プロジェクトマネージャ 2021年 午後1 問01
新たな事業を実現するためのシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクト計画に関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。
中堅の生命保険会社のD社は、保険代理店や多数の保険外交員による顧客に対するきめ細かな対応を強みに、これまで主に自営業者や企業内の従業員などをターゲットにした堅実な経営で企業ブランドを築いてきた。D社には、この強みを継続していけば今後も安定した経営ができるとの思いが強かったが、近年は新しい保険商品の開発や新たな顧客の開拓で他社に後れを取っていた。D社経営層は今後の経営を危惧し、経営企画部に対応策の検討を指示した。その結果、“昨今の規制緩和に対応し、また最新のデジタル技術を積極的に活用して、他社に先駆けて新たな顧客層へ新しい保険商品を販売する事業(以下、新事業という)”の実現を事業戦略として決定した。新事業では、個人向けにインターネットなどを活用したマーケティングやダイレクト販売を行って、新たな顧客層を開拓する。また、顧客のニーズ及びその変化に対応した新しい保険商品を迅速に提供する計画である。
D社は、規制緩和に柔軟に対応して事業戦略を実現するために、新たに100%出資の子会社(以下、G社という)を設立し、D社から社員を出向させることにした。G社は、D社で事前に検討した幾つかの新しい保険商品を基に、できるだけ早くシステムを開発し、新たな顧客層へ新しい保険商品の販売を開始することにしている。一方、新しい保険商品に対して顧客がどのように反応するかが予測困難であるなど、その事業運営には大きな不確実性があり、事業の進展状況を見ながら運営していく必要がある。
〔D社のシステム開発の現状とG社の概要〕
D社では、事業部門である商品開発部及び営業部が提示する要求事項に基づいて、システム部のメンバで編成したプロジェクトチームでシステムを開発している。きめ細かなサービスを実現するために、大部分の業務ソフトウェアをシステム部のメンバが自社開発していて、ソフトウェアパッケージの利用は最小限にとどまっている。運用も自社データセンタで、保険代理店の要望に応じてシステム部が運用時間を調整するなどきめ細かく対応している。システム部のメンバはベテランが多く、また実績のある技術を使うという方針もあり、開発や運用でのトラブルは少ない。一方、業務要件の変更や新規の保険代理店の追加などへの対応に柔軟さを欠くことが、新しい保険商品の開発や新たな顧客の開拓において他社に後れを取る原因の一つであった。
G社設立に当たり、D社経営企画部は、G社におけるシステム開発プロジェクトの課題を次のように整理した。
・新事業の運営には大きな不確実性があるので、システム開発に伴う初期投資を抑える必要があること。
・顧客のニーズや他社動向の急激な変化が予想され、この変化にシステムの機能やシステムのリソースも迅速に適応できるようにする必要があること。
・最新のデジタル技術の利用は、実績のある技術の利用とは異なり、多様な技術の中から仮説と検証を繰り返して実現性や適合性などを評価し、採用する技術を決定する必要があること。ただし、多くの時間を掛けずに、迅速に決定する必要があること。
これらの課題に対してD社経営層は、D社には最新のデジタル技術の知識や経験が不足していることから、G社の設立時においては、出向者に加えて必要なメンバを社外から採用することにした。
G社の組織は、本社機構、事業部及びシステム部から成る。約30名の体制で事業を開始する計画で、その準備をしているところである。G社経営層は4名で構成され、D社経営企画担当の役員がG社の社長を兼務し、残りの3名は、D社からの異動者1名、外部の保険関係の企業から1名、外部のIT企業から1名という構成である。各部門も、半数は最新の保険業務やITに詳しいメンバを社外から採用する。
〔プロジェクトの立上げ〕
