応用情報技術者 2019年 秋期 午後 問10
ITサービスマネジメントの改善に関する次の記述を読んで、設問1、2に答えよ。
A社は、インターネットを使って航空券や宿泊施設などの予約サービスを提供する企業である。近年PCからの利用者に加え、スマートフォンからの利用者が増加しており、A社の事業を拡大する好機となっている。
A社の予約サービスは、A社のITサービス部門によって提供される。ITサービス部門は、予約サービスを企画し利用者への提供窓口となるサービス部、アプリケーションソフトウェア(以下、業務アプリという)を開発する開発部及びシステムを運用する運用部で組織されている。サービス部と運用部は、予約サービスのSLAに整合するように、運用レベル合意書(以下、OLAという)を定めて、運用部の行う作業内容や運用レベルの目標値(以下、OLA目標値という)を定義している。
予約サービスは航空券システムや国内宿泊システムなど、複数のシステムによって提供されている。運用部には複数のチームがあり、それぞれのチームは、異なったシステムの運用を担当している。国内宿泊システムの運用を担当するチームは、チームリーダと数名のオペレータで構成される。オペレータは、監視システムを利用してシステムの稼働状況を常時監視している。オペレータのスキルレベルに、個人差はない。
〔インシデントの対応状況〕
システムの運用中にインシデントを発見した場合、運用部はインシデント発生をサービス部に連絡する。サービス部は、インシデント解決の責任を負うインシデント解決者を割り当てて、インシデントを定められた時間内で解決させる。インシデント解決者は、インシデントの診断及び解決のために、開発部や運用部に段階的取扱いを行う場合がある。その際、開発部と運用部は、OLAに従ってサービス部を支援する。
早期のインシデント解決の観点から、サービス部は運用部に対して、次のような事項を要求し、OLAの合意内容に含めている。
(i)インシデント発生から10分以内にサービス部にインシデント発生を連絡する。
(ii)インシデント解決者に指示されてから10分以内に開発部向けのシステムログ取得作業を完了する。
しかし、国内宿泊システムの運用では、項番(i)、(ii)ともに合意を遵守できていない。
監視システムは、機器の稼働状況だけでなく、業務アプリが出力するメッセージも表示する。オペレータは、コンソール画面に表示されるメッセージを目視し、メッセージ切分け基準表を参照してインシデント発生を判断している。メッセージの中には、インシデント発生の判断に関係するメッセージと関係しないメッセージがある。インシデント発生の判断に関係するメッセージの中には、メッセージ切分け基準表で、インシデント発生と識別できるメッセージもあるが、人間が更に分析しないとインシデント発生の判断が難しいメッセージもある。オペレータはインシデント発生と判断した場合は、サービス部に連絡し、インシデント処理手順を開始する。このように人間が判断しているので、インシデント発生の連絡が遅延する場合や、インシデント発生を見落とす場合があって、項番①が遵守できていない。
一方、システムログの取得作業はシステム化されていて、パラメタを設定することで、数分以内にログ情報の取得が可能である。サービス部にインシデント発生の連絡をした後、インシデント解決者から指示があった場合に、連絡したオペレータがシステムログの取得作業を担当している。オペレータが繁忙なときは、システムログの取得作業着手が遅れてしまうことがあった。OLA目標値は、“作業指示から10分以内で取得作業を完了”であるが、現状は、最大で30分掛かってしまう場合があり、項番②が遵守できていない。
A社の予約サービスの利用者は急増しており、インシデント解決の遅れは、多くの利用者に影響が及びかねない状況になってきていた。現状の運用の実態と、OLA目標値とのギャップを是正する改善計画が必要となっていた。
〔改善計画の策定〕
このような状況を踏まえて、サービス部で予約サービスを担当するサービスマネージャのS主任が、インシデントの対応状況の問題点について分析し、改善計画を策定することとなった。改善計画の内容は次のとおりである。
(1) インシデント発生の連絡遅れについて
まず、S主任は、メッセージ切分け基準表を使ってオペレータがインシデント発生の判断をしていることに着目した。S主任は、システムの運用に必要な作業、コンソール画面表示に基づいて実施する作業など、①オペレーター人当たりの作業量を調査し分析した。また、調査の過程で数人のオペレータから “そもそも、出力されるメッセージの数が多い。インシデント発生の判断に関係しないメッセージを出力する業務アプリがあり、インシデント発生の判断に関係するメッセージを見落とすおそれがある。”との意見があった。運用部が調査したところ、業務アプリが出力するメッセージのうち約半数はインシデント発生の判断に関係しないことが判明した。そこで、S主任は、開発部に依頼して、インシデント発生の判断に関係しないメッセージを削減するよう該当する業務アプリを改修することを計画した。
