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プロジェクトマネージャ 2023年 午後1 問02


システム開発プロジェクトにおけるイコールパートナーシップに関する次の記述を読んで、設問に答えよ。

 S社は、ソフトウェア会社である。予算と期限の制約を堅実に守りながら高品質なソフトウェアの開発で顧客の期待に応え、高い顧客満足を獲得している。開発アプローチは予測型が基本であり、プロジェクトを高い精度で正確に計画し、変更があれば計画を見直し、それを確実に実行するという計画重視の進め方を採用してきた。  S社のT課長は、この8年間プロジェクトマネジメントに従事しており、現在は12名の部下を率いて、自ら複数のプロジェクトをマネジメントしている。数年前から、プロジェクトを取り巻く環境の変化の速度と質が変わりつつあることを肌で感じており、S社のこれまでのやり方では、これからの環境の変化に対応できなくなると考えた。そこで、適応型開発アプローチや回復力(レジリエンス)に関する勉強会に参加するなどして、変化への対応に関する学びを深めてきた。   〔予測型開発アプローチに関するT課長の課題認識〕  T課長は、これまでの学びを受けて、現状の課題を次のように認識していた。  ・顧客の事業環境は、ここ数年の世界的な感染症の流行などの影響で大きく変化している。受託開発においては、要件や契約条件の変更が日常茶飯事であり、顧客が求める価値(以下、顧客価値という)が、事業環境の変化にさらされて受託当初から変わっていく。この傾向は今後更に強まるだろう。したがって、①これまでの計画重視の進め方では、S社のプロジェクトの一つ一つの活動が顧客価値に直結するか否かという観点で、プロジェクトマネジメントに関する課題を抱えることになる。  ・顧客価値の変化に対応するためには、顧客もS社も行動が必要であるが、顧客は、購買部門の意向で今後も予測型開発アプローチを前提とした請負契約を継続する考えである。そこで、しばらくは予測型開発アプローチに軸足を置きつつ、適応型開発アプローチへのシフトを準備していく。具体的には、計画の精度向上を過度には求めず、顧客価値の変化に対応する適応力と回復力の強化に注力していく。このような状況の下では、まずS社が行動を起こす必要がある。  ・これまでS社は、協力会社に対して、予測型開発アプローチを前提とした請負契約で発注してきたが、顧客価値の変化に対応するためには、今後も同じやり方を続けるのが妥当かどうか見直すことが必要になる。   〔協力会社政策に関するT課長の課題認識〕  S社は、これまで、“完成責任を全うできる協力会社の育成”を掲げて、協力会社政策を進めていた。その結果、協力会社のうち3社を予測型開発アプローチでの計画や遂行の力量がある優良協力会社に育成できたと評価している。  しかし、T課長は、現状の協力会社政策には次の二つの課題があると感じていた。  ・顧客との契約変更を受けて行う一連の協力会社との契約変更、計画変更の労力が増加している。これらの労力が増えていくことは、プロジェクトの一つ一つの活動が顧客価値に直結するか否かという観点で、プロジェクトマネジメントに関する課題を抱えることになる。  ・顧客から請負契約で受託した開発プロジェクトの一部の作業を、請負契約で外部に再委託することは、プロジェクトの制約に関するリスク対応戦略の“転嫁”に当たるが、実質的にはリスクの一部しか転嫁できない。というのも、委託先が納期までに完成責任を果たせなかった場合、契約上は損害賠償請求や追完請求などを行うことが可能だが、これらの権利を行使したとしても、②プロジェクトのある制約に関するリスクについては、既に対応困難な状況に陥っていることが多いからである。  さらにT課長には、請負契約で受託した開発プロジェクトで、リスクの顕在化の予兆を検知した場合に、顧客への伝達を躊躇したことがあった。これは、リスクが顕在化し、それを顧客に伝達した際に、顧客から契約上の規定によって何度も細かな報告を求められた経験があったからである。このような状況になると、PMやリーダーの負荷が増え、本来注力すべき領域に集中できなくなる。また、チームが強い監視下に入り、メンバーの士気が落ちていくことを経験した。そしてT課長は、自分自身がこれまで、協力会社に対して顧客と同様の行動をとっていたことに気づき、反省した。  T課長は、顧客とS社、S社と協力会社との間で、リスクが顕在化することによって協調関係が乱れてしまうのは、これまでのパートナーシップにおいて、発注者の優越的立場が受託者に及ぼす影響に関する認識が発注者に不足しているからではないか、と考えた。