プロジェクトマネージャ 2019年 午後1 問03
プロジェクトの定量的なマネジメントに関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。
R社は、首都圏から3時間ほどの地方都市を本拠地としているソフトウェア企業である。これまでの主要顧客は地元の製造業であったが、今後は首都圏の新規顧客の獲得を目指している。首都圏の大手SI企業でプロジェクトマネージャ(PM)としての経験を積んだS課長は、UターンでR社に入社した。入社に当たって、経営陣から、次のような説明を受けた。
・R社には職人気質のエンジニアが多く、組織の価値観として品質重視が浸透している。この組織としての強みは、今後も大切にしていく。
・プロジェクトマネジメントは、顧客ごとの要求に合わせて実施しているが、社内でマネジメントの標準として制定しているものはない。最近になって、プロジェクトが佳境に入ったところで進捗遅れが発覚して、顧客から苦情を受けるといったことが徐々に増えてきている。その中には、進捗遅れのリカバリ策に具体的な裏付けが不足していた、というものもある。これらは、社内にマネジメントの標準がなく、組織に定量的なマネジメントが根付いていないことが原因だと考えている。
・R社が首都圏の新規顧客のニアショアのパートナとして信頼を獲得するには、これまでのやり方では限界があるので、定量的な管理手法を取り入れたマネジメントの標準(以下、R社標準という)を制定して社内に浸透させたい。S課長には、そのリーダとなってほしい。
S課長がPMとして最初に担当するのは、首都圏の顧客であるSI企業のA社から受注した販売管理システムの開発プロジェクトである。これは若手のT主任がA社に常駐し、複数のプロジェクトに参加する中で信頼を獲得して、A社からは初めてシステム開発をニアショアとして受注したものである。A社は、請負契約での開発を確実に遂行できる委託先を求めており、R社経営陣もこのプロジェクトに注目している。プロジェクトチームの構成員(以下、チームメンバという)は7名、開発期間は7か月である。プロジェクトチームのリーダのT主任は、対象となるシステムや開発内容についての十分な理解がある。見積りの前提となるスコープも適切な内容で、R社がA社と合意した受注金額にはリスクを考慮した予備費が含まれていた。S課長は、R社標準の試案を作成して、このプロジェクトで初めて適用することにした。
〔R社のスケジュール及び品質に関するマネジメントの状況〕
S課長は、過去に発生した進捗遅れに関する記録を確認した。またT主任にも丁寧にヒアリングを行って、R社のスケジュール及び品質に関するマネジメントの状況について、次のように認識した。
・WBSは作成されており、個々の“活動(アクティビティ)”にまで階層的に分割されていたが、活動の粒度にはばらつきがあった。
・活動ごとに成果物が定義され、その作業量が見積もられていた。過去のプロジェクトの実績を基にした見積りで、これまで大きな見積りの誤りはなかった。
・成果物を作成する活動は、成果物の品質の確認も含めて、その活動の中で実施するように階層的に分割されていた。
・進捗状況は、週2回の進捗会議で、活動ごとに報告されていた。設計工程から製造工程までは、担当者が自己評価した成果物の出来高が報告されていた。
・レビューにおける欠陥の摘出件数、テストにおけるテスト項目数及び欠陥の摘出件数の計画値は、過去のプロジェクトの実績と、PMのこれまでの経験で決めていた。
・レビュー及びテストにおける欠陥への対処は、完了まで適切に管理されていた。
