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プロジェクトマネージャ 2011年 午後1 問01


システム開発プロジェクトにおけるスケジュール管理に関する次の記述を読んで、設問1〜3に答えよ。

 S社は、大型製造装置の設計から施工までを請け負うエンジニアリング企業である。大型製造装置の設計から施工までの業務は、本社、現場事務所、協力会社などで、設計ドキュメントを確認しながら進める必要がある。そこで、クライアントサーバ型のT社製の文書管理ソフトウェアパッケージに様々な機能を追加開発した設計ドキュメント管理システム(以下、現EDMSという)を使い、業務を遂行してきた。設計データの整合性を保つために、本社のサーバと現場事務所、協力会社の事務所などの拠点に設置しているサーバの間で、夜間バッチ処理によってデータを複製して運用してきたが、次のような問題が顕在化してきた。  ・拠点間でデータがリアルタイムに共有できない。  ・拠点ごとにサーバの構築や運用支援が必要であり、拠点の運用要員の負荷が大きい。  ・文書管理ソフトウェアパッケージはWebに対応した新しいバージョン(以下、新バージョンという)が既に発売されており、今後、現EDMSが使っているバージョン(以下、旧バージョンという)のサポートが受けられなくなる。  S社は、これらの問題を解消するために、本社にサーバを設置し、各拠点からはインターネットを経由して本社のサーバ上にあるデータを利用する新しい設計ドキュメント管理システム(以下、新EDMSという)を構築するプロジェクトを立ち上げた。構築に当たっては、文書管理ソフトウェアパッケージの新バージョンへの移行も併せて行う。プロジェクトマネージャは、S社情報システム部で、現EDMSの開発を担当したK氏が担当することになった。新EDMSの利用者となる事業部門からは、次の大型製造装置の設計開始が予定される1年後までに開発を完了させるよう要請を受けている。   〔プロジェクト計画の策定〕  K氏は、プロジェクトの本格的な活動に先立ち、主要メンバとともに2か月を掛けて、新バージョンの機能調査、現EDMSの課題の洗い出しと新EDMSに求められる要件の調査・分析を行った。  K氏はこの結果を基に、プロジェクト計画の策定に取り掛かった。まず、成果物を洗い出し、それらを作成するための作業項目を設定した。次に、それらの作業項目の所要期間の見積りと、要員の検討を行った。K氏は、作業項目を2チームに割り振り、開発チームが新バージョンをベースにした新EDMSの開発を担当し、基盤チームがインターネット経由で新EDMSを利用するためのサーバの導入を含めた基盤整備を担当することにした。  K氏は、開発チームの要員の検討に当たって、品質確保・生産性向上の観点から、外部設計、内部設計、プログラム製造には、新バージョンでの開発スキルをもった要員の確保が必要であると考えた。そこで、T社に要員の派遣を要請したが、“開発のできる要員をプロジェクトの開始段階からすぐに専任で参加させることを確約することはできない。プログラム製造からであれば、開発のできる要員を専任で参加させることは約束できる。”との回答であった。この回答を受けてK氏は、品質確保の観点で不安はあるものの、外部設計、内部設計はS社の要員にスキルを習得させて対応することに決め、旧バージョンに詳しく、新バージョンの機能調査を行った要員に設計を担当させることにした。S社の要員だけで実施する場合、資料の確認や、機能調査や問合せの時間が必要となり、生産性が低下することを考慮し、外部設計と内部設計の期間を長めに設定することにした。T社に対しては、新バージョンの技術情報の提供、外部設計と内部設計での必要に応じた支援、及びプログラム製造から要員を専任で参加させることを依頼し、同意を得た。  これらの結果を踏まえ、K氏は、作業項目ごとの所要期間(月数)を設定し、表1に示す一覧表にまとめ、さらに、図1の作業工程図を作成した。K氏は、この作業工程図を基に、今後10か月のプロジェクト計画を策定し、プロジェクトをスタートした。
プロジェクトマネージャ試験(平成23年 午後1 問1 表1) ↩設問3(3)
〔スケジュールマネジメント計画〕  K氏は、プロジェクトを進めるに当たって、スケジュールマネジメント計画を検討した。  K氏は、この作業工程図から判断する限り、開発チームの作業の進捗状況を重点的に管理する必要があると考えた。また、開発チームの外部設計と内部設計の進捗状況を管理する上では、本プロジェクトの体制面のリスク要因を考慮し、その影響が出ていないかどうかを把握するために、ある観点に注意して管理する必要があると考えた。そこで、成果物をより詳細な要素成果物に分解した上で、各要素成果物の完成の判定基準を設定し、定例ミーティングで確認することにした。K氏は、その状況把握を更に徹底するために、開発チームに対して、社内のレビューに加えて、あるアクティビティを実施し、結果を報告するよう指示した。設計以外の作業項目についても、それぞれの担当チームに対して、主要なマイルストーンを設定し、定例ミーティングでの状況確認を徹底し、報告するよう指示した。   〔計画変更〕  K氏がプロジェクトを開始した直後に、S社は海外の企業から大型製造装置の設計から施工までを受注した。それを受けて、事業部門から情報システム部に対して、“受注した大型製造装置の業務の遂行には、新EDMSを使いたいので、8か月で完成させてほしい”との要望が寄せられた。その大型製造装置の設計から施工までの業務は期間が長く、一度システム環境を設定してしまうと途中で変更するわけにはいかず、かつ、多くの海外の協力会社が参加するので、どうしても最初から新EDMSを使いたいとのことであった。  K氏は、拠点の運用要員の負荷を軽減するためにも、事業部門の要望を満足させたいと考えた。そのためには、スケジュールを2か月間短縮する必要があり、その対策を検討することにした。  K氏は、できるだけ前倒しで作業期間を短縮するために、システムテスト開始までの作業でスケジュールを2か月間短縮することにした。まず、開発チームに追加要員を投入し、外部設計からプログラム製造までの作業期間を短縮する対策を検討した。特に、外部設計と内部設計についての対策においては、ある内容について、T社と改めて交渉しなければならないと考えた。また、K氏は、作業工程図を基に、T社の同意が得られたとしても、この一つ目の対策だけでは、スケジュールを2か月間短縮する対策としては十分でないと判断し、もう一つの対策についても検討を行った。その結果、二つの作業項目について、S社の要員を追加で投入することで、作業期間を短縮できると判断し、スケジュールの再設定を行った。

