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プロジェクトマネージャ 2017年 午後1 問02


サプライヤへのシステム開発委託に関する次の記述を読んで、設問1~4に答えよ。

 X社は、中堅のソフトウェア企業である。X社では、保険会社が自動車保険の加入者に提供するロードサービスに関するコールセンタシステム(以下、CCシステムという)の開発を受託している。ロードサービスは、消費者が保険を選択する際の重要なポイントの一つである。したがって、保険会社としてはサービスの改善が欠かせず、CCシステムにおいても、機能追加・改修の依頼が断続的に発生している。  今回、CCシステムについてX社が新たに受注した改修案件(以下、新案件という)は、開発期間6か月の請負契約であり、予算に不足はないものの、新機能の提供時期が決まっており、スケジュールの面では大きな手戻りを許す余裕はない。新案件のプロジェクトマネージャ(PM)は、X社のY課長である。Y課長はCCシステムの初期開発からPMとして携わっており、これまでの実績から社内外の信頼を得ている。   〔サプライヤの選定〕  Y課長は、これまでにもCCシステムの開発に携わってきた社内の主要メンバを、新案件の開発メンバとして確保した。さらに、これまでの開発と同様、一部の機能をサプライヤに委託するために、かつてCCシステムの開発を委託した主要サプライヤ2社に打診した。しかし、両社とも“現在の受託案件で手一杯なので対応できない。”とのことで、断られてしまった。そこで、Y課長がX社の調達部長に相談したところ、A社を推薦された。A社に関する説明は、次のとおりであった。  ・A社は、社員100名弱のソフトウェア企業で、X社とは昨年から取引を開始した。  ・A社とは、これまでに五つの案件で派遣契約を締結しており、どの案件でもX社内での評価は高かった。  ・A社の役員からは、“他社では請負契約での実績があり、今後はX社とも請負契約で受託させてほしい。”と聞いている。調達部もA社の請負契約での遂行能力を把握したいので、Y課長に評価を依頼したい。  Y課長は、A社が担当した五つの案件の開発記録を確認するとともに、社内の関係者にヒアリングを実施して、次の事実を確認した。  ・各案件とも、A社はX社の標準プロセス・標準品質管理指標にのっとって、外部設計、内部設計、製造、テストの実作業を担当した。X社の標準プロセスに不慣れなことから軽微な作業ミスはあったが、指摘後に同じ作業ミスを繰り返すことはなかった。  ・A社が担当した機能の開発の難易度は全て標準的であり、成果物の品質は良好であった。また、レビューは、自席で随時行う対面レビューも含めてX社メンバがレビューアとなって実施した。それらのレビューで摘出された欠陥の件数と、その欠陥内容の定性分析の結果は、各工程の品質目標に対して妥当であった。  ・A社には、派遣契約における外部設計、内部設計、製造、テストの実作業能力が十分にあった。  Y課長は、①A社がサプライヤとして請負契約で受託できることが確認できれば、今後は派遣契約ではなく請負契約を中心としていくことで、X社にとってメリットが得られると考えた。そこでA社に対し、次の条件を提示し、受諾の意向を打診した。  ・開発の難易度は、過去にA社が担当した案件と同等である。  ・外部設計はこれまでどおり派遣契約とし、内部設計から単体テストまでを請負契約、結合テストを準委任契約とする。  A社からは、外部設計の派遣契約において要求されたスキルをもったエンジニアが参加可能であり、内部設計以降の契約も受諾する意向がある旨の回答を得たので、Y課長は外部設計に関する派遣契約を締結した。A社から派遣されたエンジニア2名は、X社の案件での従事経験をもっていた。   〔請負契約の交渉開始〕  外部設計が順調に進みだしたところで、Y課長は内部設計から単体テストまでの請負契約についてA社と交渉を開始することにした。発注の対象は、外部設計でA社のエンジニアが担当している機能Jである。  交渉窓口は、請負契約においてA社の責任者となる予定のB主任であった。A社の役員からは、“B主任は若いが、当社内では実力のあるリーダである。もし何か問題があれば、単刀直入に指摘してほしい。”という挨拶があった。  交渉に当たってY課長は、次に示す工程完了条件、定例会議の設定、瑕疵担保責任などを明確に記載したRFPを作成した。  ・各工程の完了時点において、要求した機能要件・非機能要件を満たした成果物一式がそろっていること。  ・品質管理基準を定め、X社と合意すること。各工程において、その品質管理基準に従った品質管理を実施し、状況を報告すること。工程の完了時点では品質評価を行い、成果物の品質に問題がないことを確認すること。