プロジェクトマネージャ 2013年 午後1 問04
ソフトウェア開発の遂行に関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。
P社は、ソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNSという)を提供している企業である。SNS市場はユーザ数の爆発的増加を背景に、新規サービスの開発、ユーザの獲得競争が激しくなっている。P社では、自社サービスの競争力を強化するために、競合他社に比べて機能面と見栄えの点で見劣りしているスマートフォン向けのアプリケーションソフトウェア(以下、モバイルアプリという)を一新するモバイルアプリ開発プロジェクトを立ち上げた。プロジェクトマネージャ(PM)には、開発部モバイル開発課のQ課長が任命された。開発部長からは、プロジェクトの主要な目標として、次の事項が示された。
・期限までに確実に、新しいモバイルアプリを市場に提供すること
・社内の関係者の知恵を集めて、魅力あるユーザインタフェースのモバイルアプリを開発し、顧客満足度を向上させること
・今後想定される新規端末の発売、OSの更新といった変化、及びユーザからの改善要望に対して速やかに対応できるように、十分な保守性を確保すること
Q課長は、プロジェクトの開発計画の立案に当たって、ステークホルダの特性を整理した。
〔企画部の特性〕
モバイルアプリのユーザインタフェースと細かな挙動を決定する過程で重要なステークホルダは、企画部である。基本設計では、企画部と調整しながら仕様を確定させていくことになっている。企画部には、次の特性がある。
・最新の市場動向及びユーザニーズを常に把握しているので、ユーザにとって魅力あるインタフェースとはどのようなものか、社内で最も妥当な判断ができる。
・経営陣の信頼が厚く、社内での発言力は強い。
・プロジェクトの制約条件を考慮して要求をまとめることよりも、多少無理をしてでも、ユーザに対する魅力の拡大を優先すべきだと考える傾向がある。実際にこれまでにも、制約条件を超えた過大な要求を提示したり、仕様確定後に要求を追加してきたりすることがあった。その際の開発プロジェクトでは、無理をして要求を受け入れた結果、品質不良と納期遅延が発生した。
Q課長は、プロジェクトの目標を達成するには、現在想定している基本設計のスケジュール内でモバイルアプリの仕様を確定させなければならないと考えた。そこでまず、企画部と開発規模・開発期間の制約条件に関して意識を一致させた上で、仕様確定後の変更は原則として開発完了後の対応とすることで合意した。しかし、①そうすることが、仕様の確定内容に関して適切でない状況を生み出すおそれがあると考え、基本設計の進め方を工夫することにした。
〔U社の特性〕
モバイルアプリの開発は、U社が担当する。U社はこれまでP社との取引はなかったが、企画部が“ユーザインタフェースのデザイン力と技術力に優れ、洗練されたモバイルアプリの開発で定評がある”と経営会議で推薦し、今回の開発担当に決定した。U社は、P社の購買規程で定められている財務、情報セキュリティなどの要件は満たしている。
Q課長は、現在想定している開発規模であれば、スケジュールに関するリスクは小さいと判断し、P社における一般的な契約形態に従って、U社と開発委託契約を結ぶ方針を立てた。基本設計と総合テストの各工程を委任契約とし、詳細設計から結合テストまでの工程を請負契約とすることを前提にU社と交渉したところ、U社も同様の意向であった。ただしQ課長は、請負契約部分に関しては、念のため事前に確認しておくべきことがあると考えた。
〔基本設計の進め方〕
P社はU社と委任契約を締結し、早速、基本設計の作業を進めることになった。Q課長は、システムアーキテクト及びユーザインタフェースデザイナによる基本設計作業を委託した。②あわせて詳細設計以降を担当する予定のU社の管理者に、Q課長が担当するプロジェクトマネジメント業務のうち、進捗状況と品質状況を定量的に把握し、評価する部分を切り出して、委託することにした。
また、Q課長は企画部に対して、基本設計の進め方を次のように提案し、同意を得た。
・モバイルアプリの顧客満足度の鍵を握るのは、特定の画面における、ユーザにとっての使い勝手の良さ、ワクワク感である。③どの画面を“特定の画面”とするかは、従来のモバイルアプリのユーザの使用頻度や累積使用時間に関するパレート分析の結果に基づいて決定する。④それらの特定の画面に関する設計及びレビューについては、作業の順序や作業の密度の計画値を工夫する。
・基本設計を期間内に終了させるために、設計やレビューの進捗状況を定期的に共有して、問題があれば各ステークホルダが協力して、早期に対策を実施する。