設問1:〔プロジェクト計画の策定〕について、(1)、(2)に答えよ。

設問1(1)

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図1の作業工程図中の①~⑧に入れる適切な数字又は作業IDを答えよ。

模範解答

①:G ②:1 ③:8 ④:8 ⑤:8 ⑥:8 ⑦:0 ⑧:0

解説

解答の導き方

  1. 図1の中央の合流ノードがどの作業かを確認します。表1では、Gの先行作業が「C、F」となっています。つまり、CとFの両方が終わってから始める作業がGなので、中央のノードの作業IDである①はGです。
  2. Gの最早開始を求めます。Cは図1から月6に終了します。一方、表1の作業期間と先行関係から、Dは月1~2、Eは月3~4、Fは月5~7となります。GはCとFの両方の完了を待つため、遅い方のFが終了した次の月、つまり月8に開始します。したがって、最早開始を表す③は8です。
  3. 表1ではGの所要期間が1か月です。月8に開始して1か月で終わるので、最早終了を表す④は8、所要期間を表す②は1です。
  4. 次に最遅時期を確認します。Gの後には、所要期間がそれぞれ1か月のH、Iが続きます。Gを月8に実施すれば、Hは月9、Iは月10となり、全体は月10に完了します。後ろからたどってもGを遅らせる余地はないため、最遅開始を表す⑤は8、最遅終了を表す⑥も8です。
  5. トータルフロートは、最遅開始と最早開始の差です。Gはいずれも月8なので、⑦は0です。また、Gの最早終了は月8で、後続のHは月9に開始します。両作業の間に空き期間はないため、フリーフロートを表す⑧も0です。

