プロジェクトマネージャ 2024年 午後1 問03
プロジェクト計画の修整(テーラリング)に関する次の記述を読んで、設問に答えよ。
A銀行は、中堅の地方銀行である。近年、地盤である地域の人口減少や高齢化で、収益は年々減少傾向にある。この状況に危機感をもったA銀行は、グループ会社として新たなネット専業銀行(以下、H銀行という)を設立して、全ての取引をスマートフォン向けアプリケーションソフトウェア(以下、スマホアプリという)で完結させるサービスを1年後に提供することを決定した。高金利の新商品や、ポイント還元などの付加サービスを打ち出し、日本全国の顧客をターゲットに事業を展開することにした。システム開発を含む銀行業務の立ち上げに必要なメンバーが、若手の行員を中心にA銀行からH銀行に出向した。
H銀行は、1年という短期間で銀行業務を開始することが必達目標なので、勘定系システムは、ITベンダーY社が提供するサービス(以下、Yサービスという)を利用する。Yサービスは複数の銀行が共同で利用しており、A銀行でも利用している。また、新商品や付加サービスを提供するフロントシステム及びスマホアプリ(以下、新システムという)は、H銀行システム部がY社の支援を受けて開発し、YサービスのAPIで連携する。新システムの開発プロジェクト(以下、Hプロジェクトという)が立ち上げられ、H銀行システム部のI課長がプロジェクトマネージャ(PM)に任命された。Yサービスの利用範囲は確定し、サービス導入はY社が担当することで合意した。一方、新システムへの要求事項は、H銀行企画部が各業務部門と共同で市場ニーズを調査しながら順次確定する。どの要求事項を、必達目標である1年後に実現するか、つまり、Hプロジェクトのスコープとなる要求事項(以下、開発項目という)は、H銀行として順次判断しながら確定させることになった。
〔プロジェクト計画の検討〕
I課長は、開発項目を順次判断しながらHプロジェクトを進めるには適応型開発アプローチが適合すると考えたが、A銀行グループではノウハウが不足しており、適応型開発アプローチを適用するプロジェクト(以下、適応型プロジェクトという)のマネジメント標準が定まっていない。A銀行では、開発項目の変動が少ない予測型開発アプローチを適用したプロジェクトのマネジメント標準(以下、A銀行マネジメント標準という)が規定されていて、原則としてA銀行マネジメント標準にのっとってプロジェクトを進めていくことが求められている。そこでI課長は、期限厳守のHプロジェクトでは、メンバーが習熟しているA銀行マネジメント標準を基に、適応型開発アプローチの要素を加味して修整を行い、Hプロジェクトに適用することにした。
H銀行システム部は、部長、I課長と一部のベテラン行員を除くと若手の行員が多い。また、H銀行では、Hプロジェクト完了後も適応型プロジェクトが継続して立ち上げられることが見込まれており、適応型プロジェクトをマネジメントできる若手のリーダー育成がH銀行システム部の喫緊の課題である。I課長は、リーダー育成にも十分に配慮してプロジェクト計画を作成することにした。Hプロジェクトでは適応型開発アプローチの要素を加味してA銀行マネジメント標準を修整するので、リーダーには適応型プロジェクトのマネジメントと、その実現に適したリーダーシップの両方を習得してもらうことを育成の目標とした。プロジェクトチームの編成において、Hプロジェクトでは若手でモチベーションが高く自発的に仕事に取り組む姿勢をもつメンバーを積極的にリーダーに登用することにした。また、マネジメントに当たっては、支援型リーダーシップの習得が適していると考えた。
〔開発項目の定義プロセスの検討〕
I課長は、H銀行企画部とHプロジェクトの進め方について協議した。H銀行企画部は、“既に取り決めたとおり、要求事項は最新の状況において優先度を付けて順次判断し、開発項目の更新を行っていく。予算は、戦略的な事業として、上限はあるが一定の余裕をもって確保しているので、スケジュールは厳守しつつ予算内で要求事項の取込みに最大限柔軟に対応してほしい。”とのことであった。
