プロジェクトマネージャ 2009年 午後1 問01
プロジェクトのリスク管理に関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。
C社は、首都圏に拠点を置く、中堅のSI企業である。医薬品業界に強みをもち、製薬会社の生産管理システムの多くを、C社が構築している。
K社は、地方の製薬会社である。競争の激化から、大手企業との合併のうわさも出ている。K社の生産管理システムは、構築後10年以上が経過し、改修を繰り返してきた結果、保守を継続していくことが難しい状況になっている。このためK社は、新しい生産管理システムの構築と保守をC社に依頼することにした。要件定義と外部設計及び総合テストは実費償還による委任契約を、内部設計から結合テストまでは定額による請負契約を、保守についても請負契約を締結することにしている。
〔K社プロジェクトの状況〕
C社は、K社の生産管理システム構築プロジェクト(以下、K社プロジェクトという)の準備を開始した。
C社は地方の拠点をもっていない。K社との保守契約では、障害時に一定時間以内に現場へ到着することが求められる。そこで、K社の近隣に位置するL社と協力してK社プロジェクトを遂行することにした。L社は小規模なSI企業であり、技術力はあるが、大規模システムの開発経験が少ないので、プロジェクト管理能力に不安がある。
C社のK社プロジェクトのプロジェクトマネージャ(PM)はD氏である。D氏は営業担当者とともにK社を訪問し、K社プロジェクトの要件を確認した。その結果、D氏は、これまでC社が構築してきた生産管理システムの経験で十分に対応が可能であると判断した。また、K社の画面・レポートの要件にも特殊性はなく、要件定義に関するリスクは小さいと判断した。
C社からK社、L社へは交通手段が限られており、出張には多くの時間と費用が掛かる。要件定義から外部設計まではK社に集まって実施し、内部設計から結合テストまでは分担してC社、L社にそれぞれ持ち帰って実施する予定である。内部設計以降もL社との定期的な進捗会議及び成果物レビュー会議の実施が必要となるので、D氏は、出張に掛かる時間と費用の削減を目的として、テレビ会議システムを積極的に利用することにした。
C社は、P社製の生産管理用のソフトウェアパッケージの現在普及しているバージョン(以下、現バージョンという)をベースとして、顧客要件に合わせて、機能や画面を追加する開発方法をとっている。P社は、先月から大幅に機能を強化したバージョン(以下、新バージョンという)の提供を開始したが、C社は新バージョンでの開発経験はまだない。K社は、システムの稼働開始後にバージョンアップ作業を改めて行うことは避けたいとして、K社プロジェクトでは新バージョンを適用するように、C社に要求している。
〔リスク分析〕
D氏は、K社プロジェクトの計画策定に当たって、リスクの分析を行うことにした。表1に示すC社のプロジェクト管理規程のリスク評価マトリックスでは、発生確率と影響度の積が、0.20以上は高優先、0.08以上0.20未満は中優先、0.08未満は低優先として必要な対応を行うこととしている。D氏は、リスクを洗い出して、表2に示すリスク管理表を作成した。

〔予防処置〕
リスク分析の結果に基づき、D氏は、対応の優先順位の高い順に対応策を検討することにした。各リスクに対して、事前に予防処置を講じることによって、リスクを回避又は軽減することに注力することにした。
新バージョンの機能仕様が把握できず設計が進まないリスクへの予防処置としては、aことで対応することにした。K社に対し、新バージョンが市場に出て間もないことから発生する品質面のリスク要因と、C社に新バージョンの開発経験がないことから発生するプロジェクト体制面でのリスク要因を説明して説得に当たり、その結果、K社もC社の方針に同意した。
L社のプロジェクト管理能力が低く、スケジュールが遅れるリスクへの予防処置としては、C社のプロジェクト管理のノウハウを提供して対応することにした。
L社への技術移転が進まないリスクへの予防処置としては、プロジェクトの初期に教育を徹底し、プロジェクト期間を通してフォローすることで対応することにした。
中優先であるK社の合併によってプロジェクトが中断するリスクへの予防処置としては、発生確率も低いことから、万が一起きた場合に必要となる請負契約部分の費用の回収方法に焦点を絞り、bことで対応することにし、K社もこの提案に同意した。
