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プロジェクトマネージャ 2016年 午後1 問02


プロジェクトにおけるコミュニケーションに関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。

 システム開発会社のP社は、10年前に開発した放送事業者A社の放送番組編成支援システムの追加開発を担当している。追加開発は、A社との間で請負契約を結んで、半年サイクルで継続的に実施している。このシステムの特徴は、他の複数のシステムと連携していることから、A社の現場部門や他システムの担当者など、ステークホルダが多いことである。  長期にわたってこのシステムを担当してきたP社のプロジェクトマネージャ(PM)が退職することになり、後任のQ課長がPMとして追加開発を担当することになった。開発チームはこれまでどおり、リーダであるR主任を含むメンバ8人から成る体制を継続する。  Q課長は、着任に当たって過去のプロジェクトの実績を確認するとともに、開発チームやステークホルダにヒアリングを行ってこれまでの状況を把握し、次のように整理した。  ・前回の追加開発(以下、前回開発という)をはじめ過去の追加開発でも、何回か大きな手戻りが発生しており、A社、P社とも、何らかの対策の必要性を認識している。  ・A社のステークホルダは、P社に対して不満をもっている。  ・P社の開発チームは、十分なチームワークを発揮できていない。  Q課長は、これらの状況を生んだ根底にはコミュニケーションに関する問題があると考え、改善を検討することにした。   〔前回開発の問題を踏まえた改善〕  Q課長は、前回開発の問題を次のように整理した。  ・A社システム部は、現場部門から提示された要求事項を、そのまま一覧にしてP社に提示していた。そこに記載された要求事項は、“何をどのように追加・変更するか”は書かれているものの、断片的な情報であることが多く、業務上の目的や、背景、意図などはほとんど書かれていなかった。また、要求事項の漏れや考慮不足が後工程で見つかることもあった。  ・P社は、A社システム部から一覧にして提示された要求事項を、そのまま追加開発のインプットとしており、要求事項のレビューをほとんど実施していなかった。  ・要求事項一覧で使用されていた業務用語は、用語の定義が不明確で、複数の解釈が可能なものもあった。そのような場合に、A社とP社の解釈が違っていると、その違いは現場部門による受入テストまで検出できず、大きな手戻りとなった。  ・現場部門が、複数の要求事項から自明なので当然対応されるはず、と考えて、要求事項一覧に明示されていない要求事項もあった。しかし、その認識はA社システム部にもP社にもなかったので、現場部門による受入テストで、“このままでは業務には適さない”と評価され、大きな手戻りとなった。  ・要求事項からP社としては他システムへの影響が容易に想定できるはずだと思われた事項が、連携先の他システム担当者の想定から漏れていて、他システムとの連携確認テストで問題が判明し、大きな手戻りとなった。  ヒアリングによると、過去の追加開発でも上記の前回開発の問題と同様な事象が発生しているとのことだった。  Q課長は、図1に示す前回開発における要求事項の解釈に関わる過程で、(i)と(ii)の過程に問題がある、と考えた。
プロジェクトマネージャ試験(平成28年 午後1 問2 図1) ↩設問1(1) ↩設問1(3)
 Q課長はまず、①A社システム部が提示する要求事項一覧に関する基本的な責任の所在について、A社システム部と話し合い、合意を得た。その上で、次の(1)〜(5)のプロセスで要求事項のレビューを行うことを提案した。  (1) P社は、要求事項一覧に記載された内容について、A社システム部に別の観点や表現で問い返したり、疑問点を質問したりして、要求事項の解釈にA社と違いがないことを確認する。  (2) P社は、解釈した要求事項について、“なぜ追加・変更するのか”、“何のために追加・変更するのか”という質問を励行する。A社システム部はその質問を契機として、提示した要求事項が実現したい内容と合っているかどうかを現場部門に確認し、必要であれば実現したい内容に合わせて要求事項の見直しを行う。  (3) P社は、解釈した要求事項を図表に整理して、要求事項としての漏れや考慮不足がないかどうかを整理する。また、要求事項から導かれる、利用者や他システムへの影響について整理する。A社システム部はその情報を基に、必要であれば実現したい内容と合わせて要求事項の見直しを行う。  (4) 上記のプロセスを経て完成度を高めた要求事項一覧に対し、P社はその要求事項をブレークダウンした要件定義書を作成する。A社システム部は、要件定義書をレビューし、要求事項一覧の内容が正しくP社に解釈されていることを確認する。  (5) A社システム部は、要求事項一覧と要件定義書の必要な範囲について、現場部門や他システム担当者とレビューし、要求事項が実現したい内容と合っていること、他システムへの影響が想定されていることを確認する。  A社システム部はこの提案を受け入れた。   〔顧客報告の改善〕  Q課長は、P社の顧客報告に対するA社システム部の要望をヒアリングした結果に基づいて、R主任に顧客報告についての改善案を検討するように指示した。R主任が検討した改善案は、表1のとおりである。
 Q課長は、要望3に対する改善案について、この内容ではA社システム部及びステークホルダの時間を有効に使う観点からは不十分なので、②見直しを行うように指示した。R主任は改善案の見直しを行い、Q課長はこれを承認した。   〔開発チーム内部の改善〕  Q課長は、開発チームへのヒアリングで、次のような意見を収集していた。 (1) R主任の意見  ・前任のPMは、進捗会議で進捗や品質の問題が報告されると、報告者に対して“原因は何か”、“対策は考えたか”と問い詰め、全員の前で叱責することが多かった。そのためにメンバは、原因分析や対策立案ができていない段階では、問題の発生を報告しにくいと感じていると思う。  ・連絡や相談を頻繁にしてくるメンバがいる一方で、ほとんどしてこないメンバもいる。ミーティングでも発言をするメンバとしないメンバに分かれている。意見を言わないメンバともコミュニケーションを取る必要があるが、そのための時間を確保できていない。 (2) メンバの意見  ・進捗や品質の問題を発生させたくないので、自分の担当作業を問題なく進めることを最優先にしている。過去に他のメンバの作業が遅れていた時、早めに助言、レビューをしてあげていれば、影響を小さくできていたかもしれない。  ・前任のPMもR主任も、いつも忙しい様子だったので、明らかに問題であると判断したときは相談したが、予兆や“いやな感じ”といった程度では、相談しづらかった。結果として問題になったケースが多く、早めに相談しておくべきだった。  Q課長は、これらの意見をまとめてメンバに配布した。その際に、“チームとして活動する強みを生かすことが最も大切であり、今後は、問題を起こした個人に着目するのではなく、問題に対してcで向き合う姿勢で臨みたい。そのためには、チーム内部の状況を的確に共有することが重要である。その第一歩として、1週間後にミーティングを開き、全員で改善方針を検討したいので、それぞれの見解や対策を事前に考えてきてほしい”と伝えた。また、Q課長は、これまでの開発チームのコミュニケーションの状況を踏まえて、各自の事前の検討結果をミーティングの前日までに提出するように指示した。  ミーティングでQ課長は、前日までに集めた意見を整理した資料を配布した上で、まず③全員に自分の意見を述べさせ、議論を経て、朝夕の短時間ミーティングの開催や、困っているメンバに対する相互支援などの改善方針をまとめた。次にQ課長は、“これからは、過去の事例に学んで、悪い話ほど早めに、ミーティングなどの場を通じて共有してほしい。問題として明らかになる前でも構わない。そのことが④開発チームの活動を改善することにつながると思う。”と述べて、ミーティングを終えた。

