応用情報技術者 2009年 秋期 午前2 問15
問題文
フェールセーフの考え方として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:システムに障害が発生したときでも、常に安全側にシステムを制御する。(正解)
イ:システムの機能に異常が発生したときに、すぐにシステムを停止しないで機能を縮退させて運用を継続する。
ウ:システムを構成する要素のうち、信頼性に大きく影響するものを複数備え、システムの信頼性を高める。
エ:不特定多数の人が操作しても、誤動作が起こりにくいように設計する。
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フェールセーフの原則【午前2解説】
正解の理由
選択肢アは、故障や異常発生時にシステムを「安全側の状態」に移行または維持するというフェールセーフ(fail-safe)の本質を述べています。フェールセーフは安全リスクを最小化することが目的であり、故障時に危険な状態に留まらないように設計することを指します。例えば、信号装置の故障であれば「停止(赤)」にする、機械の電源遮断であればブレーキが作動して運転を止める、といった動作が典型例です。したがって選択肢アが正解になります。
解法ステップ
- 設問のキーワードを抽出する:故障時・安全側・制御 など。
- 各候補の定義と照合する:
- 「故障時に安全側へ移す」→ フェールセーフ。
- 「機能を縮退させて継続」→ フォールトトレランス/グレースフルデグラデーション。
- 「冗長化して信頼性向上」→ 冗長化(フォールトトレランスに関連)。
- 「操作ミスを防ぐ設計」→ ユーザビリティ/ポカヨケ(ヒューマンファクタ)。
- 最もフェールセーフの定義に合致する選択肢を選ぶ(今回ではア)。
選択肢別の誤答解説
- ア:正解。故障時に安全な状態へ制御・遷移させることがフェールセーフの本質。例:信号故障で赤になる、機械の異常で動力遮断して停止する等。
- イ:誤り。これは「フォールトトレランス(fault tolerance)」や「グレースフルデグラデーション(graceful degradation)」の考え方に近く、機能を縮退させて運用を継続することを示す。フェールセーフとは目的が異なり、継続可否やサービス可用性を重視する設計である。
- ウ:誤り。複数の要素を持たせて信頼性を高めるのは「冗長化」やフォールトトレランスの手法。冗長化は停止を避けるために用いるが、必ずしも故障時に安全側へ移行する(危険状態を避ける)ことを意味しない。
- エ:誤り。操作ミスを起こりにくくする設計は「ヒューマンファクタ」「ユーザビリティ」「ポカヨケ(ミスプルーフ)」の領域であり、フェールセーフとは別概念である。操作性を高めても、故障発生時の安全確保(フェールセーフ)とは目的が異なる。
(注意)操作ミス防止を「フォールトトレランス」とするのは誤りです。フォールトトレランスは故障を許容して機能を維持する設計であり、人的エラー防止は別の設計領域です。
よくある誤解
- フェールセーフ=故障が起きても動き続ける、という誤解:逆にフェールセーフは「安全のために停止する」ことを含む。動かし続けるのはフォールトトレランスの方向性。
- 冗長化がそのままフェールセーフだと思う誤解:冗長化は可用性向上手段であり、安全優先で停止させるフェールセーフとは目的が異なる。
- 操作ミス防止もフェールセーフに含まれると誤解すること:ユーザビリティ/ポカヨケは人的エラー低減の対策で、フェールセーフは故障時の安全確保が主眼。
補足コラム
- フェールセーフの実装例
- 鉄道信号:故障時は赤(停止)になる設計。
- エレベーター:停電時にブレーキが作動して落下を防ぐ。
- 産業機械:センサーが異常を検知したら動作を停止して人身事故を防ぐ。
- フェールセーフとフォールトトレランスの使い分け
- フェールセーフ:安全性最優先。故障時に安全を確保する(停止や安全状態への移行)。
- フォールトトレランス:可用性最優先。冗長化などで機能を維持・縮退運用する。
- セキュリティ観点の類似語:fail-secure(故障時に機密性を守る)という考え方もあり、フェールセーフとは異なる目的(安全 vs セキュリティ)で用いられる。
FAQ
Q1: フェールセーフとフォールトトレランスは併用できますか?
A1: はい。重要システムでは安全確保のためにフェールセーフを設けつつ、サービス継続が必要な部分では冗長化によるフォールトトレランスも組み合わせます。目的に応じて設計方針を分けることが重要です。
A1: はい。重要システムでは安全確保のためにフェールセーフを設けつつ、サービス継続が必要な部分では冗長化によるフォールトトレランスも組み合わせます。目的に応じて設計方針を分けることが重要です。
Q2: 「停止=安全」と言い切れるのですか?
A2: 多くの場合は停止や安全側への遷移が安全だが、状況によっては「部分的な縮退で最小限の機能を維持する」方が安全なケースもあり得ます(例:医療機器など)。設計時にリスク評価を行い、どの動作が最も安全か決めます。
A2: 多くの場合は停止や安全側への遷移が安全だが、状況によっては「部分的な縮退で最小限の機能を維持する」方が安全なケースもあり得ます(例:医療機器など)。設計時にリスク評価を行い、どの動作が最も安全か決めます。
Q3: 操作ミスをなくすことはフェールセーフに含まれますか?
A3: 含まれません。操作ミス対策はヒューマンファクタやユーザビリティ、ポカヨケの設計領域です。ただしヒューマンエラーの結果として起きうる危険を防ぐために、フェールセーフ的な設計を併用することはあります。
A3: 含まれません。操作ミス対策はヒューマンファクタやユーザビリティ、ポカヨケの設計領域です。ただしヒューマンエラーの結果として起きうる危険を防ぐために、フェールセーフ的な設計を併用することはあります。
関連キーワード: フェールセーフ、フォールトトレランス、冗長化、グレースフルデグラデーション、ポカヨケ、ユーザビリティ、fail-safe、fail-secure

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