プロジェクトマネージャ 2009年 午後1 問04
ソフトウェア開発の品質管理に関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。
中堅のソフトウェア会社であるE社は、W社の携帯電話のソフトウェア開発を受託した。受託したソフトウェアは、機能A、機能Bの二つの機能で構成されている。外部設計は委任契約、内部設計から結合テストまでは請負契約を締結する。
外部設計が完了し、機能Aが16kステップ、機能Bが24kステップ、合計では40kステップの開発規模見積りとなった。E社は、内部設計の開始から20週間後に結合テストを完了させる条件で、請負契約を締結した。
〔E社の体制〕
E社のプロジェクトマネージャ(PM)はF課長である。F課長は、内部設計の開始に先立ち、内部設計から結合テストまでのプロジェクト計画を立案した。F課長は、図1のように、結合テストの準備開始時点で結合テストチームを設置する体制を計画した。要員はすべてE社社員で、全員がこのプロジェクトに専任する。

内部設計から単体テストまでは、外部設計からこの開発に参加している要員の中から各開発チームのリーダを選任し、二つのチームに分かれて開発を行う。
結合テストでは、結合テストチームが結合テストの管理と実施を担当し、各開発チームは摘出された欠陥の改修を担当する。結合テストチームのリーダには、各開発チームのリーダではなく、テストに関する十分な経験をもつG主任を任命する。G主任は、結合テスト開始の5週間前からプロジェクトに参加する。設計書を読み込み、各開発チームからヒアリングを行い、仕様と設計を理解して、テスト計画書やテスト仕様書の作成などの結合テストの準備を進める。
F課長は、結合テストの開始時点で、各開発チームから数名のメンバを結合テストチームに異動させ、結合テストの実施にあたらせることを計画している。
E社ではこれまで、この規模の開発では、仕様をよく理解している開発チームのリーダが結合テストのテスト仕様書を作成し、開発時のチーム編成のまま結合テストを実施することが多かった。F課長は、各開発チームがそのまま結合テストを実施するこれまでの進め方と比較して、今回の進め方は①結合テストチームの設置後しばらくの間は各開発チームの効率が一時的に低下するが、②結合テストの開始時期が遅れるリスクを軽減する効果があると考えている。
開発スケジュールを図2に示す。

F課長は、各開発チームに比較的経験の浅いメンバが含まれることから、内部設計で品質や進捗に問題が生じた場合に備えて、G主任の参加を結合テストの9週間前まで前倒しするコンティンジェンシプランを計画している。このコンティンジェンシプランでは、G主任に、設計に誤り、矛盾、あいまいさがないか、結合テストでの検証が正確かつ容易に実施できるか、という観点で内部設計書をレビューさせる。F課長はこのレビューに、内部設計の品質を改善する効果に加えて、各開発チームの進捗遅れによって結合テストの開始が遅れた場合にも③結合テストを予定どおり完了させる効果を期待している。
〔品質管理計画〕
E社は、“工程単位での品質作り込み”を品質標語として掲げ、各工程で確実に品質を確保し、後工程に欠陥を持ち越さない活動を推進している。その中で、工程完了時の品質評価を重視して、次のことを定めている。
・各工程での成果物が完成した時点で、品質管理指標の基準値と実績値との差異分析を中心とした総合的な品質評価を実施すること。
・実績値が許容範囲を逸脱した場合は、品質に問題がないかどうかの検証を行うこと。問題がある場合は、必要な対処を明確にすること。
・品質評価結果を品質保証部門に報告し、承認を得て工程完了とすること。
表1に、E社の内部設計に関する品質管理指標の基準値を示す。