このことを踏まえ、発注者の優越的立場が悪影響を及ぼさないようにしっかり意識して行動することによって、顧客とS社、S社と協力会社とのパートナーシップは、顧客価値の創出という目標に向かってより良い対等な共創関係となることが期待できる。そこで、顧客とS社との間に先立ち、S社と協力会社との間でイコールパートナーシップ(以下、EPSという)の実現を目指すことを上司の役員と購買部門に提案し、了解を得た。   〔パートナーシップに関する協力会社の意見〕  T課長は、EPSを共同で探求する協力会社として、来月から始まる請負契約で受託した開発プロジェクトで委託先として予定している優良協力会社のA社が最適だと考えた。A社のB役員、PMのC氏とは、仕事上の関係も長く、気心も通じていた。  T課長はA社に、次回のプロジェクトへの参加に先立って③EPSの“共同探求”というテーマで対話をしたい、と申し入れた。そして、その背景として、これまで自分が受託者の立場で感じてきたことを踏まえ、A社に対する行動を改善しようと考えていることと、これはあくまで自分の経験に基づいた考えにすぎないので多様な視点を加えて修正したり更に深めたりしていきたいと思っていることを伝えた。A社の快諾を得て、対話を行ったところ、B役員及びC氏からは次のような意見が上がった。  ・進捗や品質のリスクの顕在化の予兆が検知された場合に、S社に伝えるのを躊躇したことがあった。これは、T課長と同じ経験があり、自力で何とかするべきだ、という思いがあったからである。  ・急激な変化が起こる状況での見積りは難しく、見積りと実績の差異が原因で発生するプロジェクトの問題が多い。このような状況では、適応力と回復力の強化が重要だと感じる。  ・S社と請負契約で契約することで計画力や遂行力がつき、生産性を向上させるモチベーションが上がった。S社以外との間で行っている業務の履行割合に応じて支払を受ける準委任契約においても善管注意義務はあるし、顧客満足の追求はもちろん行うのだが、請負契約に比べると、モチベーションが下がりがちである。   〔T課長がA社と探求するEPS〕  両社はS社の購買部門を交えて対話を重ね、顧客価値を創出するための対等なパートナーであるという認識を共有することにした。そこでS社は発注者の立場で④あることをしっかりと意識して行動することを基本とし、A社は、顧客価値の創出のためのアイディアを提案していくことなどを通じて、両社の互恵関係を強化していくことにした。また、今後の具体的な活動として、次のような進め方で取り組むことを合意した。  ・リスクのマネジメントは、両社が自律的に判断することを前提に、共同で行う。  ・見積りは不確実性の内在した予測であり、計画と実績に差異が生じることは不可避であることを認識し、計画の過度な精度向上に掛ける労力を削減する。フレームワークとして、PDCAサイクルだけでなく、行動(Do)から始めるDCAPサイクルや観察(Observe)から始めて実行(Act)までを高速に回すaループも用いる。  ・計画との差異の発生、変更の発生、予測困難な状況の変化などに対応するための適応力とbを強化することに取り組む。bを強化するためには、チームのマインドを楽観的で未来志向にすることが重要であるという心理学の知見を共有し、リカバリする際に、現実的な対処を前向きに積み重ねていく。特に、状況が悪いときこそ、チームの士気に注意してマネジメントする。  ・顧客価値の変化に対応するために、契約については、請負契約ではなく、2020年(令和2年)4月施行の改正民法において準委任契約に新設された類型であるc型をベースとして、これまでの請負契約での工程ごとの検収サイクルと同一のタイミングで、成果物の納入に対して支払を行う。  ・さらに今後は、顧客価値の対象のうち必ずしも明確な成果物がないものが含まれることを鑑みて、コスト・プラス・インセンティブ・フィー(CPIF)契約の採用について検討を進める。この場合、S社は委託作業に掛かった正当な全コストを期間に応じて都度支払い、さらにあらかじめ設定した達成基準をA社が最終的に達成した場合には、S社はA社に対しdを追加で支払う。  T課長は、この試みによって、EPSの現実的な効果や課題などの経験知が得られるとともに、両社の適応力とbが強化されることを期待した。そして、この成果を基に、顧客を含めたEPSを実現し、より良い共創関係の構築を目指していくことにした。