・⑤基本設計の進捗状況を見ながら、適宜Q課長とU社である活動を行い、その結果を企画部と共有して、詳細設計以降の前提条件との間で大きな差異が発生するおそれがあれば、企画部に協力を要請する。
〔詳細設計以降の進め方〕
基本設計は順調に進み、あと1週間で完了する見通しとなった。U社はデザイン力と技術力を発揮して、企画部のニーズに的確かつ迅速に応えた。基本設計の設計作業とレビューが適切なバランスで実行できたこともあって、企画部から、“U社の基本設計に大いに満足している”という評価を受けた。
Q課長は、基本設計を通じて、U社のデザイン力と技術力には優れたものがあると判断した。プロジェクトマネジメントの実力については、Q課長の指示範囲に関しては大きな問題はなかった。しかし、U社の管理者の関心が実装技術面に偏る傾向があり、進捗計画・品質計画との差異、リスクの予兆に対する対応が遅れがちであった。
U社との請負契約は今回が初めてであることから、Q課長はU社がどのように進捗管理・品質管理を行うのかを把握することが、リスク管理の観点から重要と考えた。そこでQ課長は、今回のプロジェクト目標を勘案した条件を整理した。そして、これらの条件はあくまで請負契約締結に際して期待する最低限の条件であるとして、U社に対して、これをベースにした今回の案件への提案を求めた。Q課長が提示した条件と、それに対するU社の提案内容は、表1のとおりであった。
Q課長はU社に、表1の提案について次の見直しを求めた。
・進捗管理に関する提案内容について、テストについてはこの提案内容でよいが、詳細設計と製造については、作成した成果物の量が報告されているだけで、品質を確保するために必要な活動の進捗状況が評価できない。定期的に⑥ある内容を報告してほしい。
・品質分析評価報告書に関する提案内容について、この内容では、評価対象工程での数値の差異だけで品質の良否を判断することになりかねない。⑦評価対象工程から視野を広げた品質分析に改善するよう検討してほしい。
・保守性に関する提案内容について、⑧コードレビューだけでは、問題検知のタイミングが遅くなるおそれがあるので、活動の追加を検討してほしい。また、ソースコードについては、静的解析ツールを活用して、指摘された潜在的な問題に対応することと、算出されるコードメトリクスを評価して数値が適切な範囲に収まるように対応すること、の2点について検討してほしい。
・今後の保守期間・改修期間を通じて、安定した品質を常に保てるプロセスとしたいので、リポジトリに変更を加えた場合に、単体テストの自動再実行と、静的解析ツールの自動実行をするプロセスを検討してほしい。
U社はQ課長の要求を受け入れ、提案の見直しを行った。Q課長はその対応に満足して、請負契約の手続を進めることにした。
設問1:
問題文を見る本文中の下線①について、Q課長は、仕様の確定内容に関して、どのような適切でない状況になるおそれがあると考えたのか。40字以内で述べよ。
模範解答
顧客満足度を向上させるための企画部の重要な要求を、十分に取り込めなくなる。
解説
解答の導き方
-
まず、Q課長が何を守ろうとしているかを確認します。本文には、基本設計のスケジュール内に仕様を確定させる必要があるとあります。また、企画部とは開発規模・開発期間の制約条件を共有し、仕様確定後の変更は原則として開発完了後に対応すると合意しています。これは、要求の追加によって納期が遅れたり、品質が低下したりすることを避けるためです。
-
一方で、企画部はユーザニーズを把握し、魅力あるインタフェースについて社内で最も妥当な判断ができる部門です。つまり、顧客満足度を高めるうえで重要な要求を持つステークホルダです。
-
しかし、仕様を確定した後の要求変更を開発完了後の対応とすると、確定後に出てきた要求は、今回の開発中には取り込まれにくくなります。特に、企画部の要求の中に顧客満足度を高めるために重要なものが含まれていても、変更を抑えることを優先しすぎると、十分に反映できないおそれがあります。
-
したがって、下線①でQ課長が懸念したのは、要求を無制限に受け入れることによる納期遅延や品質不良そのものではなく、変更を抑える進め方の結果として、企画部の重要な要求が仕様に十分反映されなくなることです。後続の進め方で、顧客満足度の鍵となる画面を選んで設計やレビューに工夫を加えるのも、限られた期間の中で重要な要求を適切に取り込むためと考えられます。
誤りやすいポイント
- 過去のプロジェクトで起きた「品質不良と納期遅延」を、そのまま下線①で問われている状況として答えないようにします。これは企画部の要求を無理に受け入れた場合の問題であり、今回懸念しているのは、反対に重要な要求を十分に取り込めなくなることです。
