プロジェクトマネージャ 2020年 午後1 問03
SaaSを利用した人材管理システム導入プロジェクトに関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。
R社は、中堅の旅行会社である。同業他社と比較して離職率が高く、経験ある社員のノウハウを生かしたサービスを提供できていないことが経営課題である。“R社では自身の成長が期待できない”という退職理由が一番多かったことから、人材を戦略的に活用できる経営(以下、人材戦略経営という)の実現に向けて、人材管理制度を大幅に見直すことにした。
R社の人材管理制度は、人材情報管理業務、人事評価業務及び教育研修業務の3業務で運用しており、現在は表計算ソフトを用いた手作業で業務を行っている。運用には人事部、各部の部長及び課長が関与し、一般社員も被評価者として関与している。人材情報のうち、キャリア形成に必要となる業務経験などの管理はできていない。また、透明性のある人事評価や、スキル標準の定義、教育研修の正確な受講管理も行えていない。
〔人材管理システムの導入計画〕
R社は一刻も早く離職率を低下させるために、人材管理制度を見直した上で、制度の運用に使う人材管理システムを導入する計画を9月末に次のとおり決定した。
・人材戦略経営の実現に向けて、スピード感をもって、できるところから取り組むために、計画の第1段階では人事評価の透明性の確保を目標とし、1年半後には社員が“人事評価の透明性が高まった”と認知できる状態とすることを目指す。その後、第2段階では、スキル標準を定義した上で、社員のキャリア形成を推進することを目標とし、3年半後の達成を目指す。そのために早急に人材管理制度を見直した上で人材管理システムを導入し、各社員の所属部署、職種、職位、目標・実績・達成度、業務経験、受講した研修などの人材情報の一元管理と正確なデータ分析を可能とする。
・人材管理システムとしては、迅速に導入でき、人材戦略経営を実現するシステムとして定評があるA社のSaaSを利用する。A社のSaaSは、今後のR社の人材管理制度を実現する上で優れており、標準機能で多様な業務プロセスが実現できる。
・標準機能を十分に活用して、費用対効果を高める。具体的には、見直した人材管理制度に沿って、標準機能で構成される標準モデルを参考に3業務の新たな業務プロセスを定義する。その上で、社員に新たな人材管理制度と、3業務の業務プロセスを周知徹底する。
・1年半後の第1段階の目標達成に向けて、評価サイクルの開始タイミングである半年後の来年4月に人材管理システムを必ず稼働させる。新たな人材管理制度及び業務プロセスによって人材情報を登録、更新した後、2年後に人材管理システムで利用する標準機能の範囲を拡大して稼働させ、3年半後の第2段階の目標達成を目指す。
人材管理システム導入プロジェクトが立ち上げられ、プロジェクトマネージャ(PM)として情報システム部のS課長が任命された。S課長は、標準機能を十分に活用することが、費用対効果を高めるだけでなく、人材戦略経営の実現に重要となると考えた。S課長は、プロジェクト計画の作成に取り掛かり、A社のSaaSの利用方法の検討を開始した。
〔A社のSaaSの利用方法〕
A社のSaaSは、利用する標準機能の選択範囲及び利用者数に応じて課金される。標準機能はパラメタ設定だけで迅速に利用可能であるが、カスタマイズをすると時間が掛かる上に追加費用が必要となる。A社のSaaSは、標準機能が半年に一度拡張、改善される点に特長がある。S課長は、人材戦略経営を実現するためにはこの特長を生かし、拡張、改善される標準機能を利用し続けることが重要であると考えた。拡張、改善される標準機能を迅速かつ追加コストなしで利用可能とするためには、A社のSaaSの標準データ項目それぞれの仕様(以下、標準データ項目仕様という)に従ってデータを登録する必要がある。
S課長は、次に示す対応を行うことで費用対効果を高めることができると考えた。
・それぞれの段階で利用する標準機能の選択に際し、十分な効果の創出が期待できるか否かを判断基準の一つとする。
・カスタマイズを最小化する。
・第2段階の目標達成に対して必要な準備を、第1段階から着実に進める。
ここで、効果の創出が期待できる標準機能を中心に選択し、カスタマイズを最小化して人材管理システムを導入することは、費用対効果を高めることに加え、第1段階でのあるリスクの軽減にも寄与すると考えた。
S課長は、ITストラテジストに依頼し、表1のとおり、標準機能それぞれがどのような効果を創出できるのかを取りまとめた。