次に、S主任は、監視システムを改修して対応できないか検討した。具体的には、インシデント発生の判断に関係するメッセージのうち、メッセージ切分け基準表で、インシデント発生と識別できるメッセージについては監視システムに登録し、監視システムが自動的にメッセージを識別して、インシデント発生を判断できるようにする。インシデント発生と判断した場合は、画面表示だけでなく、オペレータに分かるようにランプを点滅させ、警告音を鳴らすように監視システムを改修することを計画した。
(2) システムログの取得作業の遅れについて
S主任は、国内宿泊システムの運用を担当するチームのチームリーダと検討し、インシデントが発生した場合は、②チームリーダが窓口となってサービス部からの指示に対応することを計画した。システムログの取得作業の指示があった場合は、チームリーダが担当するオペレータを指名して作業する手順に変更する。
S主任は実際にインシデントが発生した場面でOLA目標値が達成できるか検証する方法をチームリーダと検討し、インシデントが発生したときの手順を変更して、1か月間検証した。検証の結果、OLA目標値を達成することが確認できたので、改善計画の改善内容として採用することにした。
S主任が策定した改善計画の詳細を表1に示す。

S主任は、体制、スケジュールなどをまとめた上で、サービス部、運用部及び開発部の各部長に改善計画を説明し、承認を得た。
なお、改善計画を実施するに当たって、“aの達成状況をサービス部、運用部及び開発部の各部長がレビューするので、定期的に報告会を開催すること。”との指示があった。
その後、この計画に従って改善活動を進めた結果、国内宿泊システムの運用を担当するチームではOLA目標値を達成できた。
〔運用部における継続的な改善活動の取組〕
運用部は、日常の運用を優先する傾向があり、国内宿泊システムの運用を担当するチーム以外でも、S主任が計画したような改善活動は実施されない状況が続いていた。運用部のB部長は、運用部が主体となった継続的な改善活動の必要性があると判断し、S主任に対して、“S主任から運用部のチームリーダたちに今回の改善活動の事例を紹介し、改善への取組機運を高めてほしい。”と依頼した。S主任は、運用部のチームリーダたちに対して、今回サービス部が中心となり実施した改善活動と効果を説明し、運用部としても自ら改善活動を実施してほしい旨を提案した。しかし、チームリーダたちは、提案主旨には同意したが、改善活動の実施に踏み切れないでいた。
このような状況を鑑みて、B部長は、サービス部長の了承を得て、③S主任をサービス部から運用部に異動させた。B部長は継続的な改善活動に関わるサービスマネジメントの方針を作成し、方針に従って改善されることを確実にするための b 及び c をS主任に割り当てた。B部長からS主任に、“サービス部での経験を基に運用部に改善活動が根付くように推進してほしい。当社の今後の事業を支えていくには、運用部が実施している業務とプロセスを見直していく必要がある。S主任の取組が部全体に浸透するように、推進してほしい。”との指示があった。S主任は、早速、費用対効果の目安などの改善の評価基準を明確にしてB部長に提案した。
B部長は、部員全員に、“サービスマネジメントの方針、改善の評価基準、S主任のbとc”を周知した。しばらくして、④運用部の部員は改善活動について提案するようになり、継続的に改善活動を行うようになった。
設問1:改善計画の策定について、(1)〜(4)に答えよ。
(1)本文中の下線①について、S主任が一人当たりの業務量について分析した目的を解答群の中から選び、記号で答えよ。
解答群
ア:開発した業務アプリの品質を確認し、改善を促すため
イ:業務の繁忙状況によって、メッセージ切分け基準表を使ったインシデント発生の判断時間に差があるかを確認し、有効な対策を検討するため
ウ:業務量や生産性を可視化することで、人員削減の対策を行えるため
エ:生産性の低い人を確認し、教育や配置換えなどの対策を行うため
模範解答
イ
解説
解答の論理構成
- まず OLA の要求事項では
「インシデント発生から10分以内にサービス部にインシデント発生を連絡する。(i)」
と定められています。しかし本文には
「インシデント発生の連絡が遅延する場合や、インシデント発生を見落とす場合があって、項番①が遵守できていない。」