この確認結果を報告し、X社の承認を得ること。  ・ソースコードの品質確認については、A社メンバによるレビューに加えて、静的解析ツールによる診断も行うこと。製造及び単体テストの工程完了時点において、静的解析ツールによって修正が必要とされた問題点が、全て対処されていること。  Y課長は、B主任にこのRFPを説明した後、X社の希望として“今回の契約に関しては、②新案件の制約条件と、A社との関係において考慮すべき点があることから、進捗及び品質の確認をA社で丁寧に実施してもらい、かつ、X社としてもそれを十分に確認できるような開発条件で合意したい。”と伝え、提案を依頼した。   〔開発条件の調整〕  Y課長は、B主任が提案してきた開発条件を精査した。各工程において、成果物を作成するアクティビティは、適切な粒度に詳細化されており、進捗率の把握方法も適切であった。成果物の品質を確認するアクティビティについては、③RFPに記載した製造以降の工程で必要となる作業が組み込まれているかどうかは、明確に読み取れなかった。B主任に確認したところ、その観点も入っているということだったので、Y課長は成果物の品質を確認するアクティビティの進捗率の把握方法について、工程単位にその点も明記するように改善を依頼した。  品質管理基準については、例えばレビューであれば自席で随時行う対面レビューを含めて記録するなど、X社の標準プロセスと同等のプロセスを採用するということだったので、X社の標準品質管理指標と同じ値を採用するという提案内容に合意した。  さらに、B主任を責任者とする体制は適切に組まれていて、その他の開発条件についてもX社の要求を満たしており、提案の請負金額も妥当であった。  これらの精査結果から、Y課長は合意できる提案内容と判断した。  請負契約の最終的な契約締結の前に、Y課長はB主任に、“結合テストでは準委任契約を締結する予定であるが、結合テスト期間中には、準委任契約に基づく委託作業の他に、④今回の請負契約に基づく活動を無償で実施していただく必要がある。その認識で合っているか。”と確認した。この点について、両者の認識は合っていたので、内部設計から単体テストまでの請負契約を締結した。  Y課長は、内部設計以降、機能Jに関するX社のリーダとしてZ主任を増員することにした。Z主任は過去2回、A社に派遣契約で依頼した案件のリーダを担当した経験があり、今回参加しているA社のエンジニアとも面識があった。このことからY課長は、Z主任の着任に当たって、“これまでの経験を生かして、しっかりコミュニケーションをとってほしい。ただし、⑤今回の契約形態では、発注側として注意すべきことがあるので、その点は十分に意識して行動してほしい。”と伝えた。   〔内部設計の状況〕  内部設計を開始してから2週間が経過したとき、Y課長はZ主任から、A社の品質状況に関する報告について、次のような疑問点があるとの報告を受けた。  ・レビュー対象とした設計書のページ数に対して、レビュー時間、レビューによる欠陥の摘出数が、基準値を大きく下回っている。  ・A社の進捗報告における品質状況に関する記載は“品質が良好なので、レビューは短時間で終了し、摘出した欠陥も少なかった。品質には問題なし。”となっている。  Y課長は、Z主任とともにレビュー報告書と内部設計書を精査して、成果物とプロセスの品質を評価した。その結果、成果物の品質については妥当な水準にあるものの、品質状況に関する報告の内容については疑問が残るので確認が必要と判断した。  B主任にヒアリングをしたところ、“品質状況に関する報告にも書いたとおり、優秀なメンバが担当したので成果物の品質がもともと高く、指摘はあまり出ていないと聞いている。その結果、レビューが短時間で終わっているようである。”という回答であった。しかし、Y課長は⑥サプライヤの選定時に確認していた事実から、B主任のこの回答は実態と異なる可能性もあると考えた。さらに、B主任の回答が伝聞調であることにも懸念を抱き、B主任自らが、現場で実際に起こっていることを再度確認し、報告をしてほしいと要求した。  2日後、B主任から報告された確認結果の内容は、次のようなものであった。  ・現場では自席において随時、対面レビューをしていて、そこで指摘されたことを適宜、内部設計書に反映している。  ・これらの対面レビューは、ごく一部しかレビューの実績として記録されていない。  Y課長は、B主任のこの報告について、実態が正しく詳細に報告されたことは評価した。一方で、B主任には、これが⑦A社のマネジメント面の問題であるという認識が不足していると感じた。Y課長は、このことをA社の役員に伝えて、今後のA社の改善状況を確認した上で、請負契約の遂行能力を評価しようと考えた。