I課長は、このように開発項目を順次更新していくに当たって、A銀行マネジメント標準の予測型開発アプローチを前提としたスコープ定義プロセスは適さないことから、スコープに関わる現状の変更管理プロセスを参考にしてHプロジェクトの開発項目の定義プロセスを検討することにした。A銀行マネジメント標準の変更管理プロセスは次のとおりである。
・変更を要求する部門が、スコープの変更要求を、変更管理委員会(以下、CCBという)に提示する。
・A銀行システム部が、変更要求に基づく影響を調査し、変更を実施する際のリスクや課題、追加コストなどを整理する。
・A銀行システム部の影響調査結果に基づき、CCBが変更要求を承認又は否認する。
これまで、このプロセスの運用では変更の効果が不明確だったり、他の部門の変更要求と相反したりして、A銀行システム部では、変更要求を提出した部門や他部門とのやり取りが何度か発生することが多かった。
I課長は、開発項目の定義プロセスにおいて、H銀行のシステム部長、企画部長、企画部のメンバー、及びI課長から成る開発項目定義委員会(以下、DDBという)を設置して適宜開催し、開発項目に取り込む要求事項の優先度の付与や開発項目の入替えなどの開発項目の更新を決定することにした。その上で、①A銀行マネジメント標準の変更管理プロセスを次のように修整して、開発項目の定義プロセスとした。
・②要求事項の判定基準を設定し、各業務部門の要求事項がHプロジェクトに提示できる基準を満たしているかどうかをH銀行企画部で判定する。
・判定基準を満たしている要求事項は、H銀行企画部がHプロジェクトに提示する。
・Hプロジェクトでは、新たに提示された要求事項について、その要求事項を開発項目に取り込む際の課題、追加コストを整理する。その上で、要求事項の取込みに伴う開発項目の更新によるスケジュール遅延リスクの発生確率のレベルを高、中、低の3段階で、Hプロジェクト全体の作業状況や計画における余裕度に照らして評価する。各レベルのスケジュール遅延リスクの発生確率は、レベル高が60%以上、レベル中が30%以上~60%未満、レベル低が30%未満である。
・Hプロジェクトでは、レベル低の要求事項はPMによる承認で開発項目に取り込める。レベル高及び中の要求事項の場合は、開発項目の更新をDDBに付議する。ただしレベル高及び中の要求事項であってもDDBの③ある決定によって、スケジュール遅延リスクの発生確率を再評価してレベル低である30%未満に軽減できれば、PMによる承認でその要求事項の追加に伴う開発項目の更新を実施できる。
I課長は、④プロジェクトの進捗に伴って要求事項の取込みは困難となっていくことを含めて、開発項目の定義プロセスについてDDBのメンバーに合意を取った。
〔チームのマネジメント計画の作成〕
A銀行マネジメント標準のチームのマネジメントでは、PMとリーダー間の明確な役割と責任の分担、及びこれらに対応した指示・報告に基づいたプロセスが規定されており、課題の解決方法やメンバーの活動を明確に指示し、指導を行うことを重視している。I課長は、⑤H銀行システム部の喫緊の課題の解決に、このようなチームのマネジメントは適さないと考えた。そこで、過去のプロジェクトの教訓を参照して、A銀行における若手リーダーを登用した際の次の失敗事例を確認した。
・PMが適切な情報共有やフォローをせず一方的に指示をした結果、若手リーダーのモチベーションを下げてしまった。
・リーダーに登用された責任感から、メンバーの活動を細かく指示したり、過度にメンバーの課題解決に介入したりした結果、チームとしてのパフォーマンスが低下して、進捗が遅れてしまうことがあった。
