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システム監査技術者 2015年 午後1 問02


情報セキュリティ管理状況の監査に関する次の記述を読んで、設問1~5に答えよ。

 B社は、店舗での販売を主力事業としてきた百貨店である。しかし、最近はインターネットを利用した通信販売が普及してきたことから、3年前からインターネット通信販売システム(以下、通販システムという)を利用した通信販売を開始し、売上拡大に取り組んでいる。  B社では、通販システム運用開始時から保守業務をP社に委託している。今般、通販システムの保守業務を外部委託している同業他社の業務委託先で、顧客の決済情報が漏えいするという事故が発生した。B社の内部監査部長は、この事故から自社の通販システムについて情報セキュリティ管理の重要性を認識し、システム監査チームに対して管理状況を監査するよう指示した。   〔予備調査の結果(抜粋)〕  システム監査チームは今年3月に予備調査を実施し、次の事項を確認した。  (1) B社システム部には、通販システム課(以下、通販課という)があり、課長1名と課員2名が配置されている。通販課は、通販システムの運用・保守を業務委託先の管理も含め、担当している。  (2) B社の通販システムを担当するP社の保守業務担当(以下、P社保守業務担当という)には、P社の正社員及び契約社員から構成される従業員5名が配置されている。そのうち、正社員の一部は毎年4月に異動となり、契約社員の一部も契約更改時に入れ替わっている。  (3) B社システム部は、P社との業務委託契約に基づき、毎月、P社の業務体制図を受領している。業務体制図には、P社保守業務担当の氏名、役割、着任年月、再委託先の社名などが記載されている。  (4) 通販システムのクレジットカード決済機能の保守業務は、運用開始時にはP社からQ社に再委託されていたが、今年1月からは再委託先がR社に変更されている。  (5) 通販システムの保守業務において使用されるテストデータは、表1のような手順で作成され、P社に送付されている。
システム監査技術者試験(平成27年 午後1 問2 表1)
(6) 次のように、B社の各部署は、業務委託先から提出される情報セキュリティ確認書によって、情報セキュリティ管理状況を確認している。  ① B社管理部が所管する外部委託管理規程では、業務委託先に対して一定の確認項目についての情報セキュリティ確認書を、B社と業務委託先との契約締結時、及び年1回(毎年12月)B社の各部署に提出させることを定めている。  ② P社からの情報セキュリティ確認書は、契約締結時、及び毎年12月にB社システム部に提出され、情報セキュリティ確認書の確認項目ごとにB社通販課長の確認印が押される。P社が昨年12月に提出し、B社が確認した情報セキュリティ確認書の一部は、表2のとおりである。  ③ P社から提出された情報セキュリティ確認書の添付資料の業務体制図、教育実施記録には、次のような内容が記載されている。   業務体制図 :P社保守業務担当の氏名、役割、着任年月、再委託先の社名など   教育実施記録:従業員氏名、教育内容、教育実施年月など システム監査技術者試験(平成27年 午後1 問2 表2)   〔本調査の計画(抜粋)〕  システム監査チームは、予備調査の結果に基づき、表3のような監査手続書を策定した。
〔内部監査部長のレビュー(抜粋)〕  内部監査部長は、システム監査チームから予備調査の結果及び本調査の計画について報告を受け、次のとおり指摘した。 (1) 表3項番1の監査手続だけでは、監査要点の立証には不十分である。追加の監査手続(データ依頼書の写しとbの照合)を検討すること (2) 表3項番3の監査手続だけでは、監査要点の立証には不十分である。  ① 追加の監査手続(P社から提出された情報セキュリティ確認書の添付資料である業務体制図と教育実施記録の照合)を検討すること  ② P社における通販システムの保守業務体制を考慮すると、P社から提出された情報セキュリティ確認書の添付資料同士を照合するだけでは、監査手続として不十分であると考えられる。この点を踏まえて、追加の監査手続を検討すること   〔本調査の結果(抜粋)〕  システム監査チームは、監査手続を再検討した後、内部監査部長の承認を得て、今年4月に本調査を実施した。  表3項番4の監査手続を実施した結果、B社システム部が現在の再委託先R社の情報セキュリティ管理状況を確認していないことが判明したので、次の改善提案を行った。  (1) B社システム部は、P社を通じて、R社の情報セキュリティ管理状況をできるだけ速やかに確認すること  (2) B社管理部は、業務委託先から提出される情報セキュリティ確認書に関して、外部委託管理規程を改定すること