設問1:〔前回開発の問題を踏まえた改善〕について、(1)~(3)に答えよ。

設問1(1)

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図1中のaに入れる適切な字句を15字以内で答えよ。

模範解答

a:P社が解釈した要求事項

解説

解答の導き方

  1. 図1では、左側の「現場部門が追加・変更によって実現したい要求事項」から、(i)を経て「A社システム部が提示する要求事項一覧」に進み、さらに(ii)の先にある項目を問われています。したがって、空欄には、要求事項一覧を受け取ったP社側で生じる段階が入ります。
  2. 本文では、P社が要求事項一覧を「そのまま追加開発のインプット」とし、要求事項のレビューをほとんど実施していなかったと説明されています。また、業務用語の解釈がA社とP社で異なり、その違いが受入テストまで見つからないこともありました。これらは、要求事項一覧をP社がどう理解したかに関する問題です。
  3. 改善プロセスの(1)では、P社が内容を問い返したり質問したりして、「要求事項の解釈にA社と違いがないこと」を確認します。この確認の対象となるのは、一覧そのものではなく、P社が読み取った要求事項です。
  4. さらに、(4)では、その後にP社が要求事項をブレークダウンして要件定義書を作成します。したがって、空欄は要件定義書ではなく、その前段階に当たる「P社が解釈した要求事項」と判断できます。

