プロジェクトマネージャ 2015年 午後1 問01
生産管理システムを導入するプロジェクトの、ステークホルダマネジメントに関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。
H社は製薬企業である。米国市場へ進出するために、米国の大手製薬企業X社と提携し、その傘下に入った。
米国市場へ製品を輸出するためには、米国の医薬品業界の基準に適合した生産管理システムを導入する必要がある。そのため、X社から、X社グループ標準の生産管理システム(以下、X社標準システムという)を導入することを求められた。H社の経営陣は、X社標準システムの導入を決定した。
X社は、H社がX社標準システムを導入するに当たって、X社標準システムに詳しい米国人コンサルタントのY氏をアドバイザとして派遣することを約束したが、システム導入はあくまでもH社が中心となって進めることが前提となっている。X社は、H社が守るべき条件として、次の項目を指定している。
・X社標準システムの導入作業は、X社が提示するX社標準システム導入手順のテンプレート(以下、テンプレートという)に沿って実施し、進捗状況について定期的にX社に報告すること。
・X社標準システムの稼働開始の前提として、H社が、X社標準システムを利用して基準を満たす製造プロセス(以下、X社標準業務プロセスという)を実行できるかどうかを、導入作業終了後、稼働開始までにX社の監査員が監査し、指摘事項があれば対応すること。
X社標準システムでは、製造の記録及び承認の履歴を、電子的に追跡できることが前提となっている。H社のこれまでのシステム(以下、現システムという)は、生産計画の策定から実施、結果の収集などを行うことはできるが、紙での記録が中心で、作業工程の履歴を紙に記録し、管理者が確認をしたという記録をシステムに入力する手順になっている。したがって、X社標準システムの導入においては、システムの導入と並行して、従来のH社の業務手順をX社標準業務プロセスに沿って見直す必要がある。
H社は、X社標準業務プロセス及びX社標準システムの導入の統括責任者として製造部門のI部長を任命し、その配下に業務見直しのための委員会(以下、見直し委員会という)とシステム導入のためのプロジェクトを設置した。また、見直し委員会の委員長はI部長が兼務し、現システムの業務の主担当者である製造部門のJ課長がリーダとして参加する。見直し委員会のメンバは、X社標準システムの利用者となるH社の製造プロセスに関わる部門の実務担当者(以下、H社利用部門という)で構成される。プロジェクトのプロジェクトマネージャ(PM)は、システム部のK氏が担当し、見直し委員会にもメンバとして参加する。
H社のシステム部は、システムの開発・運用の企画・計画を主な業務とし、現システムを含む実際のシステム開発・運用業務の多くは情報子会社のT社に委託している。K氏は、X社標準システム稼働後の運用業務についてもT社に担当してもらう方針で、導入作業への協力を依頼した。T社は、自社が開発に関わっていないX社標準システムの導入作業及び運用業務に協力することに抵抗感をもっていたが、K氏に強く依頼されて、最終的には応じることになった。今回のプロジェクトとステークホルダの関係を図1に示す。

〔プロジェクト計画策定〕
K氏は、プロジェクト計画を策定するために、X社から提示されたテンプレートを検証した。X社のテンプレートは、X社標準システムを導入するための作業項目を中心に記述されているが、導入する側の作業については、全ての作業が記述されているわけではなかった。K氏は、H社としての業務の継続性を確保するための重要な作業を新たなWBS項目として追加する必要があると考えた。
また、K氏は、X社が指定した条件を勘案すると、X社に実施可能な時期と所要日数を確認すべき重要な作業項目があると考えた。
K氏は、X社に確認を行った上で、テンプレートのWBSに、新たに洗い出したWBS項目及びマイルストーンを追加し、それらを時間軸上に展開し、プロジェクトの全体スケジュールを策定した。K氏は、このスケジュールを関連するステークホルダに示し、同意を得た上で、プロジェクトを開始した。
〔ステークホルダの現状〕
K氏は、今回のプロジェクトには多くのステークホルダが関わっており、各ステークホルダとプロジェクトとの一体感を形成し、適切にマネジメントすることが重要な成功要因になると考え、ステークホルダの状況を把握することをI部長に提案し、了承を得た。
K氏は、今回のプロジェクトに関わるステークホルダの現状を関与度(プロジェクトへの積極的な関与の度合い)と影響度(プロジェクトの計画策定や遂行に変更を生じさせる能力)の観点で分析することとし、各ステークホルダに対するヒアリングを行った。また、K氏自身の関与度と影響度の分析も追記し、表1の状況を把握し、これらを基に図2にまとめた。