とあり、連絡遅延が問題になっていました。 - 遅延の主因は、人手によるメッセージ確認作業にあります。オペレータは
「コンソール画面に表示されるメッセージを目視し、メッセージ切分け基準表を参照してインシデント発生を判断している。」
ため、業務繁忙時には判断が遅くなりやすいことが推測できます。 - そこで S主任は
「システムの運用に必要な作業、コンソール画面表示に基づいて実施する作業など、①オペレーター人当たりの作業量を調査し分析した。」
と記されています。ここで着目したのは“量的な忙しさ”が判断時間に与える影響です。 - 分析の目的は、作業負荷とインシデント判断時間の相関を確認し、最も効果的な対策(メッセージ削減や監視システム自動化など)を選定することにあります。
- よって「業務の繁忙状況によって、メッセージ切分け基準表を使ったインシデント発生の判断時間に差があるかを確認し、有効な対策を検討するため」とする【イ】が正答になります。
誤りやすいポイント
- 「品質確認」「人員削減」などのワードに引きずられ、開発部やリソース削減を目的と誤解しやすい。本文はあくまで“連絡遅延”という運用課題にフォーカスしている。
- ①で調査したのは“人当たりの作業量”であって“個人の能力差”ではないため、教育や配置換えを示す選択肢エは不適切。
- 問題文後段の「メッセージ削減」「自動識別率70%」など改善策の数値に気を取られ、目的ではなく手段に注目して選択肢を選んでしまう。
FAQ
Q: 業務量調査だけで遅延は解消できますか?
A: いいえ。調査は遅延要因を特定するための手段であり、実際の改善は「不要なメッセージ削減」「監視システムの自動化」などの対策実装によって達成されます。
A: いいえ。調査は遅延要因を特定するための手段であり、実際の改善は「不要なメッセージ削減」「監視システムの自動化」などの対策実装によって達成されます。
Q: 人当たり作業量の計測はどの指標を使うのが一般的ですか?
A: 件数、処理時間、同時担当案件数などが代表例です。本件ではメッセージ確認回数や判断に要する平均時間が主指標となるでしょう。
A: 件数、処理時間、同時担当案件数などが代表例です。本件ではメッセージ確認回数や判断に要する平均時間が主指標となるでしょう。
Q: 自動化率70%という目標は高いほうですか?
A: 運用現場の初期導入としては高めですが、残り30%を人手に任せることで過度なシステム改修コストを抑えつつ、効果検証を行う現実的な設定といえます。
A: 運用現場の初期導入としては高めですが、残り30%を人手に任せることで過度なシステム改修コストを抑えつつ、効果検証を行う現実的な設定といえます。
関連キーワード: 作業負荷分析、SLA, OLA, インシデント管理、運用自動化
設問1:〔改善計画の策定〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(2)本文中の下線②について、チームリーダが窓口となってサービス部に対応する目的は何か。40字以内で具体的に述べよ。
模範解答
繁忙状況を踏まえて、適切なオペレータに作業を実施させるため
解説
解答の論理構成
- 現状の問題点
【問題文】には
「オペレータが繁忙なときは、システムログの取得作業着手が遅れてしまうことがあった。」
とあり、担当オペレータが多忙だと作業開始が遅れる ―― すなわち作業担当者が固定であることがボトルネックでした。 - 改善策の内容
その対策として
「インシデントが発生した場合は、②チームリーダが窓口となってサービス部からの指示に対応することを計画した。システムログの取得作業の指示があった場合は、チームリーダが担当するオペレータを指名して作業する手順に変更する。」
と記載されています。
ここで“窓口をチームリーダに一本化し、指示のたびに最適なオペレータをアサインする”ことが明言されています。 - 目的の導出
以上を踏まえると、チームリーダが窓口になる目的は
① オペレータごとの「繁忙状況」を把握できる立場だから
② 忙しくないオペレータを即座に選定し「適切に作業を割り当てる」ことで着手遅れを防ぐため
となります。したがって模範解答のように「繁忙状況を踏まえて、適切なオペレータに作業を実施させるため」とまとめられます。
誤りやすいポイント
- 「チームリーダに任せる=技術力が高いから」と誤解しがちですが、本文はスキル差ではなく「繁忙による遅延」を論点にしています。
- OLA「(ii) 指示から10分以内」の達成が狙いであり、インシデント連絡((i))との混同に注意が必要です。
- 「窓口集約は報告の一元化が目的」と答えると、システムログ取得の遅延解消という核心から外れるため減点されます。
FAQ
Q: オペレータにスキル差がないのに指名制に変える意味は何ですか?