誤りやすいポイント

  • 空欄を「要求事項一覧」とすると、図1ですでに示されている中央の項目と重複します。
  • 「要件定義書」は、要求事項の解釈・レビューを経た後に作成されるものです。本文の(4)の順序を確認しましょう。
  • 問題の焦点は、要求事項の提示だけでなく、P社がそれをどう解釈したかです。A社とP社の解釈のずれに注目します。

FAQ

Q: 空欄には、なぜ「A社システム部が解釈した要求事項」ではなく、P社側の解釈が入るのですか?
A: 本文では、P社が要求事項一覧を受け取り、要求事項をどう解釈したかを確認するプロセスが説明されています。問題となっている(ii)は、一覧からP社の解釈へ進む段階だからです。
Q: 「要件定義書」ではいけないのですか?
A: 要件定義書は、本文の(4)で、完成度を高めた要求事項一覧を基にP社が作成するものです。図1の空欄は、その作成より前の段階です。

関連キーワード: 要求事項、要求事項レビュー、要求解釈、要件定義、ステークホルダ調整

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設問1(2)

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本文中の下線①で、Q課長が得た合意の内容は何か。35字以内で述べよ。

模範解答

要求事項一覧を定義するのは、A社システム部の責任であること

解説

解答の導き方

この設問では、下線①の話合いで合意した「要求事項一覧に関する基本的な責任の所在」を答えます。要求事項の確認やレビューを誰が行うかではなく、要求事項一覧の内容を定義する責任がどこにあるかを考えます。
まず、前回開発では、A社システム部が現場部門から提示された要求事項を一覧にしてP社に提示していました。一方、P社は「要求事項のレビューをほとんど実施していなかった」とあります。つまり、要求事項一覧を提示する側と、その内容を確認する側の役割が十分に整理されていませんでした。
次に、改善後のプロセスを見ると、P社は要求事項について質問し、解釈を整理し、漏れや他システムへの影響を検討します。しかし、P社の質問を受けて現場部門に実現したい内容を確認し、必要に応じて要求事項を見直すのはA社システム部です。また、A社システム部は要件定義書をレビューし、現場部門や他システム担当者との確認も行います。
このように、P社は要求事項の解釈やレビューを支援しますが、業務上実現したい内容を踏まえて要求事項一覧を定義する基本的な責任は、一覧を作成して提示するA社システム部にあります。したがって、合意した内容は「要求事項一覧を定義するのは、A社システム部の責任であること」です。

誤りやすいポイント

  • P社が要求事項のレビューや要件定義書の作成を行うことから、要求事項一覧を定義する責任もP社にあると考えてしまうことがあります。レビューや整理を担うことと、要求事項を定義する責任は別です。
  • 現場部門が要求を提示するため、責任も現場部門にあると考えるのは誤りです。本文では、A社システム部が現場部門の要求を受けて一覧を提示し、必要に応じて見直します。
  • A社システム部の責任であるからといって、P社は提示された一覧をそのまま受け入れればよいわけではありません。前回開発の問題を防ぐため、P社にも解釈の確認やレビューが求められています。

FAQ

Q: A社システム部に定義責任があるなら、P社がレビューする必要はないのですか?
A: いいえ。A社システム部が要求事項を定義する責任を持ち、P社は解釈の違いや漏れ、影響を確認して、その完成度を高める役割を担います。
Q: 現場部門は要求事項の定義に関係しないのですか?
A: 現場部門は実現したい業務内容を伝え、A社システム部がその内容を確認して要求事項一覧に反映します。設問で問われている基本的な責任の所在は、一覧を定義するA社システム部です。

