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プロジェクトマネージャ 2010年 午後1 問04


請負契約の見積りに関する次の記述を読んで、設問1~4に答えよ。

 電機メーカN社は、市場競争力を強化するためにカーナビゲーションシステムの大幅なモデルチェンジを行うことにした。これまでのモデルチェンジと同様に、今回もP社を中心とするソフトウェア会社の協力を得て、既存のソフトウェア資産に追加・変更を行う方法で開発している。N社と各ソフトウェア会社は、外部設計と総合テストについては委任契約を、内部設計から結合テストまでは請負契約を締結することにしている。P社のプロジェクトマネージャは、Q課長である。開発は順調に進んでいて、現在は8週間の工期であった外部設計が、完了間近となっている。   〔N社、P社、W社の関係〕  P社は、N社のカーナビゲーションシステムの開発に、機能Gの開発担当として5年前から参加し、ほぼ1年に1回のペースで行われるモデルチェンジに対応してきた。機能Gには、W社のソフトウェア製品X(以下、製品Xという)をカスタマイズしたものが、表示系のソフトウェアエンジンとして組み込まれている。これまでのモデルチェンジでも、要件の追加・変更に伴って、機能G、製品Xともにソフトウェアの追加・変更が必要であったが、今回は大幅なモデルチェンジであり、追加・変更要件も多い。  図に示すように、W社はN社との間に製品Xのライセンス契約を締結しているが、P社との間には直接の契約関係はない。W社は製品Xのカスタマイズに同意しており、N社とW社との契約には、次の内容が盛り込まれている。  ・W社は、機能Gの内部設計開始の3週間前までにカスタマイズ後の製品XのAPI(Application Program Interface)仕様書をN社に提示する。N社はこの仕様書をP社に開示することができる。  ・W社は、P社が行う機能Gの結合テスト開始時までに、製品XをN社に提供する。N社は製品XをP社に提供することができる。  ・機能Gの結合テストで検出された製品Xの欠陥は、機能Gの結合テスト完了に支障を与えないよう、速やかに改修する。  ・W社は、N社からの技術的な問合せに対応する。また、N社から技術レビューの要請があった場合は、両社で必要性を協議し、合意を得た上で開催する。  機能Gの結合テストでは複雑な競合条件や高負荷状態での挙動に関するテストが計画されている。製品Xを単純なスタブで代替してテストを進めることはできないので、製品Xの品質は機能Gの結合テストに大きな影響を与える。
プロジェクトマネージャ試験(平成22年 午後1 問4 N社、P社、W社の契約関係)
 過去の大規模なモデルチェンジの際に、製品Xは結合テストで欠陥の多発及び欠陥改修に伴って新たな欠陥を作り込むなどの品質低下を発生させた。このときP社は、製品Xの欠陥が原因で発生した問題事象の切分けや再テストの作業量の増加によって、計画以上のコストを費やした。このような問題が発生した背景として、Q課長は、次のようなことがあったと総括していた。  ・N社からW社へ提示している製品Xに対するカスタマイズの仕様書には、機能Gから製品XのAPIを呼び出す際の前提条件や、複数のAPIを呼び出す場合の詳細なシーケンスとタイミングまでは記述されていなかった。  ・このような仕様のあいまいさは、カスタマイズの仕様書を提示する段階で極力明らかにし、更に機能Gの設計を進める過程で早期に解消するべきだが、3社ともに、その活動が十分ではなかった。  その後のモデルチェンジでは、製品Xへの追加・変更は軽微なものが多く、上記の総括に該当するようなことはなかった。今回は製品Xにも大きな追加・変更があるので、Q課長は問題を再発させないために、①N社・P社・W社の3社で、製品Xの技術レビューを実施することを、プロジェクトの開始時点でN社に対して提案していた。N社はP社の提案を受け入れたが、N社から打診を受けたW社は、“ここ数年の活動に問題が生じておらず、問題があっても結合テストの期間で対応できる”として必要性を認めず、提案は実現しなかった。   〔P社の見積りのガイドライン〕  P社では、過去のプロジェクトの経験と実績を基に、見積りのガイドラインを次のように整理している。  ・開発の難易度とチームの開発能力から、表1を用いて基準生産性を求める。
