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プロジェクトマネージャ 2016年 午後1 問03


プロジェクトの進捗管理及びテスト計画に関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。

 不動産会社のD社は、H社のソフトウェアパッケージ(以下、H社パッケージという)に一部機能を追加開発した人事給与システム(以下、現行人事給与システムという)を10年前から利用している。H社パッケージの現行バージョンは保守期限が迫っている。また、現行人事給与システムが対応していない出退勤管理業務、休暇・残業申請業務などに対する社員のシステム化ニーズは強い。これらの点を考慮して、D社経営陣は現行人事給与システムを刷新することにした。  人事部が中心となって要件定義を行い、RFPを提示して複数のベンダから提案を受けたところ、S社のソフトウェアパッケージ(以下、S社パッケージという)が要件への適合度が最も高く、他社で多くの導入実績及び類似の追加開発実績を有していた。経営陣は、S社パッケージに一部機能を追加開発する人事給与システム(以下、新人事給与システムという)の外部設計、移行ツールの設計・製造・テスト、データ移行及び総合テストを準委任契約で、内部設計、追加開発の製造・単体テスト、結合テスト、S社パッケージの設定・テストを請負契約でS社に委託することを決定した。また、現行人事給与システムの利用者は人事部だけであったが、新人事給与システムでは出退勤管理業務、休暇・残業申請業務などのシステム化によって全社員が利用者となる。そこで、操作マニュアルの作成、及び全社員を対象とする操作説明会を行う利用者トレーニングもS社に準委任契約で委託することにした。  S社は、新人事給与システム設計・開発プロジェクトのプロジェクトマネージャ(PM)にT課長を任命した。T課長は新人事給与システム設計・開発プロジェクト計画を立案し、D社経営陣の承認を得た。スケジュールは図1に示すとおりである。
プロジェクトマネージャ試験(平成28年 午後1 問3 図1)
 本プロジェクトは、H社パッケージの保守期限までに確実に新人事給与システムを稼働させる必要があること、及びH社パッケージからの切替えであり、利用者トレーニングを十分に行う必要があることから、遅延は許されない。そこで、T課長はEVM(Earned Value Management)手法を用いて進捗を定量的に可視化して管理することで遅延リスクへの対応を行うことにした。また、D社の経営陣に少なくとも月1回開催するプロジェクト全体会議で進捗状況、リスク及び課題を報告し、対応策を確定させることにした。   〔外部設計の進捗状況〕  外部設計は人事外部設計チーム、給与外部設計チームの2チーム体制とし、8週間で実施して、工程完了時点で仕様を凍結する。S社は外部設計書として、D社の要件定義を踏まえS社パッケージの標準画面及び標準帳票を参考にして、処理フロー図、画面仕様、帳票仕様、利用者別処理権限表などを作成する。その上で、D社との仕様検討の際に、S社パッケージによって実現する機能については、外部設計書による説明に加え、S社パッケージの標準画面のデモンストレーションや標準帳票の記入例の提示を行う。一方、追加開発で実現する機能については、外部設計書だけで設計内容を説明する。  各チームは機能単位でAC(Actual Cost)、EV(Earned Value)を整理しており、T課長は各チームから週次でAC、EVのチーム集計結果、リスク・課題状況と翌週の作業予定の報告を受け、進捗状況などを確認している。外部設計を開始してから3週間経過時の進捗報告で、人事外部設計チームのリーダから、クリティカルパス上の作業ではないが一部機能の設計が遅れているので、この機能を含めて各機能の作業に投入する工数を調整し、遅延を回復させたいという相談があり、T課長はこれを承認した。3週間経過時及び4週間経過時における、EVMの実績に基づく進捗報告は表1に示すとおりである。
プロジェクトマネージャ試験(平成28年 午後1 問3 表1)