表計算ソフトで管理している各社員の人材情報データ(以下、現データという)の多くは標準データ項目仕様と異なる。また、現データでは標準データ項目に該当するデータの全てを管理しているわけではない。S課長は、標準データ項目仕様に従ってA社のSaaSに現データを移行又は新規登録して、人材管理システムの人材情報データを整備することにした。
さらに、S課長はキャリア形成機能及びスキル認定機能は、第1段階では効果の創出が難しいと考えた。そこで、スキル認定機能は第1段階の利用対象外とする一方、キャリア形成機能は第1段階から部分的に利用し、毎年の業務経験に関するデータを蓄積することにした。
〔プロジェクト体制及び要件定義の作業方法〕
S課長は、目標達成のためには、人事評価を行う立場の利用者が、人材管理制度を理解した上で、第1段階の業務プロセスの定義に自らの立場を踏まえて主体的に取り組むこと、及び社員の人材管理に対するニーズをかなえることが重要であると考えた。そこで、S課長は、プロジェクトのメンバとして情報システム部、人事部に加え、人事評価を行う立場の利用者である各部の部長及び課長の代表者を選任することにした。
一方、カスタマイズを最小化するために、S課長は利用者要求事項の大部分を標準機能で実現できる範囲に収めたいと考えた。第1段階の要件定義の作業では、まずA社に依頼して、第2段階で利用する予定の機能も含めた、標準機能で構成される標準モデルをそのまま用いたデモンストレーションを実施し、標準機能のままでも多様な業務プロセスが実現できることをメンバに理解させることにした。次に、標準モデルを参考にR社の組織・職種などを考慮して第1段階で利用する機能を標準機能で実現したプロトタイプを作成し、利用者それぞれの立場を踏まえた、かつ、社員の人材管理に対するニーズを考慮した利用者要求事項を洗い出すことにした。
〔会議におけるコミュニケーション方法〕
R社の従来のプロジェクトでは、会議資料を電子メールに添付して共有していた。メンバによっては多数の電子メールをさばききれず、確認漏れや古い資料を見ての回答が多数発生し、認識齟齬のままプロジェクトが進み、手戻りが生じることもあった。今回のプロジェクトはメンバが増えたことから、より多くの情報共有や意見交換をする状況が発生する。S課長はより正確にコミュニケーションができるようにしたいと考え、B社のビジネス向けチャットツールを使うことにした。
S課長は検討テーマごとにチャットルームを用意し、表2に示す運用ルールを定めて、より正確なコミュニケーションを促すことにした。また、チャットルームのログを要件定義の作業の成果物に追加することにした。
以上の整理を含め、S課長はプロジェクト計画を完成させた。
設問1:〔A社のSaaSの利用方法〕について、(1)~(3)に答えよ。
設問1(1)
問題文を見る効果の創出が期待できる標準機能を中心に選択し、カスタマイズを最小化して人材管理システムを導入することは、費用対効果を高めることに加え、第1段階でのどのようなリスクの軽減に寄与するとS課長は考えたか。30字以内で述べよ。
模範解答
人材管理システムの稼働が来年4月から遅延するリスク
解説
解答の導き方
-
設問は、費用対効果とは別に、第1段階で軽減できる「リスク」を尋ねています。まず、第1段階で特に守る必要がある条件を確認します。
-
本文には、人材管理システムを「評価サイクルの開始タイミングである半年後の来年4月に必ず稼働させる」とあります。つまり、来年4月の稼働は第1段階の重要な期限です。
-
一方、A社のSaaSは「標準機能はパラメタ設定だけで迅速に利用可能」であるのに対し、「カスタマイズをすると時間が掛かる」と説明されています。したがって、効果が期待できる標準機能を中心に使い、カスタマイズを最小化すれば、導入に必要な時間を抑えられます。
-
以上から、S課長が軽減できると考えたのは、導入作業が長引き、期限である来年4月の稼働に間に合わなくなるリスクです。解答では「人材管理システムの稼働が来年4月から遅延するリスク」と表せます。
誤りやすいポイント
- 費用対効果を高めること自体を、設問で問われているリスクと取り違えないようにします。費用対効果は本文にある別の狙いです。
- 「カスタマイズによる追加費用のリスク」とだけ答えるのは不十分です。本文では、カスタマイズに時間が掛かることと、来年4月の稼働期限が示されているため、稼働遅延に結び付けます。
- 第2段階の目標達成時期ではなく、第1段階の期限である来年4月に着目します。
FAQ
Q: なぜ稼働遅延のリスクが軽減されるのですか?