誤りやすいポイント

  • GはCだけでなくFの完了も待ちます。先行作業のうち早く終わる方ではなく、遅く終わるFを基準に開始時期を判断します。
  • 所要期間が1か月の場合、開始と終了は同じ月です。月8に始まるGの終了も月8です。
  • トータルフロートとフリーフロートは、どちらもこの作業では0ですが、計算の見方は異なります。トータルフロートは最早・最遅の差、フリーフロートは後続作業の開始を遅らせずに使える余裕です。
  • 作業IDと所要期間を取り違えないよう、図1のノード内の位置に合わせて値を入れます。

FAQ

Q: Gの開始時期は、なぜCの終了後すぐではないのですか。
A: GにはCとFの両方が先行します。FがCより後の月7に終了するため、Gはその次の月に開始します。
Q: Gの最遅開始も月8になるのはなぜですか。
A: Gの後にH、Iが続き、全体の完了が月10です。後続作業の開始を遅らせないように後ろからたどると、Gを月8より後に開始する余地がありません。
Q: フリーフロートが0とは、どういうことですか。
A: Gを遅らせると、後続のHの開始も遅れます。Gの終了からHの開始までに余裕がない状態です。

関連キーワード: 最早開始時刻、最遅開始時刻、クリティカルパス、トータルフロート、フリーフロート

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設問1(2)

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K氏が、作業項目を設定するときに、成果物の洗い出しから始めた理由は何か。30字以内で述べよ。

模範解答

・成果物を基に計画することで作業項目の漏れを防ぎたいから ・目に見える検証可能なもので進捗を把握したいから

解説

解答の導き方

  1. 本文には「まず、成果物を洗い出し、それらを作成するための作業項目を設定した」とあります。つまり、先に完成させるものを決め、それを作るために必要な作業を考える順序です。
  2. 成果物を先に決めると、各成果物を作るのに必要な作業を対応付けて確認できます。そのため、成果物に必要な作業の洗い出し漏れを防ぎやすくなります。
  3. また、成果物は作業の結果として確認できるものです。本文では、後に「各要素成果物の完成の判定基準を設定」して状況を確認するとしています。完成したかどうかを確かめられる成果物を基準にすれば、作業の進捗も把握しやすくなります。
したがって、理由は「作業項目の漏れを防ぐこと」または「確認できる成果物を基準に進捗を把握すること」の観点で説明できます。

誤りやすいポイント

  • 「作業を効率よく進めるため」のように、本文から直接読み取れない一般論だけを書くと、成果物から作業を設定する理由が伝わりません。
  • 成果物と作業項目を混同しないようにしましょう。成果物は作業の結果として作成するものであり、作業項目はその成果物を作るために行う作業です。
  • 進捗把握に触れる場合は、「成果物を確認して進捗を把握する」という関係が分かるように書きます。

FAQ

Q: 成果物を先に洗い出すと、なぜ作業の漏れを防げるのですか?
A: 作成すべきものを一つずつ確認し、それぞれに必要な作業を設定できるためです。作業だけを先に並べるより、必要な作業を成果物と対応付けて確認しやすくなります。
Q: 成果物を基準にすると、進捗はどのように把握できますか?
A: 成果物の完成状況を、あらかじめ定めた判定基準と照らし合わせます。これにより、作業がどこまで進んだかを確認できます。

関連キーワード: 成果物、作業分解、進捗管理、完了基準

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設問2:〔スケジュールマネジメント計画〕について、(1)~(3)に答えよ。

設問2(1)

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K氏が、作業工程図から判断する限り、開発チームの作業の進捗状況を重点的に管理する必要があると考えた理由は何か。30字以内で述べよ。