- 「仕様確定後に要求が追加されること」だけで終わらせないようにします。問われているのは、その結果として仕様の確定内容にどのような不都合が生じるかです。
- 企画部の要求をすべて受け入れることが顧客満足度の向上につながる、と短絡しないようにします。開発規模や開発期間の制約を守りながら、重要な要求を見極めて取り込むことが必要です。
FAQ
Q: 仕様確定後の変更を開発完了後に回すこと自体が、問題なのでしょうか。
A: 変更を後回しにすることは、納期や品質を守るうえで有効です。ただし、重要な要求まで今回の開発に反映されなくなると、顧客満足度の向上につながらないおそれがあります。
A: 変更を後回しにすることは、納期や品質を守るうえで有効です。ただし、重要な要求まで今回の開発に反映されなくなると、顧客満足度の向上につながらないおそれがあります。
Q: この設問では、要求の追加による納期遅延を答えに含めなくてよいのですか。
A: 納期遅延は、企画部の要求を無理に受け入れた場合に過去のプロジェクトで発生した問題です。下線①は、変更を原則として後回しにする進め方によって、仕様に何が反映されないおそれがあるかを問うています。
A: 納期遅延は、企画部の要求を無理に受け入れた場合に過去のプロジェクトで発生した問題です。下線①は、変更を原則として後回しにする進め方によって、仕様に何が反映されないおそれがあるかを問うています。
Q: 限られた期間の中で重要な要求を取り込むには、何が手掛かりになりますか。
A: 顧客満足度への影響が大きい要求や画面を優先することです。本文では、ユーザの使用頻度や累積使用時間を基に特定の画面を選ぶ進め方が示されています。
A: 顧客満足度への影響が大きい要求や画面を優先することです。本文では、ユーザの使用頻度や累積使用時間を基に特定の画面を選ぶ進め方が示されています。
関連キーワード: 要求管理、変更管理、スコープ管理、優先順位付け、顧客満足度
設問2:〔基本設計の進め方〕について、(1)~(4)に答えよ。
設問2(1)
問題文を見る本文中の下線②について、Q課長が、U社の管理者に進捗状況と品質状況を定量的に把握し、評価する部分を委託した目的を、30字以内で述べよ。
模範解答
U社のプロジェクトマネジメントの実力を確認するため
解説
解答の導き方
-
問われているのは、Q課長が自分のプロジェクトマネジメント業務の一部を、詳細設計以降を担当する予定のU社の管理者に委託した目的です。委託したのは、進捗状況と品質状況を定量的に把握し、評価する部分です。
-
本文では、U社との取引は今回が初めてだと説明されています。企画部の推薦で分かっているのはU社のデザイン力と技術力であり、U社がプロジェクトをどのように管理するのかは、Q課長にはまだ分かりません。進捗と品質を把握・評価する役割を担ってもらえば、管理者がその状況を適切にとらえ、判断できるかを確認できます。
-
また、Q課長は契約方針を立てた際、「請負契約部分に関しては、念のため事前に確認しておくべきことがあると考えた」とあります。詳細設計から結合テストまでを請負契約で任せる相手として、設計や実装の技術力とは別に、プロジェクトマネジメントの能力を確かめておく必要があると考えたと読み取れます。
-
基本設計の段階で管理者に定量的な把握・評価を担わせるのは、詳細設計以降を任せる前に、U社のプロジェクトマネジメントの実力を確かめるためです。実際に後の段落でも、Q課長は請負契約に際し、U社の進捗管理・品質管理の方法を把握することがリスク管理上重要だと考えています。単にQ課長の作業負担を減らすことが目的ではありません。
誤りやすいポイント
- 「Q課長の業務負担を軽減するため」と考えることです。本文では、U社の管理能力を把握することがリスク管理上重要だと述べられています。
- 「進捗や品質を改善するため」とだけ答えることです。進捗・品質の把握と評価は委託する業務であり、その目的として問われているのはU社の管理能力を確認することです。
- 「U社の技術力を確認するため」とすることです。技術力は企画部の推薦の時点で評価されています。ここで確認する対象は、進捗状況や品質状況を管理する能力です。
- 基本設計を通じて後から分かった「管理者の関心が実装技術面に偏る」という事実を、委託の目的の根拠にしないことです。委託を決めた時点で分かっているのは、U社が初めての取引先であり、管理者が詳細設計以降を担当する予定だということです。
FAQ
Q: U社の管理能力は、なぜ基本設計の段階で確認するのですか?