設問1:

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〔本調査の計画(抜粋)〕の表3について、aに入れる監査要点を50字以内で述べよ。

模範解答

B社通販課員は、依頼されたテストデータが業務委託先で受領されたことを適切に確認しているか。

解説

解答の導き方

表3項番2の監査手続では、受領書ファイルに保管されたデータ依頼書の写しと受領書を照合し、テストデータ番号が一致しているかを確認します。この照合によって、P社から返送された受領書が、B社通販課員の依頼したテストデータに対応するものかを確かめられます。
表1では、B社通販課員がCD-RなどをP社に送付し、P社保守業務担当課長が受領書にテストデータ番号を記入して確認印を押した後、B社通販課員が受領書を受け取って保管します。つまり、確認の対象は、単に受領書が返送されたかではなく、依頼したテストデータが業務委託先で受領されたことをB社通販課員が適切に確認しているかです。したがって、aには、B社通販課員による受領確認に関する監査要点が入ります。

誤りやすいポイント

  • 受領書が返送されたことだけを確認する監査要点にしてしまうと、受領書がどのテストデータに対応するかを確認する目的が抜けます。
  • P社保守業務担当課長が受領書に確認印を押したかどうかだけに注目すると、表3項番2で確認するB社通販課員側の確認作業を捉えられません。
  • テストデータ番号の一致は監査手続であり、監査要点ではありません。監査要点は、その手続によって確認する管理上の目的を表します。

FAQ

Q: なぜデータ依頼書の写しと受領書を照合するのですか?
A: 受領書に記載されたテストデータ番号が依頼内容と一致するかを確かめ、依頼したデータが受領されたことを確認するためです。
Q: P社の確認印があることを確認するだけでは不十分ですか?
A: 確認印だけでは、受領書がどのテストデータに対応するか分かりません。データ依頼書の写しと照合して、番号の一致を確かめる必要があります。

関連キーワード: 監査要点、監査証跡、証憑照合、受領確認、データマスキング

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〔内部監査部長のレビュー(抜粋)〕の(1)について、bに入れる監査資料を10字以内で答えよ。

模範解答

マスク処理結果票

解説

解答の導き方

  1. 表3項番1では、データ依頼書の写しにB社通販課長の確認印があることを確認します。しかし、確認印だけでは、マスク処理が正常に行われたことを示す記録と、データ依頼書との対応までは確かめられません。
  2. 表1では、マスク処理が正常に終了すると、テストデータ番号をファイル名とするテストデータが出力され、「テストデータ番号が記載されたマスク処理結果票」が作成されます。また、そのテストデータ番号をデータ依頼書に記入します。
  3. したがって、データ依頼書の写しと、マスク処理が正常に終了したときに作成される記録を照合し、テストデータ番号が一致することを確認すれば、依頼書とマスク処理結果との対応を確かめられます。照合する監査資料は、マスク処理結果票です。

誤りやすいポイント

  • 受領書と取り違える:受領書は、P社がCD-Rを受領したことを確認する資料です。マスク処理が正常に終了したことを示す資料ではありません。
  • データ依頼書だけで十分と考える:データ依頼書の写しには確認印がありますが、マスク処理の結果を記録した資料との照合が必要です。
  • テストデータそのものを選ぶ:問われているのは、データ依頼書の写しと照合する監査資料です。表1でマスク処理の結果として作成される資料に注目します。