設問1:

問題文を見る
〔サプライヤの選定〕について、本文中の下線①で、X社が得られるメリットを、25字以内で述べよ。

模範解答

X社の完成責任の負荷が軽減されること

解説

解答の導き方

設問は、A社への委託を派遣契約から請負契約へ移すことで、X社にどのようなメリットがあるかを問うています。
まず、A社について確認できているのは、五つの案件で「外部設計、内部設計、製造、テストの実作業」を担当し、その成果物の品質も良好だったという実績です。ただし、これらは派遣契約での実績です。派遣契約では、A社のエンジニアがX社の指示の下で作業するため、A社が契約した成果物の完成を引き受けることを確認した実績とは異なります。
一方、今回の条件では、内部設計から単体テストまでを請負契約とします。請負契約では、A社が委託された範囲の成果物を完成させる責任を負います。そのため、X社が自ら作業を指示して完成まで担う場合と比べ、委託した範囲についてX社が負う完成責任の負荷を軽減できます。
したがって、メリットは、請負契約によってX社の完成責任の負荷が軽減されることです。なお、X社が保険会社に対して負う責任や、プロジェクト全体を管理する役割までなくなるわけではありません。

誤りやすいポイント

  • 「A社の作業能力が高いこと」自体をメリットとして答えないようにします。これは請負契約を任せられるか判断するための材料です。
  • 「品質が向上する」「費用を削減できる」といった効果は、本文から直接導けません。
  • 請負契約にすることで、X社の責任がすべてなくなるわけではありません。問われているのは、委託範囲に関する完成責任の負荷が軽減される点です。

FAQ

Q: 派遣契約と請負契約の違いは、作業を誰が行うかですか?
A: どちらもA社の要員が作業しますが、派遣契約ではX社の指示の下で作業し、請負契約ではA社が合意した成果物の完成を担います。
Q: 請負契約にすれば、X社は開発の進捗や品質を確認しなくてよいですか?
A: いいえ。本文でも、A社が進捗や品質を確認・報告し、X社もそれを確認できる開発条件を求めています。完成責任の負荷が軽減されても、X社による確認や管理は必要です。
Q: A社の派遣契約での実績だけで、請負契約の能力も確認できたといえますか?
A: いいえ。派遣契約での作業実績は実作業能力を示しますが、請負契約で成果物の完成責任を負えるかどうかは、別に確認する必要があります。

関連キーワード: 請負契約、派遣契約、完成責任、成果物、品質管理

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〔請負契約の交渉開始〕について、Y課長が本文中の下線②のように考える背景となった新案件の制約条件を、30字以内で述べよ。また、A社との関係において考慮すべき点を、25字以内で述べよ。

模範解答

新案件の制約条件:スケジュールに大きな手戻りを許す余裕がないこと 考慮すべき点:A社の請負契約の遂行能力が把握できていないこと

解説

解答の導き方

下線②の背景は、問題文にある新案件の制約条件と、A社との取引実績を分けて考えます。
まず、新案件については、開発期間が6か月の請負契約であり、「新機能の提供時期が決まって」います。さらに、「スケジュールの面では大きな手戻りを許す余裕はない」とあります。したがって、予定どおりに機能を提供する必要があり、開発中に大幅なやり直しが起きると、納期への影響が大きいことが分かります。ここで問われている制約条件は、予算ではなく、スケジュールに余裕がない点です。
次に、A社との関係を確認します。A社は、これまで五つの案件で派遣契約により作業し、X社内での評価は高く、実作業能力も十分にありました。しかし、その実績は、A社がX社の標準プロセスに従って作業し、X社メンバがレビューアとなって品質を確認した案件でのものです。つまり、A社が請負契約の受託者として、自ら進捗や品質を管理し、成果物に責任をもって案件を遂行できるかは、まだ確認できていません。
このため、過去の派遣契約での評価だけを根拠に、請負契約でも問題ないとは判断できません。A社の請負契約における遂行能力が未確認であることを考慮し、A社による進捗・品質の管理と、X社による確認を十分に行える条件を求めたと考えられます。

誤りやすいポイント

  • 「予算に不足はない」という記述に引きずられ、予算面を制約条件として挙げてしまうことがあります。本文で明示されている制約は、提供時期が決まっていて、大きな手戻りを許す余裕がないことです。
  • A社の過去の評価が高かったことから、請負契約の遂行能力も確認済みだと考えてしまうことがあります。過去の実績は派遣契約での実作業能力を示すもので、請負契約の遂行能力を直接示すものではありません。
  • A社に請負契約の実績がまったくない、と断定するのも適切ではありません。他社では請負契約の実績があるとされていますが、X社はその遂行能力を把握できていない点が重要です。