低優先となるテレビ会議による週次レビューでの指示が正確に伝わらないリスクへの予防処置としては、①L社の成果物をネットワーク上の共通ファイルサーバに保管し、双方で確認できるようにすることにした。
C社のプロジェクト管理規程では、計画策定時に想定したリスクに対応するための予備費(以下、コンティンジェンシ予備という)はプロジェクトの予算に含まれ、PMの判断で使用できる。一方、計画策定時に想定していないリスクに対応するための予備費(以下、マネジメント予備という)はプロジェクトの予算に含まれず、その使用には、事業部長の承認を得る必要がある。
D氏は、対応策の検討結果を踏まえて、リスクが現実化した場合の具体的な対応計画であるコンティンジェンシプランの見直しを行った。その結果、D氏は、予防処置によって、コンティンジェンシプランの必要がなくなった二つのリスクを除いて、コンティンジェンシ予備を設定した。また、D氏は、マネジメント予備の確保を、上司である事業部長に申請した。D氏は、プロジェクト予算の承認を得て、K社プロジェクトを開始した。
〔リスクの監視コントロール〕
内部設計の開始からしばらくして、L社の進捗が遅れ始めた。D氏が原因を分析した結果、テレビ会議での指示が正確に伝わっていない点、L社がプロジェクト管理に不慣れな点、L社への技術移転が遅れている点の3点の複合的な影響であることが分かった。D氏は、影響はまだ軽微であるが、技術移転の遅れへの対応は早めに実行する必要があると、リスク管理表から判断した。
内部設計が半ばに差し掛かった段階で、C社のほかのプロジェクトで緊急事態が発生し、K社プロジェクトの要員の1人を応援に出さなければならなくなった。D氏は、交代要員を早めに配置し、K社プロジェクトの仕様の理解と、異動する要員との引継ぎを行わせることにした。②D氏は、この対応を実行するには、コストへの影響が出るので、事業部長の承認を得る必要があると判断した。
設問1:
問題文を見る模範解答
a:現バージョンで開発することでK社を説得する
b:
・中断時の費用精算方法を事前に合意して契約に盛り込む
・中止するまでに掛かった費用を支払う旨を契約に明記する
解説
解答の導き方
aについて
- 表2の項番1では、「新バージョンの機能仕様が把握できず設計が進まない」リスクが挙げられています。発生確率は「高い」、影響度は「大」なので、対応の優先順位は高優先です。
- 本文には、新バージョンは「先月から」提供が始まり、C社には「新バージョンでの開発経験はまだない」とあります。新しいバージョンを使い続ければ、機能仕様を把握できず設計が進まないリスクを避けにくくなります。
- そこで予防処置では、リスクの原因となる新バージョンの適用自体を避けます。本文では、品質面とプロジェクト体制面のリスクを説明してK社を説得し、K社もC社の方針に同意しています。したがって、現バージョンで開発する方針にK社の同意を得ることが、aに入ります。
bについて
- 表2の項番4では、「K社の合併によってプロジェクトが中断する」リスクが挙げられています。発生確率は「低い」ものの、実際に中断すれば費用の回収が問題になります。
- 本文では、予防処置について「請負契約部分の費用の回収方法に焦点を絞り」とあります。合併そのものを防ぐのではなく、中断した場合に費用を回収できるよう、あらかじめ備える方針です。
- これに対し、表2のコンティンジェンシプランは、中断の指示があった後に「掛かった費用の回収をK社と交渉する」ことです。予防処置は、実際に中断してから交渉するのではなく、費用の精算方法を事前に合意し、契約に盛り込んでおくことです。
誤りやすいポイント
- aを「P社に新バージョンの分かる要員の支援を依頼する」としないようにします。これは新バージョンを使い続ける場合のコンティンジェンシプランであり、予防処置とは異なります。
- aは、新バージョンの機能仕様を調べることだけではありません。リスクの原因となるバージョンの採用を避けるため、現バージョンで開発する方針についてK社の同意を得る点が重要です。
- bを、中断後にK社と費用を交渉することだけで終わらせないようにします。それはコンティンジェンシプランです。予防処置では、契約前に費用精算の方法を決めておきます。
FAQ
Q: aは、新バージョンのリスクを軽減する対応ではないのですか?
A: 新バージョンの適用を取りやめて現バージョンを使うため、リスクの原因を取り除く対応です。
A: 新バージョンの適用を取りやめて現バージョンを使うため、リスクの原因を取り除く対応です。
Q: bでは、なぜ契約に盛り込む必要があるのですか?