プロジェクトマネージャ試験(平成22年 午後1 問4 表1)
 ・開発規模と基準生産性から工数を求め、その工数から社内の標準計算式を用いて標準工期を求める。  ・計画の工期が標準工期よりも短い場合は、短くなるほど実績生産性が低下する。実績生産性がどこまで低下するかは、過去のプロジェクトの実績から推測する。  ・見積りと実績に差異を発生させる外部の変動要因を十分に見極めることが重要である。その際、仕様だけではなく、開発に影響を与える要因を広く視野に入れる。  Q課長は前回までのモデルチェンジの見積提案で、製品Xの品質に関する前提条件を明示していなかった。その結果、製品Xの欠陥が多発してコストが増えた際には、見積りとの差異の明確な根拠を示すことができず、コスト増の一部を負担することになった。Q課長はこの反省を踏まえ、過去の開発における②製品Xに関するある実績値を参考に、今回の見積りの前提条件となる見込値を設定して、見積りに活用しようと考えている。また、その見込値については③結合テスト完了時の最終的な値だけではなく、結合テスト開始時からの時系列の値を、過去の実績値の発生傾向を参考にして設定し、変動の発生に備えておくことにした。Q課長は今回の見積りで成果が出れば、見積りのガイドラインに次の一文を追加する提案をしようと考えている。  ・外部の変動要因に関する前提条件は、見積りと実績との差異を明示できるようにa提示し、変化があった場合の対応を顧客と明確にb。   〔請負契約の見積り〕  Q課長はN社から請負契約の見積りを依頼された。工期は内部設計・製造が4月~7月の4か月間、結合テストが8月~10月の3か月間である。この時点で、機能Gに関する80件の変更要件のうち、75件については外部設計が完了しており、残りの5件については仕様上の未確定事項が残っている。Q課長は、ある前提の下に開発規模を123.5kステップ、見積りのガイドラインから基準生産性を1.19kステップ/人月と見積もり、そこから標準工期を7.58か月と求めた。そして、表2に示すP社の過去の実績生産性データを参照して、今回のプロジェクトの実績生産性は、同種の過去プロジェクトαよりc、βよりd、γよりeなると考えた。
プロジェクトマネージャ試験(平成22年 午後1 問4 表2)
 Q課長は、あらかじめ検討したとおり、製品Xの品質に関する前提条件を提案書に明記した。仕様上の未確定事項が残っている5件の変更要件については見積りに含め、これら5件について④工程と作業量に関する見積りの前提条件を設定した。また、見積りの前提条件が変化した場合は、その変化に関するP社の責任の割合を速やかにN社と協議した上で、責任に応じた契約上の取扱いをすることを明記して、N社に提示した。N社とP社は、P社の提案内容で合意し、請負契約を締結した。   〔製品Xの品質不良〕  P社の内部設計・製造工程は計画どおりに完了し、8月には結合テストが始まった。結合テストの初期段階で、製品Xの欠陥が多数検出された。Q課長は、このままでは結合テスト完了時の最終的な製品Xの品質は見積りの前提条件と大きく異なることになると判断した。Q課長はN社に対してこの認識を説明し、⑤契約における費用面の変更に関して合意した。またQ課長は、今後、製品Xの改修に伴って新たな欠陥が作り込まれ、それまでの結合テストで正常動作を確認済の範囲に影響を及ぼし、結合テストが大きく手戻りすることを危惧した。そこでQ課長は、⑥その影響を最小化するためにP社が実施する活動について、別途予算を確保してもらうよう提案し、N社はこの提案を受け入れた。

