメラは必ずL2SW91側へ集約されてFW01に向かいます。
  2. 1台当たりの送出レート
    新設機器の仕様として「IPカメラは、1台当たり8Mビット/秒で映像データを含むパケットを送信する。」と明記されています。
  3. レシーバ側が同時視聴できる本数
    下線②の説明は「レシーバは、最大四つの映像データを同時に受信」し、「レシーバ及び大型モニターは、各6台新設する」としています。
    • 同時受信可能な映像ストリーム数=6台 × 4本=24本
    • これはカメラ総数「20台」を上回るため、理論上すべてのカメラ映像が同時に視聴されうる――すなわち全20本がL2SW91→FW01区間を流れる最悪ケースが成立します。
  4. 最大伝送レートの算定
    最大伝送レート よって、L2SW91からFW01へ流入するマルチキャストパケットの理論的最大値は 160 Mビット/秒です。

誤りやすいポイント

  • 「レシーバは4本まで」と読んで6台すべてが4本視聴するとは限らないと考え、20本すべてが流れる状況を見落とす。
  • 図1に描かれているカメラが10台のみなので、10 × 8=80 Mビット/秒と早合点する。本文の「合計20台新設」を忘れないこと。
  • マルチキャストは視聴要求(Join)がなければ上流へ転送されない点を踏まえず、常時20本流れると決め付ける。今回は「最大値」を問われているため、全カメラにJoinが届いた場合を想定する。

FAQ

Q: 受信していない映像も8 Mビット/秒で送信され続けるのですか?
A: 送信自体は各IPカメラが「常時送信」しますが、PIM-SM/SSMではJoinがない経路で破棄されます。今回は「理論的な最大値」を求めるため、全経路にJoinが到達した最悪ケースを前提にします。
Q: 160 Mビット/秒は実効帯域としても安全でしょうか?
A: 理論値なのでプロトコルヘッダや制御トラフィックは含まず、実際にはこれを少し上回る帯域を確保すると安心です。
Q: 全カメラが同一グループアドレスですが輻輳しませんか?
A: IGMPv3の (S,G) 指定により、ソースIPで区別してJoinが行えます。同一グループアドレスであっても個別ストリームとして扱えるため問題ありません。

関連キーワード: IPマルチキャスト, IGMPv3, PIM-SM, 伝送レート計算

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設問2:〔ネットワーク構成〕について答えよ。

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(3)本文中の下線③について、IGMPv3ではなくIGMPv2を使用するとした場合、考えられるIPカメラのアドレス設計を45字以内で答えよ。

模範解答

全てのIPカメラに個別のIPアドレス及び個別のグループアドレスを使用する。

解説

解答の論理構成

  1. 【問題文】では、IGMPv3のときに「④ソースのIPアドレス及びグループアドレスを指定してIPマルチキャストの配信要求を行う」とあります。
    → 受信側は“ソースまで指定”できるため、同じグループアドレスでも特定カメラだけを選択できます。
  2. 一方、調査結果の冒頭には「レシーバはグループアドレスを指定してIPマルチキャストの配信要求を行う」とIGMPv2の特徴が示されています。
    → IGMPv2では“ソースを区別できない”ので、同じグループアドレスを共有すると全部のカメラ映像が混在して届いてしまいます。
  3. 混在を避けてカメラを個別に選択可能にするには、レシーバがJoinするグループアドレスをカメラごとに分離するしかありません。
  4. したがって、IGMPv2を採用する場合のアドレス設計は「③全てのIPカメラに個別のIPアドレス及び同一のグループアドレスを使用する」を
    「グループアドレスも個別に割り当てる」形へ変更する必要があります。
  5. 以上より解答は
    全てのIPカメラに個別のIPアドレス及び個別のグループアドレスを使用する

誤りやすいポイント

  • IGMPv2でもスイッチやルータ側でPIM-SMを使えばソースが識別できると誤解する。実際はレシーバのJoinパケットがソースを示さないので不可。
  • 「グループアドレス=マルチキャストMACアドレス」と短絡し、IP層で分けなくてもL2SWのスヌーピングで区別できると誤認する。
  • “カメラごとにユニキャスト視聴”と考えてしまい、マルチキャスト採用の理由を失念する。

