応用情報技術者 2011年 秋期 午前2 問67
問題文
現在の動向から未来を予測したり、システム分析に使用したりする手法であり、専門的知識や経験を有する複数の人にアンケート調査を行い、その結果を互いに参照した上で調査を繰り返して、集団としての意見を収束させる手法はどれか。
選択肢
ア:因果関係分析法
イ:クロスセクション法
ウ:時系列回帰分析法
エ:デルファイ法(正解)
🔒 解説は解答すると表示されます
デルファイ法【午前2解説】
正解の理由
この問題が示す「専門的知識や経験を有する複数の人にアンケートを行い、結果を互いに参照して調査を繰り返し、集団としての意見を収束させる手法」という記述は、エのデルファイ法に該当します。デルファイ法は匿名の専門家群に対する複数ラウンドの質問(アンケート)と、各ラウンド後の統計的集約およびフィードバックを繰り返すことで、意見の収束(コンセンサス)を図る予測・意思決定支援手法です。特徴として匿名性、反復(ラウンド)、制御されたフィードバック、集計といった要素が明確に当てはまります。歴史的には1950年代にアメリカのランド研究所(RAND)でNorman DalkeyやOlaf Helmerらによって開発されました。
解法ステップ
- 問題文からキーワードを抽出する:「専門的知識や経験を有する複数の人」「アンケート調査」「結果を互いに参照」「調査を繰り返す」「意見を収束」など。
- 各選択肢の定義とキーワード照合:
- Delphiの定義に「匿名の反復的アンケートで意見を収束させる」があるか確認する。
- 他の手法(因果関係分析、クロスセクション、時系列回帰)がアンケート反復や専門家の意見集約を本質とするか照らし合わせる。
- 一致するものを選ぶ:上述キーワード群とピッタリ合致するのがデルファイ法であるため選択する。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 因果関係分析法
因果関係分析は変数間の因果や影響を特定・検証する手法であり、通常はデータ解析や統計モデル、実験デザインを用いる。専門家アンケートを反復して集団の意見を収束させる手続きとは異なる。 -
イ: クロスセクション法
クロスセクション分析は同一時点で複数対象の観測値を解析する手法(横断面分析)。アンケートを何度も回して意見を収束させるという概念は含まれない。 -
ウ: 時系列回帰分析法
時系列回帰は時間的連続データに対する統計モデルであり、過去の観測値から将来を予測するが、専門家の匿名アンケートを反復してフィードバックし合う集団コンセンサス手法ではない。 -
エ: デルファイ法
専門家アンケートを複数ラウンドで実施し、集計とフィードバックを通じて意見を収束させる手続きそのものを指すため適合する。
よくある誤解
- デルファイ法は討論会(公開の会議)と同じと思う
実際は匿名性を保ち、個々の専門家が互いの影響を受けにくい状態で意見を出す点が重要です。公開討論とは手続きとバイアスの性質が異なります。 - デルファイ法は定量的な回帰分析と同等だと思う
デルファイ法は主に専門家の意見集約(定性的・半定量的)を目的とし、統計モデルのような因果検証やパラメータ推定が主眼ではありません。 - 発祥年代の誤認
デルファイ法は1940年代ではなく、1950年代にRANDでNorman DalkeyやOlaf Helmerらによって体系化されました。
補足コラム
- 代表的な特徴
- 匿名性:参加者の同調バイアスを低減。
- 反復ラウンド:通常2~4ラウンド。各ラウンドで集計結果(中央値・分布等)を返す。
- 制御されたフィードバック:集団の分布や意見差の理由を参加者に示すことで再考を促す。
- 実務上のポイント
- 参加専門家の数は目的により異なるが、10~30名程度が一般的。
- 集約指標として中央値や四分位範囲(IQR)を用いることが多い。IQRの縮小を収束の一指標とする。
- バリエーションとして「修正版デルファイ(Modified Delphi)」「ポリシーデルファイ(Policy Delphi)」などがある(目的や公開度合いが異なる)。
- 実施例(簡易プロトコル)
- 主題と質問票の設計
- 専門家に第1ラウンドを配布(自由回答や評価)
- 回答を集計し要約(中央値・コメント抽出)してフィードバック
- 第2ラウンド以降で評価の再提示・理由提示を受け取り再集計
- 収束が得られれば終了、得られなければ追加ラウンドまたは別手法へ移行
FAQ
Q1: 何ラウンド行えばよいですか?
A1: 目的と参加者の反応次第ですが、実務では2〜4ラウンドが多く、IQRや回答変化が小さくなれば終了します。
A1: 目的と参加者の反応次第ですが、実務では2〜4ラウンドが多く、IQRや回答変化が小さくなれば終了します。
Q2: 匿名でなければデルファイとは言えませんか?
A2: 匿名性はデルファイの重要な要素ですが、目的や状況に応じて匿名度を調整した修正版デルファイも用いられます。
A2: 匿名性はデルファイの重要な要素ですが、目的や状況に応じて匿名度を調整した修正版デルファイも用いられます。
Q3: 統計的な裏付けは必要ですか?
A3: 完全な統計解析を行う必要はありませんが、中央値や分散、IQRなどの集計指標を用いて収束状況を定量的に評価するのが一般的です。
A3: 完全な統計解析を行う必要はありませんが、中央値や分散、IQRなどの集計指標を用いて収束状況を定量的に評価するのが一般的です。
Q4: デルファイはどんな場面で有効ですか?
A4: 将来予測、技術ロードマップ、政策判断、リスク評価など、専門家の知見が重要で客観データが不足する分野に有効です。
A4: 将来予測、技術ロードマップ、政策判断、リスク評価など、専門家の知見が重要で客観データが不足する分野に有効です。
関連キーワード: デルファイ法、エキスパート意見集約、反復アンケート、コンセンサスメソッド、匿名評価、IQR、中央値、予測手法、ランド研究所、Norman Dalkey、Olaf Helmer、修正版デルファイ、政策分析、意思決定支援

\ せっかくなら /
応用情報技術者を
クイズ形式で学習しませんか?
クイズ画面へ遷移する→
すぐに利用可能!