首都圏の顧客のニアショアのパートナとして信頼を獲得するためには、品質を確保し、納期を遵守することが必達目標である。S課長は、この目標を確実に達成するためには、スケジュール及び品質に関するプロセスの改善が必要だと認識した。ただし、T主任の“R社標準の試案の適用に当たり、チームメンバの理解はおおむね得られるはずだが、導入に当たって少なからず抵抗や反発もあると思う”という意見を受け入れて、改善に優先度をつけることにした。具体的には、今回適用するR社標準の試案では、①品質に関するプロセスの改善は最小限にとどめて、スケジュールに関するプロセスの改善を優先することにした。
〔進捗遅れの原因分析〕
S課長はT主任とともに、過去に発生した進捗遅れの原因分析を行い、次のような認識を得た。
・担当者は進捗遅れを認識しているが、回復が可能だと判断し、予定どおりと報告してくるケースがある。これは、R社の多くのエンジニアが、“遅れはエンジニアとして恥ずかしいことであり、自らの努力でリカバリする責任がある”と考えているからである。結果として、期限に間に合うこともあるが、思いどおりにリカバリできないこともある。
・担当者が認識する品質と実際の品質との間にギャップがあると、進捗は正しく評価されない。このような場合、個々の成果物に対する初回のレビューで進捗への影響が明らかになる。初回のレビューの実施時期は、レビューイの判断で決定している。品質のギャップを検出する時期が遅くなると、リカバリは難しくなる。
・チームメンバがクリティカルパス上の活動を認識していないので、該当の活動に関する問題の検知と対応が遅れ、マイルストーンに間に合わなくなることがある。
S課長は、進捗遅れの原因分析の結果から、次のような改善方針を考えた。
・成果物の出来高を客観的に評価することを定着させ、評価結果を事実として共有することの意義を組織に浸透させる。
・R社のエンジニアは自分の仕事への自負と責任感が強いので、②その特長を生かしつつR社標準の試案を浸透させる方針とし、現状を徐々に改善していく。
・品質に関するプロセスでは、③レビューについて、すぐに改善できることを実施し、根本的な原因に対しては時間を掛けて対応する。
・クリティカルパス上の活動を識別し、重点的に監視する。
S課長は、T主任とはR社標準を制定することの意義と、プロセスの改善方針について、十分に認識を共有できたと感じた。そこで④R社標準の試案をチームメンバにスムーズに浸透させるために、“チームメンバと十分に議論をして、R社標準の試案を具体的に提案してほしい”とT主任に指示した。その議論に先だって、スケジュールの管理についてはEVM(Earned Value Management)に基づく進捗データの指標の設定や計測方法を参考にするよう助言した。
〔T主任の提案〕
T主任が提案してきたR社標準の試案は、次のとおりであった。
・週2回の進捗会議で、各自が、成果物の出来高実績、担当部分のSPI(Schedule Performance Index)及び今後の見通しを報告する。
・T主任は会議後に、プロジェクト全体の出来高実績とSPIを算出し、プロジェクトの状況や課題を分析して、チームメンバにフィードバックする。進捗遅れが発生した際は、遅れという事象やその原因に焦点を当てて、プロジェクトチーム全体としての対処や、チームメンバ間の調整を検討し、関係するチームメンバを集めて協議を行う。
・活動の階層的な分割について、基本的な考え方は従来どおりとするが、更に細かく成果物の章単位などに分割して、活動の粒度が1週間以内の作業になるようにする。
・成果物を作成する活動の進捗率は、表1に従って算出する。
S課長は、R社のスケジュール及び品質に関するマネジメントの状況や過去に発生した進捗遅れの原因と、提案されたR社標準の試案を照らし合わせ、次の見直しを行うことでT主任と合意した。
・進捗率の算出方法について、品質の観点を加えて見直しを行う。
・進捗会議の場を有効活用するために、各自の成果物の出来高実績、担当部分のSPI及び今後の見通しの報告は会議前に実施する。それを受けてT主任は、プロジェクトの状況や課題を会議前に分析する。進捗会議では、その内容を共有する。遅れを認識しているチームメンバは、リカバリ策を検討して会議に臨む。
