プロジェクトマネージャ 2020年 午後1 問02
システム開発プロジェクトにおける、プロジェクトチームの開発に関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。
P社は、ソフトウェア企業である。P社は、主要顧客であるE社から消費者向けのサービスを提供するシステムの機能追加・改善を行うプロジェクトを受託している。このプロジェクトは、期間は2年間、12名の要員で、4か月間に1回のリリースを合計6回実施するものである。E社は、各リリースで実現したい機能追加・改善の要件を抽出して、当該リリースに向けた作業の着手前にP社に提示している。
プロジェクト開始から10か月たった頃に、E社から“ビジネス環境が目まぐるしく変化している。この状況に適応するために、もっと迅速にサービスを改善して、時間を含めた投下資源に対して十分な価値を提供できるようにしたい。次回委託する予定の2年間のプロジェクトでは、優先的に実現する要件を現在よりも厳選するので、徐々に各リリースの間隔を短縮して、最終的には1~2か月程度でリリースできるようにしてほしい。E社のサービスの提供価値を継続的かつ迅速に高めていくためにも、長期的な協力をお願いしたい。”との要望が上げられた。
アジャイル開発の経験が豊富なP社のQ課長は、E社からの要望を実現することを使命として4か月前に現在の部署に着任し、プロジェクトマネージャ(PM)の補佐としてE社向けシステム開発プロジェクトチーム(以下、E社PTという)に加わった。Q課長は、このプロジェクトのリリース間隔の短縮を実現するための開発技術面での計画を作成し、その適用についてPMと協議してきた。
プロジェクトのスケジュールを図1に示す。現在は、4回目のリリースが目前となり、5回目のリリースに向けた作業の準備に取り掛かったところである。

ところが、PMが急きょ、介護のために休職することになった。そこでQ課長が、このプロジェクトのPMに任命され、5回目のリリースに向けた作業から指揮をとることになった。任命に当たってP社経営層からは、“重要な顧客であるE社の顧客満足を、しっかり獲得し続けてほしい。現状のプロジェクトチームは今後も維持していく方針なので、長期的な視点で、プロジェクトチームの開発にも取り組んでほしい。”との言葉があった。
〔Q課長の観察〕
Q課長は、リリース間隔の短縮を実現し、E社のサービスの提供価値を継続的かつ迅速に高めていくという期待に応えるためには、開発技術面での改善に加えて、E社PTの生産性の向上が不可欠だと考えていた。ここでQ課長が認識している生産性とは、“投入工数に対する開発成果物の量”といった開発者の視点から捉えた狭義の生産性ではなく、①顧客の視点から捉えた広義の生産性である。この生産性の向上のためには、E社PTの仕事のやり方とメンバの意識を変えることが必要であり、それらを実現する過程で、成長し続けるプロジェクトチームに変わる可能性も見えてくると考えていた。
E社PTは、仕様管理・検証チームと開発チームの二つのサブチーム(ST)で構成されており、それぞれのSTにリーダ(以下、STリーダという)が配置されている。Q課長は着任後、仕事のやり方とメンバの意識に着目して、E社PTの状況を観察してきた。その内容を整理すると、次のようになる。
・STリーダ同士、ST内のメンバ同士は1年にわたり一緒に仕事をしてきており、スキルや任務の遂行に関しては互いに信頼がある。
・過去の開発では、PMの強力なリーダシップとSTリーダをはじめとするメンバの頑張りで、QCDの目標を何とか達成してきた。
・これまで行動の基本原則について議論したことはなく、PMやSTリーダが都度、状況に応じた判断を下してきたので、ST内のメンバは、自律的に自ら考え判断して行動するよりも、PMやSTリーダの指示を待って行動する傾向が強い。PMやSTリーダの指示は、失敗を回避する意図から、詳細かつ具体的な内容にまで踏み込む傾向がある。
・STリーダやST内のメンバは、PMが決めた役割分担に基づいてその任務を忠実に遂行しているが、役割分担にこだわりすぎる面もあり、ST間の稼働が不均衡になることがある。例えば、上流工程での仕様の確定に手間取ると仕様管理・検証チームの稼働は高いのに開発チームが待ち状態になったり、テスト工程で不具合の改修が滞ると開発チームの稼働は高いのに仕様管理・検証チームは待ち状態になったりする。また、STを横断したメンバ間のコミュニケーションは少ない。