A: 詳細設計以降を担当させる前に、進捗・品質を定量的に把握して評価できるかを確認し、後工程のリスクに備えるためです。
A: 詳細設計以降を担当させる前に、進捗・品質を定量的に把握して評価できるかを確認し、後工程のリスクに備えるためです。
Q: 進捗状況と品質状況を「定量的に」把握するとは、どういうことですか?
A: 作業量や品質に関する数値を用いて状況をとらえ、計画との差異や問題の有無を評価することです。
A: 作業量や品質に関する数値を用いて状況をとらえ、計画との差異や問題の有無を評価することです。
Q: この委託によって、Q課長のプロジェクトマネジメント責任もU社に移るのですか?
A: いいえ。委託するのは進捗・品質を定量的に把握し評価する部分です。本文からは、Q課長がプロジェクト全体の責任を手放すとは読み取れません。
A: いいえ。委託するのは進捗・品質を定量的に把握し評価する部分です。本文からは、Q課長がプロジェクト全体の責任を手放すとは読み取れません。
関連キーワード: プロジェクトマネジメント、進捗管理、品質管理、定量的管理、リスク管理
設問2(2)
問題文を見る本文中の下線③について、特定の画面がもつ使用頻度、累積使用時間に関する特性を答えよ。
模範解答
使用頻度が高い
累積使用時間が長い
解説
解答の導き方
-
この設問では、ユーザの使用頻度や累積使用時間を基に選ぶ「特定の画面」が、どのような画面なのかを答えます。
-
本文では、特定の画面を「従来のモバイルアプリのユーザの使用頻度や累積使用時間に関するパレート分析の結果に基づいて決定する」とあります。したがって、画面の利用状況を示す二つの指標、使用頻度と累積使用時間のそれぞれから、優先して設計する画面の特徴を考えます。
-
使用頻度は、ユーザがその画面をどれだけ多く利用するかを表します。パレート分析で着目されるのは、利用への寄与が大きい画面なので、使用頻度については高い画面が該当します。
-
累積使用時間は、その画面でユーザが過ごす時間を積み上げたものです。この指標についても、ユーザの利用への寄与が大きい画面を選ぶため、累積使用時間が長い画面が該当します。
誤りやすいポイント
- 使用頻度だけ、または累積使用時間だけを答え、もう一方を抜かさないようにします。本文では二つの指標が示されています。
- 累積使用時間を、1回の利用にかかる時間だけと捉えないようにします。ここでは、利用時間を積み上げた量に着目します。
- 「使いやすさが重要な画面」のように設計上の評価だけを答えるのではなく、問われている使用頻度と累積使用時間の特性を示します。
FAQ
Q: 使用頻度と累積使用時間は、同じ利用状況を表す指標ですか?
A: いいえ。使用頻度は利用された回数の多さ、累積使用時間は利用時間を積み上げた長さを表します。
A: いいえ。使用頻度は利用された回数の多さ、累積使用時間は利用時間を積み上げた長さを表します。
Q: なぜパレート分析を使うのですか?