D社で事前に検討した幾つかの新しい保険商品を提供するためのG社のシステム開発プロジェクト(以下、Gプロジェクトという)は、従来のD社のシステム開発プロジェクトとは特徴が大きく異なるので、G社社長は、D社システム部にはプロジェクトマネージャ(PM)の適任者がいないと考えていた。G社社長は、かつてD社システム部管掌時に接した多くのベンダのPMから、特にデジタル技術を活用した事業改革を実現するデジタルトランスフォーメーション(DX)に知見があるH氏が適任と考えた。H氏は、G社社長からの誘いに応じてG社に転職し、G社システム部長兼PMに任命された。現在H氏は、Gプロジェクトの立上げを進めている。
H氏は、D社経営企画部が整理したG社におけるシステム開発プロジェクトの課題を解決する方策を、G社の本社機構、事業部及びシステム部のキーパーソンとともに検討した。その結果、次のような特徴をもつクラウドサービスの利用が課題の解決に有効であると考えて、G社経営層に提案し、G社役員会で承認を得た。
・①使用するサービスの種類やリソースの量に応じて課金される。
・サービスやリソースを柔軟に選択できるので、②Gプロジェクトを取り巻く環境に適合する。
・③最新の多様なデジタル技術を活用する際にその技術を検証するための環境が備わっており、実現性や適合性を効率良く評価できる。
〔プロジェクト計画〕
H氏は、プロジェクト計画の作成を開始した。Gプロジェクトのスコープは販売する保険商品やその販売状況に左右される。先行して販売する保険商品は決まったが、これに対する顧客の反応などを含む事業の進展状況に従って、プロジェクトのスコープが明確になっていく。Gプロジェクトを計画する上で必要な情報が事業の進展状況によって順次明らかになることから、H氏は、④ある方法でプロジェクト計画を作成することにした。
H氏は、システム部を10名程度のメンバで発足することにした。既にD社システム部から5名が出向していたので、残りの5名前後を社外から採用する。H氏は、G社社長とも協議の上、採用面接に当たってはクラウドサービスなどの技術に詳しいことに加えて、⑤多様な価値観を受け入れ、それぞれの知見を生かして議論できることを採用基準として重視した。この採用基準に沿って、採用は順調に進んでいる。
〔ステークホルダへのヒアリング〕
H氏は、Gプロジェクトのステークホルダは多様なメンバから構成されることから、G社社長以下の役員に対し、プロジェクト運営に関してヒアリングした。その結果は次のとおりである。
・D社からの異動者は、顧客や築いてきたブランドへの悪影響がないことを重視して、脅威のリスクは取りたくないという考え方であった。一方、社外から採用したメンバは、斬新なチャレンジを重視して、脅威のリスクに対応するだけでなく、積極的に機会のリスクを捉えて成果を最大化することに取り組むべき、との考え方であった。
・G社社長は、脅威のリスクへの対応について、軽減又は受容の戦略を選択する場合には、組織のリスク許容度に基づいてリスクを適切に評価する、という考え方であった。また、機会のリスクについても適切にマネジメントしていくべき、という考え方であった。
H氏は、ヒアリングの結果から、Gプロジェクトのリスクへの対応に留意する必要があると感じた。そこで、Gプロジェクトのリスク対応計画における戦略選択の方針を表1のように定め、全役員に了解を得ることにした。
H氏は、G社のメンバの多様な経験や知見を最大限生かす観点から、Gプロジェクトのプロジェクトチームを⑥“ある方針”で編成するのが適切であると考えていた。そこで、H氏は、事業部とシステム部の社員に、状況をヒアリングした。両部とも、部内ではD社からの出向者、社外出身者を問わず、業務プロセスやシステムについて、多様な経験や知見を生かして活発に議論していることが確認できた。しかし、事業部の中には、事業部内で議論して整理した結果をシステム部のプロジェクトに要求事項として提示することが役割だと考えているメンバが複数いた。また、システム部の中には事業部から提示された要求事項を実現することが役割だという考えのメンバが複数いた。H氏は、こうした状況を改善し、新事業を一体感をもって実現するためにも、当初考えていた“ある方針”のままプロジェクトチームを編成するのがよいと考えた。