・E社PT全体として、直近のリリースのQCDの目標達成に有効な活動は積極的に行われるが、チームワークの改善やメンバの育成など将来に資する活動に使われる時間が少ない。
Q課長は、これらの状況について、メンバはどのように認識しているのか、個別にヒアリングすることにした。その際に、②それぞれの状況に対してQ課長が抱いている肯定や否定の考えを感じさせないように気をつけることにした。
〔メンバへのヒアリング〕
Q課長は、PM着任の挨拶で、“QCDの目標達成は非常に重要だが、一方で次年度からはリリース間隔を短縮する要望に応える計画や、サービスの提供価値を継続的かつ迅速に高めてほしいという顧客の期待もある。これらについて、まずは一人一人の考えをじっくり聞かせてほしい。”と話し、ヒアリングを開始した。
全てのメンバとのヒアリングを終えて、Q課長は、自分が観察した状況とメンバの認識が合致していたことを確認した。一方、ヒアリング結果から判明した新たな状況があり、それらを次のように整理した。
・現在の固定化した役割分担は自分の成長につながるのか、このままでリリース間隔の短縮に対応できるのか、という不安をもっているメンバが多かった。
・上流工程での認識合わせが不十分だったことが原因で手戻りが発生するなど、ST間のコミュニケーションに問題があると考えているメンバがいた。
・ST内のメンバ同士が、相手の仕事に口を挟むことを遠慮してタイムリに意見交換をしなかったことによって、手戻りが多くなった、という意見があった。
・メンバがPMやSTリーダの指示を待って行動する傾向は、生産性の向上を妨げる原因になっているようだという認識が、ほぼ全員にあった。
Q課長は、ヒアリング結果を整理した内容をメンバに示し、“顧客の期待に応えるためには、皆で一緒に考え、③ともに学び続けながら、成長し続けるプロジェクトチームになる必要があると思う。そのためには、E社PTの行動の基本原則を全員で議論して合意し、明文化して共有することが大切だと思う。その行動の基本原則に従って、具体的な活動についても検討し、実践していくことにしたいがどうだろうか。”と問いかけた。その問いかけに対する全員の同意を確認した上で、“1週間の期間を設けて何度かミーティングを開催し、今後のE社PTの行動の基本原則と実践する具体的な活動について議論しよう。”と告げた。
〔ミーティングでの議論〕
初回のミーティングはぎこちない雰囲気だったが、Q課長が発言や意見交換を和やかに促していったことで、回を追うごとにメンバは、自分が大切だと思うE社PTの行動の基本原則と実践する具体的な活動についてオープンに議論するようになった。
その結果、メンバの総意として次に示すE社PTの行動の基本原則を決定した。
(i) 顧客の視点から捉えた広義の生産性の向上に継続的に取り組む。そのためには、指示を待つのではなく自律的に行動すること、役割分担にこだわらずに自由にコミュニケートすること、そして全ての機会を捉えて学び続けることを重視する。
(ii) チームワークの改善やメンバの育成など将来に資する活動の時間を確保する。このことは、プロジェクトチームやメンバのためになるだけでなく、生産性の向上を通じて、顧客満足を獲得し続けることにつながる。そして、サービスの提供価値をE社と共創し向上させることは、最終的にE社PTの外部の④ある重要なステークホルダへの提供価値を高め続けることにつながる。
また、次に示す、実践する具体的な活動についても併せて決定した。
(イ)E社PT内では互いに遠慮せず、必要なときにいつでも声を掛け合って、コミュニケーションの質と量を改善する。
(ロ)連携する他のSTの仕事を理解するためと、⑤ある具体的な課題を解消するために、ST間での役割分担を、プロジェクトの途中でも必要に応じて見直す。
(ハ)相互理解を更に深化させて役割の固定化の解消へつなげ、異なる視点から改善のアイディアを得ることを目的として、ST間でaを行う。
(ニ)ST内の他のメンバの仕事の内容、進め方及び考え方の理解に努める。ST内で役割の相互補完ができるように努める。
(ホ)行動の基本原則に従って、自律的に、失敗を恐れずに行動し、さらにその結果に責任をもつことに挑戦する。PMやSTリーダはこの挑戦を支援するに当たり、⑥メンバ一人一人の成長のために、これまでとは異なる方法で対応する。
