プロジェクトマネージャ 2021年 午後1 問03
マルチベンダのシステム開発プロジェクトに関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。
A社は金融機関である。A社の融資業務の基幹システムは、ベンダのX社、Y社の両社が5年前に受託して構築し、その後両社で保守している。両社はIT業界では競合関係にあるが、ともにA社の大口取引先でもあるので、5年前の基幹システム構築プロジェクト(以下、構築プロジェクトという)では、A社社長の判断で構築範囲を分割して両社に委託し、システム開発をマルチベンダで行う方針とした。A社システム部は、構築プロジェクトの開始に当たり、X社、Y社それぞれが担当するシステム(以下、Xシステム、Yシステムという)の機能が基本的に独立するように分割し、それぞれのシステム内の接続機能を介して連携させることにした。構築プロジェクトの作業、役割分担及びベンダとの契約形態を表1に示す。

A社は今年、新たなサービスを提供することになり、X社とY社に基幹システムの改修を委託することになった。この基幹システム改修プロジェクト(以下、改修プロジェクトという)のスポンサはA社のCIOであり、プロジェクトマネージャ(PM)はA社システム部のB課長である。B課長は新たなサービスの業務要件を両社に説明するとともに、両システムの機能分担を整理した。この整理の結果、それぞれのシステム内の接続機能を含めた仕様に変更が必要であり、構築プロジェクトと同様に両社の連携が必要なことが判明した。
〔構築プロジェクトのPMに確認した問題〕
B課長は、改修プロジェクトの計画を作成するに当たり、構築プロジェクトのPMに、構築プロジェクトにおいて発生した問題について確認した。
(1) ステークホルダに関する問題
・X社とY社がA社の大口取引先であることから、A社の経営陣にはX社派とY社派がいて、それぞれのベンダの開発の進め方に配慮したような要求や指示があり、プロジェクト推進上の阻害要因になった。
・X社とY社の責任者は、自社の作業は管理していたが、両社に関わる共通の課題や調整事項への対応には積極的ではなかった。構築プロジェクトの振り返りで、両社の責任者から、他社の作業の内容は分からないので関与しづらいし、両社に関わることはA社が調整するものと考えていた、との意見があった。
(2) 作業の管理に関する問題
・実装は請負契約なので各社が定めたスケジュールで実施した。接続機能に関して、X社が詳細設計工程で生じた疑問をY社に確認したくても、Y社はまだ詳細設計工程を開始しておらず疑問が直ちに解消しないことがあった。また、Y社の詳細設計工程で、基本設計を受けて詳細な仕様を定め、A社に確認して了承を得たが、その前に了承されていたX社の詳細設計に修正が必要となることがあった。X社が既に製造工程を終了していた場合は、この修正を行うために手戻りが発生した。A社としては、両社の作業が円滑に進むような配慮があった方が良かったと考える。
・連動テストには、A社、X社及びY社の3社から多数のメンバが参加し、テストの項目、手順や実施日程の変更など、全メンバで多くの情報を共有する必要があった。これらの情報に関するコミュニケーションの方法としては、3社の責任者で整理して、各社の責任者から各社のメンバに伝達するルールであった。A社メンバへはA社メンバが利用しているWeb上の構築プロジェクト専用の掲示板機能を通じて速やかに伝達し、作業指示も行ったので認識を統一できたが、X社及びY社のメンバには情報の伝達遅れや認識相違によるミスが多発した。
・連動テスト前半で、接続機能に関する不具合が発生して進捗が遅れた。A社は、連動テストを中断し、A社の同席の下、両社の技術者で不具合の原因を調査して、両社の詳細設計の不整合に起因する不具合であることを発見した。この不整合は、両社のそれぞれの作業及びA社の検収で発見することは難しかった。その後両社で必要な対応を実施して連動テストは再開され、予定どおり完了した。
(3) 変更管理に関する問題
・Y社が、両システム間の結合テスト工程で、接続機能以外のある機能について、性能向上のために詳細設計を変更した。Y社では、この変更はXシステムとの接続機能の仕様には影響しないと考えて実施したが、実際はXシステムと連携する処理に影響していた。その結果、Xシステムとの連動テストで不具合が発生し、対応に時間を要した。
・構築プロジェクトでは制度改正への対応が必要であった。制度の概略は実装着手前に公開されており、Yシステムで対応する計画だった。Y社はA社の了承の下、制度改正の仕様を想定して開発していた。その後、連動テスト中に制度改正の詳細が確定したが、確定した仕様は想定と異なる点があり、A社で検討した結果、Xシステムでも対応が必要なことが判明した。急きょX社に要件の変更を依頼することにしたが、コンティンジェンシ予備費は既に一部を使っていて、Yシステムの制度改正対応分しか残っていなかった。Xシステムの対応分の予算は、上司を通して経営陣に掛け合って捻出したが、調整に時間を要した。