F課長は、後工程に持ち越すと修正のために大きなコストが発生するような欠陥をレビューで確実に摘出し、設計工程で品質を作り込むための品質管理計画を立案した。レビューの手法は、チームによるミーティング形式のレビューを基本とした。レビューについては準備段階の活動を重視して、⑤レビューの時間を設計書の理解に浪費させないルールと、⑥レビューアが誤字、脱字、表記ルール違反に注意を奪われずに欠陥の摘出に集中できるようにするためのルールを決めた。また、各開発チームが週次で、レビューを実施した開発規模、レビュー時間、摘出欠陥数の実績値をPMに報告することを決めた。
F課長は、これらのルールをプロジェクト計画書の品質管理計画に記述し、リーダ及びメンバに周知した。
〔内部設計の状況〕
内部設計開始後、3週間が経過した時点の各開発チームの品質管理指標の実績値は表2のとおりであった。

F課長は表2の実績値から、一方の開発チームにおいて品質管理指標の許容範囲を逸脱していると判断し、品質に問題がないかどうか検証した。該当チームのリーダにヒアリングをしたところ、“一部のメンバがレビューに関するルールを守っていないので、誤字、脱字、表記ルール違反が多く、レビューの時間は掛かっているが、欠陥の摘出は不十分である”とのことであった。F課長は、該当チームのリーダに対して、ルールを徹底させるとともに、該当する内部設計書についてaを指示した。またF課長は、内部設計の品質不良と進捗遅れの二つのリスクが顕在化したと判断し、G主任の参加を前倒しするコンティンジェンシプランの発動を決定した。
設問1:〔E社の体制〕について、(1)~(3)に答えよ。
設問1(1)
問題文を見る本文中の下線①について、なぜ各開発チームの効率が一時的に低下するのか。35字以内で述べよ。
模範解答
・G主任とのコミュニケーションに時間がとられるから
・G主任のヒアリングへの対応で時間がとられるから
解説
解答の導き方
-
今回の進め方では、結合テストの準備を結合テストチームが担当します。そのリーダのG主任は、結合テスト開始の5週間前から参加し、準備として「各開発チームからヒアリングを行」います。
-
一方、各開発チームは内部設計などの開発作業を続けています。そのため、G主任に設計や仕様を説明したり、質問に答えたりする間は、開発作業に使える時間が減ります。
-
このように、G主任との打合せやヒアリングへの対応に時間を取られることが、各開発チームの効率が一時的に低下する理由です。開発チームの能力が下がるという意味ではなく、開発作業以外に時間を割くことによる一時的な影響です。
誤りやすいポイント
- 結合テストチームへメンバを異動させることが理由だと考えないようにします。本文では、メンバの異動は結合テストの開始時点に計画されています。
- G主任がテスト仕様書を作成する作業そのものではなく、各開発チームがヒアリングに応じるために時間を使う点に注目します。
- 効率の低下を、開発チームの経験不足や設計のやり直しによるものと混同しないようにします。
FAQ
Q: G主任は各開発チームの代わりに開発作業をするのですか?
A: いいえ。G主任は結合テストの準備を担当し、各開発チームからヒアリングして仕様や設計を理解します。
A: いいえ。G主任は結合テストの準備を担当し、各開発チームからヒアリングして仕様や設計を理解します。
Q: なぜ効率の低下は一時的なのですか?
A: 結合テストの準備に伴うヒアリングなどで、各開発チームが一時的に開発作業以外へ時間を使うためです。
A: 結合テストの準備に伴うヒアリングなどで、各開発チームが一時的に開発作業以外へ時間を使うためです。
Q: 結合テストの開始時期を遅らせることが、効率低下の理由ですか?