FAQ

Q: A社の作業品質が良好だったのに、なぜ請負契約の能力は別に確認する必要があるのですか。
A: 派遣契約では、A社の要員がX社のプロセスや管理の下で作業していました。請負契約では、A社が受託者として進捗や品質を管理し、成果物を完成させる責任を負うため、作業者としての能力だけでは判断できません。
Q: 新案件で問題になるのは、手戻りそのものですか。
A: 手戻りが起きる可能性だけでなく、提供時期が決まっている中で大きな手戻りを吸収する余裕がないことが問題です。そのため、進捗や品質の状況を確認し、遅れや品質上の問題を早期に把握できる条件が重要になります。
Q: なぜX社もA社の進捗や品質を確認しようとしているのですか。
A: A社の請負契約での遂行能力がまだ把握できていないためです。A社自身の管理・報告だけでなく、X社も状況を十分に確認できるようにすることで、問題の早期発見につなげられます。

関連キーワード: 請負契約、派遣契約、進捗管理、品質管理、リスク管理

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設問3:〔開発条件の調整〕について、(1)~(3)に答えよ。

設問3(1)

問題文を見る
本文中の下線③について、製造以降の工程で必要となる作業を、30字以内で述べよ。

模範解答

静的解析ツールによって修正が必要とされた問題点への対処

解説

解答の導き方

  1. 下線③では、成果物の品質を確認するアクティビティに含めるべき「製造以降の工程で必要となる作業」を問われています。そこで、RFPに記載された製造以降の品質確認条件を確認します。
  2. RFPには、ソースコードの品質について、A社メンバによるレビューだけでなく「静的解析ツールによる診断も行う」とあります。したがって、レビューに加えて、静的解析ツールで問題点を調べる作業が必要です。
  3. さらに、製造及び単体テストの工程完了時点では、「静的解析ツールによって修正が必要とされた問題点が、全て対処されていること」が求められています。つまり、ツールで診断するだけでは足りず、修正が必要とされた問題点に対処する作業まで、品質確認のアクティビティに含める必要があります。
  4. 以上から、求める作業は、静的解析ツールによって修正が必要とされた問題点への対処です。

誤りやすいポイント

  • 静的解析ツールを実行して診断することだけを答えると、指摘された問題点への対処が抜けます。
  • レビューで欠陥を見つけて修正する作業と混同しないようにします。この設問で問われているのは、静的解析ツールによって修正が必要と判断された問題点への対応です。
  • 対象工程を製造だけに限定しないようにします。RFPでは、製造及び単体テストの工程完了時点が示されています。

FAQ

Q: 静的解析ツールによる診断を実施すれば、条件を満たしますか?
A: いいえ。診断に加えて、修正が必要とされた問題点が対処済みであることも求められています。
Q: なぜ単体テストも対象に含めるのですか?
A: RFPで、製造及び単体テストの工程完了時点における対処状況が条件として示されているためです。

関連キーワード: 静的解析、ソースコードレビュー、品質管理、工程完了条件、進捗管理

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設問3(2)

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本文中の下線④について、今回の請負契約に基づく活動とは何か。15字以内で述べよ。

模範解答

A社の瑕疵に対する修復

解説

解答の導き方

  1. 本文では、内部設計から単体テストまでを請負契約、結合テストを準委任契約とすることになっています。したがって、結合テスト中の作業は、原則として準委任契約に基づく作業です。
  2. ただし、Y課長は結合テスト期間中に、準委任契約の作業とは別に、今回の請負契約に基づく活動も無償で実施する必要があると確認しています。つまり、結合テストそのものではなく、内部設計から単体テストまでの請負契約でA社が負う責任に関する活動を指します。
  3. 請負契約の交渉で作成したRFPには、「瑕疵担保責任などを明確に記載」とあります。請負契約の成果物に瑕疵があれば、A社はその瑕疵を修復する責任を負います。そのため、結合テスト中に請負契約の成果物に瑕疵が見つかった場合、A社が無償で修復する活動が該当します。