B課長はこれらと同様の問題の発生を回避するような改修プロジェクトの計画を作成する必要があると考えた。
〔ステークホルダに関する問題への対応〕
B課長は、改修プロジェクトの成功には、3社で一体となったプロジェクト組織の構築と運営が必須であると考えた。
そこでB課長は、社内については、①プロジェクトに対する経営陣からの要求や指示はCIOも出席する経営会議で決定し、CIOからB課長に指示することを、CIOを通じてA社経営会議に諮り、了承を取り付けてもらうことにした。一方、社外については、基幹システムの保守を行う中で、X社とY社の間に信頼関係が築かれてきたと考え、構築プロジェクトで実施した週次でのX社及びY社との個社別会議に加えて、改修プロジェクトでは、②3社に関わる課題や調整事項の対応を迅速に進めることを目的に、B課長と両社の責任者が出席する3社合同会議を隔週で開催することにした。
〔作業の管理に関する問題への対応〕
B課長は、改修プロジェクトを進めるに当たり、作業、役割分担及びベンダとの契約形態、並びにWeb上のプロジェクト専用の掲示板機能を活用することは構築プロジェクトと同様とすることにした。その上でB課長は、X社及びY社から提示されたスケジュールを確認して、スケジュールに起因する問題を避けるために、③接続機能については実装の中でマイルストーンの設定を工夫することを考えた。また、B課長は、連動テストでは、3社の責任者で整理した3社で共有すべき周知事項については、X社及びY社のメンバもWeb上の掲示板機能で参照可能とすることにした。ただし、④契約形態を考慮して、各社のメンバへの作業指示に該当するような事項は掲示板には掲載しないことにした。さらに、詳細設計の完了時及び完了以降の変更時には⑤ある活動を実施することで、後工程への不具合の流出を防ぐことにした。
〔変更管理に関する問題への対応〕
構築プロジェクトでは、連動テスト以降の設計の変更は、A社と、変更を実施するベンダが出席する変更管理委員会での承認後に実施していた。B課長は、改修プロジェクトでは、変更管理委員会には3社が出席し、⑥あることを確認する活動を追加することにした。さらに、B課長は、構築プロジェクトにおいて発生した問題から想定されるリスクとは別に、マルチベンダにおける相互連携には想定外に発生するリスクがあると考えた。そこで、後者のリスクへの対応が予算の制約で遅れることのないように、⑦CIOに相談して、プロジェクト開始前に対策を決めることにした。
B課長は、CIOの承認を得て、検討した改修プロジェクトのプロジェクト計画を両社のプロジェクト責任者に説明し、この計画に沿った契約とすることで合意を得た。
設問1:〔ステークホルダに関する問題への対応〕について、(1)、(2)に答えよ。
設問1(1)
問題文を見る本文中の下線①について、B課長が狙った効果は何か。35字以内で述べよ。
模範解答
プロジェクトに対する経営陣からの指示ルートが一本化される。
解説
解答の導き方
-
この設問で問われているのは、下線①のような運営方法を採用することで、B課長がどのような効果を期待したかです。方法そのものではなく、構築プロジェクトで起きた問題がどう改善されるかを考えます。
-
構築プロジェクトでは、A社の経営陣に「X社派とY社派」がいて、それぞれのベンダに配慮した要求や指示がプロジェクトの阻害要因になっていました。つまり、経営陣から異なる方向の要求や指示が出ることが問題でした。
-
下線①では、経営陣からの要求や指示を経営会議で決定し、その後「CIOからB課長に指示する」としています。経営陣からPMへの指示を、CIOを経由する形に整理したということです。
-
したがって、期待されるのは、経営陣の要求や指示が別々の経路から届くのを避け、プロジェクトへの指示経路を一つにすることです。これにより、ベンダごとに異なる配慮を求める指示がプロジェクトを妨げる状況を抑えられます。
誤りやすいポイント
- 「経営陣の要求を経営会議で決定する」という手順だけを答え、指示経路が一本化される効果を示さないことです。
- ベンダ間の課題や調整事項への対応を目的とする下線②の内容と混同し、「3社の連携が強化される」と答えることです。
- 経営陣の意見の対立そのものがなくなる、とまで言い切ることです。本文から読み取れるのは、プロジェクトへの指示経路を整理する効果です。
FAQ
Q: 「経営陣の意見をまとめる」でもよいですか?