模範解答

開発チームの作業項目はすべてクリティカルパス上にあるから

解説

解答の導き方

  1. 問われているのは、開発チームの作業を重点的に管理する必要がある理由です。そこで、表1の所要期間と先行作業を使って、作業工程図の経路ごとの期間を比べます。
  2. まず、基盤チームが担当する経路は、A、B、Cの順に進みます。各作業の所要期間はそれぞれ2か月なので、Gに合流するまでに合計6か月かかります。
  3. 開発チームが担当する経路は、D、E、Fの順に進みます。所要期間は2か月、2か月、3か月なので、Gに合流するまでに合計7か月かかります。GはCとFの両方が先行作業なので、先に完了した経路があっても、両方が完了するまでは開始できません。したがって、Gの開始を左右するのは、より長いD、E、Fの経路です。
  4. Gの後には、H、Iが続きます。これらはD、E、Fと同じく、開発チームが担当する作業を含みます。そのため、開発チームが関わるD、E、F、G、H、Iは、いずれもプロジェクトの完了時期を決める最長の経路上にあります。
この経路上の作業には、遅れを吸収する余裕がありません。したがって、開発チームの作業項目はすべてクリティカルパス上にあることが、進捗状況を重点的に管理する理由になります。

誤りやすいポイント

  • 作業項目の数だけで、どのチームの管理を優先するか判断しないようにします。重要なのは、作業がクリティカルパス上にあるかどうかです。
  • GはCとFの両方を先行作業とするため、A、B、Cの経路だけを見てGの開始時期を判断するのは誤りです。
  • 開発チームが関わる作業のうち、D、E、Fだけでなく、後続のG、H、Iも経路に含めて考えます。

FAQ

Q: クリティカルパスとは何ですか?
A: 作業の順序と所要期間から求められる、プロジェクト全体の期間を決める最長の経路です。この経路上の作業が遅れると、プロジェクト全体の完了も遅れます。
Q: A、B、Cの経路は、なぜクリティカルパスではないのですか?
A: A、B、Cの所要期間の合計は6か月で、D、E、Fの合計7か月より短いからです。Gは両方の経路が完了してから始まるため、短い経路が完了しても、長い経路の遅れを補うことはできません。
Q: クリティカルパス上の作業には、どのような余裕がありますか?
A: プロジェクト全体の完了を遅らせずに使える期間の余裕(トータルフロート)がありません。そのため、進捗の確認を特に注意して行います。

関連キーワード: クリティカルパス、トータルフロート、先行作業、所要期間、ネットワーク工程図

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設問2(2)

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K氏が、開発チームの外部設計と内部設計の進捗状況を管理する上で、考慮すべきと考えた、本プロジェクトの体制面のリスク要因とは何か。30字以内で述べよ。また、注意して管理する必要があると考えたある観点とは何か。25字以内で述べよ。

模範解答

リスク要因:・新バージョンの開発スキルをもった要員が確保されていない。 観点:・品質が確保された上で進捗しているか  ・進捗だけでなく品質が確保されているか

解説

解答の導き方

  1. まず、外部設計と内部設計を担当する要員が、どのようなスキルをもっているかを確認します。K氏は品質確保・生産性向上のために「新バージョンでの開発スキルをもった要員の確保が必要」と考えていました。
  2. しかし、T社からは、開発要員をプロジェクト開始時から専任で参加させることは確約できず、「プログラム製造からであれば」参加させられるとの回答がありました。そのため、外部設計と内部設計はS社の要員が担当することになっています。
  3. S社の要員は旧バージョンに詳しく、新バージョンの機能調査も行っていますが、それだけでは新バージョンでの開発スキルをもった要員が設計を担当できるとは限りません。したがって、体制面のリスク要因は、新バージョンの開発スキルをもった要員が確保されていないことです。
  4. 次に、進捗状況を管理する際に注意する観点を考えます。本文には、S社の要員だけで設計を行うことについて「品質確保の観点で不安」があるとあります。このため、作業が予定どおり進んでいるかだけでなく、設計成果物の品質も確保されているかを確認する必要があります。つまり、品質が確保された上で進捗しているかが、注意すべき観点です。