A: プロジェクト中断後に費用回収を交渉するだけでは、精算方法が決まらず回収が難しくなるおそれがあるためです。あらかじめ合意内容を契約に含めておきます。
A: プロジェクト中断後に費用回収を交渉するだけでは、精算方法が決まらず回収が難しくなるおそれがあるためです。あらかじめ合意内容を契約に含めておきます。
Q: コンティンジェンシプランと予防処置はどう違いますか?
A: 予防処置はリスクの発生を避けたり、可能性を下げたりするための事前の対応です。コンティンジェンシプランは、リスクが現実化したときに実行する対応です。
A: 予防処置はリスクの発生を避けたり、可能性を下げたりするための事前の対応です。コンティンジェンシプランは、リスクが現実化したときに実行する対応です。
関連キーワード: リスク回避、予防処置、請負契約、費用精算、コンティンジェンシプラン
設問2:〔予防処置〕について、(1)~(3)に答えよ。
設問2(1)
問題文を見る新バージョンを使うことで発生する、品質面とプロジェクト体制面のリスク要因とは何か。それぞれ30字以内で述べよ。
模範解答
品質面
・洗い出されていない初期の不具合が発生する。
・機能仕様の理解が不十分で設計不具合が発生する。
プロジェクト体制面
・新バージョンでの開発を経験した要員を確保できない。
・新バージョンの機能が分かる要員を確保できない。
解説
解答の導き方
-
まず、問われているのは、新バージョンを使うことで生じるリスクを「品質面」と「プロジェクト体制面」に分けたものです。どちらも新バージョンの適用に関係しますが、品質面は成果物の品質への影響、プロジェクト体制面は必要な人員を確保できるかという観点で考えます。
-
品質面では、新バージョンが「先月から」提供されたばかりである点に注目します。利用実績が十分に蓄積されていないため、まだ洗い出されていない初期の不具合が残っている可能性があります。これが、品質上のリスクになります。
-
さらに、本文には「C社は新バージョンでの開発経験はまだない」とあります。新しい機能の仕様を十分に把握できないまま設計すると、仕様の理解不足による設計不具合が起きる可能性があります。したがって、品質面では、初期の不具合と、機能仕様の理解不足による設計不具合の二つを考えます。
-
プロジェクト体制面では、C社に新バージョンでの開発経験がないことから、開発経験をもつ要員を確保できるかがリスクになります。また、新バージョンの機能を理解している要員を確保できるかも問題です。品質面が「不具合が起きること」なのに対し、こちらは「必要な知識や経験をもつ要員をそろえられないこと」です。
誤りやすいポイント
- 新バージョンが新しいという情報から、品質面のリスクだけを挙げてしまうことがあります。設問ではプロジェクト体制面も問われているため、要員確保の観点も必要です。
- 「新バージョンでの開発経験がない」ことを、そのまま品質上のリスクとしてだけ扱うのは不十分です。経験者や機能を理解する要員を確保できないという体制上のリスクにもつながります。
- 初期の不具合と設計不具合は、どちらも品質面ですが、発生の原因が異なります。前者は新バージョン自体の不具合、後者は機能仕様を十分に理解できないことが原因です。
FAQ
Q: 新バージョンでの開発経験がないことは、なぜ品質面のリスクにもなるのですか?
A: 機能仕様の理解が不十分なまま設計すると、設計不具合につながるためです。
A: 機能仕様の理解が不十分なまま設計すると、設計不具合につながるためです。
Q: プロジェクト体制面では、どのような点を答えればよいですか?
A: 新バージョンでの開発経験や機能に関する知識をもつ要員を確保できるかという点です。
A: 新バージョンでの開発経験や機能に関する知識をもつ要員を確保できるかという点です。
Q: 初期の不具合と設計不具合は、同じリスクですか?