A: 経営会議で決定する点には触れていますが、設問が問う効果としては、決定された要求や指示がCIOからB課長へ伝わることで指示経路が一本化される点を押さえる必要があります。
A: 経営会議で決定する点には触れていますが、設問が問う効果としては、決定された要求や指示がCIOからB課長へ伝わることで指示経路が一本化される点を押さえる必要があります。
Q: この設問の中心は、X社とY社の連携を促すことですか?
A: いいえ。ここでは、A社の経営陣からの要求や指示がプロジェクト推進の阻害要因になった問題への対応を問われています。ベンダ間の連携は、別の下線の主題です。
A: いいえ。ここでは、A社の経営陣からの要求や指示がプロジェクト推進の阻害要因になった問題への対応を問われています。ベンダ間の連携は、別の下線の主題です。
Q: 経営会議を設けること自体が効果ですか?
A: 経営会議は指示を決定する方法です。効果としては、その決定をCIOからB課長へ伝えることで、プロジェクトへの指示経路を整理できる点を答えます。
A: 経営会議は指示を決定する方法です。効果としては、その決定をCIOからB課長へ伝えることで、プロジェクトへの指示経路を整理できる点を答えます。
関連キーワード: ステークホルダマネジメント、プロジェクトガバナンス、指揮命令系統、意思決定プロセス、経営層の関与
設問1(2)
問題文を見る本文中の下線②について、B課長が狙った、ステークホルダマネジメントの観点での効果は何か。35字以内で述べよ。
模範解答
X社とY社の責任者の改修プロジェクトへの関与度を高める。
解説
解答の導き方
-
まず、構築プロジェクトで何が問題だったかを確認します。X社とY社の責任者は自社の作業は管理していましたが、両社に関わる課題や調整事項には積極的ではありませんでした。また、両社に関わることはA社が調整するものと考えていました。
-
次に、改修プロジェクトで追加された対応を見ます。B課長は、両社の責任者と自分が出席する3社合同会議を設け、両社に関わる課題や調整事項を扱うことにしました。これにより、両社の責任者は、自社の作業だけでなく、プロジェクト全体に関わる課題の対応にも参加することになります。
-
設問は、会議の開催による迅速化そのものではなく、ステークホルダマネジメントの観点での効果を尋ねています。したがって、会議を通じて両社の責任者がプロジェクトにより主体的に関わるようになる点に着目します。
誤りやすいポイント
- 「課題や調整事項への対応を迅速に進める」とだけ答えると、会議を設けた目的の説明にとどまり、ステークホルダマネジメント上の効果が明確になりません。
- 「A社が両社を調整しやすくなる」とすると、両社の責任者の関与が変わる点を捉えられません。
- 3社合同会議によって信頼関係を築くことが主な効果だと考えるのも適切ではありません。本文では、責任者が両社に関わる課題や調整事項に参加する点が重要です。
FAQ
Q: 「迅速に進めること」は解答に含めなくてよいのですか?