Q課長は、これらの具体的な活動を実践していけば、プロジェクトチームの活動がスムーズになり、生産性も向上して、8か月後にはリリース間隔の短縮への見通しも十分に立ってくるだろう、と考えた。
設問1:〔Q課長の観察〕について、(1)、(2)に答えよ。
設問1(1)
問題文を見る模範解答
ア:時間を含めた投下資源
イ:サービスの提供価値
解説
解答の導き方
-
問われているのは、顧客の視点から捉えた広義の生産性を、「[ア]に対する[イ]の大きさ」と表すときの二つの要素です。まず、開発者の視点から捉えた狭義の生産性とは区別して考えます。
-
本文では、狭義の生産性を「投入工数に対する開発成果物の量」としています。一方、Q課長が重視するのは顧客の視点です。そのため、開発成果物の量ではなく、顧客にどれだけ価値を提供できたかを基準にします。
-
E社の要望には、「時間を含めた投下資源に対して十分な価値を提供」したいとあります。この記述から、[ア]は時間も含めてサービスの改善に投入する資源、[イ]はその投入によって得られるサービスの提供価値だと分かります。
誤りやすいポイント
- 狭義の生産性の説明に引きずられ、[イ]を「開発成果物の量」としてしまう誤りです。この設問では顧客の視点が問われているため、サービスが顧客に提供する価値に着目します。
- [ア]を「投入工数」だけに限定する誤りです。本文では、時間を含めた投下資源を基準にしています。
- 価値を高めることだけに注目し、投入する資源との関係を見落とす誤りです。生産性は、投下資源に対してどれだけ価値を提供できたかという関係で捉えます。
FAQ
Q: 開発成果物の量は、この設問の生産性には関係しないのですか?
A: 開発成果物の量ではなく、顧客の視点から見たサービスの提供価値を基準にする点が、狭義の生産性との違いです。
A: 開発成果物の量ではなく、顧客の視点から見たサービスの提供価値を基準にする点が、狭義の生産性との違いです。
Q: なぜ時間も投下資源に含めるのですか?
A: E社は、迅速なサービス改善を求めるとともに、時間を含めた投下資源に対して十分な価値を得たいと述べているためです。
A: E社は、迅速なサービス改善を求めるとともに、時間を含めた投下資源に対して十分な価値を得たいと述べているためです。
関連キーワード: 生産性、顧客価値、投下資源、サービス提供価値、顧客満足
設問1(2)
問題文を見るQ課長は、本文中の下線②で、肯定や否定の考えを感じさせないように気をつけることで、どのようなヒアリング結果を得ようと考えたのか。30字以内で述べよ。
模範解答
PMの考えに引きずられないメンバの真の考え
解説
解答の導き方
この設問は、Q課長が自分の考えを相手に感じさせないようにした目的、つまり、どのような意見をメンバから引き出そうとしたのかを問うています。
まず、E社PTでは、これまでPMやSTリーダの指示に従って行動する傾向が強く、指示も「詳細かつ具体的な内容にまで踏み込む傾向」がありました。そのため、メンバは自分の考えよりも、PMの意向に合わせて発言する可能性があります。
また、Q課長は、状況に対する自分の肯定・否定の考えを感じさせないようにしてヒアリングしようとしています。聞き手の評価や期待が伝わると、メンバがそれに合わせた回答をしたり、本音を言いにくくなったりするからです。
したがって、Q課長が得ようとしたのは、PMの考えに左右されず、メンバ自身が実際にどう考えているかが分かる意見です。問題文では、観察した状況についてメンバの認識を確かめるだけでなく、ヒアリングによって新たな状況も判明しています。こうした率直な認識や意見を得ることが、この配慮の目的です。
誤りやすいポイント
- 「メンバに安心して話してもらうこと」だけで終わらせないようにします。設問が尋ねているのは、配慮によって得ようとしたヒアリング結果です。
- Q課長の考えに賛成する意見を集めることが目的ではありません。肯定・否定の考えを感じさせないのは、メンバが自分の考えを率直に述べられるようにするためです。
- メンバがPMの指示に従う傾向を踏まえ、PMの意向に合わせた意見ではなく、メンバ自身の本当の考えを引き出す点が重要です。
FAQ
Q: Q課長が自分の考えを伝えないようにするのは、なぜですか?