A: 標準機能はパラメタ設定で迅速に利用できますが、カスタマイズには時間が掛かるためです。カスタマイズを減らすことで、導入期間を延ばす要因を抑えられます。
A: 標準機能はパラメタ設定で迅速に利用できますが、カスタマイズには時間が掛かるためです。カスタマイズを減らすことで、導入期間を延ばす要因を抑えられます。
Q: 第1段階の期限が重要なのはなぜですか?
A: 評価サイクルの開始タイミングに合わせて、来年4月に人材管理システムを必ず稼働させる計画だからです。
A: 評価サイクルの開始タイミングに合わせて、来年4月に人材管理システムを必ず稼働させる計画だからです。
Q: 費用の増加も軽減できるのではありませんか?
A: カスタマイズを減らせば追加費用も抑えられます。ただし、この設問が尋ねているのは第1段階で軽減するリスクなので、稼働の遅延に焦点を当てて答えます。
A: カスタマイズを減らせば追加費用も抑えられます。ただし、この設問が尋ねているのは第1段階で軽減するリスクなので、稼働の遅延に焦点を当てて答えます。
関連キーワード: SaaS、標準機能、カスタマイズ、プロジェクトスケジュール、リスク管理
設問1(2)
問題文を見るS課長が、標準データ項目仕様に従ってA社のSaaSに現データを移行又は新規登録して、人材管理システムの人材情報データを整備することにした狙いは何か。30字以内で述べよ。
模範解答
拡張、改善される標準機能を利用し続けるため
解説
解答の導き方
-
まず、A社のSaaSには「標準機能が半年に一度拡張、改善される」という特徴があります。S課長は、この機能拡張・改善を活用し続けることが、人材戦略経営の実現に重要だと考えています。
-
次に、拡張・改善された標準機能を「迅速かつ追加コストなしで利用可能とするためには」、標準データ項目の仕様に従ってデータを登録する必要があると書かれています。つまり、登録データが仕様に合っていないと、新しい標準機能をすぐに、追加コストなしで使い続けることが難しくなります。
-
しかし、現データの多くは標準データ項目仕様と異なり、標準データ項目に該当するデータをすべて管理しているわけではありません。そのため、現データをそのまま移すだけでなく、仕様に合わせて移行し、不足するデータは新たに登録する必要があります。
以上から、データを標準データ項目仕様に合わせて整備する狙いは、拡張・改善される標準機能を今後も利用し続けられるようにすることだと分かります。
誤りやすいポイント
- データを整備する目的を「現データを人材管理システムに移すため」だけと捉えないようにします。重要なのは、将来の標準機能の拡張・改善にも対応できる形でデータを登録することです。
- 「データの正確性を高めるため」だけでは、設問で問われている狙いを十分に表せません。標準データ項目仕様に従うことと、拡張・改善される標準機能の利用を結び付けて考えます。
- 現データの移行だけが必要なのではありません。標準データ項目に該当するデータをすべて管理していないため、不足分は新規登録する必要があります。
FAQ
Q: なぜ標準データ項目仕様に合わせる必要があるのですか?