この状況から、K氏は現状の体制の問題点を、次のように考えた。
・ステークホルダとプロジェクトとの一体感が形成されていない点
・プロジェクトを推進する上で重要な、図2のある領域に属するステークホルダが存在しない点
・影響度が高いステークホルダの関与度が低く、バランスが悪い点
K氏は、これらの問題点に対し、早急な対策が必要だと考えた。

〔ステークホルダの望ましい状態〕
K氏は、表1及び図2をI部長に報告し、対策を協議した。その結果、次の方針で対応することで合意した。
・ステークホルダとプロジェクトとの一体感を形成する対策を取る。
・キーパーソンによる、プロジェクトを推進する組織体を設置する。
・ステークホルダについて、関与度と影響度のバランスを取りながらプロジェクトを進めていける関係を築く。具体的には図3の状態を目指すことを基本方針とする。

K氏は、この方針に沿って次のような対策を考えた。
対策①:I部長から見直し委員会及びプロジェクトに対し、X社とH社との提携の意義と、X社標準システム導入の必要性を直接語ってもらう。
対策②:I部長、J課長及びK氏によるPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を組織し、定期的に情報共有し、問題点の協議を行う。
対策③:見直し委員会でH社利用部門に対し、X社標準システムのメリットだけではなく、デメリットも併せて正しく伝えた上で、協力を要請する。
対策④:T社に対して運命共同体と認識していることを伝えて、導入後の運用を担当する視点から積極的に参加するように働きかける。
対策⑤:X社に対し、Y氏をプロジェクトのX社アドバイザ兼現地責任者として指名するよう提案する。
設問1:〔プロジェクト計画策定〕について、(1)、(2)に答えよ。
設問1(1)
問題文を見るK氏が考えた、H社としての業務の継続性を確保するための重要な作業とは何か。20字以内で述べよ。
模範解答
現システムからの移行作業
解説
解答の導き方
-
問われているのは、X社のテンプレートに含まれていない作業のうち、H社の業務の継続性を確保するために追加する作業です。まず、システムを導入する作業そのものと、導入に伴って必要になる作業を分けて考えます。
-
本文には、テンプレートは「X社標準システムを導入するための作業項目を中心に記述」されている一方、「導入する側の作業については、全ての作業が記述されているわけではなかった」とあります。したがって、テンプレートにある導入作業だけでなく、H社がシステムを切り替えるために必要な作業もWBSに加える必要があります。
-
現システムでは、生産計画の策定や実施、結果の収集などを行っています。新しいシステムを稼働させる際に、現システムから新システムへ移る作業が適切に計画されていなければ、製造に必要な業務が滞るおそれがあります。そのため、業務を止めずに切り替えるための移行作業が、業務の継続性を確保する上で重要です。
-
よって、追加するWBS項目は、現システムから新システムへ切り替えるための作業を表す「現システムからの移行作業」と判断できます。
誤りやすいポイント
-
「業務手順の見直し」と混同する
現状の業務をX社標準業務プロセスに合わせることも必要ですが、ここで問われているのは、業務の継続性を確保するために追加する作業です。 -
X社の監査を答える
監査は、稼働開始前にX社標準業務プロセスを実行できるか確認する作業です。現システムからの切替えを進める作業とは目的が異なります。 -
「データ移行」だけに限定する
データの移行は移行作業に含まれる可能性がありますが、本文では具体的な移行対象を限定していません。システムを切り替えるための作業全体を捉えることが大切です。
FAQ
Q: なぜ、システムの導入作業だけでは業務の継続性を確保できないのですか。
A: 新システムを導入する作業に加え、現システムから新システムへ業務を切り替える作業が必要だからです。その作業を計画していないと、稼働開始時に業務が滞るおそれがあります。
A: 新システムを導入する作業に加え、現システムから新システムへ業務を切り替える作業が必要だからです。その作業を計画していないと、稼働開始時に業務が滞るおそれがあります。
Q: 業務プロセスの見直しも、業務の継続性に関わる作業ではありませんか。
A: 関わります。ただし、本文では、業務手順の見直しとシステム導入を並行して進めるとされています。この設問で問われているのは、業務の継続性を確保するためにテンプレートへ追加する移行作業です。