 T課長は、表1からプロジェクト全体としてはおおむね計画どおりに進んでいると判断できるが、3週間経過時及び4週間経過時の報告内容を勘案すると、人事外部設計チームに関しては、各機能の作業状況を具体的に把握した上で、状況によっては課題を特定して対応策を検討し、プロジェクト全体会議でD社と対応策を確定させる必要があると考えた。人事外部設計チームは、機能1から機能4に分けて設計していることから、T課長は、人事外部設計チームのリーダに、それぞれの機能の作業状況について報告を求めた。   〔人事外部設計チームの進捗状況〕  T課長が確認した、人事外部設計チームの各機能の作業状況は次のとおりであった。  機能1から機能3まではS社パッケージによって実現する機能である。機能1は、最も作業工数を要する機能であり、プロジェクト計画においてクリティカルパス上の作業であるが、現時点では計画どおりに進んでいる。機能2はS社パッケージの標準画面及び標準帳票をそのまま利用する仕様となったこともあり、作業は当初計画よりも進んでいる。機能3はS社パッケージの標準画面及び標準帳票からの変更内容が明確であり、計画どおりに仕様検討が行われ、作業が進捗している。  機能4は現行人事給与システムでは未対応であり、全社員が利用者となる休暇・残業申請業務のシステム化をS社パッケージに対する追加開発で実現するものである。S社は他社で本機能に関する類似の追加開発実績を有しており、その知見を生かして設計を行っている。現時点ではクリティカルパス上の作業ではない。D社人事部の仕様検討担当者(以下、D社担当者という)は、本業務について現行の紙を用いた処理方法は具体的に理解しているが、システム化した処理方法のイメージが十分にもてておらず、詳細作業手順、作業条件、例外作業の処理方法などの理解が不十分である。このため、S社外部設計案に対するD社担当者の意見は、紙を前提とした処理方法に基づくものでありS社外部設計案と比較してシステム化する上で優位性がない仕様であったり、仕様内容に不明瞭な点や整合性に欠けるところが残るものであったりする。D社担当者の意見を生かしつつ当該機能の仕様を確定させるには時間が掛かる。仕様確定の迅速化に向け、作業に投入する工数を計画よりも増加させたが、遅延の解消に至っていない。  なお、外部設計工程では、品質・コスト・スケジュールに影響を与える事象を課題管理対象として扱っており、仕様確定に手間取った箇所もその都度、課題管理表に記録している。さらに、課題管理表を週次で整理して未決事項一覧表を作成し、未決事項の検討内容や仕様の確定状況をモニタリングしている。  作業状況を確認したT課長は、人事外部設計チームの進捗状況を適切に管理するために、機能単位でEVMの実績及びクリティカルパスを明示した進捗状況の報告を受けることにした。報告を受けた機能単位のEVMの実績に基づく進捗報告は表2に示すとおりである。
プロジェクトマネージャ試験(平成28年 午後1 問3 表2)
 機能4の4週間経過時のSPI(Schedule Performance Index)はaとなっており、T課長は各機能の作業に投入する工数の調整だけでは対応策として不十分であると判断した。そこで、プロジェクト全体会議において、T課長はbを用いて仕様の確定が進んでいないことを報告し、D社とS社は、D社のある状況が仕様確定に時間が掛かっている原因であるという共通認識をもった。その上で、EVMの実績の推移及びEAC(Estimate At Completion)を用いて進捗遅れの問題が顕在化していることを報告し、マイルストーンである仕様凍結日の遵守に向けてD社にも対応を要請することにした。  さらに、T課長は、仕様確定を迅速に進めるためには、D社担当者がS社の外部設計内容を、システム化した処理方法として適切なものであると容易に判断できるようにすることが重要であると考えた。そこで、T課長は、人事外部設計チームに対して、現行人事給与システムで対応していない機能を追加開発する際の外部設計書に関しては、他社での類似の追加開発実績を活用して、ある補足資料を作成し、それも用いて外部設計内容の説明を行うように指示した。そして、引き続き機能単位のEVMの実績などを用いた進捗管理を行い、今後の外部設計期間中に、もし週次の進捗報告から①ある状況になったことが判明した場合は、S社の設計要員を追加投入して遅延の回復を図る対応策の検討や調整も行うことにした。   〔テストに関する施策の追加〕  T課長は、人事外部設計チームの作業状況から、本プロジェクトに潜在する品質リスクを勘案し、次に示す二つの施策をテスト工程で実施することをD社に提案した。  ① 総合テストのテストケース作成に、外部設計時に用いた課題管理表を活用する。  ② 利用者トレーニングにおいて、操作説明会に加え、全社員を対象にトレーニング用のデータを使って一連の業務を実行する試行運用を追加する。さらに、試行運用結果を踏まえてcの記述を充実させ、本稼働後に、利用者が業務・システムについての不明点を自身で解消できるようにする。