誤りやすいポイント

  • 旧バージョンに詳しいことと、新バージョンでの開発スキルがあることを同じと考えないようにします。本文では、旧バージョンに詳しい要員が新バージョンの機能調査を行った上で設計を担当するとしていますが、新バージョンの開発スキルをもった要員が確保されたとは書かれていません。
  • 外部設計と内部設計の期間を長めに設定したことは、調査や問合せにかかる時間を見込んだ対応です。スケジュールに余裕を設けても、設計を担当する要員のスキルに関するリスクがなくなるわけではありません。
  • 進捗だけを確認する答えにしないようにします。本文で示されている懸念は品質にも関わるため、進捗と品質の両方を確認する必要があります。

FAQ

Q: 旧バージョンに詳しい要員を設計に割り当てれば、リスクは解消されますか。
A: いいえ。新バージョンの機能を調査したことは分かりますが、新バージョンでの開発スキルをもつ要員が設計段階から確保されたことにはなりません。
Q: 設計期間を長めに設定したのは、品質を確保するためですか。
A: 本文では、資料の確認、機能調査、問合せに時間が必要で、生産性が低下することを考慮したと説明されています。品質面のリスクについては、期間の設定とは別に、進捗と品質の状況を確認する必要があります。
Q: 進捗と品質は、なぜ合わせて確認するのですか。
A: 予定どおり作業が進んでいても、設計成果物に問題があれば後工程に影響するからです。進捗状況だけでなく、成果物の品質も確認することが重要です。

関連キーワード: 進捗管理、品質管理、要員計画、成果物管理

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設問2(3)

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K氏が、ある観点からの状況把握を更に徹底するために、社内のレビューに加えて実施するように指示した、あるアクティビティとは何か。20字以内で述べよ。

模範解答

T社の要員による設計レビュー

解説

解答の導き方

  1. 問われているのは、社内レビューに加えて開発チームに実施させるアクティビティです。したがって、単に進捗状況を報告させることではなく、設計の内容を確認する活動を考えます。
  2. 外部設計と内部設計については、T社の要員を開始段階から専任で参加させられず、「S社の要員にスキルを習得させて対応」することになっています。また、K氏は「品質確保の観点で不安」を感じています。このため、S社の要員だけによる社内レビューでは、新バージョンに関する誤りや不備を十分に見つけられないおそれがあります。
  3. 一方で、T社には「外部設計と内部設計での必要に応じた支援」を依頼しています。新バージョンの技術に詳しいT社の要員に設計成果物を確認してもらえば、社内レビューだけでは見落とす可能性のある問題を発見し、設計の品質を確かめられます。
  4. したがって、指示するアクティビティは、T社の要員による設計レビューです。

誤りやすいポイント

  • 「進捗確認」や「状況報告」と答えることです。設問は、定例ミーティングでの状況確認とは別に、社内レビューに加えて実施する活動を尋ねています。
  • 「T社に技術情報の提供を依頼する」と答えることです。技術情報の提供は依頼済みの支援内容ですが、問われているのはレビューに加えて行うアクティビティです。
  • 「社内レビューを強化する」とだけ答えることです。設計スキルの不足による品質面の不安を補うため、T社の要員が関与する点が重要です。

FAQ

Q: なぜT社の要員によるレビューが必要なのですか?
A: 外部設計と内部設計は、新バージョンの開発スキルをもつ要員が当初から参加できず、S社の要員がスキルを習得しながら進めます。新バージョンに詳しいT社の要員による確認で、設計の品質を補うためです。
Q: 技術情報の提供や設計上の相談だけでは不十分なのですか?
A: 情報提供や相談は設計作業を支援しますが、完成した設計成果物を確認する活動とは異なります。設計レビューを実施することで、成果物の誤りや不備を直接確認できます。
Q: レビューの対象は何ですか?
A: 文脈から、開発チームが作成する外部設計書や内部設計書などの設計成果物です。

関連キーワード: 設計レビュー、成果物、品質保証、スケジュール管理、リスク管理

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設問3:〔計画変更〕について、(1)~(3)に答えよ。

設問3(1)