設問1:〔プロジェクトの立上げ〕について、(1)~(3)に答えよ。
設問1(1)
問題文を見る本文中の下線①について、H氏が、Gプロジェクトでは使用するサービスの種類やリソースの量に応じて課金されるクラウドサービスを利用することにした狙いは何か。30字以内で述べよ。
模範解答
システム開発に伴う初期投資を抑えるため
解説
解答の導き方
-
下線①が問うているのは、クラウドサービスの「使用するサービスの種類やリソースの量に応じて課金される」という特徴を、なぜ利用することにしたのかです。
-
その理由は、G社が抱える課題にあります。本文では、新事業の運営には「大きな不確実性」があり、「システム開発に伴う初期投資を抑える必要がある」とされています。顧客の反応などを事前に予測しにくいため、最初から大規模なシステム環境に投資するのは避けたい状況です。
-
利用するサービスやリソースの量に応じて課金されるクラウドサービスなら、必要な分に合わせて利用しやすくなります。そのため、設備やリソースに対する初期の支出を抑えられます。
したがって、下線①の狙いは、システム開発に伴う初期投資を抑えることです。
誤りやすいポイント
- 顧客の反応など、事業の不確実性に触れるだけでは不十分です。その不確実性を踏まえ、何を抑えようとしているのかまで答えます。
- クラウドサービスの柔軟な選択や、技術の検証環境といった別の特徴を答えないようにします。下線①は、課金がサービスの種類やリソース量に応じる点に着目します。
- 「運用コストを削減する」だけでは、本文にある「システム開発に伴う初期投資を抑える」という狙いとずれるおそれがあります。
FAQ
Q: なぜ新事業の不確実性が、初期投資を抑えることにつながるのですか?
A: 顧客の反応や事業の進展が予測しにくい段階で大きなシステム投資をすると、必要な規模が後から変わり、投資が無駄になる可能性があるためです。
A: 顧客の反応や事業の進展が予測しにくい段階で大きなシステム投資をすると、必要な規模が後から変わり、投資が無駄になる可能性があるためです。
Q: この設問では、クラウドの柔軟性も答えに含めるべきですか?
A: 下線①が問うのは、利用するサービスやリソース量に応じて課金されることの狙いです。柔軟な選択は本文の別の特徴なので、初期投資を抑えることを中心に答えます。
A: 下線①が問うのは、利用するサービスやリソース量に応じて課金されることの狙いです。柔軟な選択は本文の別の特徴なので、初期投資を抑えることを中心に答えます。
関連キーワード: クラウドコンピューティング、従量課金、初期投資、リソース管理
設問1(2)
問題文を見る本文中の下線②について、H氏は、サービスやリソースを柔軟に選択できることは、Gプロジェクトを取り巻くどのような環境に適合すると考えたのか。30字以内で述べよ。
模範解答
顧客のニーズや他社動向の急激な変化が予想される環境
解説
解答の導き方
まず、Gプロジェクトを取り巻く環境について、本文では「顧客のニーズや他社動向の急激な変化が予想され」ると説明されています。また、その変化にシステムの機能やリソースを迅速に適応させる必要があります。
次に、下線②では、クラウドサービスはサービスやリソースを柔軟に選択できると述べられています。この柔軟性が必要になるのは、顧客ニーズや他社の動向が急に変わる環境だからです。
したがって、問われている環境は、顧客のニーズや他社動向の急激な変化が予想される環境です。
誤りやすいポイント
- クラウドサービスの利用目的を、初期投資の抑制だけに結び付けないようにします。この設問は、サービスやリソースを柔軟に選べることが適合する環境を問うています。
- 「システムの機能やリソースを迅速に適応させる必要がある」という対応策だけでなく、その必要性を生む顧客ニーズや他社動向の変化まで示します。
- 技術の実現性や適合性を効率良く評価することは、別の課題への対応です。この設問では、急激な環境変化に注目します。
FAQ
Q: 「環境」は、クラウドサービスを利用する技術環境のことですか?