関連キーワード: 要求事項、要求定義、レビュー、責任分界、ステークホルダ

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設問1(3)

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本文中の(1)~(5)のプロセスを、図1に示す(i)の過程の問題を解決するためのものと、(ii)の過程の問題を解決するためのものとに分類したとき、前者に該当するものを全て答えよ。  なお、両方に該当するものは、解答に含めるものとする。

模範解答

(2)、(3)、(5)

解説

解答の導き方

まず、図1の(i)と(ii)で、どの間の認識や情報伝達が問題になっているのかを分けて考えます。
(i)は、現場部門が実現したい要求事項を、A社システム部が要求事項一覧にまとめる過程です。本文では、一覧に業務上の目的や背景がほとんど書かれていなかったことや、要求事項の漏れ、現場部門が当然対応されると考えていた内容の抜けが問題になっています。したがって(i)の問題は、現場部門が実現したいことが、要求事項一覧に正しく反映されているかどうかです。
一方、(ii)は、A社システム部が提示した要求事項一覧をP社が解釈する過程です。本文では、業務用語の解釈がA社とP社で異なり、受入テストまで違いが分からなかったことや、P社が要求事項のレビューをほとんど行っていなかったことが問題になっています。つまり、(ii)ではA社とP社の解釈を一致させることがポイントです。
(1)では、P社がA社システム部に問い返したり質問したりして、「要求事項の解釈にA社と違いがないこと」を確認します。これは、A社からP社への解釈のずれを防ぐ施策なので、主に(ii)に対応します。
(2)では、P社の質問をきっかけに、A社システム部が現場部門へ確認し、要求事項が「実現したい内容と合っているかどうか」を確かめます。必要であれば要求事項を見直すため、現場部門の意図を一覧に反映させる施策です。(i)の問題を解決するものとして該当します。
(3)では、P社が要求事項の漏れや考慮不足を整理し、その情報を基にA社システム部が「実現したい内容と合わせて要求事項の見直し」を行います。要求事項一覧の内容を現場部門の実現したいことに合わせる働きがあるため、(i)に該当します。P社が一覧を整理する点は(ii)にも関係しますが、両方に該当するものも含める条件なので、対象から外しません。
(4)では、P社が要件定義書を作成し、A社システム部が「要求事項一覧の内容が正しくP社に解釈されていること」を確認します。これはA社とP社の解釈を一致させる確認であり、(ii)に対応します。
(5)では、A社システム部が現場部門とレビューし、要求事項が「実現したい内容と合っていること」を確認します。これは、現場部門の意図が要求事項一覧に反映されているかを確かめるため、(i)に該当します。レビュー対象に要件定義書も含まれるので、P社の解釈のずれに気付く場面もあり得ますが、中心となる働きは(i)の問題の解決です。

誤りやすいポイント

  • (i)と(ii)を、単に「顧客側の作業」と「開発会社側の作業」に分けるのではなく、図1の矢印が示す情報の受け渡しで考えます。
  • (2)はP社からA社システム部への質問が含まれますが、重要なのはA社システム部が現場部門に確認して要求事項を見直す点です。
  • (3)はP社による整理を含み、(5)は他システムへの影響確認や要件定義書のレビューを含みます。ほかの観点を含む場合でも、(i)の問題を解決する働きがあれば対象に含めます。
  • (1)と(4)は、要求事項一覧の内容がP社に正しく伝わり、同じ解釈になっているかを確かめる施策です。現場部門の意図を一覧に反映する施策とは区別します。

FAQ

Q: (i)と(ii)の違いは、どのように見分ければよいですか?
A: (i)は、現場部門が実現したいことが要求事項一覧に反映されているかを確認する過程です。(ii)は、A社システム部が提示した一覧をP社が正しく解釈しているかを確認する過程です。
Q: P社が要求事項を整理する(3)は、なぜ(i)にも該当するのですか?
A: 整理した情報を基に、A社システム部が現場部門の実現したい内容に合わせて要求事項を見直すためです。P社による整理だけでなく、その後の見直しまで含めて判断します。
Q: (5)には他システムへの影響確認が含まれますが、(i)の対象から外れますか?
A: 外れません。(5)ではA社システム部が現場部門とレビューし、要求事項が実現したい内容と合っていることを確認します。現場部門の意図が要求事項に反映されているかを確かめる働きがあるので、(i)の対象です。