A: いいえ。問われているのは、G主任とのコミュニケーションやヒアリングへの対応に時間を取られることです。
A: いいえ。問われているのは、G主任とのコミュニケーションやヒアリングへの対応に時間を取られることです。
関連キーワード: 結合テスト、テスト計画、要員配置、プロジェクト管理、進捗管理
設問1(2)
問題文を見る本文中の下線②について、各開発チームと結合テストチームを分離することが、なぜリスクを軽減する効果があるのか。40字以内で具体的に述べよ。
模範解答
・内部設計や製造・単体テストと、結合テストの準備が並行して実施できるから
・内部設計や製造・単体テストが遅れても、結合テストの準備に影響しないから
・内部設計や製造・単体テストが遅れても、結合テストを可能な部分から開始できるから
解説
解答の導き方
-
問われているのは、各開発チームと結合テストチームを分けることで、結合テストの開始が遅れるリスクをなぜ軽減できるかです。結合テストの実施そのものではなく、開発と結合テストの準備の進め方に注目します。
-
図2では、内部設計が週1~8、製造・単体テストが週9~14である一方、結合テストチームは週10~14に結合テストの準備を進めます。つまり、開発チームが製造・単体テストを行っている期間に、結合テストチームがテスト準備を並行して進める計画です。
-
本文では、G主任が設計書を読み込み、開発チームからヒアリングして仕様と設計を理解し、テスト計画書やテスト仕様書を作成するとあります。結合テストチームが独立して準備を進めるため、開発チームの作業完了を待たずに結合テストの準備を進められます。
-
これまでの進め方では、開発チームのリーダがテスト仕様書を作り、開発時のチーム編成のまま結合テストを実施していました。この場合、開発の遅れがテスト準備にも影響する可能性があります。今回のように役割を分ければ、開発が遅れても準備を並行して進められ、準備が原因で結合テストの開始が遅れるリスクを軽減できます。
-
したがって、開発作業と結合テストの準備を並行して進め、開発の遅れがテスト準備に波及しにくくすることが、下線②の効果につながります。
誤りやすいポイント
- 結合テストチームを設置すれば、開発の遅れ自体がなくなると考えるのは誤りです。軽減するのは、開発の遅れが結合テストの準備に影響して開始時期を遅らせるリスクです。
- 結合テストチームが準備を行う点だけでなく、開発チームの作業と並行して進められる点が理由の中心です。
- 開発が遅れても、結合テストを必ず予定どおり開始できるとは限りません。テスト対象が準備できているかどうかにも左右されます。
FAQ
Q: 開発が遅れても、結合テストチームはテストを開始できますか?
A: テストの準備は独立して進められますが、実施にはテスト対象となるソフトウェアが必要です。そのため、開始時期の遅れを完全に防げるわけではありません。
A: テストの準備は独立して進められますが、実施にはテスト対象となるソフトウェアが必要です。そのため、開始時期の遅れを完全に防げるわけではありません。
Q: 開発チームからのヒアリングが必要なのに、準備を並行して進められるのはなぜですか?
A: G主任が設計書を読み込み、開発チームから必要な情報を得ながら準備する計画だからです。開発チームの作業完了を待つ必要はありません。
A: G主任が設計書を読み込み、開発チームから必要な情報を得ながら準備する計画だからです。開発チームの作業完了を待つ必要はありません。
関連キーワード: 並行開発、結合テスト、テスト計画、テスト仕様書、リスク管理
設問1(3)
問題文を見る本文中の下線③の効果は、なぜ得られるのか。25字以内で述べよ。
模範解答
・結合テストの検証効率が向上するから
・結合テストの検証が正確かつ容易に実施できるから
解説
解答の導き方
-
下線③が問うているのは、開発チームの進捗遅れで結合テストの開始が遅れた場合でも、結合テストを予定どおり完了できる理由です。したがって、単に設計の品質を高めることではなく、限られたテスト期間内に検証を進められる理由を考えます。
-
コンティンジェンシプランでは、G主任の参加を前倒しし、内部設計書を「設計に誤り、矛盾、あいまいさがないか」「結合テストでの検証が正確かつ容易に実施できるか」という観点でレビューします。テストで確認すべき内容が明確になり、仕様の解釈に迷ったり、検証方法を決め直したりする事態を抑えられます。
-
その結果、結合テストを正確かつ容易に実施でき、検証効率が向上します。開始が遅れてテストに使える期間が短くなった場合でも、効率よく検証を進められるため、予定どおりの完了につながります。
誤りやすいポイント
- 「G主任が早く参加して進捗遅れを解消するから」と考えるのは適切ではありません。設問で問われている効果は、内部設計書のレビューによって結合テストの検証効率が高まることです。
- 「内部設計の品質が向上するから」だけでは、結合テストを予定どおり完了できる理由が十分に示せません。品質改善が、検証の正確さ・容易さや効率向上につながるところまで説明します。
- 「テスト期間を延長できるから」ではありません。開始が遅れても、結合テストを効率よく実施できることがポイントです。
FAQ
Q: なぜ内部設計書をレビューすると、結合テストが進めやすくなるのですか?