A: いいえ。ここでは、顧客のニーズや他社動向が急激に変化するという、Gプロジェクトを取り巻く事業環境を指します。
A: いいえ。ここでは、顧客のニーズや他社動向が急激に変化するという、Gプロジェクトを取り巻く事業環境を指します。
Q: システムのリソースを迅速に適応させる必要があることだけを書けばよいですか?
A: それは環境変化への対応です。設問は、どのような環境に適合するかを尋ねているため、顧客のニーズや他社動向の急激な変化も含めて答えます。
A: それは環境変化への対応です。設問は、どのような環境に適合するかを尋ねているため、顧客のニーズや他社動向の急激な変化も含めて答えます。
関連キーワード: クラウドコンピューティング、リソース管理、スケーラビリティ、事業環境の変化
設問1(3)
問題文を見る本文中の下線③について、H氏がGプロジェクトでのデジタル技術の活用において、実現性や適合性を効率良く評価できることが課題の解決に有効であると考えた理由は何か。30字以内で述べよ。
模範解答
仮説と検証を多くの時間を掛けず繰り返し実施できるから
解説
解答の導き方
-
まず、Gプロジェクトの課題として、最新のデジタル技術は実績のある技術と異なり、「多様な技術の中から仮説と検証を繰り返して」採用する技術を決める必要があると説明されています。つまり、技術を選ぶには、候補を実際に確かめる作業が欠かせません。
-
その検討では、技術の「実現性や適合性」を評価する必要があります。実現性は技術が実際に利用できるか、適合性は新事業に合っているかを判断することです。
-
さらに、課題には「多くの時間を掛けずに、迅速に決定する必要がある」とあります。したがって、検証環境を利用して評価できることが有効なのは、仮説と検証を短い時間で何度も行い、技術の採否を速やかに判断できるからです。
誤りやすいポイント
- クラウドサービスの利用による初期投資の抑制を理由にしないようにします。これは、下線①に関する内容です。
- サービスやリソースを柔軟に選べることによる環境への適応を理由にしないようにします。これは、下線②に関する内容です。
- 「最新技術を利用できるから」だけでは、なぜ効率の良い評価が課題解決に有効なのかが説明できていません。仮説と検証を迅速に繰り返せる点まで結び付けます。
FAQ
Q: ここでいう「仮説と検証」とは、どのような作業ですか?
A: 候補となる技術が新事業に使えると仮定し、検証環境で確かめて、実現性や適合性を判断することです。
A: 候補となる技術が新事業に使えると仮定し、検証環境で確かめて、実現性や適合性を判断することです。
Q: 評価が効率良くできることは、技術の採用を必ず正しいものにしますか?
A: 必ず正しいと保証するものではありません。必要な評価を短い時間で繰り返し、採用する技術を迅速に決められることがポイントです。
A: 必ず正しいと保証するものではありません。必要な評価を短い時間で繰り返し、採用する技術を迅速に決められることがポイントです。
Q: なぜ短い時間での評価が重要なのですか?