・プロジェクト全体の遅れにつながる問題の予兆を検知するために、⑤チームメンバ別以外のある切り口でのSPIを算出して、重点的に監視する。
S課長とT主任は今回のプロジェクトで、R社標準の試案の有効性をチームメンバが体感し、“R社標準は自分たちのためになる管理手法である”と認識してもらう、という目標を共有した。
設問1:
問題文を見る〔R社のスケジュール及び品質に関するマネジメントの状況〕の本文中の下線①について、S課長はなぜ、品質に関するプロセスの改善は最小限にとどめることにしたのか。また、なぜスケジュールに関するプロセスの改善を優先することにしたのか。それぞれ、30字以内で述べよ。
模範解答
品質に関するプロセスの改善を最小限にとどめる理由:品質重視の価値観が、組織の強みとなっているから
スケジュールに関するプロセスの改善を優先する理由:進捗遅れの予防と、リカバリ策の具体化が優先課題だから
解説
解答の導き方
-
まず、品質に関するプロセスの改善を最小限にとどめる理由を考えます。経営陣は、R社では「組織の価値観として品質重視が浸透している」と説明し、それを組織の強みとして今後も大切にするとしています。品質を重視する姿勢は、すでに組織に根付いているため、今回の改善で大きく変更する必要はありません。むしろ、導入への抵抗が予想される状況で品質プロセスを大幅に変えると、組織の強みを損なうおそれがあります。このため、品質に関するプロセスの改善は最小限にとどめると判断できます。
-
次に、スケジュールに関するプロセスを優先する理由を確認します。過去には、プロジェクトが佳境に入ってから進捗遅れが発覚し、顧客から苦情を受けることが増えていました。また、リカバリ策に「具体的な裏付けが不足していた」事例もあります。原因分析でも、遅れを認識していても予定どおりと報告するケースや、成果物の品質のギャップが初回レビューまで分からず、対応が遅れるケースが挙げられています。
-
これらは、遅れを早期に把握して防ぐことと、遅れが発生した際に根拠のあるリカバリ策を立てることが、現状の課題であることを示しています。したがって、限られた改善の優先度をスケジュール管理に置くのが適切です。これは品質を軽視するという意味ではなく、品質を確保しながら納期を守るために、まず遅延の予防とリカバリ策の具体化を進める判断です。
誤りやすいポイント
- 品質改善を最小限にすることを、「品質は重要ではない」と解釈しないようにしましょう。品質重視はR社の強みであり、品質確保自体は必達目標です。
- スケジュール改善を優先する理由を、「納期を守る必要があるから」だけで終わらせないことが大切です。進捗遅れの発覚が遅いことや、リカバリ策の具体的な裏付けが不足していることまで結び付けます。
- 導入への抵抗を避けることだけを、品質改善を最小限にする理由にしないようにしましょう。問題文では、品質重視が組織の強みとして定着していることが根拠になっています。
FAQ
Q: 品質に関するプロセスの改善を最小限にすると、品質管理を現状のままにするということですか?
A: 品質を軽視するということではありません。既に組織の強みとなっている品質重視の姿勢を保ちながら、今回の標準化では変更を抑えるという判断です。
A: 品質を軽視するということではありません。既に組織の強みとなっている品質重視の姿勢を保ちながら、今回の標準化では変更を抑えるという判断です。
Q: スケジュール管理では、具体的に何を改善する必要があるのですか?
A: 進捗を客観的に把握して遅れを早く検知し、遅れが生じた場合には、状況や原因を踏まえた具体的なリカバリ策を検討できるようにすることです。
A: 進捗を客観的に把握して遅れを早く検知し、遅れが生じた場合には、状況や原因を踏まえた具体的なリカバリ策を検討できるようにすることです。
Q: 品質と納期のどちらか一方を優先する問題ですか?