A: データが仕様に沿っていれば、拡張・改善された標準機能を迅速かつ追加コストなしで利用できるためです。
A: データが仕様に沿っていれば、拡張・改善された標準機能を迅速かつ追加コストなしで利用できるためです。
Q: 現データをそのまま移行するだけでは不十分なのですか?
A: 現データの多くは標準データ項目仕様と異なり、必要なデータがすべてそろっているわけでもないためです。仕様に合わせた移行と、不足データの新規登録が必要です。
A: 現データの多くは標準データ項目仕様と異なり、必要なデータがすべてそろっているわけでもないためです。仕様に合わせた移行と、不足データの新規登録が必要です。
関連キーワード: SaaS、標準機能、データ移行、データ項目仕様、データ整備
設問1(3)
問題文を見るS課長が、キャリア形成機能を第1段階から部分的に利用し、毎年の業務経験に関するデータを蓄積することにした狙いは何か。35字以内で述べよ。
模範解答
第2段階で経年情報を使ってキャリア形成の可視化を行うため
解説
解答の導き方
-
まず、第1段階と第2段階で目指すことを確認します。計画では、第1段階は「人事評価の透明性の確保」、第2段階は「スキル標準を定義した上で、社員のキャリア形成を推進すること」が目標です。したがって、キャリア形成機能を第1段階から使う狙いは、第1段階の目標そのものを達成することではなく、第2段階の目標に向けた準備だと考えられます。
-
次に、キャリア形成機能が生み出す効果を確認します。表1には、「経年の業務経験及び所属部署に基づくキャリア形成の可視化」とあります。キャリア形成を可視化するには、その時点の情報だけでなく、年を追って蓄積された業務経験などの情報が必要です。
-
そこで、第1段階からキャリア形成機能を部分的に利用し、「毎年の業務経験に関するデータを蓄積」します。これにより、第2段階で機能の利用範囲を拡大したとき、蓄積した経年情報を用いてキャリア形成を可視化できます。
以上から、狙いは第2段階で経年情報を使ったキャリア形成の可視化を行うことです。
誤りやすいポイント
- 第1段階の目標である「人事評価の透明性の確保」と結び付けてしまうことです。キャリア形成機能を早くから使う主な理由は、第2段階で活用するためのデータを蓄積することです。
- 「業務経験に関するデータを蓄積する」ことだけを答え、蓄積した情報を何に使うのかまで述べないことです。目的は、第2段階でキャリア形成を可視化することです。
- キャリア形成機能を第1段階から全面的に利用すると誤解することです。本文では、第1段階では部分的に利用するとしています。
FAQ
Q: なぜ第2段階になってから業務経験データを集めるのではいけないのですか?
A: 第2段階でキャリア形成を可視化するときに、過去からの業務経験を含む経年情報が必要になるためです。第1段階から蓄積しておけば、長期的な情報に基づいて可視化できます。
A: 第2段階でキャリア形成を可視化するときに、過去からの業務経験を含む経年情報が必要になるためです。第1段階から蓄積しておけば、長期的な情報に基づいて可視化できます。
Q: 第1段階では、キャリア形成機能による効果を目指していないのですか?
A: 第1段階では部分的な利用にとどめ、主に第2段階での活用に備えて業務経験データを蓄積します。機能の利用範囲を段階的に広げる計画です。
A: 第1段階では部分的な利用にとどめ、主に第2段階での活用に備えて業務経験データを蓄積します。機能の利用範囲を段階的に広げる計画です。
Q: ここでいう「経年情報」とは何ですか?