・進捗に遅れがあるにもかかわらず、リーダー以上が参加する週次進捗会議で現実の状況を報告すると皆の前で叱責されると考え、問題なしと報告を上げていた。その結果、遅延が表面化したときには状況が深刻になっており、対策の遅れとともに多くの時間とコストを費やすことがあった。
I課長はこれらの教訓から、A銀行マネジメント標準のチームのマネジメントのプロセスを次のように修整して、チームのマネジメントの計画を作成した。
・他社で適応型プロジェクトを経験して⑥支援型リーダーシップを習得してきたベテラン行員を若手リーダーの育成役としてアサインする。
・⑦H銀行の必達目標を達成するために、メンバーの動機付けや自律的な課題解決の促進などについて、育成役のベテラン行員が若手リーダーを後方で支援する。
・進捗の遅れは、メンバーの問題ではなくチーム全体の問題として全員で解決に当たることを行動の基本原則とし、原因究明するための問題の共有と早期解決に向けた計画の作成をリーダーの責務とする。その上で、⑧リーダー以上が参加する週次進捗会議とは別に、チーム全員が参加する朝会を毎朝実施し、“昨日の進捗”、“今日の予定”、“障壁となっている事項や不安要素”を簡潔に報告してもらうことにする。
I課長が修整したプロセスを反映したプロジェクト計画書は、H銀行内で合意が得られ、Hプロジェクトが開始されることになった。
設問1:〔開発項目の定義プロセスの検討〕について答えよ。
設問1(1)
問題文を見る本文中の下線①について、I課長が、A銀行マネジメント標準の変更管理プロセスを修整して、開発項目の定義プロセスとした目的は何か。25字以内で答えよ。
模範解答
要求事項の取込みに最大限柔軟に対応するため
解説
解答の導き方
-
まず、Hプロジェクトでは開発項目が最初から固定されているわけではありません。H銀行企画部は、要求事項に「最新の状況において優先度を付けて順次判断し、開発項目の更新を行っていく」としています。つまり、状況に応じて要求事項を選び直し、開発項目を更新していく必要があります。
-
一方で、達成すべき条件もあります。H銀行企画部は「スケジュールは厳守しつつ予算内で要求事項の取込みに最大限柔軟に対応してほしい」と述べています。したがって、スケジュールと予算の制約を守りながら、要求事項の取込みに柔軟に対応することが求められています。
-
A銀行マネジメント標準の変更管理プロセスは、変更要求の影響を調査してCCBが承認又は否認する方式です。しかし、本文には、変更の効果が不明確だったり、他部門の要求と相反したりして、やり取りが何度か発生することが多かったとあります。この方式をそのまま使うと、要求事項を順次判断して開発項目を更新する運用に合わないおそれがあります。
-
そこで、要求事項の判定基準やスケジュール遅延リスクに応じた承認手順を設け、要求事項を継続的に評価・選択できるように変更しました。つまり、下線①の修整の目的は、要求事項の取込みに最大限柔軟に対応することです。
誤りやすいポイント
- 「スケジュールを守ること」だけを目的として答えないようにしましょう。スケジュール厳守は前提条件であり、問われているのは変更管理プロセスを修整した目的です。
- 「全ての要求事項を取り込むため」と考えるのは誤りです。要求事項は優先度やリスクを踏まえて判断し、予算内で取込みに対応します。
- 変更管理プロセスの手順を列挙するだけでは、修整の目的を答えたことになりません。要求事項を順次判断して更新する必要性と、柔軟な取込みへの対応を結び付けましょう。
FAQ
-
Q: 要求事項の取込みに柔軟に対応するとは、要求事項を必ず採用することですか?
A: いいえ。優先度や影響、スケジュール遅延リスクなどを踏まえて採否を判断し、その上で可能な範囲で柔軟に取り込みます。 -
Q: スケジュール厳守と柔軟な要求事項の取込みは、どう両立させますか?
A: 取込みによる影響を評価し、リスクが小さい場合はPMが承認するなど、リスクに応じた判断手順を設けます。 -
Q: 従来の変更管理プロセスをそのまま使えないのはなぜですか?