A: スキル差ではなく稼働状況の差がボトルネックだからです。チームリーダは各オペレータの作業負荷を把握しており、空いている人を即時に割り当てることで「着手遅れ」を防げます。
A: スキル差ではなく稼働状況の差がボトルネックだからです。チームリーダは各オペレータの作業負荷を把握しており、空いている人を即時に割り当てることで「着手遅れ」を防げます。
Q: チームリーダが対応すると逆に負荷集中しませんか?
A: 窓口業務は指示受領と担当割当てが中心であり、実作業はオペレータが行います。負荷集中よりも指示の一本化による迅速化メリットが上回ると判断されています。
A: 窓口業務は指示受領と担当割当てが中心であり、実作業はオペレータが行います。負荷集中よりも指示の一本化による迅速化メリットが上回ると判断されています。
Q: この改善はITILプロセスのどこに該当しますか?
A: 「インシデント管理」プロセスの改善に該当し、OLA目標値を守るための「運用レベル管理」にも関係します。
A: 「インシデント管理」プロセスの改善に該当し、OLA目標値を守るための「運用レベル管理」にも関係します。
関連キーワード: OLA, インシデント管理、監視システム、ワークロードバランシング、継続的改善
設問1:〔改善計画の策定〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(3)表1及び本文中のaに入れる適切な英語の字句を3字で答えよ。
模範解答
a:KPI
解説
解答の論理構成
- 表1のヘッダには「a」という列があり、その下に「目標値」という列が並んでいます。さらに脚注には
“目標値は、aに対する目標値のことである。”
と明記されています。すなわち a は “達成度を測定し、その結果と⽐較するための指標” を示しています。 - 本文中にも
“aの達成状況をサービス部、運用部及び開発部の各部長がレビューするので、定期的に報告会を開催すること.”
とあり、a が定期的にレビューされる「運用・改善のための管理指標」であることが分かります。 - ITサービスマネジメントでは、改善計画において “Key Performance Indicator” を設定し、計画(Plan)→実行(Do)→確認(Check)→改善(Act)サイクルで達成度を定期レビューするのが定石です。
- 以上より、3文字の英語で表すと a は “KPI”(Key Performance Indicator)となります。
誤りやすいポイント
- SLA/OLA と混同する
SLA・OLA は「合意書」そのものを指し、数値目標を “測る指標” は KPI です。 - KGI と取り違える
KGI(Key Goal Indicator)は最終成果を示す「ゴール指標」。本問は活動途中の「パフォーマンス指標」を求めています。 - 3文字縛りを見落とす
“3字で答えよ” とあるため、省略形(KPI)を求めています。
FAQ
Q: KPI と SLA/OLA の関係は?
A: SLA/OLA で定めたサービスレベルを “達成できているか” を測定するのが KPI です。KPI が基準を下回れば SLA/OLA 不達成のリスクが高まります。
A: SLA/OLA で定めたサービスレベルを “達成できているか” を測定するのが KPI です。KPI が基準を下回れば SLA/OLA 不達成のリスクが高まります。
Q: KPI を設定するときのコツは?