A: 関わります。ただし、本文では、業務手順の見直しとシステム導入を並行して進めるとされています。この設問で問われているのは、業務の継続性を確保するためにテンプレートへ追加する移行作業です。
Q: 移行作業として、データ移行の詳細まで答える必要がありますか。
A: 本文では移行対象の詳細までは指定されていません。対象を限定せず、現システムから切り替えるための作業として答えるのが適切です。
A: 本文では移行対象の詳細までは指定されていません。対象を限定せず、現システムから切り替えるための作業として答えるのが適切です。
関連キーワード: システム移行、データ移行、業務継続性、WBS、カットオーバー
設問1(2)
問題文を見るK氏が考えた、X社の指定した条件を勘案すると、X社に実施可能な時期と所要日数を確認すべき重要な作業項目とは何か。15字以内で述べよ。
模範解答
X社の監査員による監査
解説
解答の導き方
-
問われているのは、プロジェクトのスケジュールを作る際に、X社に実施可能な時期と所要日数を確認すべき作業項目です。H社だけで実施時期を決められない作業に注目します。
-
本文では、X社標準システムの稼働開始の前提として、導入作業の終了後から稼働開始までに「X社の監査員が監査」すると定めています。つまり、この作業はH社だけで完結せず、X社側の監査員の対応が必要です。
-
監査を実施できる時期や監査に必要な日数は、X社との調整が必要です。また、監査後に指摘事項があれば対応する必要があるため、監査日程を確認してスケジュールに組み込むことが重要です。
-
したがって、確認すべき作業項目は、X社の監査員による監査です。
誤りやすいポイント
- 進捗状況の定期報告と、稼働開始前の監査を混同しないようにします。問われているのは、稼働開始の前提として実施される監査です。
- H社が行う監査準備や指摘事項への対応だけを答えるのではなく、X社側の監査員が実施する作業を捉えます。
- 監査の時期は導入作業の終了後、稼働開始前です。導入作業と同時に行う作業として扱わないようにします。
FAQ
Q: なぜ監査の実施時期と所要日数をX社に確認するのですか?
A: 監査を行うのはX社の監査員であり、H社だけでは実施日や必要日数を決められないためです。
A: 監査を行うのはX社の監査員であり、H社だけでは実施日や必要日数を決められないためです。
Q: 監査で指摘事項があった場合の対応も、確認対象ですか?
A: 指摘事項への対応もスケジュール上重要ですが、この設問が尋ねている作業項目は、まず監査そのものです。
A: 指摘事項への対応もスケジュール上重要ですが、この設問が尋ねている作業項目は、まず監査そのものです。
Q: 監査はいつ実施されますか?
A: 導入作業終了後、稼働開始までに実施されます。
A: 導入作業終了後、稼働開始までに実施されます。
関連キーワード: WBS、マイルストーン、スケジュール管理、監査、ステークホルダマネジメント
設問2:
問題文を見る〔ステークホルダの現状〕で、K氏が、現状の体制の問題点として考えた、プロジェクトを推進する上で重要な、図2のある領域に属するステークホルダが存在しない点とは、どのような状態を指すのか。35字以内で述べよ。
模範解答
関与度、影響度がともに高い領域にステークホルダがいない状態
解説
解答の導き方
設問では、図2において「プロジェクトを推進する上で重要」なのに、ステークホルダがいない領域がどのような状態かを問われています。まず、図2の縦軸は影響度、横軸は関与度を表していることを確認します。
影響度が高いステークホルダには、I部長、J課長、X社がいます。しかし、表1と図2を見ると、I部長とX社は関与度が低く、J課長は関与度が中です。影響度が高いだけでは、関与度も高い領域にいることにはなりません。
一方、関与度が高いK氏は、影響度が中です。そのため、関与度と影響度の両方が高い領域には該当しません。図2でも、その領域にステークホルダは示されていません。
したがって、該当するのは、関与度、影響度がともに高い領域にステークホルダがいない状態です。プロジェクトを進めるためには、影響を及ぼす力が強いだけでなく、プロジェクトに積極的に関わるステークホルダも必要ですが、その両方を満たす人がいないことが問題です。
誤りやすいポイント
- 影響度が高いI部長、J課長、X社がいるため、影響度と関与度の両方が高い領域にも人がいると考えてしまうことです。関与度も別に確認します。
- 関与度が高いK氏を、関与度と影響度の両方が高い領域に該当すると誤解することです。K氏の影響度は中です。
- 「影響度が高い領域に人がいない」と答えてしまうことです。影響度が高い領域には複数のステークホルダがいます。空いているのは、その中でも関与度が高い領域です。
FAQ
Q: 関与度と影響度は、どのように区別しますか?