FAQ

Q: なぜマスク処理結果票とデータ依頼書の写しを照合するのですか?
A: 両方に記載されたテストデータ番号を照合し、依頼したテストデータとマスク処理の結果が対応していることを確認するためです。
Q: 受領書との照合では不十分ですか?
A: 受領書で確認できるのは、P社がCD-Rを受領したことです。マスク処理が正常に終了したことの確認には、マスク処理結果票が適しています。
Q: マスク処理結果票との照合だけで、出力データの内容すべてを確認できますか?
A: テストデータ番号によって依頼との対応を確認できますが、出力データの内容すべてを直接確認する手続とは異なります。

関連キーワード: 監査証拠、証憑突合、データマスキング、監査手続、内部統制

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〔内部監査部長のレビュー(抜粋)〕の(2)の①について、監査手続において確認する事項を二つ挙げ、それぞれ30字以内で述べよ。

模範解答

①:業務体制図上の全ての従業員について教育実施記録があるか。 ②:従業員の着任年月と教育実施年月が一致しているか。

解説

解答の導き方

  1. 確認するのは、P社が受託業務を担当する従業員に情報セキュリティ教育を実施しているかです。確認書には、教育は「着任時に」実施しているとあります。したがって、確認印の有無だけでなく、添付資料を照合して、この説明を裏付ける必要があります。
  2. 業務体制図には、P社保守業務担当の従業員の氏名や着任年月が記載されています。一方、教育実施記録には、従業員氏名や教育実施年月が記載されています。まず、業務体制図に載っている従業員一人ひとりに対応する教育実施記録があるかを確認すれば、担当者全体への教育実施を確認できます。
  3. さらに、教育が「着任時」に行われたという説明を確かめるには、両資料で従業員を照合するだけでは足りません。業務体制図の着任年月と、教育実施記録の教育実施年月も比べ、両者が一致しているかを確認します。これにより、教育の実施時期も確認できます。

誤りやすいポイント

  • 教育実施記録があることだけを確認し、業務体制図に記載された全従業員を網羅しているかを見落とすことがあります。
  • 従業員氏名が両資料にあることだけで十分と考え、着任年月と教育実施年月の対応を確認しない誤りがあります。
  • 確認書に教育を実施していると回答されていることや、確認印があることだけで、実施状況まで確認できたと判断しないようにします。

FAQ

Q: なぜ従業員氏名を照合するのですか?
A: 教育実施記録が、業務体制図に記載された受託業務の担当者を対象としているか確認するためです。
Q: なぜ年月も照合するのですか?
A: 教育を着任時に実施しているという説明を確かめるためです。担当者の記録があっても、教育の時期が着任時と合っているとは限りません。
Q: 業務体制図と教育実施記録の照合で、何を確認できますか?
A: 担当者全員への教育実施と、着任時期に応じた教育実施の両方を確認できます。

関連キーワード: 情報セキュリティ教育、監査証拠、網羅性、適時性、資料の突合、外部委託管理

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〔内部監査部長のレビュー(抜粋)〕の(2)の②について、内部監査部長が“P社から提出された情報セキュリティ確認書の添付資料同士を照合するだけでは、監査手続として不十分である”と考えた理由を、45字以内で述べよ。

模範解答

受託業務担当の従業員に対する教育実施記録を網羅的に確認する必要があるから

解説

解答の導き方

  1. 確認対象は、P社の受託業務を担当する従業員に対する情報セキュリティ教育です。P社の情報セキュリティ確認書では、教育を「着任時に」実施すると回答しています。そのため、担当者が新たに加わったときに教育を受けたかが重要です。
  2. 一方、添付資料は「12月時点の業務体制図及び12月時点の教育実施記録」です。これらの資料同士を照合すれば、12月時点の担当者と教育記録が対応しているかは確認できます。しかし、確認できる範囲は12月時点の情報に限られます。
  3. P社保守業務担当は「従業員5名」で構成され、その一部は「毎年4月に異動」となり、契約社員の一部も「契約更改時に入れ替わっている」とあります。つまり、年の途中で担当者が変わる可能性があります。
  4. そのため、12月時点の資料だけを照合するのでは、年間を通じて受託業務を担当した従業員全員について、着任時の教育実施記録があるかを確かめきれない場合があります。担当者の交代も考慮して、受託業務担当の従業員に対する教育実施記録を網羅的に確認する必要があります。