A: 多くの画面の中から、利用への寄与が大きい画面を見つけ、設計やレビューの重点を定めるためです。
A: 多くの画面の中から、利用への寄与が大きい画面を見つけ、設計やレビューの重点を定めるためです。
関連キーワード: パレート分析、ユーザインタフェース、使用頻度、累積使用時間
設問2(3)
問題文を見る本文中の下線④について、作業の順序、及び作業の密度の計画値をそれぞれどのように工夫するのか答えよ。
模範解答
作業の順序を
・先行させる。
・前にする。
作業の密度の計画値を高くする。
解説
解答の導き方
-
まず、設計やレビューを重点的に行う対象を確認します。本文では、顧客満足度の鍵は特定の画面の「使い勝手の良さ、ワクワク感」だとしています。また、その画面は、ユーザの使用頻度や累積使用時間に関するパレート分析で選ぶとあります。つまり、利用への影響が大きい画面を重点対象にする方針です。
-
次に、設問が尋ねている二つの工夫を分けて考えます。一つ目は「作業の順序」です。重点対象の画面を後回しにせず、ほかの画面より先に設計・レビューするのが適切です。したがって、作業の順序は重点対象を先行させます。
-
二つ目は「作業の密度の計画値」です。重点対象では使い勝手や魅力を特に高める必要があるため、設計やレビューを通常より集中的に行う計画にします。つまり、作業の密度の計画値は高くします。これは基本設計の期間を延ばすという意味ではなく、限られた期間の中で重点対象に手厚く取り組むということです。
誤りやすいポイント
- パレート分析の結果を、画面の作業順序や密度の工夫と結び付けず、画面の選び方だけを答えてしまうことです。
- 重要な画面を先に扱うことと、その画面の作業密度を高くすることは別の工夫です。両方を答える必要があります。
- 作業密度を高くすることを、基本設計の期間を長くすることと混同しないようにします。問われているのは、計画期間内で重点対象に作業を集中させる工夫です。
FAQ
Q: ここでいう「作業の順序」は、何を基準に決めますか?
A: 使用頻度や累積使用時間が大きく、顧客満足度への影響が大きい画面を、ほかの画面より先に設計・レビューすることを基準にします。
A: 使用頻度や累積使用時間が大きく、顧客満足度への影響が大きい画面を、ほかの画面より先に設計・レビューすることを基準にします。
Q: 作業の密度を高くするとは、具体的にどういうことですか?
A: 重点対象の画面について、限られた期間の中で設計やレビューをより集中的に行う計画にすることです。
A: 重点対象の画面について、限られた期間の中で設計やレビューをより集中的に行う計画にすることです。
Q: なぜ重点対象の作業を先に行うのですか?
A: 顧客満足度に大きく関わる画面の設計・レビューを早く進めることで、基本設計の期間内に重要な部分へ十分に取り組めるからです。
A: 顧客満足度に大きく関わる画面の設計・レビューを早く進めることで、基本設計の期間内に重要な部分へ十分に取り組めるからです。
関連キーワード: パレート分析、ユーザインタフェース、基本設計、レビュー、作業密度
設問2(4)
問題文を見る本文中の下線⑤について、Q課長とU社が行う活動を、15字以内で述べよ。
模範解答
開発規模と開発期間の確認
解説
解答の導き方
-
まず、基本設計の進め方を定めた背景を確認します。Q課長は、企画部と「開発規模・開発期間の制約条件」に関する意識を合わせています。したがって、基本設計を進める際には、仕様だけでなく、開発規模や期間が当初の前提から外れないかも確認する必要があります。
-
下線⑤では、基本設計の進捗状況を見ながらQ課長とU社が活動し、その結果を企画部と共有するとしています。さらに、詳細設計以降の前提条件との間に大きな差異が生じるおそれがあれば、企画部に協力を要請します。
-
ここで確認すべきなのは、基本設計の作業が予定どおり進んでいるかだけではありません。基本設計の内容を踏まえて、詳細設計以降に必要となる開発規模や期間が、当初の前提と食い違わないかを確認することです。そのため、活動は「開発規模と開発期間の確認」と表せます。
誤りやすいポイント
- 「進捗状況を見ながら」とあるため、単なる進捗確認だと考えないようにします。活動の結果を詳細設計以降の前提条件と照らし合わせることがポイントです。
- 企画部に協力を要請するのは、差異が大きくなるおそれがある場合です。企画部との仕様調整そのものを、Q課長とU社が行う活動として答えるのではありません。
- 「開発期間」だけに絞ると、当初の制約条件に含まれている「開発規模」を見落とします。
FAQ
Q: なぜ定期的な進捗報告では不十分なのですか?
A: 進捗報告だけでは、詳細設計以降に必要な開発規模や期間が、当初の前提と合っているかまでは確認できないためです。
A: 進捗報告だけでは、詳細設計以降に必要な開発規模や期間が、当初の前提と合っているかまでは確認できないためです。
Q: 差異が見つかった場合、企画部には何をしてもらうのですか?