A: 設計の誤りやあいまいさを事前に確認し、テストで何をどのように検証するかを明確にできるためです。
A: 設計の誤りやあいまいさを事前に確認し、テストで何をどのように検証するかを明確にできるためです。
Q: この設問では、進捗遅れそのものを防ぐことが理由ですか?
A: いいえ。進捗遅れが起きても、結合テストを効率よく実施できることが理由です。
A: いいえ。進捗遅れが起きても、結合テストを効率よく実施できることが理由です。
Q: 「正確かつ容易」と「効率向上」はどう結び付きますか?
A: 検証内容や方法が明確であれば、迷いや手戻りを抑えてテストを進めやすくなり、検証効率が向上します。
A: 検証内容や方法が明確であれば、迷いや手戻りを抑えてテストを進めやすくなり、検証効率が向上します。
関連キーワード: 結合テスト、内部設計レビュー、テスト計画、テスト仕様書、検証効率
設問2:〔品質管理計画〕について、(1)~(3)に答えよ。
設問2(1)
問題文を見る表1中の下線④のルールが、“工程単位での品質作り込み”につながる理由を、40字以内で述べよ。
模範解答
・本質的な欠陥だけに注目してレビューが実施でき、欠陥が十分に摘出されるから
・当該工程で摘出すべき欠陥が十分に摘出されるから
解説
解答の導き方
-
E社の品質管理計画では、各工程で品質を確保し、欠陥を後工程に持ち越さないことを目指しています。そのため、内部設計のレビューで欠陥を見つけ、工程内で修正できているかを評価する必要があります。
-
表1では、品質管理指標として「摘出欠陥数」を設けています。ここに誤字や表記の誤りまで含めると、設計内容に関わる重要な欠陥が十分に見つかっていなくても、欠陥数だけは多く見えることがあります。すると、レビューで本当に摘出すべき欠陥が見つかっているかを適切に判断できません。
-
そこで「誤字、脱字、表記ルール違反は、欠陥としてカウントしない」と定め、欠陥数を設計内容に関わる本質的な欠陥の指標として扱います。レビューで本質的な欠陥を見つけて修正することにつながり、内部設計の段階で品質を確保しやすくなります。これが、工程単位で品質を作り込むことにつながる理由です。
誤りやすいポイント
- 「欠陥としてカウントしない」は、「誤字や表記の誤りを修正しなくてよい」という意味ではありません。欠陥数の集計対象から外すというルールです。
- 誤字などを含めた欠陥数が多ければ、レビューで重要な欠陥も十分に見つかっている、と判断できるわけではありません。数の多さではなく、設計上の本質的な欠陥が摘出されているかが重要です。
- このルールの目的を「後工程で修正するコストを減らすため」だけで終わらせないようにします。内部設計の工程で本質的な欠陥を摘出し、品質を確保することまで説明する必要があります。
FAQ
Q: 誤字や表記ルール違反は、レビューで指摘しなくてよいのですか?
A: いいえ。④は欠陥数にカウントしないというルールであり、修正不要という意味ではありません。
A: いいえ。④は欠陥数にカウントしないというルールであり、修正不要という意味ではありません。
Q: 誤字などを欠陥数に含めないと、レビューの成果はどう評価しやすくなりますか?