設問1:

問題文を見る
〔予測型開発アプローチに関するT課長の課題認識〕の本文中の下線①について、どのようなプロジェクトマネジメントに関する課題を抱えることになるのか。35字以内で答えよ。

模範解答

顧客価値に直結しない計画変更に掛ける活動が増加していくという課題

解説

解答の導き方

まず、顧客の事業環境が変化し、「要件や契約条件の変更が日常茶飯事」であることから、受託当初に想定した顧客価値も変わっていくと分かります。
一方、S社の基本的な進め方は予測型開発アプローチであり、計画を重視して、変更があれば計画を見直して実行します。そのため、顧客価値が変わるたびに計画の変更や調整に取り組むことになります。
ここで問われているのは、計画を見直すこと自体の是非ではなく、プロジェクトの活動が顧客価値に直結するかという観点で生じる課題です。計画変更に掛ける活動は、必要ではあっても、それ自体が顧客に新たな価値を直接生み出す活動とは限りません。しかも顧客価値の変化が続けば、その変更に対応する活動も増えていきます。
したがって、顧客価値に直結しない計画変更に掛ける活動が増加していくことが、計画重視の進め方で抱える課題です。

誤りやすいポイント

  • 「顧客価値が変化するため、計画が古くなること」だけを答えると、課題の中心である計画変更に掛ける活動の増加が抜けます。
  • 「計画変更が増える」とだけ答えると、その活動が顧客価値に直結しないという観点が不足します。
  • 計画変更そのものを不要・無意味と捉えないようにします。顧客価値の変化に対応するために変更は必要ですが、その対応に多くの活動を費やすことが課題です。

FAQ

Q: 計画変更に掛ける活動は、顧客価値にまったく関係しないのですか?
A: 必要な対応ではありますが、計画を変更するための調整そのものが顧客価値を直接生み出すとは限りません。問題は、そうした活動が増えていくことです。
Q: 「計画変更が増える」だけでは不十分なのはなぜですか?
A: 設問は、活動が顧客価値に直結するかという観点での課題を尋ねています。そのため、変更の増加に加え、顧客価値に直結しない活動に労力を掛ける点を含める必要があります。

関連キーワード: 顧客価値、予測型開発アプローチ、計画変更、適応型開発アプローチ、変更管理

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〔協力会社政策に関するT課長の課題認識〕の本文中の下線②について、既に対応困難な状況とはどのような状況か。35字以内で答えよ。

模範解答

どんなに資源を投入しても、納期に間に合わせることができない状況

解説

解答の導き方

  1. 問われているのは、委託先が完成責任を果たせないとき、どの制約に関するリスクが既に対応困難になっているかです。本文では、委託先が「納期までに完成責任を果たせなかった場合」に、損害賠償請求や追完請求が可能だと説明しています。
  2. しかし、契約上の請求ができても、プロジェクトを予定どおり完了させられるとは限りません。特に納期が迫った段階では、契約上の権利を行使しても、遅れを取り戻すための時間が残っていないことがあります。
  3. したがって、ここで対応困難になるのは納期に関するリスクです。委託先の遅れを取り戻すために資源を投入しても、納期に間に合わせられない状況を答えます。

誤りやすいポイント

  • 損害賠償請求や追完請求ができることを、プロジェクトの問題も解消できるという意味に捉えないようにします。契約上の救済と、納期を守れるかどうかは別の問題です。
  • リスクの対象を、品質や費用と取り違えないようにします。この箇所で問題になるのは、完成が遅れることによる納期のリスクです。
  • 「委託先が完成できない状況」だけでは、納期に関する問題が十分に表れていません。どれだけ資源を投入しても期限に間に合わない点まで示す必要があります。

FAQ

Q: 損害賠償請求や追完請求を行えば、リスクに対応できるのではありませんか?
A: 契約上の請求はできますが、それによって納期に間に合うとは限りません。時間を取り戻せない段階では、納期のリスクは残ります。
Q: 「資源を投入しても間に合わない」とは、資源が不足しているという意味ですか?
A: 単なる資源不足ではなく、資源を追加しても残された時間内に完成させられない状態を指しています。