誤りやすいポイント

  • 結合テストの実施自体を指すと考えないようにします。本文では、結合テストは準委任契約とされています。
  • 請負契約に基づく活動を、結合テストの支援全般と広く捉えないようにします。問われているのは、請負契約の成果物に瑕疵があった場合の修復です。
  • 瑕疵の修復を、追加料金で行う作業と考えないようにします。本文では、請負契約に基づく活動として無償で実施する認識を確認しています。

FAQ

Q: 結合テスト中に見つかった問題は、すべてA社が無償で修復するのですか?
A: いいえ。ここで指しているのは、今回の請負契約の成果物に瑕疵がある場合の修復です。準委任契約で行う作業や、請負契約の範囲外の問題まで含むとは限りません。
Q: なぜ修復作業を結合テスト期間中に行うのですか?
A: 結合テスト中に請負契約の成果物の瑕疵が判明することがあるためです。準委任契約の作業とは区別しつつ、請負契約に基づく修復も行う必要があります。

関連キーワード: 請負契約、準委任契約、瑕疵担保責任、成果物、契約範囲

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設問3(3)

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本文中の下線⑤について、発注側として注意すべきことを、30字以内で述べよ。

模範解答

直接に依頼をできるのは、B主任に対してだけであること

解説

解答の導き方

  1. 下線⑤の「今回の契約形態」が何を指すかを確認します。外部設計は派遣契約ですが、内部設計から単体テストまでは請負契約です。Z主任が着任するのは内部設計以降なので、ここでは請負契約における発注側の注意点を考えます。
  2. 請負契約では、A社が自ら作業を管理して成果物を完成させます。本文にも「B主任を責任者とする体制」とあり、B主任がA社側の窓口・責任者です。そのため、X社側がA社の担当者に作業内容や進め方を直接指示するのではなく、依頼や調整はB主任を通じて行う必要があります。
  3. Z主任は、過去にA社へ派遣契約で依頼した案件のリーダを務め、今回のA社エンジニアとも面識があります。親しい間柄や過去の経験から、担当者に直接依頼してしまうおそれがあります。しかし、今回の内部設計以降は請負契約なので、派遣契約のときと同じように担当者へ直接指示してはいけません。
  4. したがって、発注側として意識すべきなのは、作業の依頼先をA社の個々の担当者ではなく、A社の責任者であるB主任に限定することです。

誤りやすいポイント

  • Z主任がA社のエンジニアと面識があることを理由に、担当者へ直接依頼してもよいと考えること。人間関係があっても、契約形態による役割の違いは変わりません。
  • 外部設計が派遣契約であることを、内部設計以降にも当てはめること。内部設計から単体テストまでは請負契約です。
  • 「直接依頼をしない」を「A社の担当者と一切会話してはいけない」と広く解釈すること。注意すべきなのは、作業の依頼や指示をB主任を通さずに行うことです。

FAQ

Q: 請負契約では、X社からの依頼は誰に伝えればよいですか?
A: A社側の責任者であるB主任に伝えます。B主任がA社内で作業の割当てや進め方を管理します。
Q: 外部設計の派遣契約と、内部設計以降の請負契約で、注意点はどう違いますか?
A: 派遣契約では派遣先が派遣社員に指揮命令しますが、請負契約では請負側が作業を管理します。契約が切り替わった後も派遣契約と同じように直接指示すると、契約上の役割を混同するおそれがあります。
Q: 担当者に確認したいことがある場合も、必ずB主任を通す必要がありますか?
A: 作業の依頼や指示はB主任を通します。技術的な確認などで担当者と直接やり取りする場合も、作業管理をX社が行う形にならないよう注意が必要です。

関連キーワード: 請負契約、準委任契約、労働者派遣、指揮命令、偽装請負

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設問4:〔内部設計の状況〕について、(1)、(2)に答えよ。

設問4(1)

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本文中の下線⑥について、Y課長が確認していた事実とは何か。45字以内で述べよ。

模範解答

A社が担当した機能のレビューでは、適切な量と内容の欠陥が摘出されていたこと

解説

解答の導き方

  1. 問われているのは、Y課長がA社の過去の案件について、サプライヤの選定時に確認していた事実です。現在の内部設計で起きているレビューの状況ではなく、過去の実績に注目します。
  2. 過去の案件では、レビューアはX社メンバであり、「自席で随時行う対面レビューも含めて」レビューを実施していました。したがって、記録されたレビューだけでなく、対面レビューも含めた結果が評価対象です。
  3. そのレビューで摘出された欠陥については、「欠陥の件数」と「欠陥内容の定性分析」の両方が確認されていました。そして、その結果は各工程の品質目標に照らして妥当でした。つまり、A社が担当した機能のレビューでは、欠陥の量と内容が工程の目標に見合っていたことが、選定時に確認されていたと分かります。
  4. この事実を踏まえると、現在の内部設計でレビュー時間と欠陥の摘出数が基準値を大きく下回っているのに、A社が「品質が良好なので」と説明しただけでは、過去の評価との整合性を確かめる必要があります。ただし、過去の実績だけで現在の品質に問題があると断定するのではなく、実際のレビュー状況を確認する根拠として捉えます。