設問1:

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〔外部設計の進捗状況〕について、T課長が、プロジェクト全体がおおむね計画どおりに進んでいる状況でも、人事外部設計チームの各機能の作業状況を具体的に把握する必要があると考えた理由を35字以内で述べよ。

模範解答

人事外部設計チームは4週間経過時もEVが回復していないから

解説

解答の導き方

この設問では、プロジェクト全体の集計だけでは分かりにくい、人事外部設計チームの進捗に注目します。
EVMでは、計画した作業量を金額で表したPVと、完了した作業量を金額で表したEVを比べます。EVがPVを下回っていれば、完了した作業量が計画より少ない状態です。
表1では、人事外部設計チームの3週間経過時のPVが4,550、EVが4,520で、EVはPVを30下回っています。4週間経過時も、PVが6,050に対してEVは5,940で、差は110に広がっています。つまり、3週間経過時にあった遅れが、翌週に取り戻されていません。
一方、給与外部設計チームは3週間経過時も4週間経過時もEVとPVが同額です。そのため、全体の集計では人事外部設計チームの遅れが目立ちにくく、プロジェクト全体としてはおおむね計画どおりに見えます。しかし、人事外部設計チームは4週間経過時もEVがPVに追いついておらず、遅れが回復していません。したがって、チーム全体の数値だけで判断せず、機能ごとの作業状況を確認する必要があります。

誤りやすいポイント

  • プロジェクト全体の数値が計画に近いことだけを見て、人事外部設計チームにも問題がないと判断してしまうことがあります。チーム別に見ると、給与外部設計チームと人事外部設計チームでは進捗状況が異なります。
  • ACをEVと取り違えないようにします。作業にかかった費用を示すACだけでは、計画した作業量に対してどれだけ作業が完了したかは判断できません。
  • 3週間経過時に遅れていることだけでなく、4週間経過時に遅れが解消したかを確認します。この問題では、EVとPVの差が広がっているため、遅れを回復できていないと分かります。

FAQ

Q: EVがPVを下回っていると、何が分かりますか?
A: 完了した作業量が、同じ時点までに計画していた作業量より少ないことが分かります。
Q: 全体の進捗が計画に近くても、チームごとに確認する必要があるのはなぜですか?
A: あるチームの遅れが、別のチームの計画どおりの進捗や先行によって集計上目立たなくなることがあるためです。
Q: 3週間経過時と4週間経過時を比べるのはなぜですか?
A: 遅れが一時的なものか、翌週に回復したかを確認できるためです。この場合は、EVとPVの差が広がっています。

関連キーワード: EVM、EV、PV、進捗管理、進捗差異

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設問2:〔人事外部設計チームの進捗状況〕について、(1)~(5)に答えよ。

設問2(1)

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本文中のaに入れる数値を求めよ。答えは小数第3位を四捨五入して小数第2位まで求めよ。