A: 迅速化は会議を設ける直接の目的ですが、設問が尋ねているのはステークホルダマネジメントの観点での効果です。責任者のプロジェクトへの関与が高まる点を答えるのが適切です。
A: 迅速化は会議を設ける直接の目的ですが、設問が尋ねているのはステークホルダマネジメントの観点での効果です。責任者のプロジェクトへの関与が高まる点を答えるのが適切です。
Q: なぜ両社の責任者の関与が高まるのですか?
A: 両社に関わる課題を扱う会議に、両社の責任者が定期的に出席するためです。自社の作業だけでなく、共通の課題や調整事項にも関わる機会ができます。
A: 両社に関わる課題を扱う会議に、両社の責任者が定期的に出席するためです。自社の作業だけでなく、共通の課題や調整事項にも関わる機会ができます。
Q: 既存の個社別会議だけでは不十分なのですか?
A: 個社別会議では、各社の責任者が自社の作業を中心に管理します。3社合同会議を加えることで、両社にまたがる課題にも責任者が一緒に対応できます。
A: 個社別会議では、各社の責任者が自社の作業を中心に管理します。3社合同会議を加えることで、両社にまたがる課題にも責任者が一緒に対応できます。
関連キーワード: ステークホルダマネジメント、関与度、プロジェクトガバナンス、コミュニケーション管理、課題管理
設問2:〔作業の管理に関する問題への対応〕について、(1)~(3)に答えよ。
設問2(1)
問題文を見る本文中の下線③について、B課長は、接続機能について、実装の中でマイルストーンの設定をどのように工夫することにしたのか。25字以内で述べよ。
模範解答
両社の実装の各工程の開始・終了を同日とする。
解説
解答の導き方
-
問われているのは、接続機能の実装について、両社のスケジュールに起因する問題を避けるため、マイルストーンをどのように設定するかです。
-
本文では、実装は詳細設計、製造、各システム内の結合テストに分かれると説明されています。また、X社が詳細設計で生じた疑問をY社に確認しようとしても、Y社がまだ詳細設計を始めておらず、すぐに解消できないことがありました。これは、両社の工程の開始時期がずれていたために起きた問題です。
-
さらに、Y社が詳細設計を進めて仕様を確定した結果、先に了承されていたX社の詳細設計に修正が必要となり、X社が製造を終えていた場合には手戻りが発生していました。両社の工程の時期がずれていると、設計内容の確認や調整が遅れ、後工程に影響することが分かります。
-
したがって、接続機能については、両社で実装の各工程の開始日と終了日をそろえるようにマイルストーンを設定します。これにより、両社が同じ時期に各工程を進め、工程間で生じる疑問や仕様の不整合を調整しやすくできます。
誤りやすいポイント
- 「進捗を定期的に確認する」だけでは、問われているマイルストーンの設定方法になりません。
- 「両社の工程を同じ日に開始する」だけでは不十分です。開始だけでなく、各工程の終了日もそろえることがポイントです。
- 「実装全体の開始日と終了日を合わせる」と捉えるのではなく、詳細設計や製造など、実装の各工程の開始・終了を合わせると考えます。
FAQ
Q: なぜ両社の工程をそろえる必要があるのですか?
A: 一方の設計内容が他方の設計や製造に影響するためです。工程の時期がずれていると、確認や調整が遅れて手戻りにつながるおそれがあります。
A: 一方の設計内容が他方の設計や製造に影響するためです。工程の時期がずれていると、確認や調整が遅れて手戻りにつながるおそれがあります。
Q: 工程の開始日だけを合わせてもよいですか?
A: いいえ。本文の問題は、両社の工程が進む時期のずれに関係しています。各工程の開始日と終了日の両方を合わせる必要があります。
A: いいえ。本文の問題は、両社の工程が進む時期のずれに関係しています。各工程の開始日と終了日の両方を合わせる必要があります。
Q: どの工程についてマイルストーンを合わせますか?