誤りやすいポイント

  • 過去の案件の成果物が良好だったことだけを答えにしないようにします。問われている事実は、レビューで摘出された欠陥の件数と内容が品質目標に対して妥当だったことです。
  • 現在判明した「対面レビューの実績がほとんど記録されていないこと」を答えに含めないようにします。これは選定時に確認していた事実ではなく、内部設計開始後に判明した状況です。
  • 欠陥が多かった、あるいは少なかったと決めつけないようにします。本文で確認されているのは、欠陥の件数と内容が各工程の品質目標に対して妥当だったことです。

FAQ

Q: なぜ成果物の品質が良好だったという事実だけでは足りないのですか?
A: この設問で問われているのは、A社の過去のレビューに関して確認していた事実だからです。成果物の品質だけでなく、レビューで得られた欠陥の件数や内容も品質目標に照らして確認していました。
Q: 過去の実績は、現在のレビュー報告に問題があることの証明になりますか?
A: 証明にはなりません。過去の結果と現在の報告に違いがある可能性を考え、現場でのレビュー状況を確認するための根拠になります。
Q: 欠陥の件数が少ない場合は、品質が高いと判断できますか?
A: 件数だけでは判断できません。レビューの対象や時間、欠陥の内容なども確認し、品質目標に照らして評価する必要があります。

関連キーワード: レビュー、欠陥分析、品質目標、品質管理指標、品質評価

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設問4(2)

問題文を見る
本文中の下線⑦について、Y課長が感じたA社のマネジメント面の問題を、35字以内で述べよ。

模範解答

合意したプロセスにのっとるようにマネジメントされていないこと

解説

解答の導き方

  1. 今回の開発条件では、品質管理基準について、X社の標準プロセスと同等のプロセスを採用し、標準品質管理指標と同じ値を使うことに合意しています。特にレビューは、自席で随時行う対面レビューも記録することが条件でした。
  2. ところが、B主任の確認では、自席での対面レビューは実施され、指摘内容も内部設計書に反映されていた一方、そのレビューの実績は「ごく一部しか」記録されていませんでした。つまり、レビュー作業そのものが行われていないのではなく、合意した記録のしかたが徹底されていません。
  3. 記録が不十分だと、レビュー時間や欠陥数などの品質状況を正しく把握できず、X社も合意した品質管理が行われているか確認できません。したがって問題は、成果物の品質そのものではなく、合意したプロセスを実施・記録するようA社内で管理できていない点にあります。
  4. Y課長が評価したのは、B主任が実態を正しく報告したことです。一方、その状況をA社のマネジメント面の問題と認識できていない点を問題視しています。このため、問題となるのは、合意したプロセスに沿うようA社が管理できていないことです。

誤りやすいポイント

  • レビューの時間や欠陥数が少ないことだけを、マネジメント上の問題としないようにします。後の確認で、記録されていない対面レビューが行われていたと分かっています。
  • 内部設計書の品質が妥当な水準だったことと、品質管理プロセスが適切に管理されていたことは別です。成果物に問題がなくても、合意した手順や記録が守られていなければ問題になります。
  • B主任が実態を報告したこと自体ではなく、レビュー実績の記録が不十分な状況をマネジメント上の問題と捉えていないことが問われています。

FAQ

Q: 対面レビューを行っていたのに、なぜ問題になるのですか?
A: 今回は対面レビューを行うだけでなく、その実績も記録することに合意していたためです。記録が一部にとどまると、品質管理の状況を正しく評価できません。
Q: 成果物の品質が妥当なら、品質管理にも問題はないのですか?
A: いいえ。成果物の品質と、合意したプロセスに沿って品質を管理・記録できているかは別に確認します。
Q: 問題はB主任の報告内容が不正確だったことですか?
A: いいえ。Y課長は実態を正しく報告したことを評価しています。問題視したのは、記録不足をA社のマネジメント上の問題と認識していない点です。

関連キーワード: 品質管理、レビュー、プロセス遵守、品質指標、成果物品質

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