模範解答

a:0.89

解説

解答の導き方

  1. 問われているのは、機能4の4週間経過時のSPIです。表2の「機能4」の行から、4週間経過時のPVは1,600、EVは1,420と読み取れます。
  2. SPIは、計画に対してどれだけ作業が進んでいるかを表す指標で、次の式で求めます。
    ACは実際にかかったコストを表す値なので、この計算には使いません。
  3. 表2の値を式に当てはめます。
  4. 指示どおり小数第3位を四捨五入して小数第2位まで求めると、0.89です。SPIが1を下回っているため、機能4は計画より遅れていると判断できます。

誤りやすいポイント

  • SPIの分子と分母を逆にし、PV÷EVとしてしまうことがあります。SPIはEV÷PVです。
  • ACを使って、EV÷ACを計算してしまうことがあります。EV÷ACで求めるのは、コスト効率を表すCPIです。
  • 人事外部設計チーム全体の値ではなく、表2の「機能4」の4週間経過時の値を使います。
  • 小数第2位まで求める際、0.8875の小数第3位を見落とさずに四捨五入します。

FAQ

Q: SPIが1より小さい場合、何を意味しますか?
A: 実際に完了した作業量が計画上の作業量を下回っており、スケジュールが遅れていることを示します。
Q: ACが計算に必要ないのはなぜですか?
A: SPIはスケジュールの進み具合を測る指標だからです。ACは実際にかかったコストであり、コスト効率を確認するときに使います。
Q: PVとEVはそれぞれ何を表しますか?
A: PVは計画上の作業量に相当する価値、EVは完了した作業量に相当する価値です。

関連キーワード: EVM、SPI、PV、EV、AC

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設問2(2)

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本文中のbに入れる適切な資料名を答えよ。

模範解答

b:未決事項一覧表

解説

解答の導き方

  1. 問われているのは、仕様の確定が進んでいないことを報告する際に使う資料名です。まず、外部設計で仕様確定に手間取った箇所は「課題管理表に記録」するとあります。したがって、課題管理表が課題を記録するための資料だと分かります。
  2. さらに本文では、課題管理表を週次で整理して別の資料を作成し、「未決事項の検討内容や仕様の確定状況」をモニタリングすると説明しています。仕様がまだ確定していない項目や、その検討状況を確認する資料は、この週次で作成する一覧表です。
  3. この設問では、課題を記録する資料そのものではなく、仕様の確定状況を報告するために使う資料名を選びます。そのため、bには「未決事項一覧表」が入ります。

誤りやすいポイント

  • 「課題管理表」と答えてしまうことです。課題管理表は、品質・コスト・スケジュールに影響を与える事象などを記録する資料です。本文では、そこから週次で未決事項一覧表を作成すると区別されています。
  • EVMの進捗値だけで仕様の未確定状況も分かると考えることです。EVMは作業の進捗を定量的に把握する手法ですが、個々の未決事項や仕様の確定状況を確認する資料として本文に示されているのは、未決事項一覧表です。

FAQ

Q: 課題管理表と未決事項一覧表は、どのように使い分けますか?
A: 課題管理表に課題を記録し、その内容を週次で整理して、未決事項の検討内容や仕様の確定状況を確認するために未決事項一覧表を作成します。
Q: なぜ未決事項一覧表が、仕様確定の遅れの報告に適しているのですか?
A: 仕様が確定していない項目と、その検討状況を確認できるため、どこで確定が滞っているかを共有しやすいからです。
Q: EVMと未決事項一覧表は、同じ目的の資料ですか?
A: いいえ。EVMは進捗を定量的に把握するために用い、未決事項一覧表は未決事項の検討内容や仕様の確定状況を把握するために用います。

関連キーワード: 課題管理、未決事項管理、進捗管理、EVM

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設問2(3)

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D社のどのような状況が原因で仕様確定に時間が掛かっているのか。40字以内で述べよ。

