応用情報技術者 2011年 秋期 午前2 問79
問題文
下請代金支払遅延等防止法において、下請業者から受領したプログラムの返品を禁止しているのは、どの場合か。
選択肢
ア:委託内容の一部を受領したが、下請業者の要員不足が原因で開発が遅れている旨の説明を受けた。
イ:親事業者と顧客との間の委託内容が変更になり、既に受領していたプログラムが不要になった。(正解)
ウ:開発途上で発生した仕様変更の内容、対価などを下請業者と合意していたが、受領したプログラムには仕様変更が反映されていなかった。
エ:受領時の通常のテストでは発見できなかった重大なバグが、受領後5か月経過した時点で発見された。
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親事業者の一方的返品禁止【午前2解説】
正解の理由
下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」)は、親事業者が正当な理由なく下請業者から受領した成果物を一方的に返品し、代金の支払いを回避することを禁じています。選択肢のうち、親事業者の都合(親事業者と顧客との委託内容の変更)だけで既に受領したプログラムが不要になったケースがこれに該当します。したがって、イが正解です。
ただし、仕様未反映や発見された重大なバグなど、受領した成果物に「契約不適合」や「瑕疵(欠陥)」がある場合は、民法上の債務不履行・契約不適合責任として受領拒否、是正請求、代金減額、最終的には解除や損害賠償を主張できる場合があり、これらは下請法による一律の返品禁止の例外になり得ます。選択肢のうちウ・エはこのような契約上の救済が検討され得る事例であり、単純に返品禁止の例外にならないと断定するのは誤りです。
解法ステップ
- 下請法の趣旨を確認する:親事業者による不当な返品や代金不払いを防ぐことが目的である点を押さえる。
- 各選択肢が「親事業者の一方的都合によるもの」か、「下請業者の履行不備・瑕疵等の正当な理由」に当たるかを分類する。
- 「親事業者の都合のみ」で受領物が不要になったケースがあれば、それが下請法で禁止される典型例であると判断する。
- 仕様未反映や重大なバグなど、成果物自体に問題がある場合は民法上の救済がある旨を念頭に置く(単純な返品禁止の例外になり得る)。
具体的には、受領物が親事業者の内部事情(顧客との契約変更など)で不要になったなら禁止(イ)。一方、下請業者の履行不備や不可避な瑕疵は契約上の争点であり、まずは是正要求や検収基準に基づく手続きが優先される。
選択肢別の誤答解説
- ア: 委託内容の一部は受領しており、開発遅延が下請業者の要員不足に起因するという説明。これは親事業者の一方的な都合で既に受領した成果物を返品する典型例ではありません(遅延があるからといって受領済み部分を返却する正当性は薄い)。ただし遅延自体は履行遅滞の問題であり、契約条項に基づく対応(履行の催告・損害賠償等)が検討されます。
- イ: 親事業者と顧客との委託内容変更で、既に受領していたプログラムが不要になった場合。親事業者の一方的な都合で成果物を返品して代金を支払わないことは下請法の禁止行為に該当する典型です。
- ウ: 仕様変更を合意していたにもかかわらず、受領プログラムにそれが反映されていなかった場合。これは契約不適合(履行不備)にあたり、下請業者に対する是正要求や代金減額等の民法上の救済が検討される事案です。単に「返品禁止の例外にならない」と切り捨てるのは誤りで、契約の内容・合意記録・検収基準に応じた対応が必要です。
- エ: 受領後5か月で発見された、受領時の通常のテストでは発見できなかった重大なバグ。隠れた瑕疵(潜在的欠陥)に該当する可能性があり、発見後の迅速な通知を条件に修補請求・代金減額・損害賠償などの救済が検討されます。受領後の発見だからといって自動的に返品禁止の例外にならないが、瑕疵として正当な対応を求められる場合はある点を押さえる必要があります。
よくある誤解
- 誤解1: 「仕様未反映やバグは常に返品不能である」
→ 実務上・法的には、契約不適合や瑕疵が認められる場合、受領拒否や修補要求、代金減額等の救済が可能です。重要なのは問題が契約に照らして瑕疵か否か、そして合意や検収条件です。 - 誤解2: 「下請法はすべての返品を禁止する万能法である」
→ 下請法は不当な返品や代金不払いを防ぐことが目的ですが、民法上の債務不履行や契約不適合責任に基づく正当な救済(是正請求等)まで否定するものではありません。両者の役割を区別して考える必要があります。
補足コラム
実務的な対応のポイント
- 受領・検収は書面(受領書/検収書)で行い、仕様変更や追加合意は必ず変更注文(Change Order)で記録する。
- 仕様未反映やバグがある場合は、発見したら速やかに文書で通知し、是正・修補の機会を与えることが重要。通知遅延は権利行使を制約する場合があります。
- 親事業者は単に「不要になった」ことを理由に成果物を返却・代金不払いにすると下請法上問題となるため、内部での方針変更は下請業者と協議の上で調整(代金の支払い、仕様差分の精算、別途再利用の検討など)するべきです。
- 紛争になった場合は、まずは当事者間での交渉、次いで行政相談(公正取引委員会等)や民事的救済(損害賠償や契約解除)を検討します。
FAQ
Q1: 仕様未反映のまま納品されたプログラムはすぐに返品できますか?
A1: 仕様不適合(契約不適合)に該当する可能性が高く、まずは是正(修補)や代金減額など契約上の手続きをとるのが通常です。単純に一方的に返品し代金を支払わないことは不当な扱いとなる恐れがあります。
A1: 仕様不適合(契約不適合)に該当する可能性が高く、まずは是正(修補)や代金減額など契約上の手続きをとるのが通常です。単純に一方的に返品し代金を支払わないことは不当な扱いとなる恐れがあります。
Q2: 受領後に重大なバグを見つけたらどうすればよいですか?
A2: 発見後速やかに書面で通知し、修補や代金減額、損害賠償等の対応を請求します。検収条項や保証期間、通知義務の有無が権利行使に影響するため、契約書を確認してください。
A2: 発見後速やかに書面で通知し、修補や代金減額、損害賠償等の対応を請求します。検収条項や保証期間、通知義務の有無が権利行使に影響するため、契約書を確認してください。
Q3: 不当な返品を受けたらどこに相談すればよいですか?
A3: まずは弁護士等に相談のうえ、下請法に関する相談窓口(地方の公正取引担当部署や公正取引委員会の相談窓口)に問い合わせることが考えられます。
A3: まずは弁護士等に相談のうえ、下請法に関する相談窓口(地方の公正取引担当部署や公正取引委員会の相談窓口)に問い合わせることが考えられます。
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