A: 聞き手の評価や期待が伝わると、メンバがそれに合わせて回答し、本音を述べにくくなるおそれがあるためです。
A: 聞き手の評価や期待が伝わると、メンバがそれに合わせて回答し、本音を述べにくくなるおそれがあるためです。
Q: ここでいう「真の考え」とは、どのような意見ですか?
A: PMの考えに引きずられず、メンバ自身が状況について感じていることや考えていることです。
A: PMの考えに引きずられず、メンバ自身が状況について感じていることや考えていることです。
関連キーワード: ヒアリング、傾聴、認知バイアス、心理的安全性、チームコミュニケーション
設問2:〔メンバへのヒアリング〕について、(1)、(2)に答えよ。
設問2(1)
問題文を見るQ課長が、本文中の下線③で“学び続けながら”、“成長し続ける”という方針を示したのは、E社PTをどのような期待に応えるプロジェクトチームにするためか。25字以内で述べよ。
模範解答
提供価値を継続的に高めるという期待
解説
解答の導き方
この設問は、Q課長がE社PTに「ともに学び続けながら、成長し続ける」ことを求めた目的を、顧客のどの期待に結び付けているかを問うています。
まず、E社の要望には「サービスを改善して」、投下資源に対して十分な価値を提供したいという意図があります。また、E社は「サービスの提供価値を継続的かつ迅速に高めてほしい」と期待しています。ここから、リリース間隔の短縮そのものだけでなく、サービスが顧客に提供する価値を高め続けることが、顧客の期待の中心だと分かります。
次に、Q課長は、顧客の期待に応えるために、メンバが一緒に考え、学び続けながら成長するチームが必要だと述べています。チームが学び、成長することは、変化する要望に応じて仕事のやり方を改善し、顧客に提供する価値を高め続ける力につながります。
したがって、求めるのは、提供価値を継続的に高めるという期待に応えるプロジェクトチームです。
誤りやすいポイント
- 「リリース間隔を短縮するという期待」だけを答えると、顧客が求める最終的な価値を捉えられません。リリース間隔の短縮は、その価値を迅速に高めるための手段です。
- 「メンバの成長」そのものを答えにしないように注意します。設問は、成長するチームをどの顧客期待に応える存在にするのかを尋ねています。
- 「迅速に」だけに注目すると、本文で繰り返される「継続的に提供価値を高める」という期待が抜けることがあります。
FAQ
Q: リリース間隔の短縮は、顧客の期待ではないのですか?
A: 顧客は、最終的に1~2か月程度でリリースできるようにしてほしいと要望しています。ただし、この設問では、その背景にある「サービスの提供価値を継続的かつ迅速に高めてほしい」という期待に注目します。
A: 顧客は、最終的に1~2か月程度でリリースできるようにしてほしいと要望しています。ただし、この設問では、その背景にある「サービスの提供価値を継続的かつ迅速に高めてほしい」という期待に注目します。
Q: 「学び続ける」ことは、研修を続けるという意味ですか?