設問1:

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本文中の下線①の技術レビューについて、Q課長は機能Gの開発のどの工程で実施するのが最も適切だと考えていたか答えよ。

模範解答

外部設計

解説

解答の導き方

この設問では、製品Xの技術レビューを、機能Gの開発工程のどこで行うのが適切かを考えます。
過去の問題は、機能Gから製品XのAPIを呼び出す際の前提条件や、複数のAPIを呼び出す順序・タイミングが明確でなかったことに起因していました。したがって、技術レビューでは、機能Gと製品Xの間の仕様や連携方法を早い段階で確認し、あいまいさを解消する必要があります。
本文では、W社が「機能Gの内部設計開始の3週間前までに」製品XのAPI仕様書をN社に提示し、N社はそれをP社に開示できるとされています。つまり、内部設計に着手する前に、P社もAPI仕様書を確認できるため、仕様を機能Gの設計に反映する前にレビューできます。
内部設計や結合テストに入ってから問題を見つけると、設計やテストの手戻りにつながります。そのため、API仕様を確認し、機能Gとの連携に関する不明点を解消する技術レビューは、外部設計の工程で行うのが最も適切です。

誤りやすいポイント

  • 結合テストで製品Xの品質が問題になったことから、レビューも結合テストで行うと考えることです。結合テストは動作を確認する工程であり、仕様のあいまいさを早期に解消するには遅すぎます。
  • 内部設計で行うと考えることです。API仕様書は内部設計開始前に提示されるため、その内容を確認して連携仕様を固める機会は、内部設計に入る前に設けるのが適切です。
  • 技術レビューの目的を、製品X単体の品質確認だけだと捉えることです。機能GとのAPIの呼出し条件や順序など、両者の連携に関する仕様も確認する必要があります。

FAQ

Q: なぜ外部設計の段階でレビューするのですか?
A: API仕様を機能Gの設計に反映する前に、連携条件や不明点を確認し、後工程の設計・テストでの手戻りを防ぐためです。
Q: 内部設計開始前にAPI仕様書が提示されることは、工程の判断にどう関係しますか?
A: 提示された仕様書を確認して、内部設計に進む前に技術レビューを実施できることを示しています。
Q: 結合テストで問題を見つけてから対応するのでは不十分ですか?
A: 結合テストで仕様の問題が明らかになると、原因の切分けや再テストが必要になり、工数や手戻りが増えるため、レビューで早期に解消するのが適切です。

関連キーワード: 外部設計、内部設計、API仕様、技術レビュー、仕様の曖昧さ

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設問2:〔P社の見積りのガイドライン〕について、(1)~(3)に答えよ。

設問2(1)

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本文中の下線②で、見込値の設定をする上で参考にした実績値の具体的な項目内容を25字以内で述べよ。

模範解答

・結合テストで検出した製品Xの欠陥数 ・製品Xの欠陥で再テストを行った結合テストケース数 ・製品Xの欠陥によるP社の対応コスト

解説

解答の導き方

この設問では、今回の見積りの前提条件を設定する際に、過去の開発実績からどのような数値を参考にするかが問われています。単に製品Xの品質を評価するのではなく、品質の違いが結合テストの作業や費用にどう影響したかを捉えることがポイントです。
まず、過去の問題について、本文には「製品Xは結合テストで欠陥の多発」や「欠陥改修に伴って新たな欠陥を作り込む」ことがあったとあります。この記述から、製品Xの品質を示す実績値として、結合テストで検出した製品Xの欠陥数が考えられます。
次に、その欠陥がP社の作業に与えた影響を確認します。本文には、製品Xの欠陥が原因で「問題事象の切分けや再テストの作業量の増加」が発生したとあります。したがって、欠陥の影響を作業量の面から捉える実績値として、製品Xの欠陥で再テストを行った結合テストケース数も参考になります。
さらに、本文ではP社が計画以上のコストを費やしたことも述べられています。そのため、品質不良による影響を費用の面から捉えるなら、製品Xの欠陥によるP社の対応コストが実績値の候補になります。
つまり、参考にする値は、製品Xの欠陥そのものを数えるものだけではありません。欠陥によって増えた再テストや、P社が負担した対応コストも含め、品質の問題が開発に与えた影響を表す実績値を選びます。本文には、その値を「結合テスト開始時からの時系列の値」として設定するとあります。今回の前提条件と過去実績を比較しやすくするため、欠陥の発生やその影響を数量で把握できる値が適切です。

誤りやすいポイント

  • 製品Xの品質を「良い・悪い」といった評価だけで表し、数値としての実績項目を挙げないことです。設問は、見込値の設定に参考にする具体的な項目を尋ねています。
  • 欠陥数だけに限定することです。本文は、欠陥の発生だけでなく、切分けや再テストの作業量、計画以上のコストにも触れています。
  • 機能Gの開発規模や基準生産性を答えることです。ここで問われているのは、製品Xの品質や欠陥が結合テストとP社の作業に及ぼした影響に関する実績値です。
  • 結合テスト完了時点の最終値だけを意識することです。本文では、結合テスト開始時からの時系列の値を設定するとしています。