FAQ

Q: IGMPv2でもACLでフィルタリングすれば同一グループで運用できますか?
A: 各レシーバがJoinする時点でソースを識別できないため、ACLだけで安全に分離するのは困難です。カメラごとにグループアドレスを分ける方が確実です。
Q: PIM-SMとSSMの違いはIGMPバージョンだけですか?
A: いいえ。SSMは“受信者主導で(S,G)ツリーを構築する”方式で、IGMPv3の “Includeモード”が必須です。PIM-SMはRPを介した(*,G)から始まるなど動作が異なります。
Q: グループアドレスを多用するとアドレス枯渇が心配ですが?
A: IPv4マルチキャストの239.0.0.0/8は企業内利用に割り当てられており、数千万個以上のアドレスがあるため今回の20台規模では十分余裕があります。

関連キーワード: IGMPv2, IGMPv3, マルチキャスト, グループアドレス, PIM-SM

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設問3:〔IPマルチキャストに関する調査及び設計〕について答えよ。

問題文を見る
(1)本文中の下線④について、IGMPv2と比較して、IGMPv3がソースのIPアドレスとグループアドレスの二つを用いることによる利点を、“グループアドレス”という字句を用いて25字以内で答えよ。

模範解答

グループアドレスの設計が容易になる。

解説

解答の論理構成

  1. 問題文は、IGMPv2とIGMPv3の配信要求の違いを次のように示しています。
    ・「IGMPv2…レシーバはグループアドレスを指定してIPマルチキャストの配信要求を行う。」
    ・「レシーバは④ソースのIPアドレス及びグループアドレスを指定してIPマルチキャストの配信要求を行う。」
  2. IGMPv2では同じグループアドレスに複数ソースが送信すると混在します。ソースを識別できないため、
    ① ソースごとに異なるグループアドレスを割り当てる設計が必要
    ② グループアドレスが大量に必要
    という課題が生じます。
  3. IGMPv3では「ソースのIPアドレス」を併用することで、同一グループアドレス内でもソースを明確に区別できます。
    → ソース同士の干渉を避けつつ同じアドレスを共有可能。
  4. したがって、グループアドレスの個数を抑えながら重複利用でき、「設計が容易になる」という利点が導かれます。
  5. 以上より解答は「グループアドレスの設計が容易になる。」となります。

誤りやすいポイント

  • IGMPv3が「フィルタリング精度向上」だけの利点だと短絡し、設計面の効果を見落とす。
  • 「ソースを限定できる=グループアドレスが不要になる」と誤解し、アドレス自体の割当削減を過大評価。
  • IGMPv2でもソース指定ができると勘違いし、違いをあいまいに記述してしまう。

FAQ

Q: IGMPv3を使うとグループアドレスは1つで十分ですか?
A: 必要最小限にはできますが、運用や管理上の区分を考慮して複数割り当てる場合もあります。
Q: IGMPv3のソース指定は必ず必須ですか?
A: レシーバが「INCLUDEモード」を選択した場合にソースのIPアドレスを指定します。全ての配信で必須とは限りません。
Q: PIM-SM/SSMの導入有無でグループアドレス設計は変わりますか?
A: 変わります。特にSSMは「(S,G)」前提のため、IGMPv3と組合せることでグループアドレスを細かく分けずに済む設計が可能です。

関連キーワード: IGMPv3, ソース指定, グループアドレス, マルチキャスト設計

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設問3:〔IPマルチキャストに関する調査及び設計〕について答えよ。