A: 基本設計の内容と詳細設計以降の前提との大きな差異が懸念される場合に、仕様や要求の調整などについて協力を求めます。
A: 基本設計の内容と詳細設計以降の前提との大きな差異が懸念される場合に、仕様や要求の調整などについて協力を求めます。
関連キーワード: 要件管理、進捗管理、開発規模見積り、スケジュール管理、リスク管理
設問3:〔詳細設計以降の進め方〕について、(1)~(4)に答えよ。
設問3(1)
問題文を見る表1中のaに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
a:情報セキュリティ
解説
解答の導き方
表1の空欄は、U社にどのような性質を確保するよう求めているかを問うています。表では、品質管理の条件として、総合的な品質管理と保守性の確保が既に挙げられています。
空欄に対応する提案には、「リバースエンジニアリング対策として、難読化ツールを適用する」とあります。これは、ソースコードを解析されにくくするための対策です。さらに、「専門組織による脆弱性診断」も実施するとしています。脆弱性診断は、システムにセキュリティ上の弱点がないかを調べる活動です。
この二つはいずれも、保守性を高めることではなく、情報やシステムを脅威から守ることに関係しています。したがって、空欄には「情報セキュリティ」が入ります。
誤りやすいポイント
- 「保守性」とする:保守性は表1に別の条件として既に示されています。難読化や脆弱性診断の目的とは異なります。
- 「品質」とする:品質管理は表1の別の行で扱われています。空欄に対応する提案の具体的な対策に注目すると、情報セキュリティに関する条件だと判断できます。
- 難読化だけに注目する:難読化と脆弱性診断の両方が、空欄に入る条件を判断する根拠になります。
FAQ
Q: 難読化ツールを適用すれば、脆弱性をなくせますか?
A: いいえ。難読化はコードを解析されにくくする対策であり、脆弱性そのものをなくすものではありません。脆弱性診断など、別の対策も必要です。
A: いいえ。難読化はコードを解析されにくくする対策であり、脆弱性そのものをなくすものではありません。脆弱性診断など、別の対策も必要です。
Q: 脆弱性診断は、一般的な品質評価とは違うのですか?
A: 品質に関係する活動ではありますが、この表では脆弱性診断や難読化が、情報セキュリティを確保する対策として示されています。
A: 品質に関係する活動ではありますが、この表では脆弱性診断や難読化が、情報セキュリティを確保する対策として示されています。
Q: 情報セキュリティでは、どのような性質を守りますか?
A: 代表的なものとして、情報の機密性、完全性、可用性があります。
A: 代表的なものとして、情報の機密性、完全性、可用性があります。
関連キーワード: 情報セキュリティ、脆弱性診断、リバースエンジニアリング、難読化、保守性
設問3(2)
問題文を見る本文中の下線⑥について、Q課長が報告を求めている内容を、20字以内で述べよ。
模範解答
レビュー済の成果物の量
解説
解答の導き方
-
Q課長が見直しを求めた理由は、詳細設計と製造について「作成した成果物の量が報告されているだけ」であり、品質を確保するための活動の進捗が分からないことです。つまり、ドキュメントやコードをどれだけ作成したかだけでは、品質を確保する活動がどこまで進んだかを評価できません。
-
品質を確保する活動の一つとして、成果物のレビューがあります。レビューが進んでいるかを把握するには、作成された成果物のうち、どれだけレビューを終えたかを報告してもらう必要があります。
-
したがって、求められているのは、作成量ではなく「レビュー済の成果物の量」です。
誤りやすいポイント
- 作成したドキュメント量やコード量を答えると、すでに提案されている内容を繰り返すだけになります。問われているのは、品質を確保する活動の進捗です。
- レビュー時間や欠陥数など、品質に関係する別の数値を答えないようにします。この設問では、レビューが済んだ成果物の量を報告することがポイントです。
- レビューの実施を報告するだけでなく、どの程度進んだかを把握できるよう、成果物の量として示す点が重要です。
FAQ
Q: なぜ作成した成果物の量だけでは不十分なのですか?
A: 成果物の作成量は作業の進み具合を示しますが、品質確保に必要なレビューがどこまで進んだかは分からないためです。
A: 成果物の作成量は作業の進み具合を示しますが、品質確保に必要なレビューがどこまで進んだかは分からないためです。
Q: この報告だけで成果物の品質そのものを評価できますか?