A: 設計内容に関わる欠陥の摘出状況を、表面的な誤りに左右されずに評価しやすくなります。
A: 設計内容に関わる欠陥の摘出状況を、表面的な誤りに左右されずに評価しやすくなります。
Q: 本質的な欠陥を工程内で摘出する意義は何ですか?
A: 内部設計の段階で修正でき、欠陥を後工程に持ち越すことを防ぎやすくなります。
A: 内部設計の段階で修正でき、欠陥を後工程に持ち越すことを防ぎやすくなります。
関連キーワード: 品質管理指標、レビュー、欠陥分析、工程品質、品質保証
設問2(2)
問題文を見る本文中の下線⑤のルールとは、どのようなルールか。25字以内で述べよ。
模範解答
・レビュー対象となる設計書を事前に提示する。
・レビュー対象となる設計書に、事前に目を通す。
解説
解答の導き方
この設問は、レビュー中に設計書の内容を理解する時間を使わず、欠陥の摘出に集中するための準備ルールを問うています。
本文では、レビューについて「準備段階の活動を重視」し、レビュー時間を「設計書の理解に浪費させない」としています。つまり、レビューの場で初めて設計書を読み始めるのではなく、レビュー前に内容を把握しておく必要があります。
そのためには、まずレビュー対象となる設計書をレビューアに事前に提示し、レビューアが会議の前に目を通しておく、という手順が適切です。レビュー当日は設計書の理解に時間を取られず、問題点や欠陥の検討に時間を使えます。
誤りやすいポイント
- レビュー中に設計書を読み合わせるルールだと、設計書の理解に時間を使うことになり、設問の意図と逆になります。
- 「誤字、脱字、表記ルール違反」を見つけるためのルールは、下線⑥に関する内容です。下線⑤では、設計書の内容をレビュー前に理解しておくための準備を考えます。
- レビュー対象の設計書を事前に配るだけでは、レビューアが内容を理解しているとは限りません。事前提示に加えて、事前に目を通すことが重要です。
FAQ
Q: 設計書をレビュー会議の開始時に配るのでは不十分ですか?
A: 会議中に読む時間が必要になるため、レビュー時間を設計書の理解に使わないという目的を満たせません。事前に提示し、事前に読んでおく必要があります。
A: 会議中に読む時間が必要になるため、レビュー時間を設計書の理解に使わないという目的を満たせません。事前に提示し、事前に読んでおく必要があります。
Q: レビューアが事前に設計書を読むのは、欠陥を事前に確定するためですか?
A: 欠陥を確定するためではありません。会議前に内容を把握し、会議では欠陥の検討に集中できるようにするためです。
A: 欠陥を確定するためではありません。会議前に内容を把握し、会議では欠陥の検討に集中できるようにするためです。
Q: 誤字や表記ルール違反を見つける方法も、下線⑤のルールに含まれますか?