A: 年ごとに記録され、時間の経過に沿って変化を追える情報です。この問題では、毎年の業務経験に関するデータが該当します。
A: 年ごとに記録され、時間の経過に沿って変化を追える情報です。この問題では、毎年の業務経験に関するデータが該当します。
関連キーワード: 経年データ、データ蓄積、データ分析、キャリア形成、段階的導入
設問2:〔プロジェクト体制及び要件定義の作業方法〕について、(1)、(2)に答えよ。
設問2(1)
問題文を見るS課長は、人事評価を行う立場の利用者が自らの立場を踏まえて、第1段階の業務プロセスの定義に主体的に取り組むことが重要であると考えたが、各部の部長及び課長の代表者にはどのような役割を果たすことを期待してプロジェクトのメンバとして選任することにしたのか。30字以内で述べよ。
模範解答
・人事評価業務の運用ができるかどうかを確認する役割
・人材管理システムに対する利用者要求事項を提示する役割
解説
解答の導き方
この設問で問われているのは、各部の部長及び課長の代表者に、プロジェクトメンバとしてどのような役割を期待したかです。システムの設定や開発を担う役割ではなく、人事評価を行う立場から要件定義に参加する役割を考えます。
本文では、S課長は「人事評価を行う立場の利用者」が、自らの立場を踏まえて第1段階の業務プロセスの定義に主体的に取り組むことが重要だと考えています。したがって、代表者には、定義された人事評価業務の進め方が実際に運用できるかを、評価者の立場から確認してもらうことが期待されています。
さらに、要件定義では、標準モデルを参考にR社の組織・職種などを考慮したプロトタイプを作成し、「利用者それぞれの立場を踏まえた」利用者要求事項を洗い出す計画です。この作業において、代表者は評価者として必要な機能や業務上の要望を伝える役割も担います。つまり、業務プロセスの運用可能性を確かめることと、利用者要求事項を提示することの二つが答えにつながります。
誤りやすいポイント
- 「人事評価を行う立場」で参加する点を見落とし、代表者の役割をシステム開発や設定の担当と捉えないようにします。
- 要件定義では、単にプロトタイプを確認するだけではありません。実際の業務を運用できるかを確かめ、必要な利用者要求事項を伝えることも重要です。
- 社員のニーズを考慮することは本文にありますが、設問が尋ねているのは、選任された代表者が果たす役割です。人事評価を行う立場からの確認と要求提示に結び付けて答えます。
FAQ
Q: 代表者に期待されているのは、標準モデルの内容を確認することですか?
A: 標準モデルのデモンストレーションは、標準機能でも多様な業務プロセスを実現できると理解してもらうための作業です。代表者には、その理解を踏まえて、R社の業務プロセスが実際に運用できるかを確認し、要求事項を伝えることが期待されています。
A: 標準モデルのデモンストレーションは、標準機能でも多様な業務プロセスを実現できると理解してもらうための作業です。代表者には、その理解を踏まえて、R社の業務プロセスが実際に運用できるかを確認し、要求事項を伝えることが期待されています。
Q: 利用者要求事項は、情報システム部がまとめるものではありませんか?
A: 要件定義を進める役割と、利用者の立場から要求を伝える役割は別です。代表者は人事評価を行う立場から要求を示し、要件定義ではその要求を洗い出して整理します。
A: 要件定義を進める役割と、利用者の立場から要求を伝える役割は別です。代表者は人事評価を行う立場から要求を示し、要件定義ではその要求を洗い出して整理します。
Q: なぜ人事評価を行う立場の利用者が参加するのですか?