模範解答

D社担当者が、システム化した処理方法のイメージを十分にもてていない状況

解説

解答の導き方

  1. 問われているのは、機能4の仕様確定に時間が掛かっている原因となる、D社側の状況です。まず、機能4では、現行の紙による処理を新人事給与システムでシステム化しようとしています。
  2. 本文には、D社担当者は「現行の紙を用いた処理方法は具体的に理解している」が、「システム化した処理方法のイメージが十分にもてておらず」とあります。つまり、現在の業務の進め方は分かっていても、それをシステム上でどのように実現するかを十分に思い描けていない状況です。
  3. そのため、詳細な作業手順や例外作業の処理方法などの理解が不十分となり、D社担当者の意見は紙を前提にしたものになります。本文では、その結果として、S社の外部設計案に対して「仕様内容に不明瞭な点や整合性に欠けるところが残る」と説明されています。意見を生かしながら仕様を確定するには時間が掛かるため、仕様確定が遅れていると分かります。
  4. したがって、原因として答えるべきなのは、単に「仕様検討が遅れている」という結果ではなく、D社担当者がシステム化後の処理方法を十分にイメージできていない状況です。

誤りやすいポイント

  • 原因と結果を取り違え、「仕様確定に時間が掛かっている状況」とだけ答えないようにします。問われているのは、その遅れを生んでいるD社側の状況です。
  • 「D社担当者が現行業務を理解していない」とするのは不適切です。本文では、紙を用いた処理方法は具体的に理解しているとされています。
  • 「S社の設計案が不適切」と決めつけないようにします。本文が原因として示しているのは、D社担当者がシステム化した処理方法を十分にイメージできていないことです。
  • 工数を増加させても遅延が解消していないことだけを原因にしないようにします。工数調整では解決しにくい、仕様の理解や検討に関する問題が中心です。

FAQ

Q: D社担当者は現行業務を理解しているのに、なぜ仕様確定に時間が掛かるのですか。
A: 紙での処理を理解していることと、システム化した場合の手順や例外処理を理解していることは別だからです。本文では、後者の理解が不十分とされています。
Q: 追加の人員や工数を投入すれば解決する問題ではないのですか。
A: 工数を増やしても遅延が解消していないとあります。仕様を検討する側がシステム化後の処理を具体的にイメージできていないため、理解を深めて仕様を合意することが重要です。
Q: 機能4で特に問題が生じているのはなぜですか。
A: 機能4は、現行では紙で行っている業務を追加開発でシステム化する機能です。ほかの機能のようにパッケージの標準画面や標準帳票をそのまま利用するケースとは異なり、システム化後の処理方法を具体的に検討する必要があります。

関連キーワード: 業務分析、外部設計、仕様合意、ステークホルダー、課題管理

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設問2(4)

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D社担当者がS社の外部設計内容を、システム化した処理方法として適切なものであると容易に判断できるようにするために、T課長が人事外部設計チームに追加作成を指示した補足資料とはどのような資料か。25字以内で述べよ。

模範解答

・システム化した処理のデモンストレーション画面 ・詳細作業手順が分かるプロトタイプシステム

解説

解答の導き方

  1. 問題の対象は、追加開発する機能4です。D社担当者は現行の紙による処理方法は理解していますが、「詳細作業手順、作業条件、例外作業の処理方法などの理解が不十分」とされています。つまり、紙の業務を知っていても、システム化後に画面上でどのように処理するかを具体的に思い描けていません。
  2. 説明方法の違いにも注目します。S社パッケージで実現する機能は標準画面のデモンストレーションなどを使って説明する一方、追加開発する機能は「外部設計書だけで設計内容を説明する」とあります。設計書の説明だけでは、担当者がシステム化後の処理を判断しにくい状況です。
  3. そこで必要なのは、外部設計の内容を、実際の画面や作業の流れとして具体的に確認できる補足資料です。他社での類似の追加開発実績を活用し、システム化した処理を画面で示すデモンストレーションや、詳細な作業手順を確認できるプロトタイプを用意すれば、D社担当者は設計内容の適切さを判断しやすくなります。