A: それは下線⑥に関する内容です。下線⑤は、レビュー対象の設計書を事前に提示し、レビューアがあらかじめ読んでおくためのルールです。
A: それは下線⑥に関する内容です。下線⑤は、レビュー対象の設計書を事前に提示し、レビューアがあらかじめ読んでおくためのルールです。
関連キーワード: レビュー、事前配布、事前読込み、ピアレビュー、欠陥検出
設問2(3)
問題文を見る本文中の下線⑥のルールとは、どのようなルールか。40字以内で述べよ。
模範解答
誤字、脱字、表記ルール違反を除去してからレビューに持ち込む。
解説
解答の導き方
-
問われているのは、レビューアが設計上の欠陥の摘出に集中できるようにするための事前ルールです。レビュー中の進め方ではなく、レビューを始める前に何をしておくかを考えます。
-
本文では、レビューアが「誤字、脱字、表記ルール違反に注意を奪われずに欠陥の摘出に集中できるようにする」としています。つまり、レビュー中に表記上の誤りを見つけて修正する作業が発生しないよう、あらかじめ対処しておく必要があります。
-
表1では、誤字、脱字、表記ルール違反は欠陥としてカウントしないと定めています。この扱いからも、レビューの主な目的は表記上の誤りを数えることではなく、設計上の問題を見つけることだと分かります。
-
したがって、誤字、脱字、表記ルール違反をレビュー前に除去しておけば、レビューアの注意がそれらにそれず、設計上の欠陥の摘出に集中できます。
誤りやすいポイント
- 誤字、脱字、表記ルール違反を「レビューで確認する」とするのは不適切です。レビューアの注意を欠陥摘出に集中させるため、レビュー前に除去しておく点が重要です。
- 表1で欠陥としてカウントしないことを理由に、誤字などを放置してよいと考えてはいけません。指標上の扱いと、レビューを効率よく行うための事前準備は別の話です。
- ⑤のルールと混同しないようにします。⑤は設計書の理解にレビュー時間を費やさないためのルールであり、⑥は表記上の誤りに注意を奪われないためのルールです。
FAQ
Q: 誤字などを欠陥として数えないなら、修正しなくてもよいのですか?
A: いいえ。欠陥数の集計対象にしないという扱いでも、レビューアが注意を取られないよう、レビューに持ち込む前に除去します。
A: いいえ。欠陥数の集計対象にしないという扱いでも、レビューアが注意を取られないよう、レビューに持ち込む前に除去します。
Q: このルールの目的は、レビュー時間を短くすることですか?
A: 時間の短縮そのものより、レビューアの注意を設計上の欠陥の摘出に集中させることが目的です。
A: 時間の短縮そのものより、レビューアの注意を設計上の欠陥の摘出に集中させることが目的です。
関連キーワード: レビュー、欠陥摘出、品質管理指標、設計書、レビュー準備
設問3:〔内部設計の状況〕について、(1)、(2)に答えよ。
設問3(1)
問題文を見るF課長が品質管理指標の許容範囲を逸脱していると判断した開発チームの名称を答えよ。
模範解答
機能B開発チーム
解説
解答の導き方
この設問では、表2の実績値を使って、どちらの開発チームが品質管理指標の許容範囲を逸脱しているかを判定します。まず、レビューを実施した開発規模を分母にして、各指標を単位規模当たりに直します。
レビュー時間の基準値は「3時間/kステップ」で、許容範囲は基準値以上です。機能A開発チームは時間/kステップ、機能B開発チームは時間/kステップです。どちらも3時間/kステップ以上なので、レビュー時間の指標では逸脱していません。
次に、摘出欠陥数の基準値は「4件/kステップ」で、許容範囲は基準値の±30%です。したがって、許容範囲は件/kステップから件/kステップまでです。
機能A開発チームは件/kステップで、許容範囲内です。一方、機能B開発チームは件/kステップで、下限の2.8件/kステップを下回っています。よって、許容範囲を逸脱しているのは機能B開発チームです。
誤りやすいポイント
- 摘出欠陥数を開発規模で割らず、欠陥数そのものだけで比較すると、チームごとのレビュー規模の違いを考慮できません。
- 欠陥数の許容範囲は基準値の±30%です。基準値の4件/kステップを上回る場合だけでなく、下回る場合も確認します。
- レビュー時間の基準値は「基準値以上」です。時間が多いこと自体は、この指標の許容範囲からの逸脱にはなりません。
FAQ
Q: 摘出欠陥数が基準値より少ないと、なぜ問題になるのですか?
A: レビューで見つけるべき欠陥を十分に摘出できていない可能性があるためです。許容範囲の下限を下回る場合も、品質に問題がないか確認します。
A: レビューで見つけるべき欠陥を十分に摘出できていない可能性があるためです。許容範囲の下限を下回る場合も、品質に問題がないか確認します。
Q: レビュー時間は、なぜレビューを実施した開発規模で割るのですか?