問題文を見る
(2)本文中の下線⑤について、配信先の決定に必要な情報を二つ挙げ、本文中の字句で答えよ。

模範解答

①:グループアドレス ②:インタフェース

解説

解答の論理構成

  1. 本文はL2スイッチの “イスヌーピング” について、
    「⑤レシーバから送信されるJoinやLeaveのパケットを監視し、マルチキャストフレームの配信先の決定に必要な情報を収集する」と記述しています。
  2. Join/Leaveを解析することでL2スイッチが把握するのは、
    ・どの “グループアドレス” に対する通信か
    ・そのグループを受信したい端末が接続されている “インタフェース”
    という二要素です。
  3. マルチキャストフレームを複製・転送する際は「特定のグループアドレスを、該当インタフェースだけに送る」動作が必要なので、上記2項目が“配信先決定に必要な情報”となります。
  4. したがって解答は「グループアドレス」「インタフェース」となります。

誤りやすいポイント

  • 「ソースのIPアドレス」を挙げてしまう
    IGMPスヌーピングが参照するのはLayer2〜3のグループ宛先と受信ポート情報であり、ソースIPは転送先決定に直接用いません。
  • “ポート番号” と回答する
    マルチキャストの転送単位はIPグループアドレス+スイッチの物理/論理インタフェースです。TCP/UDPポート番号は関係ありません。
  • “MACアドレス” を入れる
    グループMACはグループアドレスから導出されますが、設問は「配信先の決定に必要な情報」を二つと限定しており、MACアドレスまでは求められていません。

FAQ

Q: IGMPスヌーピングはルータがなくても機能しますか?
A: 可能ですが、通常はルータ(またはQuerierとなるL3機器)がIGMPクエリを送出してメンバーシップを維持します。
Q: PIM‐SMやSSMとIGMPスヌーピングの関係は何ですか?
A: PIM‐SM/SSMはルータ間でのマルチキャストルーティングを行うプロトコル、IGMPスヌーピングはスイッチ内でのフレーム転送最適化機能です。役割が異なるため併用が一般的です。
Q: Join/Leaveを頻繁に送るとネットワーク負荷は増えますか?
A: IGMPメッセージは小さく定期送信間隔も長いので、帯域消費はごくわずかです。むしろスヌーピングによる枝刈り効果の方が大きなメリットになります。

関連キーワード: IGMPスヌーピング, マルチキャスト, グループアドレス, インタフェース

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設問3:〔IPマルチキャストに関する調査及び設計〕について答えよ。

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(3)表1中のI、[ II ]に入れる適切な字句を答えよ。ここで、Iは図1中の機器名で、[ II ]はウェルノウンポート番号で答えよ。

模範解答

I:カメラ管理サーバ II:443

解説

解答の論理構成

  1. 送信元機器の特定
    表1の項番1は「通信経路 サーバ室→河川・沿岸」「送信元 I」「宛先 IPカメラ」と書かれています。サーバ室でIPカメラに通信を行う装置は、問題文の
    「カメラ管理サーバは、IPカメラの死活監視、遠隔制御を行い、Webサーバ機能をもつ。」
    という記述から“カメラ管理サーバ”のみです。したがってI=「カメラ管理サーバ」と分かります。
  2. 宛先機器の再確認
    表1の項番2は「宛先 I」となっており、ここにも同じ名称が入るため整合が取れます。
  3. ポート番号の決定
    項番2では「プロトコル/宛先ポート番号 TCP / [ II ]」となっています。PCからカメラ管理サーバへは
    「PCとはHTTPSで…通信を行う。」
    と明記されているので、HTTPSのウェルノウンポート「443」をそのまま使用すると判断できます。
  4. まとめ
    以上より
    • I:カメラ管理サーバ
    • [ II ]:443
    が正答となります。

誤りやすいポイント

  • サーバ室内の装置を「L2SW01」と誤解して I に書いてしまう。スイッチは監視や遠隔制御を行わない点に注意です。
  • HTTPSとHTTP (80番) を取り違え、[ II ] に「80」を入れてしまう。問題文は明確に「HTTPS」と指定しています。
  • 「IPカメラとは独自プロトコル…」の記述に惑わされ、PC側通信のプロトコルを混同してしまう。PCが使うのは独自プロトコルではなくHTTPSです。