A: どちらかを捨てる問題ではありません。品質と納期の確保を目標とした上で、改善の着手順として、現状の大きな課題であるスケジュール管理を先にするということです。
A: どちらかを捨てる問題ではありません。品質と納期の確保を目標とした上で、改善の着手順として、現状の大きな課題であるスケジュール管理を先にするということです。
関連キーワード: 品質マネジメント、スケジュール管理、進捗遅延、リカバリ計画、定量的マネジメント
設問2:〔進捗遅れの原因分析〕について、(1)~(3)に答えよ。
設問2(1)
問題文を見る本文中の下線②について、このS課長のR社標準の試案に基づく方針では、進捗の遅れが発生した場合に、具体的にどのような対応を促すのか。35字以内で述べよ。
模範解答
・担当者自身に、具体的な裏付けのあるリカバリ策を提案してもらう。
・担当者自身に、遅延リカバリの進捗状況を定量的に報告してもらう。
解説
解答の導き方
-
下線②では、R社のエンジニアの特長を生かしながら、R社標準の試案を浸透させる方針が示されています。本文によると、エンジニアは「遅れはエンジニアとして恥ずかしいことであり、自らの努力でリカバリする責任がある」と考えています。この責任感を否定するのではなく、遅れへの対応に生かすことがポイントです。
-
一方で、担当者が遅れを認識していても「予定どおり」と報告するケースがあり、過去には「進捗遅れのリカバリ策に具体的な裏付けが不足していた」ことも問題になっています。そのため、単に担当者の努力に任せるのではなく、遅れを事実として共有し、根拠のある対応につなげる必要があります。
-
T主任の提案では、各自が成果物の出来高実績、担当部分のSPI、今後の見通しを報告することになっています。また、見直し後は、遅れを認識しているチームメンバがリカバリ策を検討して進捗会議に臨みます。ここから、遅れた担当者自身が具体的なリカバリ策を提案し、その進み具合も定量的な進捗データで報告することを促すと分かります。
-
したがって、求められる対応は、担当者自身に、具体的な裏付けのあるリカバリ策を提案してもらうことと、そのリカバリの進捗状況を定量的に報告してもらうことです。「頑張って遅れを取り戻す」といった精神論だけでは、裏付けと進捗状況の把握が不足します。
誤りやすいポイント
- 「担当者が自力でリカバリする」とだけ答えると、具体的な計画や進捗の定量報告が抜けます。
- 「T主任がリカバリ策を決める」とすると、担当者の自負や責任感を生かす方針と合いません。
- 遅れの原因を共有するだけでは不十分です。根拠のあるリカバリ策を提案し、その実施状況も報告するところまで含めます。
- 「定期的に報告する」だけでは、何を報告するのかが曖昧です。リカバリの進捗状況を定量的に報告することが要点です。
FAQ
Q: なぜ担当者自身にリカバリ策を提案してもらうのですか?
A: 自らの仕事に対する自負と責任感を生かしながら、遅れを隠さず、対策を主体的に考えてもらうためです。
A: 自らの仕事に対する自負と責任感を生かしながら、遅れを隠さず、対策を主体的に考えてもらうためです。
Q: 「具体的な裏付けのあるリカバリ策」とは、どのようなものですか?
A: 何をどのように実施すれば遅れを回復できるのかが説明でき、進捗の実績などで実行状況を確認できる策です。
A: 何をどのように実施すれば遅れを回復できるのかが説明でき、進捗の実績などで実行状況を確認できる策です。
Q: なぜリカバリの進捗状況を定量的に報告するのですか?
A: 感覚的な報告だけでなく、実績の変化を確認し、対策が予定どおり進んでいるかを判断できるようにするためです。
A: 感覚的な報告だけでなく、実績の変化を確認し、対策が予定どおり進んでいるかを判断できるようにするためです。
関連キーワード: 進捗管理、SPI、EVM、出来高管理、リカバリ策
設問2(2)
問題文を見る本文中の下線③について、すぐに改善できることとは具体的に何か。35字以内で述べよ。
模範解答
・初回のレビューの実施時期を、成果物作成の初期段階に計画すること
・初回のレビューの実施時期を、あらかじめ決めておくこと
解説
解答の導き方
-
まず、改善対象となるレビューの問題を確認します。本文では「初回のレビューの実施時期は、レビューイの判断で決定している」とあります。つまり、初回レビューをいつ行うかがあらかじめ定まっていません。
-
次に、その問題が進捗に与える影響を考えます。初回レビューで成果物の品質のギャップが分かる場合があり、その検出が遅いほど「リカバリは難しくなる」とされています。レビューの時期が担当者の判断任せだと、品質の問題を見つけるのが遅れるおそれがあります。
-
そこで、すぐに行える改善として、初回レビューを成果物作成の早い段階に置き、実施時期を事前に決めておきます。早期にレビューすれば品質のギャップを早く検出でき、あらかじめ時期を定めておけば、レビューの実施が遅れるのを防ぎやすくなります。
誤りやすいポイント
- 「レビューを増やす」とだけ答えると、問題となっている初回レビューの時期が改善されることを示せません。
- レビューで品質を確認すること自体は従来から行われています。問われているのは、初回レビューの実施時期をどう改善するかです。
- 品質上の問題が起きた後の修正方法ではなく、問題を早く発見できるようにレビューの計画を見直すことがポイントです。
FAQ
Q: なぜ初回レビューを成果物作成の初期段階に行うのですか?