A: 要求事項が順次確定し、開発項目も更新されるため、変更要求を都度審査する従来の方式では、継続的な判断に適さない場合があるからです。
関連キーワード: 適応型開発アプローチ、スコープ管理、変更管理、要求事項の優先順位付け、リスク評価
設問1(2)
問題文を見る本文中の下線②について、要求事項の判定基準を設定し、各業務部門の要求事項がHプロジェクトに提示できる基準を満たしているかどうかをH銀行企画部で判定することで、Hプロジェクトが得られる効果は何か。35字以内で答えよ。
模範解答
要求事項を提出した業務部門への確認などのやり取りを減らす効果
解説
解答の導き方
-
まず、従来の変更管理プロセスで起きていた問題を確認します。変更の効果が不明確だったり、他部門の要求と相反したりして、「変更要求を提出した部門や他部門とのやり取りが何度か発生することが多かった」とあります。つまり、要求の内容が整理されていないまま提示され、確認や調整が繰り返されていました。
-
そこで新しいプロセスでは、H銀行企画部が「要求事項がHプロジェクトに提示できる基準を満たしているか」を先に判定し、基準を満たすものだけをHプロジェクトに提示します。要求事項をHプロジェクトに渡す前に、提示に必要な条件を満たしているかを確認する流れです。
-
この事前確認によって、内容が不明確な要求事項などがそのままHプロジェクトに持ち込まれることを抑えられます。その結果、要求事項を提出した業務部門への確認や、他部門との調整をHプロジェクトが何度も行う場面が少なくなります。したがって、期待される効果は、そうしたやり取りを減らすことです。
誤りやすいポイント
- 判定基準の設定を、要求事項の優先順位付けと混同しないようにします。ここで問われているのは、Hプロジェクトに提示する前の判定による効果です。
- 「やり取りをなくす」と言い切るのは適切ではありません。確認や調整が必要になる場合はあるため、「減らす」と捉えます。
- スケジュール遅延リスクや追加コストの評価は、要求事項がHプロジェクトに提示された後の検討です。下線②による効果とは区別します。
FAQ
Q: 判定基準を満たさない要求事項は、必ず却下されますか?
A: 本文から分かるのは、基準を満たす要求事項がHプロジェクトに提示されることです。満たさない要求事項の扱いまでは示されていません。
A: 本文から分かるのは、基準を満たす要求事項がHプロジェクトに提示されることです。満たさない要求事項の扱いまでは示されていません。
Q: 判定基準を設けると、部門間の調整は不要になりますか?
A: いいえ。調整をなくすのではなく、要求事項を提示する前に確認することで、Hプロジェクトでの確認や調整の繰返しを減らします。
A: いいえ。調整をなくすのではなく、要求事項を提示する前に確認することで、Hプロジェクトでの確認や調整の繰返しを減らします。
Q: 要求事項の優先度を決めることも、この効果に含まれますか?
A: 優先度の付与は開発項目の更新に関わる別の判断です。この設問では、提示前の判定によって関係部門とのやり取りを減らす効果が問われています。
A: 優先度の付与は開発項目の更新に関わる別の判断です。この設問では、提示前の判定によって関係部門とのやり取りを減らす効果が問われています。
関連キーワード: 要求管理、要求事項、判定基準、変更管理、スコープ管理
設問1(3)
問題文を見る本文中の下線③について、スケジュール遅延リスクの発生確率を30%未満に軽減するためのDDBのある決定とは何か。25字以内で答えよ。
模範解答
開発項目内のほかの要求事項を外す決定
解説
解答の導き方
-
問われているのは、DDBが要求事項の追加を認めるとき、スケジュール遅延リスクを「30%未満」に下げるために何を決定するかです。単に要求事項を承認することではありません。
-
本文では、要求事項を開発項目に取り込む際に、課題や追加コストだけでなく、開発項目の更新によるスケジュール遅延リスクも評価するとしています。つまり、要求事項を追加したときの作業量や計画への影響が、遅延リスクを左右します。
-
また、H銀行企画部は「スケジュールは厳守しつつ」要求事項の取込みに柔軟に対応してほしいとしています。したがって、スケジュールを守るには、要求事項を追加するだけで作業量を増やすのではなく、開発項目全体の作業量を調整する必要があります。
-
そこでDDBが、追加する要求事項と引き換えに、開発項目に含まれている別の要求事項を外せば、作業量を抑え、遅延リスクを下げられます。この「開発項目内のほかの要求事項を外す決定」によってリスクを再評価し、30%未満になれば、PMの承認で新しい要求事項を取り込めます。
誤りやすいポイント
- DDBが新しい要求事項をそのまま承認することだと考えないようにします。追加だけでは作業量が増え、遅延リスクを下げることにつながりません。
- 「予算に余裕がある」ことを理由に、追加予算を確保する決定だと考えないようにします。優先されるのはスケジュールの厳守です。
- 外す対象は、追加する要求事項そのものではなく、すでに開発項目に含まれているほかの要求事項です。
FAQ
Q: 外した要求事項は、永久に実施しないという意味ですか?