FAQ

Q: 欠陥数だけではなく、再テストケース数や対応コストも候補になるのはなぜですか?
A: 製品Xの欠陥は、検出された数だけでなく、問題の切分けや再テスト、追加の対応作業を通じて工数や費用にも影響するためです。過去の影響を複数の観点から数値化できます。
Q: これらの実績値は、今回の見積りにどう使いますか?
A: 過去の実績を参考に、今回どの程度の欠陥や追加作業、対応コストが発生すると見込むかを設定し、見積りの前提条件として明示します。
Q: なぜ時系列の値も設定するのですか?
A: 結合テストの途中で実績が見込値からどの程度ずれているかを把握し、最終段階まで待たずに変化へ対応するためです。

関連キーワード: 見積り前提条件、実績データ、結合テスト、欠陥管理、再テスト、工数管理

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設問2(2)

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本文中の下線③について、Q課長が最終的な値だけではなく、時系列の値を設定した意図を35字以内で述べよ。

模範解答

・見積りの前提条件からのかい離を早期に検出する。 ・製品Xの欠陥が多発した場合のP社側作業量の増加に備える。

解説

解答の導き方

  1. ここで時系列に設定するのは、製品Xの品質に関する見込値です。本文では、最終的な値だけでなく「結合テスト開始時からの時系列の値」を、過去の実績値の発生傾向を参考にして設定するとしています。つまり、結合テストの進行に伴って、品質がどのように推移するかを見込んでおくということです。
  2. 最終的な値だけを見込んでいては、実際の品質が見込んだ推移から外れ始めても、結合テスト完了時まで気付けないおそれがあります。時系列の見込値があれば、実際の状況と途中段階から比較できるため、見積りの前提条件からのかい離を早く捉えられます。
  3. 早期に把握する必要があるのは、品質の差だけではありません。過去には製品Xの欠陥が多発し、P社は問題事象の切分けや再テストに多くの作業を要しました。今回も製品Xの品質が機能Gの結合テストに大きく影響するため、欠陥が多発する傾向を早く察知し、P社側の作業量増加に備える必要があります。
以上から、時系列の見込値を設定する意図は、見積りの前提条件からのかい離を早期に検出するとともに、製品Xの欠陥が多発した場合のP社側作業量の増加に備えることです。

誤りやすいポイント

  • 最終的な品質を正確に予測することだけが目的だと考えることです。問われているのは、途中の値も設定する意図です。
  • 品質の変化を監視するだけで、見積りの前提条件からのかい離を早期に検出する点を見落とすことです。
  • 製品Xの改修作業だけに注目し、欠陥の切分けや再テストによってP社の作業量が増える点を忘れることです。

FAQ

Q: なぜ結合テスト完了時の値だけでは不十分なのですか。
A: 完了時の値だけでは、品質が見込みから外れ始めた時期を把握できません。時系列で比較することで、問題の兆候を早い段階で見つけられます。
Q: 品質のかい離が、なぜP社の作業量に関係するのですか。
A: 欠陥が多発すると、原因の切分けや改修後の再テストが増えます。そのため、品質の変化はP社の作業量やコストにも影響します。
Q: 時系列の見込値は、何のために過去の実績を参考にするのですか。
A: 過去の品質の推移を参考にすることで、今回の結合テスト中に想定される変化を見込み、実際の推移との比較に使えるようにするためです。

関連キーワード: 見積り前提条件、実績値、時系列分析、差異分析、品質管理、作業量見積り

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設問2(3)

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本文中のa、bに入れる適切な字句を答えよ。

模範解答

a:数値化して又は具体的に b:合意する

解説

解答の導き方

  1. この空欄では、見積りの前提条件をどのように示し、前提に変化があった場合に顧客とどうするかを問われています。単に前提条件を記載するだけでなく、見積りと実績の差を説明できるようにすることがポイントです。
  2. 本文では、Q課長が前回まで製品Xの品質に関する前提条件を明示していなかったため、欠陥が多発してコストが増えた際に「見積りとの差異の明確な根拠を示すことができず」、コスト増の一部を負担したとあります。この反省から、前提条件は後から見積りとの比較ができる形で示す必要があります。そのため、前提条件を「数値化して又は具体的に」提示するという考え方になります。
  3. また、前提条件が変化した場合に、見積りや契約上の扱いを一方的に決めるのではなく、顧客とあらかじめ取り決めておく必要があります。本文でも、変化があった場合の対応を顧客と明確に決めることが示されています。したがって、bには「合意する」が入ります。