A: 「誰が見ても客観的に判断できる」「測定と報告が容易」「改善アクションと直接結び付く」数値を採用することが重要です。
A: 「誰が見ても客観的に判断できる」「測定と報告が容易」「改善アクションと直接結び付く」数値を採用することが重要です。
Q: KPI をレビューする適切な頻度は?
A: サービスの重要度と変動幅に応じますが、本文のように “定期的に報告会を開催” し、月次・四半期ごとに見直すケースが一般的です。
A: サービスの重要度と変動幅に応じますが、本文のように “定期的に報告会を開催” し、月次・四半期ごとに見直すケースが一般的です。
関連キーワード: KPI, SLA, OLA, PDCA, インシデント管理
設問1:〔改善計画の策定〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(4)表1中の項番2の改善内容について、インシデント発生の連絡遅延以外に改善できる問題点は何か。品質の観点で、25字以内で述べよ。
模範解答
オペレータによるインシデント発生の見落とし
解説
解答の論理構成
- 問題文では、現状の課題として
「このように人間が判断しているので、インシデント発生の連絡が遅延する場合や、インシデント発生を見落とす場合があって、項番(i)が遵守できていない。」
と明示されています。ここで “インシデント発生を見落とす” こと自体が品質低下(監視漏れによる障害拡大)に直結します。 - 表1「項番2」は
「監視システムを改修し、自動的にインシデント発生を判断する。」
という改善内容です。
さらに本文中に
「監視システムが自動的にメッセージを識別して、インシデント発生を判断できるようにする。」
とあるように、人手による判断をシステム化し、監視精度を高めることが狙いです。 - したがって、連絡遅延(速度)のみならず、
「インシデント発生を見落とす」
という検知漏れ(品質)も同時に解消できると結論づけられます。
誤りやすいポイント
- 連絡の“速さ”ばかりに注目し、見落としという“正確さ”の問題を見逃す。
- 表1「項番1」と「項番2」を混同し、メッセージ削減=見落とし改善と早合点する。
- “品質”を可用性や安定性と広義にとらえ、回答を曖昧に書いてしまう。
FAQ
Q: 自動判定しても誤検知が増えたら品質低下では?
A: 本文は「メッセージ切分け基準表で、インシデント発生と識別できるメッセージ」を登録すると記載しており、誤検知より“見落とし”削減を優先しています。
A: 本文は「メッセージ切分け基準表で、インシデント発生と識別できるメッセージ」を登録すると記載しており、誤検知より“見落とし”削減を優先しています。
Q: オペレータのスキル均一なら見落とし率も同じでは?
A: 人が目視で判断する以上、集中力低下や作業量増加で見落としが発生すると本文に示されています。自動化はこの人的要因を排除します。
A: 人が目視で判断する以上、集中力低下や作業量増加で見落としが発生すると本文に示されています。自動化はこの人的要因を排除します。
Q: 項番2の改善により SLA も良化しますか?
A: 連絡遅延と見落としが解消されれば、障害検知が早まり復旧時間短縮につながるため、SLA 達成率向上が期待できます。
A: 連絡遅延と見落としが解消されれば、障害検知が早まり復旧時間短縮につながるため、SLA 達成率向上が期待できます。
関連キーワード: インシデント管理、監視自動化、品質向上、障害検知、OLA
設問2:〔運用部における継続的な改善活動の取組〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(1)本文中の下線③について、S主任に期待している役割は何か。25字以内で述べよ。
模範解答
運用部に自主的な改善活動を根付かせる役割
解説
解答の論理構成
- 【問題文】には、運用部が「日常の運用を優先する傾向があり、…改善活動は実施されない状況」と記されています。この“停滞”を打破することが求められています。
- そこで B部長は「サービス部長の了承を得て、③S主任をサービス部から運用部に異動させた」とし、 「サービスマネジメントの方針を作成し、方針に従って改善されることを確実にするための b 及び c をS主任に割り当てた」と明示しています。
- さらに指示として「サービス部での経験を基に運用部に改善活動が根付くように推進してほしい」と述べ、S主任に“部全体へ浸透させる”ことを求めています。
- その結果として「④運用部の部員は改善活動について提案するようになり、継続的に改善活動を行うようになった」と成果が示されています。
- 以上より、S主任には“運用部が自律的に改善を継続できる文化・仕組みを定着させる”ことが期待されていると論理的に導けます。
誤りやすいポイント
- 「改善活動を“実行”する担当」とだけ捉え、“根付かせる”という組織浸透の視点を欠いてしまう。
- b・c(責任と権限)の割り当てを“単なる追加業務”と読み違え、役割の本質を見落とす。
- “サービス部での経験を基に”の記述を読み飛ばし、S主任が持つ改善ノウハウの伝播という意図を見逃す。
FAQ
Q: S主任は具体的に何をするのですか?