誤りやすいポイント

  • 仕様の説明文書を増やすだけでは、システム化後の処理を具体的にイメージできるとは限りません。画面や作業手順を確認できる資料が求められています。
  • 操作マニュアルは、本稼働後に利用者が操作するための資料です。この設問では、外部設計の内容をD社担当者が判断しやすくするための補足資料を問われています。
  • 既存の紙による処理をそのまま画面に置き換えることが目的ではありません。システム化した処理方法として適切かどうかを確認できることが重要です。

FAQ

Q: なぜ外部設計書だけでは不十分なのですか?
A: D社担当者は紙による現行業務は理解していますが、システム化後の手順や例外処理を十分にイメージできていないためです。画面や操作の流れを具体的に示す資料が必要です。
Q: プロトタイプは、完成したシステムでなければなりませんか?
A: いいえ。設計内容を確認するために、画面や処理手順を試せる試作品であれば、完成品である必要はありません。
Q: 類似の追加開発実績は、どのように役立ちますか?
A: 実績を参考に画面や作業手順を具体化でき、D社担当者がシステム化後の処理を確認しやすくなります。

関連キーワード: プロトタイプ、外部設計、画面設計、業務フロー、要件定義

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設問2(5)

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本文中の下線①の“ある状況”とはどのような状況か。30字以内で述べよ。

模範解答

機能4の外部設計作業がクリティカルパスとなる状況

解説

解答の導き方

  1. 問われているのは、週次の進捗報告を受けたとき、遅延回復のために設計要員の追加投入を検討する条件です。機能4は「現時点ではクリティカルパス上の作業ではない」とあるため、遅れていても、直ちにプロジェクト全体の完了時期を遅らせるとは限りません。
  2. 一方、4週間経過時の機能4は、計画上の進捗を示すPVが1,600、実際に完了した作業量を示すEVが1,420です。したがって、予定より遅れていることは分かります。ただし、進捗が遅れていることと、プロジェクト全体の完了に影響することは同じではありません。
  3. 本文では、外部設計の完了時に仕様を凍結する計画です。機能4の遅れが進み、作業の余裕がなくなって機能4の外部設計作業がクリティカルパスになれば、その完了時期が仕様凍結などの後続日程に影響するおそれがあります。その状況が、設計要員の追加投入を検討する条件です。

誤りやすいポイント

  • 機能4のSPIが1未満であることだけを、設計要員を追加投入する条件と考えないようにします。SPIは計画に対する進捗の遅れを示しますが、プロジェクト全体の完了に影響するかどうかまでは示しません。
  • 機能4は「現時点ではクリティカルパス上の作業ではない」とされています。現在すでにクリティカルパス上にある、と読み違えないようにします。
  • ある作業が遅れていても、スケジュール上の余裕が残っていれば、直ちにプロジェクト全体の遅延につながるとは限りません。余裕がなくなり、その作業がクリティカルパスとなる状況を捉えます。

FAQ

Q: SPIが1未満なら、必ず遅延回復のために要員を追加するのですか?
A: いいえ。SPIが1未満なら計画より進捗が遅れていますが、作業がクリティカルパス上にあるか、今後そこに至るかも確認する必要があります。
Q: 作業がクリティカルパスになると、何が問題になりますか?
A: その作業の遅れが、後続作業やマイルストーン、プロジェクト全体の完了時期に影響するようになります。
Q: 機能4の遅れが現時点でプロジェクト全体の遅延とは限らないのはなぜですか?
A: 本文では、機能4は現時点でクリティカルパス上ではないとされているためです。スケジュール上の余裕が残っていれば、遅れを吸収できる可能性があります。

関連キーワード: EVM、SPI、クリティカルパス、スケジュール遅延、進捗管理

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設問3:〔テストに関する施策の追加〕について、(1)、(2)に答えよ。

設問3(1)

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外部設計時に用いた課題管理表を活用してテストケースを作成することで、テスト実施時にどのような確認が可能になるか。30字以内で述べよ。