A: 関与度はプロジェクトに積極的に関わる度合い、影響度はプロジェクトの計画や遂行に変更を生じさせる能力です。片方が高くても、もう片方も高いとは限りません。
A: 関与度はプロジェクトに積極的に関わる度合い、影響度はプロジェクトの計画や遂行に変更を生じさせる能力です。片方が高くても、もう片方も高いとは限りません。
Q: K氏はプロジェクトのPMなのに、なぜ該当する領域にいないのですか?
A: 表1ではK氏の関与度は高ですが、影響度は中とされています。したがって、両方が高い領域には該当しません。
A: 表1ではK氏の関与度は高ですが、影響度は中とされています。したがって、両方が高い領域には該当しません。
関連キーワード: ステークホルダマネジメント、ステークホルダ分析、関与度、影響度、影響度・関与度マトリクス
設問3:〔ステークホルダの望ましい状態〕について、(1)~(5)に答えよ。
設問3(1)
問題文を見るK氏が、対策①で期待した効果は何か。30字以内で述べよ。
模範解答
ステークホルダとプロジェクトとの一体感を形成すること
解説
解答の導き方
-
まず、対策①が必要になった背景を確認します。K氏は現状の問題点として、「ステークホルダとプロジェクトとの一体感が形成されていない点」を挙げています。また、表1では、I部長は影響度が高い一方、見直し委員会のリードをJ課長に任せて報告を受ける予定であり、関与度は低いと分析されています。
-
そこで対策①では、I部長自身が見直し委員会とプロジェクトに対し、「X社とH社との提携の意義」と「X社標準システム導入の必要性」を直接語ります。影響度の高いI部長が、導入の背景と目的を自ら伝えることで、参加者はプロジェクトの意義を共有しやすくなります。
-
したがって、この対策で期待されるのは、参加者が同じ目的を理解し、ステークホルダとプロジェクトとの一体感を形成することです。
誤りやすいポイント
- 「X社標準システム導入の必要性を伝えること」だけを効果として答えると、対策の目的を十分に表せません。必要性を伝えるのは手段であり、その結果として期待する効果まで述べます。
- I部長がプロジェクトに関与する度合いを高めることだけに注目しないようにします。対策①で期待されるのは、I部長の関与そのものではなく、関係者とプロジェクトとの一体感の形成です。
- 対策③の「H社利用部門に協力を要請すること」と混同しないようにします。対策①では、I部長が提携の意義とシステム導入の必要性を直接伝えることが中心です。
FAQ
Q: なぜI部長が直接説明する必要があるのですか。
A: I部長は影響度が高く、導入の統括責任者です。そのI部長が直接説明することで、プロジェクトの重要性や目的が参加者に伝わりやすくなります。
A: I部長は影響度が高く、導入の統括責任者です。そのI部長が直接説明することで、プロジェクトの重要性や目的が参加者に伝わりやすくなります。
Q: 対策①で期待する効果は、参加者の協力を得ることではないのですか。
A: 協力を得ることにもつながりますが、設問が尋ねているのは対策①の期待効果です。問題文の方針に沿って、ステークホルダとプロジェクトとの一体感を形成することを軸に答えます。
A: 協力を得ることにもつながりますが、設問が尋ねているのは対策①の期待効果です。問題文の方針に沿って、ステークホルダとプロジェクトとの一体感を形成することを軸に答えます。
Q: 「提携の意義」と「導入の必要性」の説明は、どのようにつながりますか。