問題文を見る
K氏が、外部設計と内部設計についての対策において、T社と改めて交渉しなければならないと考えた内容は何か。20字以内で述べよ。

模範解答

T社要員を専任で参加させること

解説

解答の導き方

  1. まず、当初の要員計画で外部設計と内部設計を誰が担当することになっていたかを確認します。T社からは「プログラム製造からであれば、開発のできる要員を専任で参加させることは約束できる。」との回答がありました。そのため、外部設計と内部設計は、旧バージョンに詳しく新バージョンの機能調査を行ったS社の要員が担当する計画でした。
  2. ただし、S社の要員だけで設計を進める場合は、資料の確認や機能調査、問合せに時間が掛かると見込まれていました。そのため、当初から外部設計と内部設計の期間は長めに設定されています。
  3. 今回は、新EDMSの完成を前倒しするため、外部設計からプログラム製造までの期間を短縮しようとしています。設計期間を短縮するには、従来どおりS社の要員だけで進めるのではなく、新バージョンでの開発スキルをもつ要員を設計段階から投入できるようにする必要があります。
  4. しかし、T社が当初約束していた専任要員の参加はプログラム製造からです。したがって、外部設計と内部設計の期間短縮策を実現するために、T社と改めて交渉する内容は、T社要員を専任で参加させることです。

誤りやすいポイント

  • 「新バージョンの技術情報の提供」や「外部設計と内部設計での必要に応じた支援」は、当初からT社に依頼している内容です。今回、改めて交渉するのは、設計段階から専任要員に参加してもらうことです。
  • 「プログラム製造から要員を専任で参加させること」は、T社がすでに約束している範囲です。設計期間を短縮するには、それより前の段階にも専任要員を参加させる必要があります。
  • 「追加要員を投入すること」だけでは、誰に何を依頼するのかが分かりません。設問は、特に外部設計と内部設計についてT社と交渉する内容を問うています。

FAQ

Q: T社からは、設計段階の支援も受ける計画ではありませんか?
A: 必要に応じた支援は依頼していますが、専任要員の参加を約束されているのはプログラム製造からです。設計段階にも専任要員を参加させることが、改めて交渉する内容です。
Q: なぜ専任要員の参加が設計期間の短縮につながるのですか?
A: 当初は、S社の要員だけで設計を行うため、資料確認や機能調査、問合せに時間が掛かると見込まれていました。新バージョンでの開発スキルをもつ要員が設計に参加すれば、設計を効率よく進められると考えられます。

関連キーワード: 要員計画、専任要員、スケジュール短縮、作業期間見積り

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設問3(2)

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K氏が、作業工程図を基に、この一つ目の対策だけでは、スケジュールを2か月間短縮する対策としては十分でないと判断した理由は何か。30字以内で述べよ。

模範解答

基盤チームの工程に1か月しか余裕がないから

解説

解答の導き方

図1では、システムテストの前に、開発チームの工程と基盤チームの工程が並行して進み、両方が完了してからシステムテストに入ります。したがって、開発チームの作業を短縮しても、基盤チームの工程が完了していなければ、システムテストを早めることはできません。
表1の作業期間を比べると、開発チームは外部設計から教育・移行まで順に進み、合計で か月です。一方、基盤チームは基盤設計、製品調達、基盤構築・テストを終えた後、開発チームと合流してシステムテスト、運用テスト、教育・移行に進むため、合計で か月です。開発チームの工程が全体の完了時期を決める一方、基盤チームの工程には1か月の余裕しかありません。
最初の対策は、開発チームの要員を追加し、外部設計からプログラム製造までを短縮するものです。しかし、基盤チームの工程は短縮されません。開発チームの工程を2か月短縮しても、全体の完了時期は、残った基盤チームの工程に左右されます。したがって、対策だけでは2か月の短縮を実現できない理由は、基盤チームの工程に1か月しか余裕がないからです。