関連キーワード: 納期リスク、請負契約、リスク対応、損害賠償請求、追完請求

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〔パートナーシップに関する協力会社の意見〕の本文中の下線③について、T課長は、“共同探求”の語を入れることによってA社にどのようなメッセージを伝えようとしたのか。20字以内で答えよ。

模範解答

A社の視点を加えてほしいこと

解説

解答の導き方

  1. 設問は、「共同探求」という語を使うことで、T課長がA社にどのような意図を伝えようとしたのかを尋ねています。したがって、「対話をしたい」という事実だけでなく、対話を通じてA社に何をしてほしいのかを読み取ります。
  2. T課長は、自分の考えについて「自分の経験に基づいた考えにすぎない」と伝えています。つまり、自分の考えを完成した結論として提示し、A社に受け入れてもらおうとしているのではありません。
  3. 続けて、「多様な視点を加えて修正したり更に深めたりしていきたい」と述べています。ここから、T課長はA社にも視点を出してもらい、自分の考えを一緒に見直し、発展させたいと考えていることが分かります。
  4. したがって、「共同探求」という語に込められたメッセージは、A社にもその視点を加えてほしいということです。意見交換をしたいというだけでなく、A社の視点を取り入れて一緒に考えたい、という意図を答えます。

誤りやすいポイント

  • 「対話をしたいこと」と答えると、対話の目的が表せません。設問は、対話をしたいという申し入れの中でも、「共同探求」という語で伝えたメッセージを尋ねています。
  • 「EPSを実現したいこと」だけでは、A社に期待する具体的な関わり方が不足します。本文では、自分の考えにA社の視点を加えて修正し、深めたいと説明されています。
  • T課長の考えをA社に承認してほしい、という意味にしないようにします。自分の考えは経験に基づくものにすぎないと伝え、A社の視点を加えることを望んでいます。

FAQ

Q: 「A社の意見を聞きたいこと」では不十分ですか?
A: 意見を聞くだけでなく、A社の視点を加えてT課長の考えを修正したり、さらに深めたりしたいという意図まで示すと、本文の説明に沿います。
Q: 「共同探求」は、A社にT課長の考えを実行してもらうことですか?
A: いいえ。T課長は自分の考えを確定した方針として示しているのではなく、A社の視点も取り入れて一緒に考えようとしています。
Q: なぜ「共同探求」という表現が大切なのですか?
A: 一方的に方針を伝えるのではなく、両社が対等な立場で考えを持ち寄る姿勢を伝えられるからです。

関連キーワード: 対話、共同探求、パートナーシップ、ステークホルダー、協働

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設問4:〔T課長がA社と探求するEPS〕について答えよ。

設問4(1)

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本文中の下線④のあることとは何か。30字以内で答えよ。

模範解答

優越的な立場が悪影響を及ぼさないようにすること

解説

解答の導き方

  1. 下線④の「あること」は、直前の「発注者の立場で」という記述を受けています。したがって、S社が発注者としてA社に接するときに、何を意識して行動するのかを答えます。
  2. その前の段落では、発注者の優越的立場が受託者に及ぼす影響への認識が不足すると、リスクが顕在化した際に協調関係が乱れる可能性があると述べています。T課長自身も、顧客から細かな報告を求められた経験や、協力会社に同じような行動をとっていたことを振り返っています。
  3. これらを踏まえ、本文は「発注者の優越的立場が悪影響を及ぼさないようにしっかり意識して行動する」としています。つまり、発注者としての立場そのものをなくすのではなく、その立場がA社に悪影響を与えないようにすることが、下線④の「あること」に当たります。

誤りやすいポイント

  • 「対等なパートナーになること」だけでは、何を意識して行動するのかが具体的に示されていません。発注者の立場が及ぼす影響を抑える点まで答えます。
  • 発注者と受託者の立場をなくすことが問われているわけではありません。発注者の優越的な立場が、受託者に悪影響を及ぼさないようにすることが要点です。
  • 「A社の提案を受け入れること」など、A社の行動や提案に注目した答えにしないようにします。問われているのは、S社が発注者として意識することです。