関連キーワード: 要求分析、要求レビュー、要件定義、ステークホルダ、影響分析

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設問2:〔顧客報告の改善〕について、(1)、(2)に答えよ。

設問2(1)

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表1中のbに入れる適切な字句を答えよ。

模範解答

b:・上流  ・要件定義  ・設計

解説

解答の導き方

  1. 要望1では、相互の認識の違いが進捗や品質の問題につながっているため、その違いをできるだけ早く見つけ、影響を小さくしたいとしています。したがって、問題が起きてから対応するのではなく、認識のずれが生じやすい段階で予防・発見することが重要です。
  2. 前回開発では、要求事項の背景や意図が伝わっていないこと、業務用語の解釈がA社とP社で異なることなどが、大きな手戻りにつながっています。これらは、要求事項を理解して要件や設計に具体化する過程で、関係者間の認識を十分に合わせられていないことが原因です。
  3. R主任の改善案には、文章中心の開発ドキュメントに図表を活用して認識誤りを予防することに加え、コミュニケーションの質と量を高めるとあります。これを効果的に行うには、要求事項の解釈や設計内容を関係者間で確認する段階が適しています。実装やテストの段階で認識の違いが判明すると、修正範囲が広がり、手戻りも大きくなりやすいためです。
  4. したがって、bには、開発の早い段階を表す「上流」「要件定義」「設計」のいずれかが入ります。表の文に当てはめると、それぞれ「上流工程」「要件定義工程」「設計工程」となります。

誤りやすいポイント

  • テスト工程を選ばないようにします。テストで認識の違いを見つけることはできますが、要望1は、早期に検出して影響を小さくすることを求めています。
  • 図表の活用だけに注目しないようにします。図表は認識誤りを防ぐための手段であり、目的は関係者間の認識を早い段階で合わせることです。
  • bの後ろには「工程」が続きます。「上流」「要件定義」「設計」は、いずれも「工程」と組み合わせて意味が通ります。

FAQ

Q: なぜ「上流工程」だけでなく「要件定義工程」や「設計工程」も適切なのですか?
A: いずれも、要求事項の内容やシステムの実現方法について、関係者間で認識を合わせる開発の早い段階を表しているためです。
Q: 実装工程でコミュニケーションを増やすのでは不十分ですか?
A: 実装段階で初めて認識のずれに気付くと、既に作成した設計やプログラムの修正が必要になり、手戻りの影響が大きくなりやすいためです。

関連キーワード: 要件定義、設計工程、上流工程、要求事項レビュー、コミュニケーション管理

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設問2(2)

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本文中の下線②について、Q課長は、どのように見直すべきだと考えたのか。30字以内で述べよ。

模範解答

・P社の検討状況を早い時点から開示して情報共有を図る。 ・早くから検討状況を開示し、顧客とともに問題解決を図る。

解説

解答の導き方

要望3の中心は、問題解決にA社システム部やステークホルダの対応が必要なとき、依頼が遅れることです。A社システム部は「早めに相談をしてくれれば、取り得る選択肢も広がる」と述べています。したがって、確定した依頼を早く伝えるだけでなく、選択肢が残っている段階から相談する必要があります。
一方、R主任の改善案は「依頼事項を検討して、できるだけ速やかに報告する」というものです。この方法では、P社が依頼内容を検討した後に報告するため、A社システム部やステークホルダが関与する時点が遅くなるおそれがあります。「できるだけ速やかに」報告しても、検討が進んでからでは、相手が選択肢を検討する時間を十分に取れない場合があります。
そこで、依頼内容が固まるのを待たず、P社の検討状況を早い時点から開示して情報共有を図るように見直します。そうすれば、A社システム部やステークホルダも早くから問題の状況を把握でき、P社とともに解決策を検討できます。つまり、見直しでは「早期の状況共有」と「顧客とともに問題を解決すること」を示すのがポイントです。

