応用情報技術者 2012年 春期 午前2 問53
問題文
システム開発の見積方法の一つであるファンクションポイント法の説明として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:開発規模が分かっていることを前提として、工数と工期を見積もる方法である。ビジネス分野に限らず、全分野に適用可能である。
イ:過去に経験した類似のシステムについてのデータを基にして、システムの相違点を調べ、同じ部分については過去のデータを使い、異なった部分は経験から規模と工数を見積もる方法である。
ウ:システムの機能を入出力データ数やファイル数などによって定量的に計測し、複雑さとアプリケーションの特性による調整を行って、システム規模を見積もる方法である。(正解)
エ:単位作業量の基準値を決めておき、作業項目を単位作業項目まで分解し、その積算で全体の作業量を見積もる方法である。
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ファンクションポイント法【午前2解説】
正解の理由
ファンクションポイント法は、システムの機能を入出力データ数やファイル数などで定量化し、その複雑さやアプリケーション特性で調整して規模を算出する手法です。選択肢の中でこの定義を正確に表しているのが ウ です。具体的には、外部入力(EI)・外部出力(EO)・外部照会(EQ)・内部論理ファイル(ILF)・外部インターフェースファイル(EIF)といった機能単位を数え、複雑さに応じた重み付けを行い、さらにシステム特性で補正してファンクションポイント(FP)を算出します。したがって機能数やファイル数で定量評価する点が決定的に一致します。
解法ステップ
- 問題文のキーワードに注目:「入出力データ数」「ファイル数」「複雑さ」「調整」など、定量的な機能評価を示す語句を探す。
- 各選択肢と突き合わせる:機能数による定量評価→ファンクションポイント法に一致。
- 他の選択肢が示す方法(類推見積り、作業分解、前提条件の違い)と照合して排除する。
- 正答は、機能の数値化+複雑さ・特性の補正を含むもの=ウ。
選択肢別の誤答解説
- ア: 「開発規模が分かっていることを前提として工数と工期を見積もる」とあるが、これは規模が既知の前提での工期見積りに近く、ファンクションポイント法の定義(機能を数えることで規模を決める)と矛盾します。また「全分野に適用可能」と断定するのは過度です。
- イ: 過去の類似システムデータを基に比較して見積もるのは「類推見積り(アナロジー見積り)」で、ファンクションポイント法固有の機能カウントや複雑さの重み付けを含みません。
- ウ: 機能を入出力やファイル数で定量化し、複雑さや特性で調整するプロセスを正しく表現しているため正答。
- エ: 作業項目を単位作業まで分解して積算する手法は「ボトムアップ見積り(作業分解構成)」であり、FP法とは算定アプローチが異なります。
よくある誤解
- FPから工数へ換算する際の生産性の単位表記を混同する:
- 生産性が「人月/FP」で与えられる場合は、工数(人月) = FP × (人月/FP)。
- 生産性が「FP/人月」で与えられる場合は、工数(人月) = FP ÷ (FP/人月)。
単位を明確にして掛け算か除算かを判断してください。
- ファンクションポイントはコード行数(LOC)と同義ではない:FPは機能ベース、LOCは実装量ベース。FPからLOCへ推定する係数は言語や設計によって変わるため注意が必要。
- 「全てのシステムで万能」という誤解:FPはビジネスアプリケーションに強いが、リアルタイム組込みや高度なアルゴリズム中心のシステムでは適用が困難な場合がある。
補足コラム
ファンクションポイント法(IFPUG準拠の一般的手順)は概ね以下の流れです。
- 機能要素の分類とカウント(EI, EO, EQ, ILF, EIF)
- 各要素に対して複雑さ別重みを適用して Unadjusted Function Points (UFP) を算出
- 一般システム特性(14項目程度)を0〜5で評価して合計を求め Value Adjustment Factor (VAF) を算出:
VAF = 0.65 + 0.01 × (TDI)(TDIは特性評価の合計) - Adjusted FP = UFP × VAF が最終的なFP
- FPを生産性に基づいて工数や人員に変換する(上記の単位注意)。
簡単な数値例:UFP = 200、TDI = 30 → VAF = 0.65 + 0.01×30 = 0.95 → FP = 200 × 0.95 = 190。生産性が 5 FP/人月 の場合、工数 = 190 ÷ 5 = 38 人月。生産性を 0.2 人月/FP と表す場合、工数 = 190 × 0.2 = 38 人月。
FAQ
Q. FPと機能点数(Function Points)は同じですか?
A. はい。一般に「ファンクションポイント(FP)」や「機能点数」は同義で、機能単位を数値化したものです。
A. はい。一般に「ファンクションポイント(FP)」や「機能点数」は同義で、機能単位を数値化したものです。
Q. FPはどの段階で使うのが適切ですか?
A. 要件定義〜基本設計段階で効果的です。仕様が確定していない初期段階でも概算として使えますが、正確性は仕様確定度に依存します。
A. 要件定義〜基本設計段階で効果的です。仕様が確定していない初期段階でも概算として使えますが、正確性は仕様確定度に依存します。
Q. LOC(行数)とFP、どちらが優れている?
A. 目的次第です。FPはユーザー視点の機能規模を示し、言語非依存で比較しやすい。一方、LOCは実装量の指標で、後工程の見積りや保守工数推定に使われます。
A. 目的次第です。FPはユーザー視点の機能規模を示し、言語非依存で比較しやすい。一方、LOCは実装量の指標で、後工程の見積りや保守工数推定に使われます。
関連キーワード: ファンクションポイント、FP算出、UFP、VAF、工数換算、生産性、見積り手法、アナロジー見積り、ボトムアップ見積り

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