A: 実装の中の各工程です。本文では、詳細設計、製造、各システム内の結合テストに分かれるとされています。
A: 実装の中の各工程です。本文では、詳細設計、製造、各システム内の結合テストに分かれるとされています。
関連キーワード: マイルストーン、工程同期、詳細設計、手戻り、進捗管理
設問2(2)
問題文を見る本文中の下線④について、B課長が各社のメンバへの作業指示に該当するような事項は掲示板には掲載しないことにしたのはなぜか。30字以内で述べよ。
模範解答
委託先要員に対する直接の作業指示はできないから
解説
解答の導き方
-
まず、掲示板を使う目的を確認します。連動テストでは、テスト項目や手順、日程の変更などを3社で共有する必要がありました。構築プロジェクトでは、X社及びY社のメンバへの情報伝達が遅れたり、認識に相違が生じたりしていたため、改修プロジェクトでは掲示板を使って周知事項を共有しようとしています。
-
ただし、共有する情報すべてを掲示板に掲載するわけではありません。本文では「契約形態を考慮して」、各社のメンバへの「作業指示に該当するような事項」は掲載しないとしています。ここから、掲示板での周知と、各社のメンバに対して作業を指示することは別の扱いだと分かります。
-
表1では、A社はX社及びY社と契約し、各社が担当作業を実施する関係です。委託先のメンバへの作業指示は、各社が自社の責任で行うものであり、A社が個々のメンバに直接指示することはできません。そのため、掲示板には共有すべき周知事項を載せても、委託先要員への直接の作業指示に当たる事項は載せない、という判断になります。
誤りやすいポイント
- 「3社で情報を共有する」とあるからといって、作業指示も掲示板で行うと考えないようにします。情報の周知と、委託先要員への指揮・作業指示は異なります。
- 掲示板を利用できるのはA社のメンバだけだと誤解しないようにします。改修プロジェクトでは、X社及びY社のメンバも共有すべき周知事項を参照できます。
- 作業指示を掲示板に載せない理由を、情報漏えいや掲示板の機能不足と考えないようにします。本文が理由として示しているのは、契約形態に関わる作業指示の扱いです。
FAQ
Q: 掲示板には、委託先のメンバに関する情報を一切載せられないのですか。
A: いいえ。3社で共有する周知事項は掲載できます。各社のメンバへの作業指示に当たる内容を載せない、という区別です。
A: いいえ。3社で共有する周知事項は掲載できます。各社のメンバへの作業指示に当たる内容を載せない、という区別です。
Q: 委託先のメンバに作業を依頼したいときは、どうすればよいですか。
A: 各社の責任者を通じて依頼します。委託先のメンバへの具体的な作業指示は、そのメンバが所属する会社が行います。
A: 各社の責任者を通じて依頼します。委託先のメンバへの具体的な作業指示は、そのメンバが所属する会社が行います。
Q: なぜ契約形態を考慮する必要があるのですか。
A: A社と契約している相手は各ベンダであり、個々のメンバではないからです。契約上の役割分担に沿って、作業の依頼や指示を行う必要があります。
A: A社と契約している相手は各ベンダであり、個々のメンバではないからです。契約上の役割分担に沿って、作業の依頼や指示を行う必要があります。
関連キーワード: 請負契約、準委任契約、指揮命令、契約管理、コミュニケーション管理
設問2(3)
問題文を見る本文中の下線⑤について、B課長が後工程への不具合の流出を防ぐために実施したある活動とは何か。35字以内で述べよ。
模範解答
接続機能の詳細設計に対するX社とY社の技術者による共同レビュー
解説
解答の導き方
-
まず、後工程でどのような問題が起きたのかを確認します。連動テスト中に接続機能の不具合が発生し、調査の結果、「両社の詳細設計の不整合に起因する不具合」だと分かりました。つまり、X社とY社が別々に進めた詳細設計の内容に食い違いがあり、それが後のテスト工程で表面化したということです。
-
次に、なぜ詳細設計の段階で見つからなかったのかを考えます。本文には、「この不整合は、両社のそれぞれの作業及びA社の検収で発見することは難しかった」とあります。それぞれの会社が自社の作業だけを確認する方法では、両社の設計を並べて照合する機会が不足していたと考えられます。