誤りやすいポイント

  • 前提条件を「明記する」だけでは、見積りと実績の差異を明らかにできるとは限りません。比較できるように、数値化するか、少なくとも内容を具体的に示す必要があります。
  • 前提条件に変化があった場合の対応は、P社だけで決めるものではありません。顧客と合意しておくことが重要です。
  • 問われているのは、外部の変動要因そのものをなくす方法ではなく、その要因に関する前提と、変化時の対応を見積り時に明確にする方法です。

FAQ

Q: なぜ前提条件を数値化する必要があるのですか?
A: 数値で示せれば、実績と比較して差を確認しやすくなり、見積りとの差異を説明する根拠になります。数値化が難しい場合でも、条件を具体的に示すことが大切です。
Q: 前提条件に変化があった場合、顧客との合意はなぜ必要ですか?
A: 変化による費用や作業への影響をどう扱うかを、当事者間で明確にするためです。見積りの前提から外れた場合の対応をあらかじめ共有できます。
Q: この設問でいう外部の変動要因は、仕様だけを指しますか?
A: いいえ。本文では、仕様だけでなく、開発に影響を与える要因を広く視野に入れることが示されています。

関連キーワード: 見積り前提条件、外部変動要因、差異分析、リスク管理、契約変更

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設問3:〔請負契約の見積り〕について、(1)、(2)に答えよ。

設問3(1)

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本文中のc~eに入れる適切な字句を、それぞれ答案用紙の“高く・低く”のいずれかの文字を○印で囲んで示せ。

模範解答

c:低く d:高く e:低く

解説

解答の導き方

この設問では、今回の実績生産性を、過去の各プロジェクトの実績生産性と比べます。今回の実績生産性はまだ分からないため、計画工期が標準工期よりどの程度短いかを手掛かりにして推測します。
見積りのガイドラインには、「計画の工期が標準工期よりも短い場合は、短くなるほど実績生産性が低下する」とあります。また、表2を見ると、工期が標準工期より長かったαとγは、実績生産性が基準生産性を上回っています(αは1.19に対して1.20、γは1.32に対して1.41)。一方、工期が標準工期より短かったβは、基準生産性1.19に対して実績生産性が1.01に下がっています。
今回の基準生産性は1.19kステップ/人月、標準工期は7.58か月です。工期は7.0か月なので標準工期より短く、今回の実績生産性は基準生産性の1.19より低くなると考えられます。
  • αは、基準生産性が今回と同じ1.19kステップ/人月です。工期は7.0か月で、標準工期の6.78か月より長く、実績生産性は1.20kステップ/人月と基準生産性を上回っています。今回は工期が標準工期より短く、基準生産性を下回ると見込まれるため、今回の実績生産性はαより低くなると考えられます。したがって、cは「低く」です。
  • βも、基準生産性は今回と同じ1.19kステップ/人月です。工期の5.0か月は標準工期の6.14か月より短く、実績生産性は1.01kステップ/人月です。今回も標準工期より短いものの、標準工期に対する工期の割合は今回が 、βが で、今回の方が短縮の度合いは小さくなっています。「短くなるほど実績生産性が低下する」ので、今回の低下はβより小さく、今回の実績生産性はβより高くなります。したがって、dは「高く」です。
  • γの実績生産性は1.41kステップ/人月です。γは開発の難易度が「普通」で基準生産性が1.32kステップ/人月と今回より高く、工期も標準工期の5.63か月より長い6.5か月です。一方、今回は基準生産性が1.19kステップ/人月で、工期も標準工期より短いため、1.19を下回ると見込まれる今回の実績生産性はγより低くなると考えられます。したがって、eは「低く」です。
βとの比較では、工期の月数だけで比べず、それぞれの標準工期に対して計画工期がどれだけ短いかを見ることが重要です。プロジェクトの規模が異なるため、標準工期を基準に比較します。