FAQ

Q: IPカメラとの通信は独自プロトコルですが、ポート開放の設定は不要ですか?
A: 表1はユニキャスト通信の許可ルールを列挙しており、独自プロトコル用ポートは問題文で「省略」とされています。ファイアウォール設定は出題範囲外です。
Q: 「カメラ管理サーバ」を複数台構成にする場合、Iはどう書けば良いですか?
A: 設問は現状構成を前提にしているため、単数形で「カメラ管理サーバ」と記入します。冗長構成は設問外です。
Q: HTTPS以外に8443などのポートは使えませんか?
A: 可能性はありますが、問題文では「HTTPS」とのみ指定しており、一般的なウェルノウンポート「443」を求めています。

関連キーワード: IGMPv3, PIM-SM, HTTPS, マルチキャストスヌーピング, ファイアウォール

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設問4:〔追加指示への対応〕について答えよ。

問題文を見る
(1)本文中の下線⑥について、(a)設定を追加する機器名、(b)設定を追加するインタフェースの接続先機器名、(c)プロトコル名をそれぞれ答えよ。ここで、機器名は図1中の字句で、プロトコル名は本文中の字句で答え、複数該当する場合は全て答えよ。

模範解答

a:L3SW11, L3SW21 b:L2SW11, L2SW21 c:IGMPv3

解説

解答の導き方

設問の下線⑥は「⑥既設機器には、IPマルチキャストの設定を追加する」です。これをどの機器・どのインタフェース・どのプロトコルに当てはめるかを、本文の記述と図1の接続を順にたどって決めます。
  1. どの機器に設定を追加するか((a))
    • 本文に「L3SW11及びL3SW21では、マルチキャストルーティング用のプロトコルとして カ を有効化し、レシーバが接続されたL2SWと接続するインタフェースにおいて、IGMPv3を有効化する」と明記されています。したがって、既設機器のうち設定を追加する対象機器は明示どおりL3SW11とL3SW21です。
  2. どのインタフェース(接続先機器名)に設定を追加するか((b))
    • 図1の構成を見ると、「L2SW11 ─┬─ PC(複数) └─ レシーバ11 ─ 大型モニター」および「L2SW21 ─┬─ PC(複数) └─ レシーバ21 ─ 大型モニター」となっており、レシーバが接続されているL2SWはL2SW11とL2SW21です。
    • 先の本文の指示は「レシーバが接続されたL2SWと接続するインタフェースにおいて、IGMPv3を有効化する」となっているため、L3SW11/L3SW21側の、L2SW11/L2SW21と接続するインタフェースが設定対象になります。設問は接続先機器名を問うていますので、接続先はL2SW11とL2SW21と答えます。
  3. 追加するプロトコル名((c))
    • 本文に「IGMPv3を有効化する」と明記されています。さらに「IGMPv3を使用する場合、レシーバはソースのIPアドレス及びグループアドレスを指定してIPマルチキャストの配信要求を行う」とあることから、SSM等の運用を含めるためにIGMPv3を有効にすることが明確に要求されています。よってプロトコルはIGMPv3です。
以上より設問⑥の該当は次のとおりです。 (a) L3SW11、L3SW21
(b) L2SW11、L2SW21
(c) IGMPv3

誤りやすいポイント

  • FW01を (a) に含めてしまう誤り
    • 本文にはFW01、L3SW11及びL3SW21に対する別の設定記述(マルチキャストルーティング有効化など)もありますが、設問⑥が指す「既設施設への設定追加」はPCでの映像表示に関連するIGMPv3の有効化を指しており、本文中でIGMPv3を有効化すると明示されているのはL3SW11とL3SW21です。問題文の該当箇所を正確に確認してください。
  • L2SWの取り違え(L2SW12/L2SW22と答える)
    • 各L3SW配下に複数のL2SWが存在しますが、レシーバが接続されているのは図に示されているとおりL2SW11とL2SW21です。必ず図の接続先を確認して、レシーバが接続されたL2SWを選んでください。
  • IGMPv2と混同する誤り
    • 問題文はIGMPv3を採用しており、IGMPv3はソース指定(S,G)による参加が可能です。本文にもその機能説明があるため、設定対象プロトコルはIGMPv3です。
  • 「インタフェース名」を答えてしまう誤り
    • 設問は「インタフェースの接続先機器名」を求めています。具体的なポート名ではなく接続先の機器名(図1中の字句)を答えてください。