A: この設問で問われているのは、Hプロジェクトの開発項目から外す決定です。将来も実施しないとまでは本文から判断できません。
A: この設問で問われているのは、Hプロジェクトの開発項目から外す決定です。将来も実施しないとまでは本文から判断できません。
Q: なぜ要求事項を追加するだけではいけないのですか?
A: 要求事項の追加で作業が増えると、スケジュール遅延リスクも高くなるためです。別の要求事項を外して作業量を調整する必要があります。
A: 要求事項の追加で作業が増えると、スケジュール遅延リスクも高くなるためです。別の要求事項を外して作業量を調整する必要があります。
Q: リスクを下げた後、最終的に誰が追加を承認しますか?
A: DDBの決定によってリスクを30%未満にできれば、本文のプロセスではPMの承認で開発項目を更新できます。
A: DDBの決定によってリスクを30%未満にできれば、本文のプロセスではPMの承認で開発項目を更新できます。
関連キーワード: スコープ管理、要求事項、優先順位付け、リスク評価、変更管理
設問1(4)
問題文を見る本文中の下線④について、I課長が、開発項目の定義プロセスについてDDBのメンバーに合意を取る際に、プロジェクトの進捗に伴って要求事項の取込みが困難となっていくことを含めた理由は何か。35字以内で答えよ。
模範解答
要求事項を受け入れ続けることでスケジュール遅延したくないから
解説
解答の導き方
この設問は、要求事項を順次取り込むプロセスについて、なぜ「プロジェクトの進捗に伴って要求事項の取込みは困難となっていくこと」もDDBのメンバーに伝えて合意を得たのかを問うています。
まず、H銀行企画部は「スケジュールは厳守」する一方で、「予算内で要求事項の取込みに最大限柔軟に対応」することを求めています。つまり、要求事項を追加する余地はありますが、期限を延ばして対応することはできません。
次に、要求事項を追加すると、課題や追加コストの整理が必要になり、開発項目の更新によってスケジュール遅延リスクが生じます。本文でも、そのリスクをHプロジェクト全体の作業状況や計画の余裕度に照らして評価するとしています。
プロジェクトが進むほど、残りの期間や計画上の余裕は少なくなります。そのため、後から要求事項を次々に受け入れると、期限までに作業を終えられず、スケジュールが遅延するおそれが高まります。したがって、進捗に伴って要求事項の追加が難しくなることをあらかじめ共有し、要求事項を受け入れ続けてスケジュールを遅延させることを避けるために、DDBの合意を得たと考えられます。
誤りやすいポイント
- 予算に余裕があることを理由に、要求事項をいつでも追加できると考えないようにします。本文では、予算よりもスケジュールの厳守が重視されています。
- 要求事項の取込みが困難になる理由を、技術的な難しさだけに限定しないようにします。ここでは、プロジェクトの進捗に伴って残り時間や計画の余裕が減ることが、スケジュール遅延リスクにつながります。
- DDBの合意を得る目的を、単に追加要求を断るためと考えないようにします。要求事項を評価しながら取り込む一方、期限を守れなくなるような受入れを防ぐことが重要です。
FAQ
Q: 予算に余裕があれば、進捗後でも要求事項を追加できるのではありませんか?