A: 品質のギャップを早く発見できれば、後工程に進んでから問題が判明する場合に比べて、進捗への影響を抑えやすいためです。
A: 品質のギャップを早く発見できれば、後工程に進んでから問題が判明する場合に比べて、進捗への影響を抑えやすいためです。
Q: レビューの時期を事前に決めるだけでも改善になりますか?
A: はい。レビューイの判断任せにせず、計画として時期を定めることで、初回レビューが遅れるリスクを抑えられます。さらに、成果物作成の初期段階に設定することが、品質のギャップの早期発見につながります。
A: はい。レビューイの判断任せにせず、計画として時期を定めることで、初回レビューが遅れるリスクを抑えられます。さらに、成果物作成の初期段階に設定することが、品質のギャップの早期発見につながります。
関連キーワード: レビュー、品質管理、進捗管理、早期検出、リカバリ
設問2(3)
問題文を見る本文中の下線④について、S課長がR社標準の試案をチームメンバにスムーズに浸透させるために、T主任にチームメンバと十分に議論をして試案を具体的に提案するよう指示したのは、どのような効果を期待したからか。40字以内で述べよ。
模範解答
チームメンバが自ら改善策の検討を行うことで、実行の意欲が高まること
解説
解答の導き方
-
問われているのは、T主任に試案を具体化させたこと自体の目的ではなく、チームメンバと議論させることで期待した効果です。
-
本文では、試案の導入に「少なからず抵抗や反発もある」と予想されています。そのため、S課長が一方的に決めた方法を伝えるだけでは、チームメンバが受け身になり、実際の運用につながらないおそれがあります。
-
一方で、R社のエンジニアには「自らの努力でリカバリする責任がある」という意識があります。この自負や責任感を生かし、チームメンバ自身が議論に参加して改善策を考えれば、試案を自分たちのものとして受け止めやすくなります。
-
したがって、期待されたのは、チームメンバが自ら改善策を検討することで、実際に取り組もうとする意欲が高まることです。
誤りやすいポイント
- 「試案への理解が深まること」だけにすると、議論に参加することで生まれる効果が不足します。理解だけでなく、実行に向けた意欲の高まりまで述べます。
- 「チームメンバの意見を集めること」を目的とするのではありません。意見を集めること自体より、メンバ自身が改善策を考えることが重要です。
- 試案の管理手法の効果を検証することや、進捗遅れを防ぐことは、この指示によって期待した直接の効果とは異なります。
FAQ
Q: なぜチームメンバに試案を具体化させるのですか?
A: メンバ自身が改善策を考えることで、試案を押し付けられたものではなく、自分たちが実行するものとして受け止めやすくなるからです。
A: メンバ自身が改善策を考えることで、試案を押し付けられたものではなく、自分たちが実行するものとして受け止めやすくなるからです。
Q: 「試案への理解が得られること」では不十分ですか?