FAQ

Q: 発注者と受託者の立場を同じにする、という意味ですか?
A: 立場をなくすという意味ではありません。発注者の優越的な立場が受託者に悪影響を及ぼさないように意識して行動する、という意味です。
Q: なぜ発注者の立場への意識が必要なのですか?
A: 受託者がリスクの予兆を伝えにくくなったり、過度な報告対応で本来の作業に集中しにくくなったりすると、両社の協調関係や顧客価値の創出に影響するためです。

関連キーワード: イコールパートナーシップ、発注者の優越的立場、協調関係、顧客価値

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設問4(2)

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両社はリスクのマネジメントを共同で行うことによって、どのようなリスクマネジメント上の効果を得ようと考えたのか。25字以内で具体的に答えよ。

模範解答

最速で予兆を検知して、協調して対処する。

解説

解答の導き方

  1. 問われているのは、両社がリスクマネジメントを共同で行うことで得られる効果です。契約形態の変更や適応力の強化ではなく、リスクへの対応に焦点を当てます。
  2. T課長は、リスクの予兆を顧客に伝えた後、細かな報告を求められた経験から、伝達をためらったことがあります。また、A社も同様に、進捗や品質のリスクの予兆をS社に伝えず、「自力で何とかするべきだ」と考えたことがありました。つまり、相手への伝達をためらうと、リスクの兆候を早く共有できず、対応が遅れるおそれがあります。
  3. そこで両社は、リスクマネジメントを「両社が自律的に判断することを前提に、共同で行う」と合意しています。双方が兆候に気づいた段階で情報を持ち寄り、協力して対応すれば、一方だけで抱え込む場合より早くリスクを捉え、状況に応じた対処を進められます。
  4. したがって解答では、リスクの予兆を早く検知することと、両社が連携して対処することの両方を示します。

誤りやすいポイント

  • 「リスクを低減する」だけでは、共同で行うことによる具体的な効果が伝わりません。
  • リスクの予兆を検知することだけでは不十分です。検知した後、両社が協調して対処する点も含めます。
  • 請負契約や準委任契約など、契約形態の変更による効果と混同しないようにします。
  • 「リスクを転嫁する」とするのは不適切です。ここで問われているのは、両社が共同でリスクを管理する効果です。

FAQ

Q: なぜ、予兆の早期検知が効果になるのですか?
A: それぞれがリスクの兆候を自分だけで抱えると、相手に伝わるまで対応が遅れるおそれがあるためです。共同で管理すれば、兆候を共有し、早い段階で対処できます。
Q: 「共同で行う」とは、片方がリスクへの対応を決めることですか?
A: いいえ。本文では、両社が自律的に判断することを前提としています。それぞれの判断を生かしながら協力して対応するという意味です。
Q: リスクが発生しないようにすることが問われていますか?
A: いいえ。リスクを完全になくすことではなく、予兆を早く捉え、両社で協調して対処することが問われています。

関連キーワード: リスクマネジメント、リスク兆候、早期検知、情報共有、協調対応

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設問4(3)

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本文中のa~dに入れる適切な字句を答えよ。

模範解答

a:ooda b:回復力 c:成果報酬又は成果完成 d:インセンティブ・フィー

解説

解答の導き方

  1. aは、観察から実行までを素早く回すループの名称を考えます。
    本文には「観察(Observe)から始めて実行(Act)までを高速に回す」とあります。観察(Observe)、状況判断(Orient)、意思決定(Decide)、実行(Act)のサイクルを指しているので、空欄は「ooda」です。
  2. bは、変化に対応する力と、困難から立ち直る力の組合せから判断します。
    本文では、計画との差異や予測困難な変化への対応として「適応力とbを強化する」としています。さらに、状況が悪いときにチームの士気に注意し、現実的な対処を前向きに積み重ねるとあります。これは、困難な状況から回復していく力を指すため、「回復力」が入ります。
  3. cは、準委任契約に新設された類型の名称です。
    本文は、準委任契約に新設された類型を、工程ごとの検収サイクルと同じタイミングで成果物の納入に対して支払う契約の基礎にするとしています。この類型は「成果報酬型」または「成果完成型」と呼ばれるため、cには「成果報酬」または「成果完成」が入ります。どちらも、後ろの「型」とつながる表現です。
  4. dは、CPIF契約でコストに加えて支払うものを考えます。
    CPIF契約では、委託作業に掛かった正当な全コストを支払った上で、あらかじめ設定した達成基準を満たした場合に追加の支払を行います。コストに上乗せする達成報酬なので、dには「インセンティブ・フィー」が入ります。