A: 予算の余裕は追加作業への対応に役立ちますが、作業に必要な時間までは補えません。スケジュールを厳守する以上、進捗後の追加には制約があります。
A: 予算の余裕は追加作業への対応に役立ちますが、作業に必要な時間までは補えません。スケジュールを厳守する以上、進捗後の追加には制約があります。
Q: 要求事項の取込みが難しくなることを、なぜ事前に合意する必要があるのですか?
A: 追加の判断基準をあらかじめ共有することで、要求事項を無制限に受け入れることを避け、スケジュールを守るための共通認識を持てます。
A: 追加の判断基準をあらかじめ共有することで、要求事項を無制限に受け入れることを避け、スケジュールを守るための共通認識を持てます。
Q: すべての要求事項を取り込まないという意味ですか?
A: いいえ。要求事項の優先度やスケジュール遅延リスクを評価し、計画上対応できるものは取り込みます。
A: いいえ。要求事項の優先度やスケジュール遅延リスクを評価し、計画上対応できるものは取り込みます。
関連キーワード: スコープ管理、要求事項管理、変更管理、スケジュール管理、リスク評価
設問2:〔チームのマネジメント計画の作成〕について答えよ。
設問2(1)
問題文を見る本文中の下線⑤について、I課長が、H銀行システム部の喫緊の課題の解決に、A銀行マネジメント標準のチームのマネジメントは適さないと考えたのはなぜか。30字以内で答えよ。
模範解答
支援型リーダーの育成に適さないマネジメントだから
解説
解答の導き方
-
まず、解決すべき「喫緊の課題」を確認します。本文では、適応型プロジェクトが今後も立ち上げられる見込みであり、適応型プロジェクトをマネジメントできる若手リーダーの育成が課題とされています。さらに、育成目標には適応型プロジェクトのマネジメントだけでなく、それに適したリーダーシップの習得も含まれています。
-
次に、A銀行マネジメント標準のチームマネジメントの特徴を見ます。PMとリーダーの役割・責任を明確に分け、指示や報告に基づいて進めるプロセスであり、課題の解決方法やメンバーの活動を明確に指示し、指導することを重視しています。
-
しかし、若手リーダーに身に付けさせたいのは、支援型リーダーシップです。指示や指導を中心とするマネジメントでは、若手リーダーが支援型リーダーとして成長する機会を得にくいため、リーダー育成という課題の解決には適しません。したがって、理由は「支援型リーダーの育成に適さないマネジメントだから」と判断できます。
誤りやすいポイント
- プロジェクトの期限厳守や進捗管理が難しいことを理由にしないようにします。問われているのは、H銀行システム部の課題である若手リーダーの育成との適合性です。
- A銀行マネジメント標準が常に不適切という意味ではありません。ここでは、指示・指導を重視する特徴が、支援型リーダーシップの育成に合わない点が問題です。
- 「若手の経験不足だから」とだけ答えると、標準のどの特徴が育成に適さないのかが伝わりません。
FAQ
Q: 若手リーダーの育成が課題だと分かるのはどこですか?
A: 適応型プロジェクトをマネジメントできる若手リーダーの育成が、H銀行システム部の喫緊の課題とされています。
A: 適応型プロジェクトをマネジメントできる若手リーダーの育成が、H銀行システム部の喫緊の課題とされています。
Q: A銀行マネジメント標準の特徴は、どのように育成目標と合わないのですか?