誤りやすいポイント

  • 「依頼事項を速やかに報告する」とだけ書くと、R主任の改善案と同じで、相談のタイミングを早める工夫が不足します。
  • 「A社システム部やステークホルダに依頼する」とだけ書くと、相手の対応を求めるだけになり、早期の情報共有が伝わりません。
  • 「問題が起きたら報告する」だけでは、依頼内容が固まる前から検討状況を共有するという改善の要点が抜けます。

FAQ

Q: 「できるだけ速やかに報告する」だけでは、なぜ不十分なのですか?
A: 報告する時点が、P社による依頼事項の検討後だからです。検討の早い段階から状況を共有しなければ、A社システム部やステークホルダが選択肢を検討する時間を確保できない場合があります。
Q: 検討状況を共有するとき、解決策まで決めておく必要がありますか?
A: 必要ありません。解決策が定まっていない段階でも、検討状況を共有することで、顧客とともに選択肢を検討できます。
Q: 早期に情報共有する目的は何ですか?
A: 関係者が早くから問題解決に参加できるようにし、対応の選択肢を広げることです。

関連キーワード: 情報共有、ステークホルダ管理、問題管理、顧客報告、コミュニケーション計画

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設問3:〔開発チーム内部の改善〕について、(1)~(3)に答えよ。

設問3(1)

問題文を見る
本文中のcに入れる適切な字句を答えよ。

模範解答

c:・チーム  ・メンバ全員

解説

解答の導き方

この空欄では、問題が起きたときに、誰がどのような姿勢で向き合うのかが問われています。
まず、前任のPMが問題を報告した人を全員の前で叱責していたため、メンバは「原因分析や対策立案ができていない段階では、問題の発生を報告しにくい」と感じていました。また、メンバも、明らかな問題と判断するまでは相談しにくく、予兆の段階で共有できなかったことが問題の拡大につながっています。つまり、問題を個人の責任として扱うだけでは、早期の報告やチーム内の協力は進みません。
さらに、メンバからは、他のメンバの作業が遅れていた際に早めに助言やレビューをしていれば、影響を小さくできたかもしれないという意見も出ています。これは、自分の担当作業だけでなく、チーム全体で状況を共有し、必要な支援を行うことが大切だということです。
Q課長も「チームとして活動する強みを生かすことが最も大切」と述べ、ミーティングでは全員に意見を述べさせたうえで、短時間ミーティングや相互支援などの方針を決めています。したがって、問題に個人ではなく、チーム全体で向き合う姿勢を表す語が入ります。空欄の後に「で向き合う」と続くため、「チーム」または「メンバ全員」が適切です。

誤りやすいポイント

  • 問題の原因を個人に帰して、「問題を起こした人が対処する」という意味にしてしまうことです。本文では、問題を起こした個人に着目しない姿勢が明示されています。
  • 「協力」など、チームで取り組む意味に近い語だけを考えることです。空欄の後ろに「で向き合う」と続く文の形にも合う必要があります。
  • 問題が明確になってから報告することを重視することです。本文では、問題になる前の予兆も共有し、チームで早めに対応することが目指されています。

FAQ

Q: なぜ「個人」ではなく、チーム全体で向き合うのですか?
A: 個人を責める雰囲気があると、問題や予兆の報告が遅れやすくなるためです。チーム全体で情報を共有すれば、早めの助言や支援につなげられます。
Q: 「メンバ全員」と「チーム」は、どちらも空欄に入りますか?
A: どちらも、問題に集団で向き合うという本文の意図に合っています。また、「メンバ全員で向き合う」「チームで向き合う」のどちらも文として自然です。
Q: 早い段階で問題を共有する利点は何ですか?
A: 問題が大きくなる前に周囲が状況を把握でき、対応の選択肢を増やしたり、相互に支援したりしやすくなります。

関連キーワード: チームワーク、情報共有、相互支援、問題管理、心理的安全性

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設問3(2)

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本文中の下線③について、Q課長は、どのような意図で全員に自分の意見を述べさせたのか。35字以内で具体的に述べよ。