誤りやすいポイント

  • 工期の月数だけを比べてしまうことです。プロジェクトごとに標準工期が異なるため、計画工期が標準工期より長いか短いかを確認します。αと今回はどちらも工期7.0か月ですが、標準工期との関係は逆です。
  • 今回も標準工期より短いから、過去のプロジェクトより必ず生産性が低いと考えることです。βのように、今回より工期短縮の度合いが大きいプロジェクトとの比較では、今回の生産性のほうが高くなります。
  • 基準生産性と実績生産性を混同することです。基準生産性は難易度やチームの開発能力から求める値であり、実績生産性には工期の影響も反映されます。

FAQ

Q: 今回の工期が7.0か月で、βの工期が5.0か月なら、今回のほうが工期は長いので生産性も高いということですか?
A: 月数だけでは判断できません。今回の標準工期は7.58か月、βの標準工期は6.14か月なので、それぞれの標準工期に対して計画工期がどれだけ短いかを比べます。
Q: 基準生産性が同じプロジェクト同士なら、実績生産性も同じになりますか?
A: 同じにはなりません。表2のαとβは基準生産性がどちらも1.19ですが、工期と標準工期の関係が違うため、実績生産性は1.20と1.01に分かれています。
Q: 標準工期より長い工期にすれば、生産性は必ず上がりますか?
A: ガイドラインが述べているのは、標準工期より短い場合に生産性が低下することだけです。表2のαやγでは基準生産性を上回る実績が出ていますが、工期を延ばせば必ず生産性が上がるとまではいえません。

関連キーワード: 基準生産性、標準工期、実績生産性、工期短縮、見積り

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設問3(2)

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本文中の下線④の工程と作業量について、Q課長が設定した前提条件の内容を、それぞれ20字以内で述べよ。

模範解答

工程:仕様確定時期に関する条件 作業量:  ・外部設計の完了後に再見積りを行う条件  ・要件の影響範囲の想定規模に関する条件

解説

解答の導き方

この設問では、仕様が確定していない5件の変更要件を見積りに含めるに当たり、工程と作業量についてどのような前提を置いたかを問われています。
まず、本文では「仕様上の未確定事項が残っている」とあります。仕様がいつ確定するかによって、設計や後続工程をいつ進められるかが変わります。そのため、工程については、未確定事項の仕様をいつまでに確定するかという条件を置くのが適切です。
次に、仕様が確定するまでは、変更要件の具体的な作業量を正確に見積もれません。そこで、外部設計が完了して内容が明らかになった段階で、作業量を見直す条件を設定します。また、作業量の見積りには、要件変更の影響がどの範囲まで及ぶかという想定も必要です。影響範囲が想定より大きければ、必要な作業量も増えるためです。
このように、工程の前提は仕様が確定する時期に関する条件であり、作業量の前提は外部設計後に再見積りする条件と、要件の影響範囲の想定規模に関する条件になります。

誤りやすいポイント

  • 仕様が未確定であることだけを述べ、仕様確定の時期に関する条件まで示さないと、工程の前提が明確になりません。
  • 「外部設計の完了後に再見積りを行う」は、仕様が明らかになった後に作業量を見直すための条件です。工程の前提と混同しないようにします。
  • 作業量の前提では、再見積りの時期だけでなく、要件の影響範囲をどの程度と見込むかも押さえる必要があります。
  • 未確定の要件を見積りから除外するのではなく、前提条件を明示して見積りに含める点が重要です。

FAQ

Q: なぜ仕様確定の時期が工程の前提になるのですか?
A: 仕様が確定しないと後続の設計などに進めない場合があり、確定時期が遅れると工程にも影響するためです。
Q: 外部設計後に再見積りを行うのは、なぜですか?
A: 外部設計が進むことで未確定事項の内容や影響範囲が明らかになり、作業量をより適切に見直せるためです。
Q: 要件の影響範囲を前提にするのは、なぜですか?
A: 変更が及ぶ範囲によって必要な作業量が変わるため、どの程度の範囲を想定して見積もったのかを明確にする必要があるためです。

関連キーワード: 見積り前提条件、外部設計、再見積り、要件変更、影響範囲

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設問4:〔製品Xの品質不良〕について、(1)、(2)に答えよ。

設問4(1)

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本文中の下線⑤についての具体的な合意内容を、40字以内で述べよ。

