登録販売者 2021年 奈良・関西広域連合・福井 問72
問題文
薬の吸収、代謝、排泄に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 直腸下部の粘膜から吸収された坐剤の有効成分の多くは、全身循環に入る前に門脈を経由し肝臓を通過する。
b 多くの有効成分は、血液中の血漿タンパク質と不可逆的に結合して複合体を形成する。
c 循環血液中で複合体を形成している有効成分の分子は、細胞膜の外側から内側への移動の際は、トランスポーターによって輸送される。
d 腎機能が低下した人では、正常の人よりも有効成分の尿中への排泄が遅れるため、医薬品の効き目が過剰に現れることがある。
選択肢
1:a:正、b:正、c:正、d:正
2:a:誤、b:誤、c:正、d:正
3:a:誤、b:誤、c:誤、d:正(正解)
4:a:正、b:正、c:誤、d:誤
5:a:正、b:誤、c:正、d:誤
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薬の吸収・代謝・排泄【登録販売者解説】
正解の理由
坐剤の直腸下部から吸収された成分は肝臓を先に通らず、血漿タンパク質との結合は可逆的で、結合した成分はトランスポーターで運ばれません。
正しい組合せは3で、a・b・cは誤り、dは正しいです。根拠は、厚生労働省『試験問題の作成に関する手引き(平成30年3月)』第2章「人体の働きと医薬品」の「薬の生体内運命」「循環血液中に移行した有効成分の代謝と排泄」です。
正しい組合せは3で、a・b・cは誤り、dは正しいです。根拠は、厚生労働省『試験問題の作成に関する手引き(平成30年3月)』第2章「人体の働きと医薬品」の「薬の生体内運命」「循環血液中に移行した有効成分の代謝と排泄」です。
解法ステップ
- aは「直腸下部」「門脈を経由し肝臓を通過」に注目します。直腸下部からの血液は、肝臓を通らず心臓へ向かいます。
- bは「不可逆的」に注目します。血漿(けっしょう)タンパク質との結合は、結合したり離れたりする可逆的なものです。
- cは「複合体」「トランスポーターによって輸送」に注目します。複合体を形成した有効成分は、トランスポーターによって輸送されません。
- dは腎機能の低下によって尿中への排泄が遅れ、血中濃度が下がりにくくなるという流れです。dを正しいと判断し、ほかの記述と組み合わせます。
選択肢別の誤答解説
-
a
×(直腸下部から吸収された成分の多くは門脈を経由して肝臓を通過する)→ ○(直腸下部の粘膜から吸収された成分は、肝臓を経由せずに心臓へ到る)
直腸(ちょくちょう)下部の粘膜の下には静脈が豊富にあり、そこから吸収された成分は、内服薬のように先に肝臓を通るわけではありません。 -
b
×(不可逆的に結合)→ ○(速やかかつ可逆的に結合)
血漿タンパク質との結合は、成分がタンパク質に結び付いたり、離れたりする関係です。「不可逆的」は誤りです。 -
c
×(複合体を形成した有効成分はトランスポーターによって輸送される)→ ○(複合体を形成した有効成分はトランスポーターによって輸送されない)
トランスポーターは、細胞膜を通して特定の物質を運ぶ膜タンパク質です。手引きでは、血漿タンパク質との複合体を形成した成分は、トランスポーターによって輸送されないとされています。 -
d
腎機能が低下すると、有効成分の尿中への排泄が遅れ、血中濃度が下がりにくくなることがあります。その結果、医薬品の効き目が過剰に現れたり、副作用が生じやすくなったりするため、正しい記述です。
組合せの確認
- 1は、a・b・cを正としている点が異なります。
- 2は、cを正としている点が異なります。
- 4は、a・bを正、dを誤としている点が異なります。
- 5は、a・cを正、dを誤としている点が異なります。
- a・b・cが誤り、dが正しい組合せは3です。
よくある誤解
- 「坐剤は直腸から使うので、吸収後は必ず肝臓を通る」と考えがちです。直腸下部からの吸収では、肝臓を先に通らない経路があります。
- 「血漿タンパク質と結合した成分は、完全に固定される」と考えがちです。結合は可逆的で、成分は結合と解離を繰り返します。
- 「トランスポーターは、血液中の成分を何でも細胞内へ運ぶ」と考えがちです。複合体を形成した成分は、トランスポーターで輸送されません。
補足コラム
血漿タンパク質と結合した複合体は、薬物代謝酵素の作用を受けず、腎臓でも濾過されません。そのため、成分が血液中に長くとどまり、作用が持続する原因となることがあります。結合が「可逆的」であることと、複合体が「代謝・輸送・濾過されにくい」ことを分けて覚えましょう。
FAQ
Q. 腎機能の低下で、なぜ効き目が強く現れることがあるのですか?
A. 腎臓から尿中へ排泄される成分が体内に残りやすくなり、血中濃度が下がりにくくなるためです。
A. 腎臓から尿中へ排泄される成分が体内に残りやすくなり、血中濃度が下がりにくくなるためです。
Q. 坐剤はすべて肝臓を通らずに全身へ作用しますか?
A. 坐剤は直腸から成分を吸収させる剤形ですが、肝臓を先に通らない経路については、直腸下部の粘膜から吸収された場合として理解しましょう。
A. 坐剤は直腸から成分を吸収させる剤形ですが、肝臓を先に通らない経路については、直腸下部の粘膜から吸収された場合として理解しましょう。
関連キーワード: 直腸下部、門脈、血漿タンパク質、複合体、トランスポーター、腎機能、尿中排泄

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