A: 理解は大切ですが、この設問では、議論への参加によって実行の意欲が高まるという効果まで捉える必要があります。
A: 理解は大切ですが、この設問では、議論への参加によって実行の意欲が高まるという効果まで捉える必要があります。
関連キーワード: 参加型マネジメント、当事者意識、動機付け、組織変革
設問3:〔T主任の提案〕について、(1)~(3)に答えよ。
設問3(1)
問題文を見るS課長とT主任は、進捗率の算出方法をどのように見直すことにしたのか。“テスト仕様書兼成績書を除くドキュメント類”の進捗率の算出方法について、表1における進捗率の算出方法欄に倣って30字以内で答えよ。
模範解答
・レビュアがレビュー済のページ数/計画ページ数
・担当者がレビュー指摘対応済のページ数/計画ページ数
解説
解答の導き方
この設問では、“テスト仕様書兼成績書を除くドキュメント類”について、ページ数を使った進捗率の算出方法を、品質の観点を加えて見直す方法が問われています。
表1の当初の方法は、「担当者が作成済のページ数/計画ページ数」です。これは作成したページの量を数える方法ですが、作成したページの品質が確認されているか、レビューで見つかった指摘に対応済みかまでは分かりません。
本文では、「担当者が認識する品質と実際の品質との間にギャップ」があると、進捗が正しく評価されないとされています。また、レビューの実施時期はレビューイの判断で決まり、品質の問題が分かるのが遅れるとリカバリが難しくなります。そのため、担当者が作成したページ数だけでなく、レビューの実施状況も進捗率に反映させる必要があります。まず、レビュアがレビュー済のページ数を分子にし、計画ページ数で割ります。
ただし、レビューを実施しただけでは、指摘事項が残っているページの品質は確保されていません。レビューで見つかった指摘への対応が完了したページも進捗として捉えるため、担当者がレビュー指摘対応済のページ数を分子とする算出方法も加えます。したがって、どちらも分母は計画ページ数とし、次の二つの進捗率で表します。
- レビュアがレビュー済のページ数/計画ページ数
- 担当者がレビュー指摘対応済のページ数/計画ページ数
誤りやすいポイント
- 作成済のページ数だけを数えると、ページの品質確認や指摘対応の状況が進捗に反映されません。
- レビュー済のページ数だけでは、レビューで見つかった指摘への対応が完了したかどうかが分かりません。
- 「計画ページ数」を分母にする点を落とさないようにします。表1では、分母は計画見直しの段階で更新し、完成の段階で実績値に置き換えるとされています。
FAQ
Q: レビューで指摘がなかったページも、レビュー済として数えますか?
A: はい。ここで数えるのは、指摘の有無ではなく、レビュアによるレビューが済んだページです。
A: はい。ここで数えるのは、指摘の有無ではなく、レビュアによるレビューが済んだページです。
Q: レビュー指摘対応済のページ数も別に数えるのはなぜですか?
A: レビューの実施と、レビューで見つかった問題への対応完了は別の状態だからです。対応が残っているページを、品質面でも完了した進捗として扱わないためです。
A: レビューの実施と、レビューで見つかった問題への対応完了は別の状態だからです。対応が残っているページを、品質面でも完了した進捗として扱わないためです。
Q: 分母の計画ページ数は常に固定ですか?
A: 表1の注記では、計画見直しの段階で更新し、完成の段階で実績値に置き換えるとされています。
A: 表1の注記では、計画見直しの段階で更新し、完成の段階で実績値に置き換えるとされています。
関連キーワード: 進捗率、成果物、レビュー、品質管理、EVM
設問3(2)
問題文を見るS課長とT主任は、プロジェクトの状況や課題の分析を会議前に実施することによって、進捗会議をどのような場として有効活用することにしたのか。30字以内で述べよ。
模範解答
・分析の結果を共有し、適切なリカバリ策を合意する場
・課題をプロジェクトチーム全体として共有し、調整を行う場
解説
解答の導き方
-
まず、進捗会議で何をするのかを、見直し前後で比べます。T主任の当初の案では、各自が進捗を会議で報告し、その後にT主任がプロジェクト全体の状況や課題を分析する流れでした。
-
見直し後は、「各自の成果物の出来高実績、担当部分のSPI及び今後の見通しの報告は会議前に実施する」とされています。さらに、T主任も会議前にプロジェクトの状況や課題を分析します。つまり、会議の時間を使って報告や分析を始めるのではなく、分析結果を持ち寄って共有できる状態にしておきます。
-
会議で行うことは、「その内容を共有する」ことです。また、遅れを認識しているメンバは「リカバリ策を検討して会議に臨む」とあります。したがって、会議では、把握した課題や遅れをチーム全体で共有し、各自が事前に考えた対策を基に、適切なリカバリ策やメンバ間の調整を話し合います。
-
以上から、この進捗会議は単なる進捗報告の場ではなく、分析結果と課題を共有し、プロジェクトチームとしての対処やリカバリ策を合意する場として活用する、と考えられます。
誤りやすいポイント
- 会議の目的を「各自が進捗を報告する場」とだけ捉えないようにします。報告は会議前に行うことになっています。
- 「T主任が分析する場」とするのも不適切です。分析は会議前に実施し、会議ではその結果を共有します。
- 遅れの発生を共有するだけでなく、チーム全体での対処や関係メンバ間の調整まで行う点を押さえます。
FAQ
Q: なぜ進捗報告を会議前に行うのですか?