模範解答

ミーティングで発言しないメンバの意見も含めて、全員に認識してもらう。

解説

解答の導き方

  1. まず、ミーティングでのコミュニケーションにどのような課題があったかを確認します。R主任は「発言をするメンバとしないメンバに分かれている」と述べ、発言しないメンバともコミュニケーションを取る必要があると考えていました。つまり、ミーティングで発言する人の意見だけが共有され、発言しない人の考えがチーム内で伝わりにくい状態でした。
  2. 次に、Q課長がミーティングの前に行ったことに注目します。各自に検討結果を事前提出させ、集まった意見を整理した資料を配布しています。したがって、下線③で全員に意見を述べさせた目的は、意見を新たに集めることだけではありません。すでに集めた意見を、ミーティングで全員が共有できるようにすることが重要です。
  3. さらに、発言しないメンバの意見も全員に届くようにすることが、先に確認した課題への対応になります。そのため、全員に意見を述べさせた意図は、普段ミーティングで発言しないメンバの意見も含め、全員が互いの考えを認識できるようにすることだと分かります。

誤りやすいポイント

  • 「全員に意見を述べさせた」ことを、単に発言の機会を増やすためとだけ捉えると、本文にある「発言をしないメンバ」の意見を共有する意図が抜けます。
  • 事前に各自の意見を提出させているため、ミーティングで意見を述べさせる目的を「意見を集めること」とだけ考えるのは不十分です。集めた意見を全員で認識することまで含めて考えます。
  • 全員の意見を聞くことと、全員の意見を一致させることは別です。ここで問われているのは、全員が互いの意見を認識するための意図です。

FAQ

Q: 意見を事前に提出させたのに、ミーティングでも述べさせたのはなぜですか?
A: 事前提出は意見を集めるため、ミーティングで述べることは、その意見を全員で共有し、認識するためと考えられます。
Q: 意図を「発言しないメンバにも発言させるため」とだけ書くと不十分なのはなぜですか?
A: 発言の機会を設けることだけでなく、そのメンバの意見も含めて全員が認識することが、本文の課題に対応する要点だからです。

関連キーワード: チームコミュニケーション、意見共有、情報共有、相互理解、チームワーク

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設問3(3)

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本文中の下線④について、Q課長は、どのような改善につなげようと考えたのか。30字以内で具体的に述べよ。

模範解答

問題を早期発見し対処することで、手戻りを最小にする。

解説

解答の導き方

下線④は、問題が明らかになる前から情報を共有することで、開発チームの活動をどのように改善しようとしたのかを問うています。
メンバの意見には、前任のPMやR主任が忙しそうで相談しづらく、「予兆や“いやな感じ”といった程度」では相談せず、結果として問題になったケースが多かったとあります。つまり、問題の兆候が出ていてもチーム内で共有されず、対応が遅れていたことが課題です。
そこでQ課長は、「悪い話ほど早めに」共有し、「問題として明らかになる前でも構わない」と伝えています。問題の兆候を早く共有できれば、チームで状況を把握し、必要な対策や相互支援を早い段階で行えます。その結果、問題の拡大を防ぎ、後工程での手戻りを小さくできます。
したがって、目指す改善は、問題を早期に発見して対処し、手戻りを最小限にすることです。

誤りやすいポイント

  • 「情報共有を活発にすること」だけでは、共有によって何を改善するのかが示されず、解答として不十分です。
  • 「チームワークを向上させること」だけでは抽象的です。問題の兆候を共有した後に、早期発見・早期対処につなげる点まで含めます。
  • 明らかな問題が発生してから報告するのではなく、問題になる前の予兆も共有することが重要です。

FAQ

Q: なぜ問題が明らかになる前の共有が必要なのですか?
A: 問題が大きくなる前にチームで対処でき、後工程での手戻りを抑えられるからです。
Q: この設問では、共有すること自体が改善の目的ですか?
A: 共有は改善のための手段です。共有によって問題を早期に発見し、対処することが目的です。
Q: 手戻りを減らすには、個人が自分の担当作業を優先することが大切ですか?
A: 自分の作業だけでなく、チーム内で兆候を共有し、必要に応じて相互に支援することが大切です。

関連キーワード: 問題管理、早期発見、早期対応、情報共有、相互支援、手戻り

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