A: 提携とシステム導入の背景・目的を共有することで、関係者がプロジェクトを自分たちに関わる取組として捉えやすくなります。
A: 提携とシステム導入の背景・目的を共有することで、関係者がプロジェクトを自分たちに関わる取組として捉えやすくなります。
関連キーワード: ステークホルダマネジメント、関与度分析、影響度分析、プロジェクトコミュニケーション、組織的コミットメント
設問3(2)
問題文を見るK氏が、対策②で組織したPMOに期待した役割は何か。25字以内で述べよ。
模範解答
・プロジェクトの推進役
・関与度、影響度ともに高いステークホルダ
解説
解答の導き方
設問は、対策②でI部長、J課長及びK氏によるPMOを組織し、定期的な情報共有と問題点の協議を行うことに、どのような役割を期待したのかを問うています。
まず、図2と表1から、各人の現状を確認します。I部長は統括責任者であり影響度は高い一方、見直し委員会のリードをJ課長に任せる予定なので関与度は低い状態です。J課長は見直し委員会のリーダで影響度が高く、関与度は中です。K氏はPMとして積極的に関わるため関与度は高い一方、影響度は中と分析されています。
つまり、現状では、プロジェクトに積極的に関わり、かつプロジェクトに大きな影響を及ぼせるステークホルダが欠けています。図3では、I部長、J課長及びK氏が関与度・影響度ともに高い領域に位置する状態が目指されています。
そこで、影響度の高いI部長とJ課長、関与度の高いK氏がPMOを組織し、情報共有や問題点の協議を継続します。PMOを通じてキーパーソンの関与と影響力を結び付け、関与度・影響度ともに高いステークホルダの集まりとして、プロジェクトを推進する役割が期待されています。
誤りやすいポイント
- PMOの役割を「情報共有」だけと捉えないようにします。情報共有や問題点の協議は手段であり、それらを通じてプロジェクトを推進することが期待されています。
- K氏がPMだからPMOの役割もK氏単独の活動だと考えるのは誤りです。対策②では、I部長、J課長及びK氏が一緒にPMOを組織する点が重要です。
- それぞれの関与度・影響度を別々に挙げるだけでは不十分です。PMOとしてキーパーソンを結び付け、図3のように関与度と影響度の両方が高い体制をつくることまで押さえます。
FAQ
Q: PMOの役割を「定期的な情報共有」とだけ答えると、なぜ不十分なのですか?
A: 情報共有はPMOの活動内容の一つですが、設問が問うているのは、その活動を通じて果たす役割です。問題点を協議し、キーパーソンの力を合わせてプロジェクトを推進するところまで説明する必要があります。
A: 情報共有はPMOの活動内容の一つですが、設問が問うているのは、その活動を通じて果たす役割です。問題点を協議し、キーパーソンの力を合わせてプロジェクトを推進するところまで説明する必要があります。
Q: I部長、J課長及びK氏をPMOにすることが、図3の望ましい状態にどうつながりますか?
A: I部長とJ課長は影響度が高く、K氏は関与度が高いという特徴があります。3者がPMOとして連携することで、関与度・影響度ともに高いステークホルダによる推進体制を目指せます。
A: I部長とJ課長は影響度が高く、K氏は関与度が高いという特徴があります。3者がPMOとして連携することで、関与度・影響度ともに高いステークホルダによる推進体制を目指せます。
Q: PMOはプロジェクトマネージャと同じものですか?