A: 標準は明確な指示や指導を重視しますが、育成目標は支援型リーダーシップの習得です。そのため、若手リーダーが支援型のリーダーシップを身に付けるのに適しません。
A: 標準は明確な指示や指導を重視しますが、育成目標は支援型リーダーシップの習得です。そのため、若手リーダーが支援型のリーダーシップを身に付けるのに適しません。
Q: 指示や報告を明確にすること自体が誤りなのですか?
A: いいえ。ここで問われているのは、そのマネジメントが若手リーダーの育成という目的に適しているかどうかです。
A: いいえ。ここで問われているのは、そのマネジメントが若手リーダーの育成という目的に適しているかどうかです。
関連キーワード: 支援型リーダーシップ、リーダー育成、自律性、動機付け、チームマネジメント
設問2(2)
問題文を見る本文中の下線⑥について、支援型リーダーシップを習得してきたベテラン行員を若手リーダーの育成役としてアサインしたのは、登用した若手リーダーにどのような姿勢があるからか。25字以内で答えよ。
模範解答
モチベーションが高く自発的に仕事に取り組む姿勢
解説
解答の導き方
-
この設問は、ベテラン行員の経験や技能ではなく、育成対象となる若手リーダーにどのような姿勢があるかを尋ねています。
-
チーム編成について、本文には「若手でモチベーションが高く自発的に仕事に取り組む姿勢をもつメンバーを積極的にリーダーに登用する」とあります。若手リーダーには、意欲が高く、自分から仕事に取り組む姿勢があると分かります。
-
その若手リーダーを、支援型リーダーシップを習得したベテラン行員が後方から支援する計画です。したがって、問われている姿勢は、モチベーションの高さと自発的に仕事に取り組むことです。
誤りやすいポイント
- 育成役にアサインされるベテラン行員の経験や能力を答えてしまうことです。問われているのは、登用された若手リーダーの姿勢です。
- 「適応型プロジェクトのマネジメント」など、リーダー育成の目標を答えてしまうことです。設問は育成目標ではなく、若手リーダーにある姿勢を尋ねています。
- 「モチベーションが高い」だけで答え、自発的に仕事に取り組む姿勢を含めないことです。
FAQ
Q: 支援型リーダーシップを習得しているのは誰ですか?
A: 育成役としてアサインされるベテラン行員です。若手リーダーに求められる姿勢とは区別しましょう。
A: 育成役としてアサインされるベテラン行員です。若手リーダーに求められる姿勢とは区別しましょう。
Q: 「自発的に仕事に取り組む」とは、どのような姿勢ですか?
A: 指示を待つだけでなく、自分から仕事に取り組む姿勢です。
A: 指示を待つだけでなく、自分から仕事に取り組む姿勢です。
関連キーワード: 支援型リーダーシップ、リーダー育成、チームマネジメント、適応型開発、自律性
設問2(3)
問題文を見る本文中の下線⑦について、I課長が、このような内容について育成役のベテラン行員に若手リーダーを後方で支援してもらうことにしたのは、Hプロジェクトに対するどのような効果を期待したからか。30字以内で答えよ。
模範解答
チームのパフォーマンス低下による進捗の遅れを防ぐ効果
解説
解答の導き方
-
下線⑦では、育成役が若手リーダーを「メンバーの動機付けや自律的な課題解決の促進」について後方から支援します。ここで問われているのは、若手リーダーを育成すること自体ではなく、その支援によってHプロジェクトにどのような効果をもたらすかです。
-
過去の失敗事例には、リーダーがメンバーに細かく指示したり、課題解決に過度に介入したりした結果、「チームとしてのパフォーマンスが低下して、進捗が遅れてしまうことがあった」とあります。若手リーダーへの支援によって、メンバーの自律的な課題解決を促し、過度な指示や介入によるチームのパフォーマンス低下を防ぐことが期待できます。
-
したがって、Hプロジェクトへの効果としては、チームのパフォーマンス低下に起因する進捗の遅れを防ぐことが適切です。
誤りやすいポイント
- 「若手リーダーの育成」だけを答えると、育成役をアサインする目的には触れていますが、設問が尋ねるHプロジェクトへの効果になっていません。
- 「メンバーの課題を育成役が解決する」と捉えるのは誤りです。本文では、自律的な課題解決を促すことが支援の内容です。
- スケジュール遅延だけに注目するのではなく、遅延の原因として示されたチームのパフォーマンス低下とのつながりを押さえます。
FAQ
Q: なぜ若手リーダーへの支援がチーム全体のパフォーマンスにつながるのですか?