FAQ

Q: 設問⑥でFW01を含めてはいけないのですか?
A: FW01は別箇所でマルチキャストルーティングや通過許可の設定が必要とされていますが、設問⑥が指す「既設施設への設定追加」はPCでの受信(IGMPv3)に関する追加であり、本文でIGMPv3を有効化すると明示されているのはL3SW11とL3SW21です。質問文中の指示箇所を基に回答してください。
Q: なぜIGMPv3を使う必要があるのですか?
A: 本文にあるように「IGMPv3を使用する場合、レシーバはソースのIPアドレス及びグループアドレスを指定してIPマルチキャストの配信要求を行う」ため、ソース指定(SSM)による配信制御や (S,G) ベースの参加が必要な設計ではIGMPv3が要求されます。
Q: L2SW側での設定は不要ですか?
A: L2SWではIGMPスヌーピングを有効にして不要なフラッディングを抑える必要があります(本文にも「K市庁舎の全てのL2SWでは、イスヌーピングが有効になっていることを確認する」とあります)。ただし設問⑥が求める「設定を追加する機器名」はL3SW11/L3SW21、接続先機器名はL2SW11/L2SW21、プロトコルはIGMPv3です。

関連キーワード: IGMPv3、PIM-SM、SSM、IGMPスヌーピング

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設問4:〔追加指示への対応〕について答えよ。

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(2)本文中の下線⑦について、Webブラウザ方式の利点を25字以内で答えよ。

模範解答

Webページを改修するだけで対応完了できる。

解説

解答の論理構成

  1. 【問題文】には、二つの映像選択方式が提示されています。
    ・「デスクトップアプリケーション方式では、PC上でソフトウェア製品を起動し、ソフトウェア製品にIPカメラを登録」
    ・「Webブラウザ方式では、PCのWebブラウザからカメラ管理サーバのWebページを開き、カメラ管理サーバに登録されたIPカメラを選択」
    デスクトップ方式は“各PCごと”にIPカメラ情報を登録する手間が発生します。
  2. ⑦の下線部は「IPカメラの追加や更新における利点からWebブラウザ方式を採用」と記述されています。
    追加・更新時の作業範囲が決定的な評価ポイントだと分かります。
  3. Webブラウザ方式ではIPカメラ一覧が「カメラ管理サーバ」に集中管理されています。したがってカメラを追加・更新しても、サーバ側の「Webページ」を修正するだけで全PCが最新情報を共有できます。
  4. 結論として、解答は「Webページを改修するだけで対応完了できる。」となります。これは追加・更新時の作業がサーバ側のみで済むという利点を端的に表しています。

誤りやすいポイント

  • 「ブラウザなのでインストール不要」とだけ書くと、追加・更新に着目した利点を示せず減点されます。
  • 「自動アップデートできる」などPC側の機能面を強調し過ぎると、本設問の評価軸(IPカメラ側の変更対応)からズレます。
  • ギガビット帯域やマルチキャストの話題と混同し、ネットワーク負荷を利点として挙げると論点が外れます。

FAQ

Q: デスクトップアプリケーション方式でも自動同期機能を実装すれば同じでは?
A: 可能ですが、本問題は“現状の二方式”を比較しています。追加の同期仕組みを前提としないため、Webブラウザ方式の方が即時に利点を得られます。
Q: PC側にプラグインが残る場合は更新作業が必要になりませんか?
A: 設問では「Webページを開き…映像を表示」とだけ示しており、プラグイン更新を要求する記述はありません。したがって評価対象外です。
Q: モバイル端末でも同じ利点が得られますか?
A: カメラ管理サーバがモバイルのブラウザ表示に対応していれば同様です。追加・更新はサーバ側Webページの改修だけで済みます。

関連キーワード: IPマルチキャスト, IGMPv3, PIM-SM, Webブラウザ方式

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