A: 新事業では最新のデジタル技術を迅速に選ぶ必要があるためです。評価に時間を掛けすぎず、採用判断につなげることが課題への対応になります。
A: 新事業では最新のデジタル技術を迅速に選ぶ必要があるためです。評価に時間を掛けすぎず、採用判断につなげることが課題への対応になります。
関連キーワード: 仮説検証、クラウドサービス、デジタル技術、実現性評価、適合性評価
設問2:〔プロジェクト計画〕について、(1)、(2)に答えよ。
設問2(1)
問題文を見る本文中の下線④について、H氏がGプロジェクトの計画を作成する際に用いたのは、どのような方法か。35字以内で述べよ。
模範解答
計画の内容を事業の進展状況に合わせて段階的に詳細化する。
解説
解答の導き方
-
まず、Gプロジェクトの計画時点で、どこまで情報が明らかになっているかを確認します。本文では、先行して販売する保険商品は決まっている一方で、顧客の反応などを含む事業の進展状況によって、プロジェクトのスコープが明確になると説明されています。つまり、最初からプロジェクト全体の内容を確定することはできません。
-
次に、計画に必要な情報がいつ分かるのかに注目します。本文には、必要な情報が「事業の進展状況によって順次明らかになる」とあります。したがって、情報がまだない段階で計画をすべて詳細に定めるのではなく、分かっている内容を基に計画し、新しい情報が得られるたびに詳しくしていくのが適切です。
-
このように、計画を一度に完成させず、事業の進展に合わせて段階的に具体化する方法が問われています。解答では、計画の内容を事業の進展状況に合わせて段階的に詳細化することを述べます。
誤りやすいポイント
- 最初に計画全体を詳細に決める方法だと考えないようにします。顧客の反応などによってスコープが変わり得るため、初期段階ですべてを確定するのは本文の状況に合いません。
- 事業の進展に合わせて計画を見直すだけでなく、まだ詳細が不明な部分を、情報が明らかになるにつれて具体化する点が重要です。
- アジャイル開発など特定の開発手法を答える問題ではありません。問われているのは、プロジェクト計画をどのように作成するかです。
FAQ
Q: 最初の段階では、計画を立てなくてよいのですか。
A: いいえ。先行して販売する保険商品など、分かっている情報を基に計画し、不明な部分は情報が得られた段階で詳細にしていきます。
A: いいえ。先行して販売する保険商品など、分かっている情報を基に計画し、不明な部分は情報が得られた段階で詳細にしていきます。
Q: 計画を段階的に詳細化する方法は、計画を何度も作り直すことですか。
A: 必ずしも全体を作り直すことではありません。事業の進展に伴って得られた情報を反映し、計画の未確定部分を順次具体化することです。
A: 必ずしも全体を作り直すことではありません。事業の進展に伴って得られた情報を反映し、計画の未確定部分を順次具体化することです。
Q: この方法を採る理由は何ですか。
A: 顧客の反応などを事前に予測しにくく、プロジェクトのスコープが事業の進展に応じて明らかになるためです。
A: 顧客の反応などを事前に予測しにくく、プロジェクトのスコープが事業の進展に応じて明らかになるためです。
関連キーワード: 段階的詳細化、ローリングウェーブ計画、プロジェクト計画、スコープ管理、事業の不確実性
設問2(2)
問題文を見る本文中の下線⑤について、H氏がこのようなことを採用基準として重視した狙いは何か。25字以内で述べよ。
模範解答
多様な知見を活用し、新事業を実現するため
解説
解答の導き方
-
この採用基準の狙いを考えるには、G社がなぜ社外から人材を採用するのかを確認します。本文では、D社には「最新のデジタル技術の知識や経験が不足している」とされており、G社は社外からも最新の保険業務やITに詳しいメンバを採用します。つまり、出向者の経験に社外人材の知識を加え、必要な力をそろえようとしています。
-
ただし、専門知識をもつ人を集めるだけでは、それぞれの知識をプロジェクトに生かせるとは限りません。H氏が採用基準として重視した「多様な価値観を受け入れ、それぞれの知見を生かして議論できること」は、異なる経験や視点を持ち寄り、互いの知識を活用できるようにするための条件です。
-
その必要性は、Gプロジェクトの性質からも分かります。顧客の反応やニーズの変化を予測しにくく、最新のデジタル技術も「仮説と検証を繰り返して」採用を判断する必要があります。異なる分野の知見を議論に生かせれば、変化に対応するシステムや事業の実現に役立ちます。
-
したがって、この採用基準の狙いは、多様な知見を活用し、新事業を実現することです。技術に詳しい人材を確保するだけでなく、その知識を互いの議論を通じて生かす点がポイントです。
誤りやすいポイント
- 「社外から人材を採用すること」だけを狙いと考えると不十分です。問われているのは、採用した人材にどのような姿勢を求めるかです。
- 「多様な価値観を受け入れること」を、意見の違いをなくすことと捉えないようにします。異なる視点を議論に生かすことが重要です。
- 技術力の向上だけに着目しないようにします。知見を活用する目的は、Gプロジェクトを通じて新事業を実現することです。
FAQ
Q: 技術に詳しいことに加えて、価値観や議論の姿勢も重視するのはなぜですか?