A: 実際に評価業務を行う利用者が参加することで、業務プロセスの実行可能性を確認でき、現場の利用者要求事項を把握しやすくなるためです。
A: 実際に評価業務を行う利用者が参加することで、業務プロセスの実行可能性を確認でき、現場の利用者要求事項を把握しやすくなるためです。
関連キーワード: 要件定義、利用者要求事項、業務プロセス、ステークホルダ、プロトタイプ
設問2(2)
問題文を見るS課長は、メンバが標準機能のままでも多様な業務プロセスが実現できることを理解することで、どのような効果を狙えると考えたか。35字以内で述べよ。
模範解答
利用者要求事項の大部分を標準機能で実現できる範囲に収める効果
解説
解答の導き方
問われているのは、標準機能のデモを実施すること自体の効果ではなく、メンバに標準機能の幅広さを理解してもらうことで、要件定義にどのような効果を狙ったかです。
まず、S課長は「利用者要求事項の大部分を標準機能で実現できる範囲に収めたい」と考えています。これは、カスタマイズを最小化するためです。
そのため、要件を洗い出す前に、標準モデルを使ったデモンストレーションを実施し、「標準機能のままでも多様な業務プロセスが実現できる」ことをメンバに理解させようとしています。標準機能では対応できる業務が限られると思い込んだまま要件を考えると、必要以上に独自機能やカスタマイズを求める可能性があるからです。
標準機能で多様な業務プロセスを実現できると理解すれば、各自の立場や社員のニーズを踏まえながらも、標準機能で実現可能な範囲を意識して利用者要求事項を検討できます。したがって、狙っているのは、利用者要求事項の大部分を標準機能で実現できる範囲に収めることです。
誤りやすいポイント
- デモによって狙う効果を、「メンバにシステムを操作させること」と捉えないようにします。本文で重視されているのは、標準機能でも多様な業務プロセスを実現できるという理解です。
- 「利用者の要望を減らすこと」だけでは不十分です。利用者要求事項を標準機能で実現できる範囲に収め、カスタマイズを最小化することがポイントです。
- すべての要求を標準機能に限定する、または利用者のニーズを無視するという意味ではありません。「大部分」を標準機能で実現できる範囲に収めることを目指しています。
FAQ
Q: なぜ、標準モデルをそのまま使ったデモを先に行うのですか?
A: メンバが標準機能の適用範囲や業務プロセスの実現方法を理解してから、利用者要求事項を検討できるようにするためです。
A: メンバが標準機能の適用範囲や業務プロセスの実現方法を理解してから、利用者要求事項を検討できるようにするためです。
Q: 標準機能で実現できない要求は、すべて取り下げるのですか?
A: いいえ。本文の狙いはカスタマイズの最小化であり、すべての要求を排除することではありません。業務上のニーズを踏まえつつ、要求の大部分を標準機能で実現できる範囲に収めます。
A: いいえ。本文の狙いはカスタマイズの最小化であり、すべての要求を排除することではありません。業務上のニーズを踏まえつつ、要求の大部分を標準機能で実現できる範囲に収めます。
関連キーワード: 要件定義、標準機能、利用者要求事項、カスタマイズ、プロトタイプ
設問3:〔会議におけるコミュニケーション方法〕について、(1)、(2)に答えよ。
設問3(1)
問題文を見る表2中の下線①に示したように、会議主催者が議事録を閲覧していないメンバに閲覧を促すプッシュ通知をすることによって、どのようなリスクを軽減できるか。25字以内で述べよ。
模範解答
認識齟齬のまま進み手戻りが生じるリスク
解説
解答の導き方
-
まず、表2の下線①で行うことは、議事録を閲覧していないメンバに、会議主催者が閲覧を促すプッシュ通知をすることです。したがって、通知そのものの効果ではなく、未閲覧のままになることで生じるプロジェクト上のリスクを考えます。
-
本文には、従来のプロジェクトで「確認漏れや古い資料を見ての回答」が発生し、その結果、「認識齟齬のままプロジェクトが進み、手戻りが生じることもあった」とあります。情報を確認しないメンバがいると、会議で決まったことを知らないまま作業が進み、他のメンバとの認識が食い違う可能性があると分かります。
-
表2では、議事録に討議内容や討議結果に加え、欠席者からの意見への対応も記載します。その議事録を閲覧していないメンバに通知すれば、決定事項などを確認するよう促せます。これにより、メンバ間の認識が食い違ったままプロジェクトが進み、後から作業をやり直すリスクを軽減できます。
誤りやすいポイント
- 「議事録の閲覧漏れを防ぐ」とだけ答えると、通知によって軽減されるプロジェクト上のリスクまで述べられていません。
- 「情報共有が円滑になる」のような一般的な効果だけでは、本文にある認識の食い違いと手戻りのつながりが不明確です。
- 直接のリスクは、通知が届かないことや議事録の誤記ではありません。議事録を確認しないメンバがいることで、認識齟齬のまま進行し、手戻りが生じることです。
FAQ
Q: 通知によって軽減されるのは、議事録の未閲覧そのものですか?