A: 若手リーダーがメンバーの自律的な課題解決を促せるようになれば、細かすぎる指示や過度な介入を避けやすくなり、チームの活動を妨げにくくなるためです。
A: 若手リーダーがメンバーの自律的な課題解決を促せるようになれば、細かすぎる指示や過度な介入を避けやすくなり、チームの活動を妨げにくくなるためです。
Q: この設問では、支援型リーダーシップの習得そのものを答えるのですか?
A: いいえ。支援型リーダーシップは支援の背景です。設問が求めているのは、その支援によってプロジェクトの進捗にどのような効果が生じるかです。
A: いいえ。支援型リーダーシップは支援の背景です。設問が求めているのは、その支援によってプロジェクトの進捗にどのような効果が生じるかです。
関連キーワード: 支援型リーダーシップ、チームパフォーマンス、自律的な課題解決、メンバーの動機付け、スケジュール遅延
設問2(4)
問題文を見る本文中の下線⑧について、I課長は、週次進捗会議とは別に朝会を実施することで、スケジュール遅延リスクに対して具体的にどのような効果を得たいと考えたのか。30字以内で答えよ。
模範解答
問題が大きくなる前に原因を把握して早期に解決を図る効果
解説
解答の導き方
-
まず、従来の週次進捗会議では、遅れがあっても「問題なし」と報告され、遅延が表面化した時点では状況が深刻になっていた、という失敗がありました。つまり、問題の把握が遅れると、対策も遅れてスケジュール遅延の影響が大きくなります。
-
そこでI課長は、週次進捗会議とは別に、チーム全員が参加する朝会を毎朝行い、「昨日の進捗」「今日の予定」「障壁となっている事項や不安要素」を共有することにしました。全員が毎日状況を共有するため、遅れにつながりそうな問題や障壁を早い段階で把握できます。
-
さらに、問題の共有だけで終わらず、チーム全体で原因を確認し、早期解決に向けた計画を作成することがリーダーの責務とされています。したがって、朝会によって得たいのは、問題が大きくなる前に原因を把握し、早めに解決へ動くことです。これがスケジュール遅延リスクを抑える効果につながります。
誤りやすいポイント
- 朝会を行う目的を、単に進捗を確認することだけと捉えないようにします。重要なのは、障壁や不安要素を早期に見つけ、解決につなげることです。
- 「スケジュール遅延をなくす」とするのは言い過ぎです。朝会で問題を早く把握し、深刻化する前に対処することで、遅延リスクを軽減します。
- 週次進捗会議での報告頻度を高めるだけではありません。チーム全員が毎朝参加し、問題の共有と早期解決を促す点がポイントです。
FAQ
Q: 朝会で進捗を共有するだけで、スケジュール遅延を防げますか。
A: 共有だけで遅延を防げるわけではありません。問題を早く把握し、原因の確認や解決策の実行につなげることで、遅延リスクを抑えます。
A: 共有だけで遅延を防げるわけではありません。問題を早く把握し、原因の確認や解決策の実行につなげることで、遅延リスクを抑えます。
Q: なぜ週次進捗会議とは別に朝会を設けるのですか。
A: 週次では問題の把握が遅れる可能性があるためです。毎日、チーム全員で状況や障壁を共有することで、問題の早期発見と対応を促します。
A: 週次では問題の把握が遅れる可能性があるためです。毎日、チーム全員で状況や障壁を共有することで、問題の早期発見と対応を促します。
関連キーワード: 進捗管理、リスク管理、課題管理、チームコミュニケーション