A: 多様な専門知識があっても、互いに共有・活用できなければ、プロジェクトの判断や成果につながりにくいためです。
A: 多様な専門知識があっても、互いに共有・活用できなければ、プロジェクトの判断や成果につながりにくいためです。
Q: 多様な価値観を受け入れることは、全員の意見を一致させることですか?
A: そうではありません。異なる意見を尊重し、それぞれの知見を議論に生かして、新事業の実現につなげることです。
A: そうではありません。異なる意見を尊重し、それぞれの知見を議論に生かして、新事業の実現につなげることです。
関連キーワード: チームビルディング、知識共有、多様性、協働、ステークホルダマネジメント
設問3:〔ステークホルダへのヒアリング〕について、(1)、(2)に答えよ。
設問3(1)
問題文を見る模範解答
a:回避
b:リスク許容度
c:強化
d:転嫁 又は 移転
解説
解答の導き方
まず、表1では脅威のリスクと機会のリスクが別々に整理されています。それぞれの空欄について、戦略選択の方針がどの対応を表しているかを判断します。
脅威のリスクへの対応では、bを共通の基準として、対応を分けています。本文でも、G社社長は「組織のリスク許容度に基づいてリスクを適切に評価する」としています。表1の「組織のbを上回る脅威」と「組織のbと同等か下回る脅威」は、許容できるリスクの基準を境に対応を分けているため、bには「リスク許容度」が入ります。基準を上回る脅威には軽減、同等か下回る脅威には受容を適用する、という関係です。
次に、aは「法令違反など、新事業の存続を揺るがすような脅威」に適用する戦略です。このような脅威は、起きたときの影響を小さくしたり受け入れたりするのではなく、脅威そのものを避ける対応が必要です。したがって、aは「回避」です。
dについては、「外部の専門組織に対応を委託できる脅威」に適用するとあります。脅威を完全になくすのではなく、対応を外部に委ねて影響や責任を移す戦略なので、「転嫁」または「移転」が当てはまります。
機会のリスクへの対応では、cの方針が「影響度や発生確率を高めることで、事業の実現に効果が高い機会に適用する」とされています。機会が生じる確率や、実現したときの効果を高める対応は、機会を「強化」する戦略です。なお、表1にある「活用」は機会を確実に捉える場合の戦略であり、発生確率や影響度を高める「強化」とは区別します。
誤りやすいポイント
- 「回避」と「転嫁(移転)」を混同しないようにします。「回避」は脅威が起きないようにする対応で、「転嫁(移転)」は対応を外部に委ねるなどしてリスクの負担を移す対応です。
- bは、組織が許容できるリスクの境界を示しています。脅威の大きさが基準を上回るか、同等か下回るかで、軽減と受容を分けます。
- 機会のリスクに対する「活用」と「強化」は同じではありません。「活用」は機会を確実に捉える対応、「強化」は機会の発生確率や効果を高める対応です。
- dは、本文の「委託できる」という表現から、脅威を避ける戦略ではなく、第三者へ移す戦略だと判断します。
FAQ
Q: 脅威を外部の専門組織に任せれば、脅威そのものがなくなるのですか?
A: なくなるとは限りません。脅威への対応やリスクの負担を外部に移すのが「転嫁(移転)」です。脅威を生じさせないようにする「回避」とは異なります。
A: なくなるとは限りません。脅威への対応やリスクの負担を外部に移すのが「転嫁(移転)」です。脅威を生じさせないようにする「回避」とは異なります。
Q: 「リスク許容度」は、脅威の発生確率だけで決まりますか?