-
この不整合を後工程へ流出させないためには、接続機能の詳細設計について、X社とY社の技術者が一緒に内容を確認し、両社の設計間に食い違いがないかを確かめる必要があります。そこで実施する活動は、接続機能の詳細設計に対する両社の技術者による共同レビューです。
-
また、本文では、この活動を「詳細設計の完了時及び完了以降の変更時」に実施するとしています。完了時だけでなく、後から設計が変わったときにも共同で確認することで、変更による不整合が後工程に持ち込まれることを防げます。
誤りやすいポイント
- 連動テストで不具合を見つけることを答えにしないようにします。連動テストは、実際に不具合が見つかった後工程です。問われているのは、後工程に不具合を流出させないための活動です。
- A社による検収を答えにしないようにします。本文では、A社の検収でも不整合の発見は難しかったとされています。
- X社またはY社だけで行う設計確認では不十分です。問題の原因は両社の詳細設計の食い違いなので、両社の技術者が一緒に確認することが重要です。
- 接続仕様の変更管理だけに焦点を当てないようにします。ここで問われている活動は、詳細設計の完了時と、その後の変更時に行うレビューです。
FAQ
Q: なぜ接続機能の詳細設計を共同で確認するのですか?
A: 接続機能は両システムの連携部分です。各社が個別に確認するだけでは見つけにくい、両社の設計内容の食い違いを発見するためです。
A: 接続機能は両システムの連携部分です。各社が個別に確認するだけでは見つけにくい、両社の設計内容の食い違いを発見するためです。
Q: 共同レビューは、連動テストと同じものですか?
A: 同じではありません。共同レビューは設計内容を確認する活動で、連動テストのようにシステムを動かして動作を確かめるものではありません。
A: 同じではありません。共同レビューは設計内容を確認する活動で、連動テストのようにシステムを動かして動作を確かめるものではありません。
Q: 詳細設計が完了したときだけ実施すればよいのですか?
A: いいえ。本文では、詳細設計の完了時に加えて、完了以降に設計を変更したときにも実施するとしています。
A: いいえ。本文では、詳細設計の完了時に加えて、完了以降に設計を変更したときにも実施するとしています。
関連キーワード: 詳細設計、共同レビュー、インタフェース、変更管理、結合テスト
設問3:〔変更管理に関する問題への対応〕について、(1)、(2)に答えよ。
設問3(1)
問題文を見る本文中の下線⑥について、B課長が変更管理委員会で確認することにした内容は何か。25字以内で述べよ。
模範解答
設計変更が他方のシステムに影響を与えるか否か
解説
解答の導き方
-
問われているのは、変更管理委員会で追加する「確認する活動」の内容です。変更を承認するかどうかそのものではなく、変更に伴う影響を何について確認するのかを考えます。
-
構築プロジェクトでは、Y社が接続機能以外の機能の詳細設計を変更した際、「Xシステムとの接続機能の仕様には影響しない」と考えていました。しかし実際には、Xシステムと連携する処理に影響し、連動テストで不具合が発生しています。
-
この問題から、変更する側のシステムだけを見ていては、もう一方のシステムに及ぶ影響を見落とす可能性があると分かります。そこで、変更管理委員会に3社が出席する改修プロジェクトでは、設計変更が他方のシステムに影響するかどうかを確認することが必要です。
誤りやすいポイント
- 変更を承認することだけを答えると、既に変更管理委員会で行っていた活動と区別できません。追加するのは、変更が他方のシステムに及ぼす影響の確認です。
- 「接続機能の仕様への影響」と限定しすぎないようにします。問題では、接続機能以外の変更が、他システムと連携する処理に影響していました。
- 変更したシステム内の影響だけを確認するのでは不十分です。システム間の連携に関わる影響を確認する点が重要です。
FAQ
Q: なぜ変更管理委員会に3社が出席するのですか?