A: この問題では、K氏がPMを担当し、I部長、J課長及びK氏でPMOを組織しています。PMOはK氏個人を指すのではなく、キーパーソンが情報共有や問題点の協議を行い、プロジェクトを推進するための体制です。
A: この問題では、K氏がPMを担当し、I部長、J課長及びK氏でPMOを組織しています。PMOはK氏個人を指すのではなく、キーパーソンが情報共有や問題点の協議を行い、プロジェクトを推進するための体制です。
関連キーワード: ステークホルダマネジメント、関与度、影響度、PMO、プロジェクト推進
設問3(3)
問題文を見るK氏が、対策③で、見直し委員会でH社利用部門に対し、X社標準システムのメリットだけでなく、デメリットも併せて伝える必要があると考えた理由は何か。25字以内で述べよ。
模範解答
事前に正確な理解を得て対策を共有したいから
解説
解答の導き方
-
問われているのは、H社利用部門にシステムのメリットだけでなく、デメリットも伝える理由です。H社利用部門はシステムの利用者であり、表1では「導入の目的などの説明をまだ受けていない」とされています。まず、導入の背景や影響を十分に理解してもらう必要があります。
-
今回はシステムを入れ替えるだけでなく、従来の業務手順もX社標準業務プロセスに沿って見直します。そのため、利用者にとって負担や不都合が生じる可能性もあります。メリットだけを伝えると、実際に生じる影響を利用部門が知らないまま導入が進み、後から懸念や反発が出るおそれがあります。
-
対策③では「デメリットも併せて正しく伝えた上で、協力を要請する」とされています。これは、良い面だけを強調して協力を求めるのではなく、影響を事前に正確に理解してもらい、デメリットへの対応策も関係者で共有して、納得した上で協力してもらうためです。
したがって、デメリットも伝える理由は、事前に正確な理解を得て、対応策を共有するためです。
誤りやすいポイント
- 「システムのメリットを理解してもらい、導入への期待を高めるため」とだけ考えることです。設問は、なぜデメリットも伝える必要があるかを問うています。
- 「利用部門に導入目的を説明するため」だけで終えることです。目的の説明に加え、デメリットへの対応策を共有することまで押さえます。
- デメリットを伝える目的を、問題点を知らせることだけに限定することです。正確な理解を得た上で、協力を得られるようにする点が重要です。
FAQ
Q: デメリットを伝えると、利用部門の協力を得にくくなりませんか?
A: 隠して後から問題になるより、影響を事前に理解してもらい、対応策も共有する方が、納得に基づく協力につながります。
A: 隠して後から問題になるより、影響を事前に理解してもらい、対応策も共有する方が、納得に基づく協力につながります。
Q: 「対策を共有する」とは、どのようなことですか?
A: 業務の見直しに伴う負担や不都合を把握し、それらにどう対応するかを利用部門と確認することです。
A: 業務の見直しに伴う負担や不都合を把握し、それらにどう対応するかを利用部門と確認することです。
Q: 利用部門の関与度が低いことは、なぜ関係しますか?
A: 利用部門はまだ導入目的の説明を受けていないため、導入の影響を理解し、協力するための情報を早めに共有する必要があります。
A: 利用部門はまだ導入目的の説明を受けていないため、導入の影響を理解し、協力するための情報を早めに共有する必要があります。
関連キーワード: ステークホルダマネジメント、関与度、合意形成、変更管理、リスクコミュニケーション
設問3(4)
問題文を見るK氏が、対策④で、T社について運命共同体であると認識している背景は何か。40字以内で述べよ。
模範解答
X社標準システム稼働後の運用業務をT社に担当してもらう必要があること
解説
解答の導き方
この設問は、K氏が対策④でT社を「運命共同体」と認識している背景を問うています。T社がプロジェクトに協力する必要がある理由を、本文の記述から確認します。
まず、H社では「実際のシステム開発・運用業務の多くは情報子会社のT社に委託」しています。T社は、現システムについて詳しい一方、X社標準システムの導入や運用に協力することには当初抵抗感をもっていました。
そのうえで、K氏は「X社標準システム稼働後の運用業務についてもT社に担当してもらう方針」で、T社に導入作業への協力を依頼しています。つまり、T社には導入作業を手伝ってもらうだけでなく、稼働後の運用も担ってもらう予定です。導入が円滑に進み、運用へ引き継がれることは、H社だけでなくT社の業務にも関わります。
したがって、K氏が対策④でT社に協力を促す背景には、X社標準システムの稼働後の運用業務をT社に担当してもらう必要があることがあります。
誤りやすいポイント
- T社が現システムに詳しいことだけを理由にしないようにします。設問が問う背景として決め手になるのは、稼働後の運用をT社に担当してもらう方針です。
- 「T社が導入作業に協力することになった」という事実だけでは、運命共同体と考える背景の説明として不十分です。導入後の役割まで結び付けて説明します。
- T社が情報子会社であることだけを答えにしないようにします。本文では、X社標準システム稼働後の運用業務をT社が担当する計画が明示されています。
FAQ
Q: T社が導入に抵抗感をもっていたことは、解答に関係しますか?