A: 発生確率だけでなく、発生した場合の影響なども踏まえて、組織がどの程度のリスクを許容できるかを考える基準です。
A: 発生確率だけでなく、発生した場合の影響なども踏まえて、組織がどの程度のリスクを許容できるかを考える基準です。
Q: 機会を「活用」する場合と「強化」する場合の違いは何ですか?
A: 「活用」は機会を確実に捉えることを目指し、「強化」は機会が起きる確率や、起きたときの効果を高めることを目指します。
A: 「活用」は機会を確実に捉えることを目指し、「強化」は機会が起きる確率や、起きたときの効果を高めることを目指します。
関連キーワード: リスク対応、リスク許容度、リスク回避、リスク転嫁、機会の強化
設問3(2)
問題文を見る本文中の下線⑥について、H氏がGプロジェクトのプロジェクトチームの編成に当たり適切と考えた方針は何か。30字以内で述べよ。
模範解答
組織横断的に事業部とシステム部のメンバを参加させる。
解説
解答の導き方
-
H氏が当初考えていた方針の目的は、「G社のメンバの多様な経験や知見を最大限生かす」ことです。したがって、チーム編成では、メンバの多様性を生かせる形になっているかがポイントです。
-
ヒアリングでは、事業部とシステム部のそれぞれの部内では、出向者か社外出身者かを問わず、活発に議論できていると分かっています。つまり、課題は各部の中で多様な意見を出せないことではありません。
-
一方で、事業部には「要求事項として提示することが役割」、システム部には「提示された要求事項を実現することが役割」と考えるメンバがいます。部門ごとに役割を分けたままでは、事業部とシステム部の知見を一緒に生かしにくく、新事業を一体感をもって実現することも難しくなります。
-
そこで、事業部とシステム部を別々に動かすのではなく、双方のメンバを同じプロジェクトチームに参加させる組織横断的な編成が適切です。部門間の壁を越えて協力する形にすることで、多様な経験や知見を生かしやすくなります。
誤りやすいポイント
- 「各部の中で活発に議論している」という記述だけに注目し、既に行われている部内の話合いを答えにしないようにします。課題は事業部とシステム部の間にある役割意識です。
- 「事業部が要求事項を提示し、システム部が実現する」という分担をそのまま答えにすると、本文で改善が必要とされている状況を維持してしまいます。
- 「多様な経験や知見を生かす」とだけ述べると、チームをどう編成するのかが明確になりません。事業部とシステム部の双方からメンバを参加させる点を示すことが大切です。
FAQ
Q: D社からの出向者と社外出身者を混ぜることが答えですか?
A: それだけではありません。本文では各部の中で、出向者や社外出身者を問わず議論できているとされています。今回問われているのは、事業部とシステム部をまたぐチーム編成です。
A: それだけではありません。本文では各部の中で、出向者や社外出身者を問わず議論できているとされています。今回問われているのは、事業部とシステム部をまたぐチーム編成です。
Q: 組織横断的なチームにするとは、事業部とシステム部を統合することですか?
A: 部門を統合することではありません。事業部とシステム部のメンバをプロジェクトチームに参加させ、協力して取り組める構成にすることです。
A: 部門を統合することではありません。事業部とシステム部のメンバをプロジェクトチームに参加させ、協力して取り組める構成にすることです。
Q: なぜ両部門のメンバが同じチームに必要なのですか?
A: 事業部の業務上の知見と、システム部のシステムに関する知見をチーム内で組み合わせ、部門間の役割意識を越えて新事業を進めるためです。
A: 事業部の業務上の知見と、システム部のシステムに関する知見をチーム内で組み合わせ、部門間の役割意識を越えて新事業を進めるためです。
関連キーワード: 組織横断型チーム、クロスファンクショナルチーム、部門間連携、プロジェクトチーム、ステークホルダ