A: 別のリスクです。初期の不具合は新バージョン自体に残っている可能性があり、設計不具合は機能仕様の理解不足によって起きる可能性があります。
A: 別のリスクです。初期の不具合は新バージョン自体に残っている可能性があり、設計不具合は機能仕様の理解不足によって起きる可能性があります。
関連キーワード: リスク分析、品質リスク、機能仕様、設計不具合、要員確保、予防処置
設問2(2)
問題文を見る本文中の下線①について、D氏が、L社の成果物をネットワーク上の共通ファイルサーバに保管し、双方で確認できるようにしたリスク管理上の目的は何か。30字以内で述べよ。
模範解答
レビューの指摘が正確に反映されているかを確認するため
解説
解答の導き方
-
まず、問題が尋ねているのは、共通ファイルサーバに成果物を保管すること自体の利点ではなく、その対策によってどのリスクを防ごうとしているかです。
-
表2の項番5では、「テレビ会議による週次レビューでの指示が正確に伝わらない」ことがリスクとして挙げられています。さらに、問題文では、そのリスクが現実化した場合に「週次レビューでの指示が繰り返され、成果物への反映が遅れる」とされています。
-
そこで、L社の成果物をネットワーク上の共通ファイルサーバに保管し、C社とL社の双方が確認できるようにします。成果物を共有すれば、レビューで出た指摘や指示が実際の成果物に反映されているかを、両者が確かめられます。
したがって、この対策のリスク管理上の目的は、レビューの指摘が成果物に正確に反映されているかを確認することです。
誤りやすいポイント
- 「双方で確認できる」ことだけを捉えて、目的を単なる情報共有とするのは不十分です。何を確認するのかまで考え、レビューの指摘が成果物に反映されているかを押さえます。
- 出張の時間や費用を削減することは、テレビ会議を利用する理由です。設問が尋ねるのは、共通ファイルサーバを使う目的なので、両者を混同しないようにします。
- 「成果物への反映が遅れる」は、表2に示されたリスクが現実化した場合の影響です。設問では、その影響を防ぐために成果物を共有する目的を答えます。
FAQ
Q: 共通ファイルサーバに保管することで、何を確認できますか?
A: レビューでの指摘や指示が、L社の成果物に正しく反映されているかを確認できます。
A: レビューでの指摘や指示が、L社の成果物に正しく反映されているかを確認できます。
Q: この対策の目的は、テレビ会議を不要にすることですか?
A: いいえ。テレビ会議での指示が正確に伝わらないリスクに備え、成果物を双方で確認して指示の反映状況を確かめることです。
A: いいえ。テレビ会議での指示が正確に伝わらないリスクに備え、成果物を双方で確認して指示の反映状況を確かめることです。
Q: なぜ「成果物への反映が遅れる」ことも防げるのですか?
A: 成果物とレビューでの指摘を照らし合わせられるため、指示が反映されていないことに気付きやすくなり、対応の遅れを抑えられます。
A: 成果物とレビューでの指摘を照らし合わせられるため、指示が反映されていないことに気付きやすくなり、対応の遅れを抑えられます。
関連キーワード: リスク管理、予防処置、成果物レビュー、コミュニケーション管理、進捗管理
設問2(3)
問題文を見るD氏が、予防処置によって、コンティンジェンシプランの必要がなくなったと判断した二つのリスクとは、どのリスクか。表2の項番で答えよ。
模範解答
1と4
解説
解答の導き方
この設問では、表2のリスクのうち、予防処置を講じた結果、リスクが現実化したときに実施するコンティンジェンシプランが不要になったものを見つけます。予防処置によってリスクそのものを避けた場合だけでなく、コンティンジェンシプランに記載された対応を事前に済ませた場合も、発動後の対応は不要になります。
まず、項番1のリスクは「新バージョンの機能仕様が把握できず設計が進まない。」ことです。本文では、C社に新バージョンの開発経験がないことなどをK社に説明し、K社がC社の方針に同意したとあります。この方針は、新バージョンを使わず、これまで利用してきた現バージョンで開発することです。したがって、新バージョンの仕様が分からず設計が進まないリスクを避けられます。発生時に予定していた「P社に新バージョンの分かる要員の支援を依頼する。」必要もなくなります。
次に、項番4のリスクは、K社の合併によってプロジェクトが中断することです。本文では、発生確率が低いことから、請負契約部分の費用回収に焦点を絞って予防処置を行うとしています。ここで、費用回収の方法についてK社とあらかじめ合意しておけば、プロジェクト中断後に予定していた「掛かった費用の回収をK社と交渉する。」必要がなくなります。合併や中断そのものを防ぐのではなく、コンティンジェンシプランにあった交渉を事前に済ませる点がポイントです。
一方、項番2、3、5では、予防処置を講じてもリスクが現実化する可能性は残っています。その場合にC社要員を配置する、技術移転の専任者を派遣する、L社に出向いて会議を行うといった対応が引き続き必要です。
以上から、コンティンジェンシプランが不要になるのは表2の項番1と4です。
誤りやすいポイント
- 予防処置があるリスクをすべて、コンティンジェンシプラン不要と判断しないことです。項番2、3、5のように、予防処置後もリスクが残り、発生時の対応が必要なものがあります。
- 項番4は、合併やプロジェクト中断を防ぐ対策ではありません。費用回収の方法を事前に合意することで、発生後の交渉を不要にする対策です。
- 項番1では、新バージョンの開発を続ける前提で支援を依頼するのではなく、現バージョンで開発する方針に切り替える点に着目します。
FAQ
Q: 項番4は、リスクそのものをなくしているのですか?
