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応用情報技術者 2009年 秋期 午前216


問題文

オンラインシステムの端末数と平均応答時間の関係を表したグラフとして、適切なものはどれか。ここで、一定時間内に1台の端末から到着する平均トランザクション数は一定とする。また、それぞれのグラフの特徴が分かりやすいように補助線(点線)を加えてある。
応用情報技術者 2009年 秋期 午前2 問16の選択肢の画像

選択肢

(正解)

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利用率と応答時間【午前2解説】

正解の理由

端末数が増えるとシステムへの総到着率が線形に増加し、サーバの利用率(ρ)が上昇します。待ち行列モデル(代表例:M/M/1)では平均応答時間が利用率に強く依存し、ρ→1 に近づくと待ち時間が急激に増大して発散します。すなわち、低負荷域ではサービス時間に近いほぼ一定値だが、ある点を境にキューイング遅延が急増して縦に立ち上がる形状になります。選択肢の中でこの典型的な「低負荷で平坦、限界近くで急激上昇」を示しているのが です。グラフ中で実線と点線はサービス能力(処理率 μ やサーバ数など)が異なるケースを表し、処理能力が高い方(点線)の方が低い応答時間で、急増する位置が右にずれている点も理にかなっています。
(参考式:M/M/1 の平均応答時間) この式からも、ρ→1 のとき が発散することが分かります。

解法ステップ

  1. 問題文の条件から「1端末あたり到着率は一定」なので、端末数 N に対して総到着率は と線形増加することを確認。
  2. サーバの利用率を と表し、N に比例して ρ が増えることを理解。
  3. キューイング理論の代表例(M/M/1)での挙動を用い、低負荷では応答時間がほぼ一定、ρ がある値に近づくと待ち時間が急増し発散することを思い出す。
  4. 各図の形状と上記の期待挙動を照合し、「低負荷で平坦 → 限界付近で急増」を示す図を選ぶ(該当は )。

選択肢別の誤答解説

  • 図ア:原点付近から実線がやや上向きに立ち上がっている点が不自然です。実際は低負荷域ではほぼサービス時間に相当する一定値に近く、原点付近で明確に増加している描き方は誤りです(キューイング遅延は利用率に依存して生じるため、到着率が小さいうちは急増しない)。
  • 図イ:応答時間が端末数に対して一直線に増加する形は、待ち行列の理論的挙動と合致しません。キューイング遅延は非線形で、特に限界近傍で急増するため単純な直線にはならない。
  • 図ウ:応答時間が上限に飽和して水平に近づくという描き方は誤りです。有限のサービス率・単一サービス点の場合、到着率がサービス率を上回ると理論上応答時間は発散(無限大へ)し、有限上限に収束することは基本的にない(ただしバッファや外部制御で見かけ上は制限されるが本問の単純モデル想定では不適合)。
  • 図エ:低負荷でほぼ水平に推移し、ある点を過ぎると急激に上がる—これはキューイング理論が示す典型的な形であり、実線・点線のずれも処理能力差による「膝点(knee)」の移動として合理的です。よって正しい。

よくある誤解

  • 応答時間は必ずしも線形に増えると思う誤解:低負荷ではほぼ一定、限界近くで急増する非線形挙動が正解です。
  • 「応答時間には上限がある」と考える誤解:単純キューイングモデルでは上限で飽和するのではなく、利用率がサービス能力に近づくと発散的に大きくなります(制御機構がない限り)。
  • 端末数と1端末あたり到着率を混同する誤解:問題は「1端末あたりは一定」なので総到着率は端末数に比例して増える点を忘れないこと。

補足コラム

簡単な数値例(M/M/1、サービス率 μ=1 [処理/秒]、1端末あたり到着率 λ_t=0.1 [要求/秒]):
  • N=5 → λ=0.5, ρ=0.5 ⇒ (秒)
  • N=9 → λ=0.9, ρ=0.9 ⇒ (秒)
  • N=10 → λ=1.0, ρ=1.0 ⇒ (発散) このように N の増加に伴い、ある領域までは緩やかだが限界付近で急激に増えることが具体的に示せます。

FAQ

Q1. 実線と点線は何を表しているのですか?
A1. 通常、処理能力(サーバの処理率 μ やサーバ数 c)やサービス時間分布の違いを表すことが多いです。処理能力が高い(μ が大きい)ほど応答時間は低く、急増する「膝点」は右に移動します。
Q2. 複数サーバ(M/M/c)の場合はどう変わりますか?
A2. 複数サーバでは単一サーバより高い総処理能力を持てるため、同じ到着率でも利用率は下がり、急増する点は右へずれます。ただし負荷が非常に高くなるとやはり待ち時間は大きくなります(発散の考え方は残る)。
Q3. 「指数関数的に増加する」と表現してよいか?
A3. 正確には「指数関数的」と特定するのは誤解を招きます。代表モデル(M/M/1)では のように で発散する形であり、「急激に増大・発散する」と表現するのが適切です。

関連キーワード: キューイング理論、平均応答時間、利用率、M/M/1、待ち行列、到着率、処理率
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