応用情報技術者 2016年 春期 午前2 問56
問題文
ITサービスマネジメントにおけるサービスレベル管理の説明はどれか。
選択肢
ア:あらかじめ定めた間隔で、サービス目標に照らしてサービスの傾向及びパフォーマンスを監視する。(正解)
イ:計画が発動された場合の可用性の目標、平常業務の状態に復帰するための取組みなどを含めた計画を作成し、導入し、維持する。
ウ:サービスの品質を阻害する事象に対して、合意したサービス目標及び時間枠内に回復させる。
エ:予算に照らして、費用を監視及び報告し、財務予測をレビューし、費用を管理する。
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サービスレベル管理【午前2解説】
正解の理由
選択肢アが正解です。サービスレベル管理(Service Level Management, SLM)は、合意したサービス目標(SLAなど)に対してサービスの実績を継続的に監視・報告し、サービス品質の維持・改善を図るプロセスです。選択肢アの「あらかじめ定めた間隔で、サービス目標に照らしてサービスの傾向及びパフォーマンスを監視する」という記述は、SLMの定期的なモニタリングと評価という核心的活動を端的に表しています。
解法ステップ
- 設問が問うプロセスの「キーワード」を確認する:定期的な監視、サービス目標、傾向・パフォーマンス。
- 選択肢ごとにキーワードを照合する:
- 「監視」「サービス目標」がある記述はSLMに該当する可能性が高い。
- 「計画が発動」「復帰」といった文言は事業継続/サービス継続(BCP/ITSCM)を示唆する。
- 「回復させる」はインシデント管理の役割を示す。
- 「費用を監視」は財務管理/コスト管理に関する記述。
- 最もSLMの核心活動を表す選択肢を選ぶ(この場合はア)。
選択肢別の誤答解説
-
ア(正答)
定期的にサービス実績をサービス目標に照らして監視・評価する点がSLMの本質です。SLAの遵守状況確認、報告、改善要件の抽出などが該当します。 -
イ(誤り)
「計画が発動された場合の可用性の目標、平常業務の状態に復帰するための取組みを含めた計画を作成し、導入し、維持する」という記述は、可用性の確保に関する側面を含みますが、計画が発動された際の復旧対応や平常業務への復帰に焦点があるため、サービス継続管理(IT Service Continuity Management/事業継続計画:ITSCM/BCP)に該当します。SLMとは目的が異なり、災害や重大障害発生時の復旧策の策定・維持が中心です。 -
ウ(誤り)
「サービスの品質を阻害する事象に対して、合意したサービス目標及び時間枠内に回復させる」はインシデント管理(インシデント対応)の説明に合致します。インシデント管理はサービス中断や低下を迅速に復旧することを目的としており、SLMはその復旧目標を監視・評価する立場にありますが、実際の復旧作業はインシデント管理が担います。 -
エ(誤り)
「予算に照らして、費用を監視及び報告し、財務予測をレビューし、費用を管理する」は財務管理/コスト管理(IT財務管理)の役割です。SLMはコスト情報を参照してサービス価値を評価することはありますが、費用の直接的な管理業務は財務管理の責任範囲です。
よくある誤解
-
「可用性管理」と「サービス継続(ITSCM/BCP)」を混同する
可用性管理は日常的な可用性の設計・維持(設計・改善)が中心で、ITSCM/BCPは非常時に計画を発動して復旧・復旧後の平常化を図る点で役割が異なります。 -
「SLMが障害を直接復旧する」と考える誤り
SLMは目標設定や監視・報告、SLA交渉といった管理活動が中心で、実際の障害対応はインシデント管理が実施します。役割分担を意識することが重要です。 -
「SLAはSLMが作る」と捉える単純化
SLMはSLAの策定・交渉・管理を主導しますが、SLAには顧客要件(業務側)や技術的実現可能性、コスト制約が関与するため、関係部門との合意形成が不可欠です。
補足コラム
サービスレベル管理は、単に数値の監視に留まらず、SLAの作成・改訂、SLAに基づくレポーティング、サービス改善提案、顧客とのレビュー実施など広範な活動を含みます。実務では、SLMとインシデント管理、可用性管理、ITSCM、財務管理などが連携してサービス品質を確保します。SLMの成果物例にはSLA文書、サービスレポート、SLAレビュー議事録、サービス改善計画などがあります。
FAQ
Q: SLMとSLAの違いは何ですか?
A: SLAはサービス提供者と利用者が合意したサービスレベルの取り決め(文書)で、SLMはそのSLAを作成・管理・監視・改善するプロセスです。SLAは成果物、SLMはその成果物を扱う業務プロセスです。
A: SLAはサービス提供者と利用者が合意したサービスレベルの取り決め(文書)で、SLMはそのSLAを作成・管理・監視・改善するプロセスです。SLAは成果物、SLMはその成果物を扱う業務プロセスです。
Q: 可用性管理とサービス継続はどちらが上位ですか?
A: 両者は目的が異なる補完的なプロセスです。可用性管理は日常的な可用性の確保と改善、サービス継続(ITSCM/BCP)は非常時の事業継続と復旧に特化します。どちらが「上位」というより、フェーズと目的で使い分けられます。
A: 両者は目的が異なる補完的なプロセスです。可用性管理は日常的な可用性の確保と改善、サービス継続(ITSCM/BCP)は非常時の事業継続と復旧に特化します。どちらが「上位」というより、フェーズと目的で使い分けられます。
Q: SLMはインシデント対応も行いますか?
A: いいえ。SLMはインシデント対応そのものを行うことは通常ありませんが、インシデント管理の結果(SLA違反など)を監視し、改善要求を出す役割を担います。
A: いいえ。SLMはインシデント対応そのものを行うことは通常ありませんが、インシデント管理の結果(SLA違反など)を監視し、改善要求を出す役割を担います。
関連キーワード: サービスレベル管理、SLA、SLM、ITIL、インシデント管理、サービス継続、ITSCM、可用性管理、財務管理、サービス改善

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