A: ここでは研修に限定されません。メンバが一緒に考え、活動を通じて学び、チームとして成長することで、顧客の期待に応え続けることを指しています。
A: ここでは研修に限定されません。メンバが一緒に考え、活動を通じて学び、チームとして成長することで、顧客の期待に応え続けることを指しています。
関連キーワード: 顧客価値、継続的改善、チーム学習、チーム開発、アジャイル開発
設問2(2)
問題文を見るQ課長が、E社PTの行動の基本原則について、全員で議論して合意し、明文化して共有することにしたのは、どのような意図からか。全員で議論して合意することにした意図と、明文化して共有することにした意図を、それぞれ30字以内で述べよ。
模範解答
合意することにした意図:メンバ全員が納得した上で行動に移れるようにするため
明文化して共有することにした意図:メンバ全員が自律的に行動するための基準とするため
解説
解答の導き方
この設問では、行動の基本原則について、メンバ全員で議論して合意する意図と、明文化して共有する意図を分けて考えます。
まず、Q課長の観察では、これまで行動の基本原則を議論したことがなく、PMやSTリーダが状況に応じて判断してきたとあります。また、メンバには「指示を待って行動する傾向」があります。こうした状況で、上から決めた原則を一方的に示すだけでは、メンバが納得して主体的に実践することにつながりにくいです。そのため、全員で議論して合意する意図は、メンバそれぞれが内容を理解し、納得した上で行動に移れるようにすることです。
次に、基本原則を明文化して共有する意図を考えます。原則が口頭の説明や個々のリーダの判断にとどまると、メンバによって理解や判断が異なったり、結局リーダの指示を待ったりする可能性があります。全員が確認できる形にして共有すれば、迷ったときに立ち返る共通の基準となり、メンバが自律的に判断して行動しやすくなります。
誤りやすいポイント
- 「全員で議論して合意する意図」と「明文化して共有する意図」を、どちらも「チームの意識を高めるため」とまとめてしまうと、二つの違いが明確になりません。
- 合意の意図は、単に全員の意見を聞くことではなく、メンバが納得して実践に移れるようにすることです。
- 明文化の意図は、記録を残すこと自体ではありません。自律的な判断と行動を支える、共通の基準をつくることがポイントです。
FAQ
Q: 全員で議論することと、最終的に合意することは、どちらも必要ですか?
A: はい。議論を通じて意見を反映し、合意することで、メンバが納得して行動に移りやすくなります。
A: はい。議論を通じて意見を反映し、合意することで、メンバが納得して行動に移りやすくなります。
Q: 行動の基本原則を明文化するだけで、自律的な行動につながりますか?
A: 明文化だけで十分とは限りません。原則を共有し、日々の判断で参照できるようにすることが、自律的な行動を支えます。
A: 明文化だけで十分とは限りません。原則を共有し、日々の判断で参照できるようにすることが、自律的な行動を支えます。
Q: 明文化した原則は、リーダが指示を出すための規則ですか?
A: いいえ。リーダの指示を待たずに、メンバ自身が判断するときの共通の基準として活用します。
A: いいえ。リーダの指示を待たずに、メンバ自身が判断するときの共通の基準として活用します。
関連キーワード: 合意形成、自律性、行動規範、チームビルディング、コミュニケーション
設問3:〔ミーティングでの議論〕について、(1)~(4)に答えよ。
設問3(1)
問題文を見る本文中の下線④の重要なステークホルダとは誰か、答えよ。
模範解答
消費者
解説
解答の導き方
この設問では、E社PTの外部にいるステークホルダのうち、サービスの提供価値を高めることで価値を届ける相手を考えます。
まず、プロジェクトの対象は「消費者向けのサービスを提供するシステム」です。したがって、E社はシステム開発を委託する顧客である一方、サービスを利用する最終的な相手は消費者です。
次に、行動の基本原則では、サービスの提供価値をE社と共創して向上させることが、E社PTの外部のステークホルダへの提供価値を高めることにつながるとしています。E社と価値を共創するのは、E社の先にいるサービス利用者に、より高い価値を届けるためです。
以上から、問われている重要なステークホルダは、サービスを利用する消費者だと判断できます。
誤りやすいポイント
- E社はプロジェクトの顧客であり、サービス価値の共創相手です。設問が問うている「価値を届ける相手」と混同しないようにします。
- P社は開発を受託する企業ですが、この文脈でサービスの提供価値を受け取る相手ではありません。
- メンバの成長やチームワークの改善は価値向上の手段であり、外部のステークホルダそのものではありません。
FAQ
Q: E社もステークホルダではないのですか。
A: E社もプロジェクトに関わるステークホルダです。ただし、設問ではE社と共創したサービス価値が最終的に誰への価値につながるかを問うています。