A: 改善の評価基準策定、方針の周知、チームリーダ支援などを通じて、運用部員が自発的に改善を提案・実施できる体制を築きます。
A: 改善の評価基準策定、方針の周知、チームリーダ支援などを通じて、運用部員が自発的に改善を提案・実施できる体制を築きます。
Q: 役割を簡潔に表すと?
A: 運用部に自主的な改善活動を根付かせる推進者です。
A: 運用部に自主的な改善活動を根付かせる推進者です。
Q: 「根付かせる」とは具体的にどの段階を指しますか?
A: 部員が自ら課題を発見し、費用対効果を評価し、改善案を提案・実行・評価できる状態を恒常化させる段階です。
A: 部員が自ら課題を発見し、費用対効果を評価し、改善案を提案・実行・評価できる状態を恒常化させる段階です。
関連キーワード: 継続的改善、インシデント管理、OLA, サービスマネジメント、権限委譲
設問2:〔運用部における継続的な改善活動の取組〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(2)本文中のbとcに入れる適切な字句を解答群の中から選び、記号で答えよ(bとcは順不同)。
解答群
ア:技能
イ:教育計画
ウ:経歴
エ:権限
オ:責任
模範解答
b:エ
c:オ
解説
解答の論理構成
- 問題文は、改善活動を「確実にするため」に S主任へ二つの要素を割り当てたと述べています。
引用︓「方針に従って改善されることを確実にするための b 及び c をS主任に割り当てた。」 - 改善を確実に遂行させるには、実行権限と成果責任を明確に付与することが IT サービスマネジメントの基本です(ITIL などでも “Roles, Responsibilities and Authority” が必須)。
- 後続の文では、部員全員に「S主任のbとcを周知」した結果、
引用︓「運用部の部員は改善活動について提案するようになり、継続的に改善活動を行うようになった」とあります。
これは S主任に公式な「権限」を付与し、同時に「責任」を明確にしたからこそ部員が動いた、と読み取れます。 - 解答群との対応
・「エ︓権限」… 行動を指示・承認できる力
・「オ︓責任」… 成果に対する義務
他の選択肢では実行を“確実”にする効果が弱い。
よって、 b:エ(権限)
c:オ(責任)
が妥当となります。
誤りやすいポイント
- 「技能」「経歴」を割り当てても部員側の行動を変える仕組みにはならない点を見逃しがち。
- 「教育計画」を周知しただけで部員が自主的に提案を始める、という因果を誤読するケース。
- 「権限」と「責任」をセットで考えるという ITSM の原則を忘れ、どちらか一方のみを選択するミス。
FAQ
Q: 「権限」と「責任」はなぜ両方必要なのですか?
A: 権限だけでは実行力はあっても成果へのコミットが欠け、責任だけでは決定権が無いので行動できません。両者を明示することで改善活動が組織に根付く仕組みになります。
A: 権限だけでは実行力はあっても成果へのコミットが欠け、責任だけでは決定権が無いので行動できません。両者を明示することで改善活動が組織に根付く仕組みになります。
Q: ITIL では誰が権限・責任を定義するのですか?
A: 一般にサービスマネジメントの方針を策定する管理者(ここでは「B部長」)が役割記述書などで定義し、対象者と組織へ公式に周知します。
A: 一般にサービスマネジメントの方針を策定する管理者(ここでは「B部長」)が役割記述書などで定義し、対象者と組織へ公式に周知します。
Q: 「教育計画」が選択肢にありますが、改善活動推進に不要なのですか?