A: いいえ。レビュー済の成果物の量は、レビュー活動の進捗を把握するための情報です。品質の評価には、別途、品質メトリクスなどを用います。
A: いいえ。レビュー済の成果物の量は、レビュー活動の進捗を把握するための情報です。品質の評価には、別途、品質メトリクスなどを用います。
関連キーワード: 進捗管理、品質管理、成果物レビュー、定量的管理、品質メトリクス
設問3(3)
問題文を見る本文中の下線⑦について、Q課長が検討してほしいと考えている改善を、25字以内で述べよ。
模範解答
欠陥混入の原因分析を前工程も含めて行うこと
解説
解答の導き方
この設問では、品質分析を評価対象工程の外まで広げるとき、どのような分析を加えるのかを考えます。
まず、U社の提案では、工程の中間や完了時に、評価対象工程について機能別・担当者別に定量分析を行い、品質分析評価報告書を提出します。これに対してQ課長は、このままでは「評価対象工程での数値の差異だけで品質の良否を判断する」ことになりかねないと懸念しています。
数値に差があることは品質を考える手掛かりになりますが、その差だけでは、欠陥がなぜ発生したのかまでは分かりません。また、後工程で発見された欠陥の原因が、必ずしもその工程にあるとは限らず、設計などの前工程で混入していることもあります。
したがって、評価対象工程の数値だけを見るのではなく、欠陥がどの工程で、どのような原因で混入したのかを前工程までさかのぼって分析するよう改善します。つまり、欠陥混入の原因分析を前工程も含めて行うことが求められています。
誤りやすいポイント
- 評価対象工程の数値を、より細かく分析することだけを答えにしないようにします。設問の要点は、分析の視野を評価対象工程の外へ広げることです。
- 欠陥数やレビュー時間などの数値を増やして報告するだけでは、欠陥が混入した原因の特定にはつながりません。
- 「品質を改善する」「再発防止を行う」といった結果だけでは、どのような分析を改善するのかが明確になりません。原因を前工程までたどる点を示します。
FAQ
Q: なぜ前工程まで確認する必要があるのですか?
A: 後工程で見つかった欠陥でも、原因が前工程の設計や仕様にある場合があるためです。発見した工程だけを分析しても、根本原因を見落とすおそれがあります。
A: 後工程で見つかった欠陥でも、原因が前工程の設計や仕様にある場合があるためです。発見した工程だけを分析しても、根本原因を見落とすおそれがあります。
Q: 前工程も含めるとは、前工程の数値を並べて比較することですか?
A: 数値比較だけではありません。欠陥の発生原因がどの工程にあるのかをたどり、混入の背景を分析することが重要です。
A: 数値比較だけではありません。欠陥の発生原因がどの工程にあるのかをたどり、混入の背景を分析することが重要です。
Q: 原因を分析した後は、何につなげますか?
A: 分析結果に基づいて、該当する工程での是正や、同じ原因による欠陥を防ぐための再発防止につなげます。
A: 分析結果に基づいて、該当する工程での是正や、同じ原因による欠陥を防ぐための再発防止につなげます。
関連キーワード: 品質分析、欠陥混入、原因分析、前工程、再発防止
設問3(4)
問題文を見る本文中の下線⑧について、Q課長が追加してほしいと考えている活動を、20字以内で述べよ。
模範解答
詳細設計での保守性に関するレビュー
解説
解答の導き方
-
問われているのは、保守性を確保するため、コードレビューに加えてどの活動を追加するかです。本文では、コードレビューだけでは「問題検知のタイミングが遅くなるおそれがある」としています。
-
コードレビューは、ソースコードが作成された後に行うレビューです。そのため、保守性に関わる設計上の問題をコードレビューで初めて見つけると、設計にさかのぼって修正が必要になる場合があります。
-
そこで、コードが作成される前の詳細設計段階で、設計内容を保守性の観点から確認する活動を加えます。したがって、追加するのは詳細設計での保守性に関するレビューです。
誤りやすいポイント
- コードレビューをより詳しく行うことだけを答えると、問題検知を早める活動の追加になりません。
- 静的解析ツールの活用は、本文で別途検討を求められている内容です。下線⑧で問われているのは、レビューのタイミングを早めるための活動です。
- 単に「設計レビュー」とするのではなく、詳細設計で保守性を確認する点まで含めて答える必要があります。
FAQ
-
Q: なぜ詳細設計の段階でレビューするのですか?
A: 実装後のコードレビューより早く設計上の問題を発見でき、後工程での手戻りを抑えやすくなるためです。 -
Q: コードレビューをなくして、詳細設計のレビューに置き換えるのですか?
A: いいえ。コードレビューだけでは遅くなるおそれがあるため、詳細設計段階のレビューを追加します。
関連キーワード: 保守性、詳細設計、設計レビュー、コードレビュー、早期検出