誤りやすいポイント

  • aは、Doから始めると説明されたDCAPサイクルと混同しないようにします。空欄が示すのは、Observeから始まるOODAループです。
  • bを「適応力」と取り違えないようにします。本文では「適応力とb」と並べており、bは困難からの立ち直りに関する力です。
  • cは、成果物の納入に対して支払うとあっても、請負契約を指すわけではありません。問題文が尋ねているのは、準委任契約に新設された類型です。
  • dは、作業に掛かったコストそのものではありません。達成基準を満たした場合にコストとは別に追加で支払う報酬です。

FAQ

Q: OODAループとDCAPサイクルの違いは何ですか?
A: OODAループは観察から始め、状況判断、意思決定、実行へと進むサイクルです。DCAPサイクルは行動から始めます。どちらも、計画の精度向上に過度な労力を掛けず、状況に合わせて行動を進める考え方として使われます。
Q: 成果報酬型の準委任契約は、請負契約と同じですか?
A: 同じではありません。成果に応じた報酬を定めても、本文で扱っているのは準委任契約の類型です。契約の類型と、報酬の決め方を区別して考えます。
Q: CPIF契約で、インセンティブ・フィーが支払われるのはどのような場合ですか?
A: 本文では、あらかじめ設定した達成基準をA社が最終的に達成した場合に、正当な全コストに加えて支払うとしています。

関連キーワード: OODAループ、回復力、準委任契約、成果報酬型、CPIF契約

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設問4(4)

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両社は改正民法で準委任契約に新設された類型を適用したり、今後はCPIF契約の採用を検討したりすることで、A社のプロジェクトチームに、顧客価値の変化に対応するためのどのような効果を生じさせようと考えたのか。25字以内で答えよ。

模範解答

生産性向上のモチベーションを維持する。

解説

解答の導き方

  1. まず、A社が契約形態によってどのような影響を受けると考えているかを確認します。B役員及びC氏は、S社との請負契約によって「生産性を向上させるモチベーションが上がった」と述べています。一方、業務の履行割合に応じて支払を受ける準委任契約では、請負契約に比べてモチベーションが下がりがちだとしています。
  2. 両社は、顧客価値の変化に対応しやすくするため、請負契約ではなく、準委任契約に新設された類型をベースにします。ただし、支払は「成果物の納入に対して」行い、これまでの請負契約での検収サイクルと同じタイミングにします。さらに、CPIF契約では、正当な全コストの支払に加えて、達成基準を満たした場合に追加の支払を行うことを検討しています。
  3. つまり、契約を柔軟にして顧客価値の変化に対応しつつ、成果物の納入や達成基準に応じた支払によって、A社のチームが生産性を高めようとする意欲を保てるようにする狙いがあります。したがって、効果は生産性向上へのモチベーションを維持することです。

誤りやすいポイント

  • 「適応力を強化する」と答えると、契約形態によってA社のチームに生じさせようとする効果を直接答えていません。設問では、A社の意見にあるモチベーションへの言及が手掛かりです。
  • 「顧客価値に対応する」とだけ答えると、契約変更の目的には触れていますが、チームにどのような効果を生じさせるかが不足します。
  • 「CPIF契約を採用する」といった契約方式の説明だけで終わらないようにします。問われているのは契約方式そのものではなく、それによって目指す効果です。

FAQ

Q: 準委任契約をベースにするのに、なぜモチベーションを維持できるのですか?
A: 業務の履行割合だけに応じた支払ではなく、成果物の納入に対する支払や、達成基準に応じた追加の支払を取り入れるためです。
Q: CPIF契約による追加の支払は、何を促すためのものですか?
A: あらかじめ設定した達成基準を満たした場合に追加で支払うことで、生産性向上への意欲につなげる狙いがあります。
Q: この設問では、適応力や回復力を答えるのではないのですか?
A: それらは本文で両社が強化しようとしている能力です。一方、この設問は契約上の工夫によってA社のプロジェクトチームに生じさせようとする効果を尋ねているため、A社が述べた生産性向上へのモチベーションに着目します。

関連キーワード: 準委任契約、成果完成型、CPIF契約、インセンティブ、顧客価値

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