誤りやすいポイント

  • 開発チームの工程だけを見て、2か月短縮できればプロジェクト全体も2か月短縮できると考えることです。作業が並行していても、合流点の後の作業に進むには、両方の工程が完了している必要があります。
  • 基盤チームの作業はシステムテストの前に終わればよい、と考えて工程の長さを確認しないことです。図1では、基盤チームの工程にも全体の完了時期に影響するだけの制約があります。
  • 作業項目単体の所要期間だけを比べ、開始から後続作業まで含めた経路全体の期間を考えないことです。

FAQ

Q: 基盤チームの工程が9か月というのは、基盤構築・テストまでの期間ですか?
A: いいえ。基盤構築・テストまでの6か月に、合流後のシステムテスト、運用テスト、教育・移行の期間も加えたものです。
Q: 開発チームの工程を短縮する対策は、意味がないのですか?
A: いいえ。全体の完了を早める効果はあります。ただし、開発チームの工程を短縮して基盤チームの工程より短くなると、それ以上の短縮には基盤チームの工程への対策も必要になります。
Q: 「余裕」はどのように判断できますか?
A: 図1の作業工程図で、全体の完了時期を決める経路と、それ以外の経路の期間を比べます。この問題では、基盤チーム側の経路は1か月短いため、余裕は1か月です。

関連キーワード: クリティカルパス、トータルフロート、フリーフロート、並行作業、スケジュール短縮

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設問3(3)

問題文を見る
K氏が、もう一つの対策として、S社の要員を追加で投入することによって作業期間が短縮できると判断した、システムテスト開始までの作業項目のうちの二つの作業項目とはどれとどれか。表1の作業IDで答えよ。

模範解答

A、C

解説

解答の導き方

  1. まず、システムテストGの開始には、先行作業であるCとFの両方が完了している必要があります。そのため、図1では、次の二つの経路のうち、完了に時間が掛かる方がGの開始を決めます。
    • A→B→C:表1の所要期間はそれぞれ2か月なので、合計6か月です。
    • D→E→F:所要期間はそれぞれ2か月、2か月、3か月なので、合計7か月です。
  2. 当初はD→E→Fの経路の方が長いため、開発チームの作業期間を短縮する対策だけでは、途中からA→B→Cの経路がGの開始を制約します。例えば、開発側の経路を2か月短縮すると、開発側は5か月になりますが、A→B→Cは6か月のままです。したがって、開発側だけを短縮しても、全体のスケジュールを2か月短縮することはできません。
  3. そこで、もう一方のA→B→Cの経路も短縮する必要があります。表1を見ると、Aの「基盤設計」とCの「基盤構築・テスト」は、いずれも基盤チームが担当しています。一方、Bの「製品調達」はメーカも担当に含まれます。S社の要員を追加投入して短縮する対象としては、S社側の要員で対応しやすいAとCが選ばれます。

誤りやすいポイント

  • 開発チームの作業だけに注目し、D→E→Fを短縮すれば全体も同じだけ短縮できると考えることです。GはCとFの両方を待つため、もう一方の経路も確認する必要があります。
  • 作業期間が長い経路を短縮することだけを考え、短縮後にどの経路が全体を制約するかを見落とすことです。
  • Bも基盤チームが担当することだけを見て、メーカも担当に含まれる「製品調達」である点を見落とすことです。S社の要員追加で短縮しやすい作業かどうかを、担当と作業内容から判断します。

FAQ

Q: A→B→Cは、当初から全体のスケジュールを決める経路ですか?
A: いいえ。当初はD→E→Fの方が長いため、そちらがGの開始を決めます。ただし、開発側の経路を短縮すると、A→B→Cが新たな制約になります。
Q: なぜBではなくAとCを選ぶのですか?
A: 表1ではAとCは基盤チームが担当しています。Bは「製品調達」で、担当にメーカも含まれるため、S社の要員を追加することで直接短縮する対象としてはAとCが適しています。
Q: クリティカルパスでない経路を短縮する意味はありますか?
A: あります。ある経路を短縮すると、別の経路が全体のスケジュールを制約することがあります。複数の経路が合流する作業では、合流前の各経路を確認することが重要です。

関連キーワード: クリティカルパス、フロート、先行作業、並行作業、スケジュール短縮

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