A: いいえ。合併によるプロジェクト中断の可能性は残りますが、費用回収の交渉を事前に行うことで、そのリスクに対するコンティンジェンシプランが不要になります。
A: いいえ。合併によるプロジェクト中断の可能性は残りますが、費用回収の交渉を事前に行うことで、そのリスクに対するコンティンジェンシプランが不要になります。
Q: 項番3も、教育とフォローを行うのでコンティンジェンシプランは不要ではありませんか?
A: 教育とフォローを行っても、L社の生産性が目標に達しない可能性は残ります。その場合に技術移転の専任者を派遣する対応があるため、コンティンジェンシプランは引き続き必要です。
A: 教育とフォローを行っても、L社の生産性が目標に達しない可能性は残ります。その場合に技術移転の専任者を派遣する対応があるため、コンティンジェンシプランは引き続き必要です。
関連キーワード: リスク回避、リスク軽減、予防処置、コンティンジェンシプラン、リスク対応
設問3:〔リスクの監視コントロール〕について、(1)~(3)に答えよ。
設問3(1)
問題文を見るD氏はなぜ、影響が軽微な段階でも、技術移転の遅れへの対応は早めに実行する必要があると、リスク管理表から判断したのか。20字以内で述べよ。
模範解答
リスクの影響度が大きいから
解説
解答の導き方
-
問われているのは、進捗の遅れがまだ軽微な段階で、なぜ技術移転の遅れへの対応を急ぐのかです。ここでは、現在の遅れの大きさだけでなく、表2で評価されたリスクの優先順位を確認します。
-
表2の項番3では、「L社への技術移転が進まず、開発が遅れる。」というリスクについて、発生確率は「普通」、影響度は「大」とされています。表1に当てはめると、発生確率「普通」と影響度「大」の組合せは0.24です。
-
0.24は、高優先となる基準の0.20以上です。したがって、現時点で影響が軽微でも、このリスクが顕在化した場合の影響は大きく、優先して対応すべきだと判断できます。つまり、早めに対応する理由は、リスクの影響度が大きいからです。
誤りやすいポイント
- 現在の進捗遅れが軽微であることを、リスクそのものの影響度が小さいことと混同しないようにします。リスク評価で見るのは、問題が顕在化した場合の影響です。
- 発生確率が「普通」だから優先度も中程度だと判断しないようにします。影響度との組合せで評価すると、項番3は高優先です。
- 進捗遅れの原因が複数あることだけに注目せず、設問が尋ねる技術移転の遅れについて、表2の評価を根拠に答えます。
FAQ
Q: 現在の遅れが軽微でも、早く対応する必要があるのはなぜですか?
A: 現状の遅れの大きさではなく、技術移転が進まない場合に開発へ及ぶ影響が大きいと評価されているためです。
A: 現状の遅れの大きさではなく、技術移転が進まない場合に開発へ及ぶ影響が大きいと評価されているためです。
Q: 項番3が高優先になる根拠は何ですか?