模範解答

仕様の確定に手間取った箇所が正しく実現されていること

解説

解答の導き方

この設問は、外部設計時の課題管理表を総合テストのテストケース作成に活用すると、テストで何を確認できるかを問うています。
本文には、外部設計工程で「仕様確定に手間取った箇所もその都度、課題管理表に記録している」とあります。つまり、課題管理表には、検討に時間が掛かった仕様や、注意して確認すべき内容が残されています。
その記録をテストケースに反映すれば、総合テストで、特に手間取った箇所について、設計で決めた仕様どおりにシステムが作られているかを確かめられます。したがって、確認できるのは、仕様の確定に手間取った箇所が正しく実現されていることです。

誤りやすいポイント

  • 課題管理表を使う目的を、課題が解決済みかどうかの確認だけに限定しないようにします。ここでは、課題の記録をテストケースに反映して、該当する機能の実現状況を確かめます。
  • 「システム全体が正常に動作すること」のように広く答えると、課題管理表を活用する意味が伝わりません。仕様確定に手間取った箇所に着目します。
  • 「テストケースを作成できること」と答えるだけでは、設問が尋ねるテスト実施時の確認内容になっていません。テストによって何を確認するのかまで述べます。

FAQ

Q: なぜ仕様確定に手間取った箇所を重点的に確認するのですか?
A: 検討に時間が掛かった箇所は、仕様の解釈や内容の整理に注意を要した可能性があるためです。課題管理表の記録をテストに利用し、設計内容が正しく実現されているかを確認します。
Q: ここでいう確認は、仕様が確定したかどうかの確認ですか?
A: いいえ。設問はテスト実施時に何を確認できるかを尋ねています。確認するのは、確定した仕様がシステムに正しく実現されていることです。
Q: 課題管理表の内容は、テストケースにどのように役立ちますか?
A: テストで確認すべき注意点や、仕様検討で問題となった箇所を特定する手掛かりになります。それらをテストケースに反映することで、確認漏れを防ぎやすくなります。

関連キーワード: 課題管理、総合テスト、テストケース、仕様確認、品質管理

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設問3(2)

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本文中のcに入れる適切な資料名を答えよ。

模範解答

c:操作マニュアル

解説

解答の導き方

  1. 設問は、試行運用の結果を踏まえて記述を充実させる資料名を問うています。本文では、利用者トレーニングとして「操作説明会に加え」、全社員がトレーニング用データで一連の業務を実行する試行運用を行うとしています。
  2. 試行運用では、利用者が実際に業務を進める中で、手順の分かりにくさやシステムの操作上の疑問点が明らかになります。その結果を資料の記述に反映すれば、本稼働後に同じような疑問が生じたとき、利用者自身で確認できます。
  3. 本文は、利用者が本稼働後に「業務・システムについての不明点を自身で解消できる」ようにするとしています。業務の進め方やシステムの操作方法を利用者が後から確認する資料として適切なのは、操作マニュアルです。

誤りやすいポイント

  • 試行運用そのものや操作説明会を資料名として選ばないようにします。これらは利用者トレーニングの実施内容であり、記述を充実させる対象ではありません。
  • トレーニング用データは試行運用で使うデータです。本稼働後に利用者が疑問を解消するための資料とは役割が異なります。
  • 「業務・システムについての不明点を自身で解消する」という目的に注目すると、利用者が必要なときに参照できる操作マニュアルが適切です。

FAQ

Q: 操作説明会を行うなら、操作マニュアルを充実させる必要はないのではありませんか。
A: 説明会はその場で説明を受ける機会ですが、本稼働後に利用者が自分で確認できる資料も必要です。試行運用で判明した分かりにくい点を操作マニュアルに反映します。
Q: 試行運用では、どのようなことを確認できますか。
A: 利用者が一連の業務を実行することで、手順や操作で迷いやすい箇所、不明点が生じる箇所を把握できます。その結果をマニュアルの記述に反映できます。

関連キーワード: 操作マニュアル、試行運用、利用者トレーニング、業務手順、システム操作

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