A: E社もプロジェクトに関わるステークホルダです。ただし、設問ではE社と共創したサービス価値が最終的に誰への価値につながるかを問うています。
Q: 「消費者」と判断する根拠は何ですか。
A: 対象のシステムが消費者向けのサービスを提供するためです。サービスの提供価値を直接受け取る相手は、そのサービスを利用する消費者です。
A: 対象のシステムが消費者向けのサービスを提供するためです。サービスの提供価値を直接受け取る相手は、そのサービスを利用する消費者です。
関連キーワード: ステークホルダ、顧客価値、サービス価値、価値共創
設問3(2)
問題文を見る本文中の下線⑤の課題とは、どのような課題か。15字以内で答えよ。
模範解答
ST間の稼働の不均衡
解説
解答の導き方
-
下線⑤は、ST間で役割分担を見直す目的の一つとして挙げられています。したがって、解く手掛かりは、役割分担が固定されていることで生じるST間の問題です。
-
〔Q課長の観察〕には、上流工程で仕様の確定に手間取ると「仕様管理・検証チームの稼働は高いのに開発チームが待ち状態」になり、テスト工程で不具合の改修が滞ると「開発チームの稼働は高いのに仕様管理・検証チームは待ち状態」になるとあります。
-
つまり、工程によって片方のSTに仕事が集中し、もう片方のSTが待ち状態になるという問題です。本文でも、この状態を「ST間の稼働が不均衡になることがある」と表現しています。
-
したがって、ST間で役割分担を見直すことで解消しようとしている課題は、ST間の稼働の不均衡です。
誤りやすいポイント
- ST間のコミュニケーション不足も本文に登場しますが、下線⑤は、役割分担の見直しによって解消する課題を問うています。
- STのどちらかが忙しいというだけでなく、片方の稼働が高い一方で、もう片方が待ち状態になる関係に注目します。
- 「役割分担の固定化」そのものではなく、それによって生じる具体的な課題を答えます。
FAQ
Q: ST間のコミュニケーション不足も課題ではありませんか?
A: はい、本文ではコミュニケーション上の問題も述べられています。ただし、下線⑤の文脈では、ST間の役割分担を見直すことで解消する課題として、稼働の偏りに注目します。
A: はい、本文ではコミュニケーション上の問題も述べられています。ただし、下線⑤の文脈では、ST間の役割分担を見直すことで解消する課題として、稼働の偏りに注目します。
Q: なぜ役割分担の見直しで稼働の不均衡を解消できるのですか?
A: 役割分担にこだわらず、必要に応じて他のSTの仕事を担えるようにすれば、仕事が集中しているSTを支援しやすくなるためです。
A: 役割分担にこだわらず、必要に応じて他のSTの仕事を担えるようにすれば、仕事が集中しているSTを支援しやすくなるためです。
関連キーワード: チームビルディング、役割分担、稼働率、コミュニケーション、プロジェクトマネジメント
設問3(3)
問題文を見る本文中のaに入れる、ST間で行うことを、15字以内で答えよ。
模範解答
a:メンバのローテーション
解説
解答の導き方
空欄は、ST間で行う具体的な活動を問うています。まず、活動の目的に注目します。
本文では、[ハ]の活動について、「相互理解を更に深化させて役割の固定化の解消へつなげ、異なる視点から改善のアイディアを得る」とあります。単に話し合いの機会を設けるだけでなく、別のSTの仕事を実際に経験し、互いの仕事や考え方を知る活動が必要だと分かります。
ほかの活動との違いも確認します。[イ]は「必要なときにいつでも声を掛け合って」コミュニケーションを改善する活動です。[ロ]は、連携するSTの仕事を理解することなどを目的に、ST間の役割分担を必要に応じて見直す活動です。一方、[ハ]では、役割の固定化を解消し、異なる視点を得ることが特に重視されています。
そこで、ST間でメンバを入れ替えたり交替させたりして、それぞれの仕事を経験する活動が目的に合います。したがって、空欄には「メンバのローテーション」が入ります。
誤りやすいポイント
- [イ]の「声を掛け合う」活動と混同し、単なるコミュニケーションの活性化と考えることです。[ハ]は、メンバがST間を移って仕事を経験する活動です。
- [ロ]の「役割分担を見直す」ことと混同することです。役割分担の調整だけでなく、メンバ自身が異なるSTの仕事に関わることが、[ハ]の目的に合います。
- ST間の稼働の偏りを解消することだけに注目することです。本文で[ハ]の目的として示されているのは、相互理解、役割の固定化の解消、異なる視点からの改善アイディアの獲得です。
FAQ
Q: メンバのローテーションによって、なぜ相互理解が深まるのですか?
A: 別のSTの仕事を実際に経験することで、作業内容や進め方、そこでの課題を具体的に理解できるからです。
A: 別のSTの仕事を実際に経験することで、作業内容や進め方、そこでの課題を具体的に理解できるからです。
Q: [ロ]の役割分担の見直しと、[ハ]のローテーションは同じですか?