A: 協力を働きかける必要性を示す事情です。ただし、背景の中心は、稼働後の運用業務をT社に担当してもらう方針にあります。
A: 協力を働きかける必要性を示す事情です。ただし、背景の中心は、稼働後の運用業務をT社に担当してもらう方針にあります。
Q: 「運命共同体」とは、H社とT社が同じ会社になるという意味ですか?
A: いいえ。ここでは、システム導入後の運用を担うT社も、導入の成否や円滑な運用に関わる立場にあるという意味です。
A: いいえ。ここでは、システム導入後の運用を担うT社も、導入の成否や円滑な運用に関わる立場にあるという意味です。
Q: 導入作業の段階からT社に参加を求めるのはなぜですか?
A: 稼働後の運用を担当する予定だからです。導入時から関わることで、運用への移行を見据えて協力を得やすくなります。
A: 稼働後の運用を担当する予定だからです。導入時から関わることで、運用への移行を見据えて協力を得やすくなります。
関連キーワード: ステークホルダマネジメント、運用引継ぎ、アウトソーシング、関与度、影響度
設問3(5)
問題文を見るK氏が、対策⑤をX社に提案する狙いは何か。30字以内で述べよ。
模範解答
・Y氏とX社の関与度と影響度を望ましい姿に変える。
・X社の影響力の行使を、Y氏を通して行う形に変える。
解説
解答の導き方
この提案の狙いは、X社にY氏の役割を正式に高めてもらうことで、ステークホルダの関与度と影響度を望ましい状態に近づけることです。
まず、図2では、X社は「影響度が高く、関与度が低い」位置にいます。本文には、X社は「“H社主導で進める”前提から、プロジェクトには直接は関与してこない」とある一方、進捗状況以外にも報告を求めているとあります。つまり、プロジェクトへの直接の関与は低いものの、影響力は大きい状態です。
次に、図3では、X社はH社利用部門とともに、関与度・影響度がいずれも中程度の位置を目指しています。また、Y氏はT社とともに、関与度・影響度が中から高の境界付近に位置する状態が描かれています。
そこで、Y氏を単なるアドバイザではなく「X社アドバイザ兼現地責任者」としてX社から指名してもらえば、Y氏がプロジェクトにより積極的に関わり、X社の意向を現地で受け止める役割も担えます。Y氏の影響度と関与度を高めつつ、X社の影響力をY氏を通して行使する形に変えることで、X社の関与度と影響度のバランスも図3の状態に近づけられます。
なお、H社が中心となって導入を進める前提は維持されます。X社がプロジェクトを直接主導するのではなく、Y氏を窓口・現地責任者として関与させる点が、この提案の要点です。
誤りやすいポイント
- Y氏を指名すること自体を目的と捉え、図2から図3への関与度・影響度の変化に結び付けないことです。
- X社の影響力をなくす提案だと考えることです。狙いは影響力を排除することではなく、Y氏を通して適切に行使する形に変えることです。
- Y氏を現地責任者にすることで、X社がプロジェクトを主導するようになると考えることです。本文の前提は、あくまでもH社が中心となって進めることです。
FAQ
Q: Y氏は、アドバイザの役割を外れるのですか。
A: いいえ。アドバイザの役割に加えて、現地責任者としても指名してもらう提案です。
A: いいえ。アドバイザの役割に加えて、現地責任者としても指名してもらう提案です。
Q: X社の影響力を弱めることが、この提案の目的ですか。
A: 影響力を単純に弱めるのではなく、Y氏を通じてプロジェクトに反映させ、関与度とのバランスを整えることが狙いです。
A: 影響力を単純に弱めるのではなく、Y氏を通じてプロジェクトに反映させ、関与度とのバランスを整えることが狙いです。
関連キーワード: ステークホルダマネジメント、ステークホルダ分析、関与度、影響度、プロジェクトガバナンス