A: 未閲覧のメンバに閲覧を促すのが通知の直接的な役割です。設問で問われているリスクは、その結果として防ぎたい、認識齟齬のままの進行や手戻りです。
A: 未閲覧のメンバに閲覧を促すのが通知の直接的な役割です。設問で問われているリスクは、その結果として防ぎたい、認識齟齬のままの進行や手戻りです。
Q: 「手戻り」だけを答えてもよいですか?
A: 手戻りの原因となる認識齟齬も併せて示すと、本文の因果関係が明確になります。
A: 手戻りの原因となる認識齟齬も併せて示すと、本文の因果関係が明確になります。
関連キーワード: プロジェクトコミュニケーション、議事録、認識齟齬、手戻り、プッシュ通知
設問3(2)
問題文を見るS課長は、なぜチャットルームのログを要件定義の作業の成果物に追加することにしたのか。その理由を25字以内で述べよ。
模範解答
討議結果の根拠となる意見の記載があるから
解説
解答の導き方
-
この設問は、チャットルームのログを要件定義の作業成果物に加える理由を問うています。チャットを使う目的そのものではなく、ログに何が残り、それが要件定義にどう役立つかを考えます。
-
表2の運用ルールでは、欠席者が意見を投稿し、会議主催者がその意見を会議で読み上げます。また、議事録には討議内容や討議結果に加えて、欠席者からの意見への対応を明示します。会議の結論だけでなく、結論に関係する意見も扱われる仕組みです。
-
さらに、議事録に対する意見もチャットルームに投稿されます。したがって、ログには討議結果だけでなく、結果に至る過程でメンバが示した意見も記録されます。
-
要件定義の成果物にログを加えれば、後から討議結果を確認する際、その結果の根拠となった意見をたどれます。つまり、討議結果の根拠を明らかにできる点が、ログを成果物に追加する理由です。
誤りやすいポイント
- 「会議資料や議事録を共有するため」とだけ答えると、ログを成果物にする理由を十分に説明できません。問われているのは、ログに記録される情報の価値です。
- 議事録の内容だけに注目すると、メンバの意見がログに残る点を見落としがちです。討議結果だけでなく、その根拠となる意見も確認できることがポイントです。
- 「認識齟齬や手戻りを防ぐため」とだけ答えるのも不十分です。それらはチャット導入の効果としては関係しますが、この設問では、ログに意見が記録されていることと、討議結果の根拠をたどれることを結び付けて答えます。
FAQ
Q: 議事録があるのに、なぜチャットルームのログも必要なのですか?
A: 議事録には討議内容や結果が整理されますが、ログにはメンバの意見も残ります。そのため、討議結果の根拠を確認できます。
A: 議事録には討議内容や結果が整理されますが、ログにはメンバの意見も残ります。そのため、討議結果の根拠を確認できます。
Q: ログは、会議で出た発言をすべて保存することが目的ですか?
A: この設問で重要なのは、意見を記録として残し、討議結果の根拠をたどれることです。単に記録量を増やすことが目的ではありません。
A: この設問で重要なのは、意見を記録として残し、討議結果の根拠をたどれることです。単に記録量を増やすことが目的ではありません。
Q: 欠席者の意見も根拠に含まれますか?
A: 含まれます。欠席者は会議前に意見を投稿し、会議主催者はその意見を読み上げます。議事録には、その意見への対応も明示されます。
A: 含まれます。欠席者は会議前に意見を投稿し、会議主催者はその意見を読み上げます。議事録には、その意見への対応も明示されます。
関連キーワード: 要件定義、議事録、意思決定記録、トレーサビリティ、コミュニケーション管理