模範解答

製品Xの品質が前提条件からかい離したことによるコスト増は、N社負担とする。

解説

解答の導き方

  1. 下線⑤で問われているのは、製品Xの品質不良を受けて合意した「契約における費用面の変更」の具体的な内容です。したがって、品質不良の原因そのものではなく、品質不良によって発生するコストをどちらが負担することになったかを読み取ります。
  2. 見積りの段階で、Q課長は製品Xの品質について前提条件を提案書に明記しています。また、見積りの前提条件が変化した場合には、「P社の責任の割合を速やかにN社と協議」し、「責任に応じた契約上の取扱い」をすることも明記しています。つまり、前提条件と実際の状況に差が生じた場合、その差による費用を誰が負担するかを協議する取り決めがありました。
  3. 結合テストの初期段階で製品Xの欠陥が多数見つかり、Q課長は、最終的な品質が「見積りの前提条件と大きく異なる」と判断しています。この品質のかい離によって追加の作業やコストが生じるため、その費用の扱いをN社と合意する必要があります。
  4. この場合、P社の作業に起因する費用増ではなく、見積りの前提条件としていた製品Xの品質が実際と異なったことによるコスト増です。そのため、合意内容は、そのコスト増をN社が負担するというものになります。

誤りやすいポイント

  • 製品Xに欠陥があることだけを述べて、追加コストの負担者を書かないと、費用面の変更への回答になりません。
  • P社が請負契約を結んでいることから、品質不良によるコスト増もすべてP社負担だと考えないようにします。本文では、見積りの前提条件が変化した場合の取扱いを別途定めています。
  • W社が製品Xを提供していることだけを根拠に、W社がN社・P社間の契約上の費用を負担すると答えないようにします。設問で問われているのは、N社とP社が合意した費用面の変更です。

FAQ

Q: なぜ品質不良によるコスト増をP社の負担としないのですか。
A: 見積り時に置いた製品Xの品質という前提条件が実際と大きく異なっており、その変化によるコスト増として扱うためです。
Q: この設問では、W社が製品Xの欠陥改修を行うかどうかを答えるのですか。
A: いいえ。問われているのは、製品Xの品質が前提条件からかい離した場合の、N社とP社間の費用負担です。

関連キーワード: 請負契約、見積り前提条件、外部変動要因、責任分担、契約変更

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設問4(2)

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本文中の下線⑥はどのような活動か。35字以内で述べよ。

模範解答

・改修後の製品Xに対する機能Gを用いた回帰テストの実施 ・改修後の製品Xに対する機能Gを用いたリグレッションテストの実施

解説

解答の導き方

  1. Q課長が心配しているのは、製品Xの改修によって新たな欠陥が作り込まれることです。さらに、その欠陥が「それまでの結合テストで正常動作を確認済の範囲」に影響し、テストの手戻りが大きくなることを懸念しています。
  2. したがって、改修後に製品Xを機能Gと組み合わせ、すでに確認した機能にも問題が生じていないかを再確認する必要があります。
  3. このように、変更による既存機能への影響を確認するテストは回帰テスト(リグレッションテスト)です。対象は、改修後の製品Xを使った機能Gの動作確認となります。

誤りやすいポイント

  • 新たに見つかった欠陥だけを直して再確認する「修正確認テスト」と混同しないようにします。ここで重視するのは、改修が済んだ後に、すでに正常と確認した範囲への影響を確認することです。
  • 製品Xだけを単独でテストするのではなく、製品Xを組み込んだ機能Gを用いて確認する点が重要です。
  • 結合テスト全体を最初からやり直すことではなく、改修による影響を受ける可能性のある既存の動作を再確認する活動です。

FAQ

Q: 欠陥を修正した後に、修正箇所だけを確認するのでは不十分なのですか?
A: 修正箇所が直ったことだけでは、修正によって別の機能に新たな欠陥が生じていないか分かりません。そのため、既に確認済みの範囲への影響も調べます。
Q: なぜ機能Gを用いてテストするのですか?
A: 製品Xは機能Gに組み込まれて使われるため、機能Gと組み合わせた状態で、実際の連携動作への影響を確認する必要があるからです。
Q: 回帰テストは、結合テストのやり直しと同じですか?
A: 同じではありません。改修後の影響を確認するため、関連する既存のテストを選んで再実行する活動です。

関連キーワード: 回帰テスト、結合テスト、欠陥修正、影響範囲、再テスト

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