A: 発生確率「普通」と影響度「大」の組合せは0.24で、高優先の基準である0.20以上に当たります。
A: 発生確率「普通」と影響度「大」の組合せは0.24で、高優先の基準である0.20以上に当たります。
関連キーワード: リスク評価、発生確率、影響度、リスク優先順位、リスク監視
設問3(2)
問題文を見るD氏が実行することにした技術移転の遅れへの対応とは何か。20字以内で述べよ。
模範解答
技術移転の専任者をL社へ派遣する。
解説
解答の導き方
まず、問題文ではL社の進捗が遅れた原因の一つとして「L社への技術移転が遅れている点」が挙げられています。設問は、この技術移転の遅れに対してD氏が実行することにした対応を尋ねています。
表2の項番3を見ると、該当するリスクは「L社への技術移転が進まず、開発が遅れる。」です。この行の予防処置には、教育の徹底とプロジェクト期間を通したフォローが記されています。一方、リスクが現実化した場合の対応を示すコンティンジェンシプランには「技術移転の専任者を派遣する。」とあります。
今回の設問は、遅れへの対応として何を実行するかを問うています。そのため、予防処置ではなく、項番3のコンティンジェンシプランにある内容を使い、派遣先をL社として答えます。
誤りやすいポイント
- 予防処置の「教育を徹底し、プロジェクト期間を通してフォローする」と、遅れが生じた際の対応を混同しないようにします。
- 表2の項番2はL社のプロジェクト管理能力への対応です。設問が尋ねているのは、項番3の技術移転の遅れへの対応です。
- 進捗遅延の原因は複数ありますが、設問はそのうち技術移転の遅れに対する対応に絞っています。
FAQ
Q: なぜ予防処置ではなく、コンティンジェンシプランを見るのですか。
A: 設問は、進捗の遅れが生じた状況で実行する対応を尋ねているためです。予防処置は、リスクが現実化する前に講じる対策です。
A: 設問は、進捗の遅れが生じた状況で実行する対応を尋ねているためです。予防処置は、リスクが現実化する前に講じる対策です。
Q: L社のプロジェクト管理能力への対応と、技術移転への対応はどう違いますか。
A: プロジェクト管理能力への対応は、C社の管理ノウハウの提供やC社要員の配置です。技術移転への対応は、技術移転の専任者を派遣することです。
A: プロジェクト管理能力への対応は、C社の管理ノウハウの提供やC社要員の配置です。技術移転への対応は、技術移転の専任者を派遣することです。
関連キーワード: リスク管理表、リスク対応、コンティンジェンシプラン、技術移転、リスク監視
設問3(3)
問題文を見る本文中の下線②について、D氏は、なぜ、事業部長の承認を得る必要があると判断したのか。30字以内で述べよ。
模範解答
・マネジメント予備の使用が必要だから
・計画時に想定していないコストだから
・K社プロジェクトの予算外のコストだから
解説
解答の導き方
この設問では、要員の交代対応について、なぜ事業部長の承認が必要なのかを問われています。対応に費用がかかるというだけでなく、その費用をどの予備費で賄うのかに注目します。
C社の規程では、計画策定時に想定したリスクへの予備費はプロジェクト予算に含まれ、PMの判断で使用できます。一方、「計画策定時に想定していないリスク」に対応するためのマネジメント予備はプロジェクト予算に含まれず、使用には事業部長の承認が必要です。
今回の事態は、プロジェクト開始後に「C社のほかのプロジェクトで緊急事態が発生」し、K社プロジェクトの要員を応援に出す必要が生じたことです。そのため、本文では「交代要員を早めに配置」して引継ぎを行う対応が示されています。この要員交代と引継ぎに伴う費用は、計画時に想定していたリスクへの対応費用ではありません。
したがって、対応に必要な費用はプロジェクト予算に含まれるコンティンジェンシ予備ではなく、マネジメント予備を使うことになります。その使用には事業部長の承認が必要なので、D氏は承認を得る必要があると判断しました。
誤りやすいポイント
- 「コストへの影響があるから、すべて事業部長の承認が必要」と考えないようにしましょう。計画時に想定したリスクへの対応なら、コンティンジェンシ予備をPMの判断で使用できます。
- 要員交代そのものだけに注目せず、その費用が計画時に想定されていたかを確認します。今回は計画時に想定していない事態への対応です。
- 承認が必要な理由を「緊急事態だから」とだけ説明しても不十分です。マネジメント予備がプロジェクト予算に含まれず、使用に承認が必要という規程とのつながりを押さえます。
FAQ
Q: 予備費にはどのような違いがありますか?
A: 計画時に想定したリスクへの予備費であるコンティンジェンシ予備はプロジェクト予算に含まれ、PMの判断で使用できます。想定していないリスクへの予備費であるマネジメント予備はプロジェクト予算に含まれず、使用には事業部長の承認が必要です。
A: 計画時に想定したリスクへの予備費であるコンティンジェンシ予備はプロジェクト予算に含まれ、PMの判断で使用できます。想定していないリスクへの予備費であるマネジメント予備はプロジェクト予算に含まれず、使用には事業部長の承認が必要です。
Q: 費用が発生する対応なら、必ず事業部長の承認が必要ですか?
A: いいえ。本文の規程では、承認が必要なのはマネジメント予備を使用する場合です。費用が発生するかどうかだけでなく、対応するリスクが計画時に想定されていたかが判断のポイントです。
A: いいえ。本文の規程では、承認が必要なのはマネジメント予備を使用する場合です。費用が発生するかどうかだけでなく、対応するリスクが計画時に想定されていたかが判断のポイントです。
関連キーワード: リスク管理、コンティンジェンシ予備、マネジメント予備、予算管理、リスク対応