A: 設計変更の影響が他方のシステムにも及ぶ可能性があり、両社とA社が情報を共有して確認する必要があるためです。
A: 設計変更の影響が他方のシステムにも及ぶ可能性があり、両社とA社が情報を共有して確認する必要があるためです。
Q: 変更が接続機能に関係しない場合も、他方のシステムへの影響を確認しますか?
A: はい。本文の事例では、接続機能以外の変更が、他システムと連携する処理に影響していました。
A: はい。本文の事例では、接続機能以外の変更が、他システムと連携する処理に影響していました。
関連キーワード: 変更管理、影響分析、システム間連携、詳細設計、連動テスト
設問3(2)
問題文を見る本文中の下線⑦について、B課長がCIOに相談する対策とは何か。15字以内で述べよ。
模範解答
マネジメント予備費の確保
解説
解答の導き方
-
まず、構築プロジェクトで予算が問題になった経緯を確認します。本文には「コンティンジェンシ予備費は既に一部を使っていて、Yシステムの制度改正対応分しか残っていなかった」とあります。そのため、後から必要になったXシステムの対応費用を確保する際、経営陣との調整に時間がかかりました。ここから、予算が不足すると必要な対応が遅れることが分かります。
-
改修プロジェクトでは、過去に発生した問題から想定できるリスクだけでなく、「マルチベンダにおける相互連携には想定外に発生するリスク」があるとB課長は考えています。これは、あらかじめ特定して備えておくリスクへの予算だけでは、対応できない可能性があるということです。
-
そこでB課長は、そうしたリスクへの対応が「予算の制約で遅れることのないように」、CIOに相談し、「プロジェクト開始前に対策を決める」ことにしました。発生を事前に特定できないリスクに備えるため、プロジェクトの開始前に確保しておく予算が必要です。
-
したがって、CIOに相談する対策は、想定外のリスクへの対応に使えるマネジメント予備費の確保です。コンティンジェンシ予備費は特定済みのリスクへの備え、マネジメント予備費は想定外のリスクへの備え、と区別すると判断しやすくなります。
誤りやすいポイント
- コンティンジェンシ予備費の確保と答えることです。本文では、その予備費は制度改正対応分に使われ、別の対応費用を捻出するために調整が必要になったと説明されています。今回備えようとしているのは、想定外に発生するリスクです。
- 発生後に経営陣へ予算を申請することを対策とすることです。過去の問題では、その調整に時間を要しました。今回は、プロジェクト開始前に予算面の備えを決める点が重要です。
- 会議の開催やスケジュール調整を答えることです。これらは連携や作業の管理に関する対策ですが、この設問で問われているのは、予算の制約による対応遅れを防ぐ対策です。
FAQ
Q: コンティンジェンシ予備費とマネジメント予備費は、どう違いますか?
A: コンティンジェンシ予備費は、特定されているリスクへの対応に備える予算です。マネジメント予備費は、事前に特定できないリスクなど、想定外の事態への対応に備える予算です。
A: コンティンジェンシ予備費は、特定されているリスクへの対応に備える予算です。マネジメント予備費は、事前に特定できないリスクなど、想定外の事態への対応に備える予算です。
Q: なぜプロジェクト開始前に確保する必要があるのですか?
A: 問題が起きてから予算を調整すると、必要な対応の開始が遅れるおそれがあるためです。あらかじめ備えておけば、予算調整による遅れを抑えられます。
A: 問題が起きてから予算を調整すると、必要な対応の開始が遅れるおそれがあるためです。あらかじめ備えておけば、予算調整による遅れを抑えられます。
Q: 今回のリスクは、なぜマネジメント予備費の対象になるのですか?
A: B課長が対象としているのは、過去の問題から想定したリスクとは別の、マルチベンダ間の相互連携で想定外に発生するリスクだからです。
A: B課長が対象としているのは、過去の問題から想定したリスクとは別の、マルチベンダ間の相互連携で想定外に発生するリスクだからです。
関連キーワード: マネジメント予備費、コンティンジェンシ予備費、未知のリスク、リスク対応予算、リスクマネジメント