A: 会議の時間を、状況を集めることではなく、課題の共有や対策の検討に使うためです。
A: 会議の時間を、状況を集めることではなく、課題の共有や対策の検討に使うためです。
Q: リカバリ策は会議で初めて考えるのですか?
A: 遅れを認識しているメンバは事前に検討して会議に臨みます。その案を共有し、チームとして実行可能な対策や調整を話し合います。
A: 遅れを認識しているメンバは事前に検討して会議に臨みます。その案を共有し、チームとして実行可能な対策や調整を話し合います。
Q: SPIの報告だけで、進捗会議の目的は達成できますか?
A: いいえ。SPIなどの数値は状況を把握する材料です。会議では、その分析結果を基に課題への対応を検討することが重要です。
A: いいえ。SPIなどの数値は状況を把握する材料です。会議では、その分析結果を基に課題への対応を検討することが重要です。
関連キーワード: 進捗管理、SPI、EVM、出来高管理、リカバリ策
設問3(3)
問題文を見る本文中の下線⑤について、S課長とT主任は、どのような切り口のSPIを重点的に監視することにしたのか。25字以内で述べよ。
模範解答
クリティカルパス上の活動群のSPI
解説
解答の導き方
-
まず、下線⑤では、チームメンバ別のSPIとは異なる「切り口」で、プロジェクト全体の遅れにつながる問題の予兆を捉える方法が問われています。
-
過去の遅れの原因として、チームメンバが「クリティカルパス上の活動を認識していない」ため、問題の検知と対応が遅れ、マイルストーンに間に合わないことが挙げられています。つまり、納期に直結する活動を早めに把握し、重点的に監視する必要があります。
-
改善方針にも「クリティカルパス上の活動を識別し、重点的に監視する」とあります。したがって、SPIも個人単位ではなく、クリティカルパス上の活動をまとめた単位で確認するのが適切です。
-
プロジェクト全体のSPIだけでは、納期への影響が大きい活動の遅れが、ほかの活動の進捗によって見えにくくなる場合があります。クリティカルパス上の活動群に着目してSPIを算出すれば、プロジェクト全体の遅れにつながる兆候を捉えやすくなります。
以上から、重点的に監視するのは、クリティカルパス上の活動群のSPIです。
誤りやすいポイント
- 各チームメンバが報告するSPIを答えることです。これは本文ですでに提案されているチームメンバ別の切り口であり、下線⑤が求めるものとは異なります。
- プロジェクト全体のSPIを答えることです。下線⑤では、全体の進捗を示すだけでなく、遅れの予兆を捉えるための切り口が必要です。
- クリティカルパス上の活動を「重点的に監視する」だけで答えることです。問われているのは監視対象に加えてSPIの切り口なので、活動群のSPIまで示します。
FAQ
Q: なぜクリティカルパス上の活動を重点的に見るのですか?
A: クリティカルパス上の活動が遅れると、プロジェクトの完了時期に影響しやすいためです。早く問題を検知できれば、対応を検討しやすくなります。
A: クリティカルパス上の活動が遅れると、プロジェクトの完了時期に影響しやすいためです。早く問題を検知できれば、対応を検討しやすくなります。
Q: チームメンバ別のSPIだけでは不十分なのですか?
A: 個人別の値だけでは、納期に直結する活動の進捗をまとめて把握しにくいためです。活動の重要度に基づく見方も併せて行う必要があります。
A: 個人別の値だけでは、納期に直結する活動の進捗をまとめて把握しにくいためです。活動の重要度に基づく見方も併せて行う必要があります。
Q: SPIは何を示す指標ですか?
A: 計画に対して、出来高がどの程度進んでいるかを示すスケジュールの指標です。
A: 計画に対して、出来高がどの程度進んでいるかを示すスケジュールの指標です。
関連キーワード: EVM、SPI、クリティカルパス、出来高管理、進捗監視