A: 同じではありません。[ロ]はプロジェクトの状況に応じてST間の役割分担を見直すことです。[ハ]はメンバがST間で仕事を経験することで、固定化の解消や相互理解につなげる活動です。
A: 同じではありません。[ロ]はプロジェクトの状況に応じてST間の役割分担を見直すことです。[ハ]はメンバがST間で仕事を経験することで、固定化の解消や相互理解につなげる活動です。
Q: ローテーションは、メンバを恒久的に別のSTへ移すことですか?
A: 本文から分かるのは、ST間でメンバのローテーションを行うことです。恒久的な異動かどうかまでは示されていません。
A: 本文から分かるのは、ST間でメンバのローテーションを行うことです。恒久的な異動かどうかまでは示されていません。
関連キーワード: チームビルディング、メンバローテーション、知識共有、役割分担、継続的改善
設問3(4)
問題文を見る本文中の下線⑥について、どのような方法で対応するのか、30字以内で述べよ。
模範解答
自律的な判断と行動を尊重して、学びの機会を与える
解説
解答の導き方
-
下線⑥は、PMやSTリーダがメンバの挑戦を支援するときの対応方法を問うています。したがって、これまでの支援の仕方と、今後の行動の基本原則を照らし合わせます。
-
これまでのPMやSTリーダは、「失敗を回避する意図」から指示を「詳細かつ具体的な内容にまで」踏み込ませていました。その結果、メンバは自分で考えて行動するよりも、指示を待つ傾向が強くなっていました。つまり、従来の支援は失敗を防ぐ面では有効でも、メンバが自分で判断し、経験から学ぶ機会を少なくしていたと考えられます。
-
一方、行動の基本原則では、「自律的に、失敗を恐れずに行動し、さらにその結果に責任をもつことに挑戦する」としています。ここから、PMやSTリーダには、メンバの判断を細かく指示で置き換えるのではなく、本人が考えて行動することを後押しする役割が求められます。
-
さらに、基本原則には「全ての機会を捉えて学び続けることを重視する」とあります。メンバ一人一人の成長を支援するには、挑戦を認めるだけでなく、その挑戦を通じて学べる機会を用意することも必要です。
したがって、これまでのように指示を細部まで与えるのではなく、自律的な判断と行動を尊重し、メンバが学べる機会を与える方法で対応します。ただし、これはメンバを放任することではありません。必要な支援をしながら、自分で考えて行動する経験を積めるようにすることがポイントです。
誤りやすいポイント
- これまでの対応を単に「指示を減らす」と捉えることです。指示を減らすだけでは、成長につながる支援になりません。自分で判断して行動する機会や、そこから学ぶ機会を設けることが重要です。
- 「失敗を恐れずに行動する」ことを、失敗しても責任を問わないことだと解釈することです。本文では、行動の結果に責任をもつことにも挑戦するとしています。
- 「学びの機会」を研修の実施だけに限定することです。本文の流れでは、日々の仕事で自律的に挑戦し、そこから学ぶ機会も含まれます。
FAQ
Q: メンバの自律性を尊重することは、PMやSTリーダが何も指示しないことですか?
A: いいえ。必要な支援や助言は行います。ただし、細かな指示で判断や行動を代行するのではなく、メンバ自身が考え、学べるように支援します。
A: いいえ。必要な支援や助言は行います。ただし、細かな指示で判断や行動を代行するのではなく、メンバ自身が考え、学べるように支援します。
Q: 学びの機会を与えるのは、なぜ成長につながるのですか?
A: メンバが自分で考えて行動し、その結果を振り返ることで、知識や経験を次の行動に生かせるからです。
A: メンバが自分で考えて行動し、その結果を振り返ることで、知識や経験を次の行動に生かせるからです。
Q: 失敗を恐れないことと、結果に責任をもつことは両立しますか?
A: 両立します。失敗を避けるために挑戦を止めるのではなく、挑戦の結果から学び、次に生かすことが求められています。
A: 両立します。失敗を避けるために挑戦を止めるのではなく、挑戦の結果から学び、次に生かすことが求められています。
関連キーワード: 自律性、エンパワーメント、コーチング、OJT、経験学習