誤りやすいポイント

  • 業務体制図と教育実施記録に記載された氏名が一致すれば、教育の実施状況を十分に確認できると考えることです。氏名の一致は、資料間の対応を確認するものですが、年間を通じた担当者全員を把握できるとは限りません。
  • 「着任時に」教育を行うという回答に注目せず、教育実施記録の有無だけを確認することです。担当者の入れ替わりがあるため、着任した人ごとの記録が必要です。
  • 12月時点の資料が、年間の担当者の変遷も含む資料だと誤解することです。問題文では、添付資料は12月時点のものとされています。

FAQ

  • Q: 業務体制図と教育実施記録の照合では、何を確認できますか?
    A: 12月時点の担当者と教育実施記録が対応しているかを確認できます。ただし、それだけでは年間を通じた担当者全員の教育実施を網羅できない場合があります。
  • Q: なぜ担当者の入れ替わりが監査上の問題になるのですか?
    A: 教育は着任時に実施するとされているため、交代で新たに担当になった従業員にも教育が行われたかを確認する必要があるからです。
  • Q: 監査では何を網羅的に確認する必要がありますか?
    A: 受託業務を担当した従業員全員について、着任時の教育実施記録があるかを確認する必要があります。

関連キーワード: 情報セキュリティ教育、監査証拠、網羅性、母集団、委託先管理

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〔本調査の結果(抜粋)〕の(2)について、外部委託管理規程の具体的な改定内容を、50字以内で述べよ。

模範解答

再委託先など委託業務体制が変更された場合に、速やかに情報セキュリティ確認書を提出させる。

解説

解答の導き方

この設問では、情報セキュリティ確認書の提出ルールを、どのように改定すれば本調査で判明した問題を防げるかを考えます。
まず、現在の外部委託管理規程では、情報セキュリティ確認書を提出させる時期は「契約締結時、及び年1回(毎年12月)」です。つまり、契約締結時と年1回の定期確認は定められていますが、委託業務の体制が途中で変わったときに提出させるルールはありません。
一方、通販システムのクレジットカード決済機能の再委託先は、今年1月にQ社からR社へ変更されています。年1回の提出時期は12月なので、体制変更があっても次の定期提出まで確認の機会がありません。実際に本調査では、B社システム部が現在の再委託先R社の情報セキュリティ管理状況を確認していないことが分かっています。
したがって、提出時期を年1回に限らず、再委託先の変更など委託業務体制に変更が生じた場合にも、情報セキュリティ確認書を提出させる必要があります。また、変更後の状況を長期間確認できないままにしないよう、提出時期は変更から「速やかに」とするのが適切です。

誤りやすいポイント

  • 年1回の提出頻度を「年2回」などに増やすだけでは、変更の時期によって確認までの空白が生じる可能性があります。体制変更そのものを提出のきっかけにすることが重要です。
  • 再委託先の変更だけに対象を限定すると、担当者など別の委託業務体制の変更を捉えられないことがあります。「再委託先など委託業務体制が変更された場合」と捉えます。
  • 変更時に業務体制図だけを更新させるのではなく、情報セキュリティ管理状況を確認できる情報セキュリティ確認書を提出させる必要があります。
  • 提出時期を明確にせず「変更時に提出させる」とするだけでは、確認が遅れるおそれがあります。速やかな提出を求めることが大切です。

FAQ

Q: 毎年12月に確認しているのに、なぜルールの改定が必要なのですか?
A: 今年1月のように定期提出の時期以外に体制が変わると、次の提出時期まで変更後の委託先を確認できないためです。
Q: どのような変更を提出のきっかけとして考えればよいですか?
A: 再委託先の変更に加え、委託業務を担当する体制に関わる変更も対象として考えます。
Q: 変更後、次の定期提出時にまとめて提出させるのではいけませんか?
A: それでは変更から確認までの期間が長くなる可能性があるため、変更後は速やかに提出させます。

関連キーワード: 外部委託管理、再委託管理、情報セキュリティ確認、変更管理、定期確認

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