A: 教育は有効ですが、権限・責任を明確にせず教育だけ実施しても業務プロセスは変わりにくいです。問題文は「確実にするため」に着目しているため、優先度は権限と責任となります。
A: 教育は有効ですが、権限・責任を明確にせず教育だけ実施しても業務プロセスは変わりにくいです。問題文は「確実にするため」に着目しているため、優先度は権限と責任となります。
関連キーワード: 権限、責任、継続的改善、役割定義、ITサービスマネジメント
設問2:運用部における継続的な改善活動の取組について、(1)〜(3)に答えよ。
(3)本文中の下線④について、運用部の部員が継続的に改善活動を行うようになった理由として、最も適切な説明を解答群の中から選び、記号で答えよ。
解答群
ア:OLAを設定し、サービス部と合意したから
イ:運用部長がサービスマネジメントの方針などを部員へ周知したから
ウ:運用部は重要なミッションを限られた要員で遂行したから
エ:サービス部からの不満がなくなったから
模範解答
イ
解説
解答の論理構成
- 問題文の事実確認
- 「B部長は、部員全員に、“サービスマネジメントの方針、改善の評価基準、S主任のbとc”を周知した。しばらくして、④運用部の部員は改善活動について提案するようになり、継続的に改善活動を行うようになった」とあります。
- 因果関係の整理
- 部員が改善提案を出し始めた“直接の契機”は、上記の「周知」行為です。
- 方針・評価基準・責任分担が明確になったことで、部員は「何を目指し、どのような基準で評価されるか」を理解し、行動に移しやすくなりました。
- 選択肢との照合
- ア:OLAの設定はサービス部との合意事項で、部員が動き出した理由とは時系列も因果も異なります。
- イ:「運用部長がサービスマネジメントの方針などを部員へ周知したから」は上記引用と一致し、因果関係も成立します。
- ウ:要員制約は背景であって直接の動機づけではありません。
- エ:サービス部の不満解消が直接示された記述はなく、根拠不足です。
- よって最適な説明は「イ」です。
誤りやすいポイント
- 「OLAを設定=改善が根付く」と短絡しやすい
→ OLAは部門間合意であり、現場メンバの意識改革とは別問題です。 - “評価基準”より“改善事例紹介”を重視してしまう
→ 事例紹介は既に実施済みですが、部員は動きませんでした。決め手は方針と評価基準の周知です。 - “人員不足=改善の必然”と誤解
→ 必要性と実際の行動は別。行動にはガバナンスと動機づけが不可欠です。
FAQ
Q: 方針と評価基準の周知がなぜ行動変容につながるのですか?
A: 目標と評価軸が明確になることで、自分の提案がどのように評価されるかをイメージでき、心理的ハードルが下がるためです。いわゆる“期待の明確化”がモチベーションを高めます。
A: 目標と評価軸が明確になることで、自分の提案がどのように評価されるかをイメージでき、心理的ハードルが下がるためです。いわゆる“期待の明確化”がモチベーションを高めます。
Q: OLAやSLAを設定すれば十分ではないのですか?
A: OLAやSLAは部門間のサービス品質保証を定義するものです。現場の継続的改善を促すには、それを達成・超過するための方針、責任、評価プロセスを現場に周知し、主体的行動を引き出す必要があります。
A: OLAやSLAは部門間のサービス品質保証を定義するものです。現場の継続的改善を促すには、それを達成・超過するための方針、責任、評価プロセスを現場に周知し、主体的行動を引き出す必要があります。
Q: “b”と“c”は何の役割ですか?
A: 具体名は設問外ですが、一般に“b”は“役割(Role)”や“責任(Responsibility)”、“c”は“権限(Authority)”や“職務(Duty)”を指すことが多く、方針を実行可能にするための明確な割当です。
A: 具体名は設問外ですが、一般に“b”は“役割(Role)”や“責任(Responsibility)”、“c”は“権限(Authority)”や“職務(Duty)”を指すことが多く、方針を実行可能にするための明確な割当です。
関連キーワード: 継続的改善、サービスマネジメント、ガバナンス、方針展開、コミュニケーション