A: レビューにかけた時間を、実際にレビューした規模当たりで比較するためです。開発チーム間でレビュー規模が異なっていても、指標を比較できます。
A: レビューにかけた時間を、実際にレビューした規模当たりで比較するためです。開発チーム間でレビュー規模が異なっていても、指標を比較できます。
関連キーワード: レビュー工数、欠陥密度、品質管理指標、許容範囲
設問3(2)
問題文を見る本文中のaに入れる適切な字句を、10字以内で答えよ。
模範解答
・再レビューの実施
・品質の検証
解説
解答の導き方
aには、品質上の問題が疑われる内部設計書に対して、どのような追加対応をするかが入ります。判断の根拠を、品質管理指標と本文の状況から順に確認します。
表2の「機能A開発チーム」は、26件の欠陥を6kステップのレビューで摘出しているため、摘出欠陥数は件/kステップとなり、許容範囲内です。一方、「機能B開発チーム」は、14件を7kステップで摘出しているため、件/kステップとなり、許容範囲の下限を下回ります。
さらに、該当チームでは「誤字、脱字、表記ルール違反が多く、レビューの時間は掛かっているが、欠陥の摘出は不十分」と報告されています。表1には「誤字、脱字、表記ルール違反は、欠陥としてカウントしない」とあるため、レビュー時間を費やしていても、重要な設計上の欠陥を十分に発見できていない可能性があります。
品質管理計画では、実績値が許容範囲を外れた場合に品質を検証し、問題があれば必要な対処を明確にすると定めています。今回はレビューのルール違反と欠陥摘出の不足が確認されているので、ルールを徹底させるだけでなく、すでに作成された該当する内部設計書にも対処が必要です。見逃された欠陥がないかを改めて確認する対応として、「再レビューの実施」または「品質の検証」が入ります。
誤りやすいポイント
- レビュー時間が基準値以上であることだけで、品質に問題がないと判断しないようにします。レビュー時間と摘出欠陥数は別の指標です。
- 摘出欠陥数は件数のまま比べず、開発規模で割って「件/kステップ」に換算します。
- 許容範囲を外れた場合の対応は、ルールの再周知だけでは不十分です。すでに作成された設計書の品質にも問題がないか確認します。
- 誤字や表記違反が多いことを、欠陥を十分に摘出できている証拠と捉えないようにします。表1では、それらは欠陥として数えないルールです。
FAQ
Q: レビュー時間が基準値以上なら、再レビューは不要ですか?
A: 不要とは判断できません。レビュー時間を確保していても、摘出欠陥数が許容範囲を下回り、レビュー内容にも問題があれば、成果物の品質を確認する必要があります。
A: 不要とは判断できません。レビュー時間を確保していても、摘出欠陥数が許容範囲を下回り、レビュー内容にも問題があれば、成果物の品質を確認する必要があります。
Q: なぜルールの徹底だけでなく、設計書自体の再確認が必要なのですか?
A: ルール違反によって重要な欠陥が見逃されている可能性があるためです。今後のレビュー手順を正すだけでは、すでに作成された設計書の品質は確認できません。
A: ルール違反によって重要な欠陥が見逃されている可能性があるためです。今後のレビュー手順を正すだけでは、すでに作成された設計書の品質は確認できません。
Q: 摘出欠陥数が基準値より少ない場合は、必ず品質不良ですか?
A: 直ちに品質不良と断定するのではなく、許容範囲を外れた理由を調べて品質を検証します。このケースでは、ルール違反と欠陥摘出の不足が確認されています。
A: 直ちに品質不良と断定するのではなく、許容範囲を外れた理由を調べて品質を検証します。このケースでは、ルール違反と欠陥摘出の不足が確認されています。
関連キーワード: 品質管理指標、レビュー、欠陥密度、許容範囲、再レビュー




