応用情報技術者 2020年 秋期 午前2 問75
問題文
図は、定量発注方式を運用する際の費用と発注量の関係を示したものである。図中の③を表しているものはどれか。ここで、1回当たりの発注量をQ、1回当たりの発注費用をC、1単位当たりの年間保管費用をH、年間需要量を R とする。また、選択肢ア〜エのそれぞれの関係式は成り立っている。

選択肢
ア:経済的発注量 = (正解)
イ:総費用 =
ウ:年間発注費用 =
エ:平均年間保管費用 =
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経済的発注量【午前2解説】
正解の理由
図中の直線①は発注量 に比例して直線的に増加する平均年間保管費用であり、その式は です。一方、凸型で減少する曲線②は発注回数が に反比例するため年間発注費用 を表します。両者の交点(図の垂直下線が示す発注量③)は「年間保管費用と年間発注費用が等しくなる点」で、総費用 を最小にする発注量と一致します。これを式で解くと となり、よって答えは ア の式が示す経済的発注量です。
解法ステップ
-
図の曲線対応を確認する
- 直線(①)= 平均年間保管費用: ( に比例して増加)
- 凸型減少曲線(②)= 年間発注費用: ( が増えるほど減少)
-
総費用を式で表す
-
最小化(微分して 0)
より、
したがって、
-
第二導関数で最小確認(省略可だが安全)
よって極値は最小である。
選択肢別の誤答解説
- ア: 正解。上の導出どおり、年間保管費用と年間発注費用が等しくなる点(図の③)で総費用が最小となり、式は となる。
- イ: 誤り。 は総費用 の式であり、値自体は「総費用」を与える。図中のU字型曲線はこの総費用関数の形を表すが、設問の③は「発注量(横軸)」であり、総費用の式そのものではない。
- ウ: 誤り。 は年間発注費用であり、図の凸型で減少する曲線②に対応する。単独では発注費用を表す式であり、③(最適発注量)ではない。
- エ: 誤り。 は平均年間保管費用であり、図の直線①に対応する。これも③ではない。
よくある誤解
- ①と②を取り違える:直線が保管費用、凸型減少が発注費用、という対応を逆に覚えてしまうと解が逆になるので注意すること。
- 「最小点は保管費用=発注費用ではない」との誤解:このモデルでは総費用最小点で両者の値が一致するため、等式を使って簡単に解ける。常に等しいとは限らない別モデルと混同しないこと。
- 切り捨て・切り上げの扱い:理論上の は実数だが実務では整数・ロット単位で発注する必要がある。近い整数に丸めたときの総費用増加を確認すること。
補足コラム
- パラメータ感度: から分かる通り、発注費用 を 4 倍にすると は 2 倍になる()。需要 に比例して は増え、保管費 が増えると は減る。
- 実務上の注意点:数量割引、発注リードタイム、在庫切れリスク(安全在庫)などがあると単純な EOQ モデルは拡張が必要。数量割引があると総費用の形状が変わり、最適解は折衝的に決定することが多い。
- 図中の複数のU字曲線はパラメータ(例えば や )が異なるときの総費用曲線の変化を示すことが多く、上方にあるものは総費用が大きいケースを表す。
FAQ
Q1. なぜ保管費用と発注費用を等しくするのか?
A1. 総費用 を微分して最小化すると得られる条件は 。これを変形すると すなわち「平均年間保管費用=年間発注費用」と一致します。数学的には微分による極値条件と同等の結果です。
A1. 総費用 を微分して最小化すると得られる条件は 。これを変形すると すなわち「平均年間保管費用=年間発注費用」と一致します。数学的には微分による極値条件と同等の結果です。
Q2. 実務で小数の が出たらどうする?
A2. 発注ロットや梱包単位に合わせて切り上げ/切り下げし、それぞれの総費用を計算してより有利な方を選びます。安全在庫や納期制約も考慮してください。
A2. 発注ロットや梱包単位に合わせて切り上げ/切り下げし、それぞれの総費用を計算してより有利な方を選びます。安全在庫や納期制約も考慮してください。
Q3. EOQ が使えないケースは?
A3. 需要が極めて変動的で確率モデルが必要な場合、数量割引や発注リードタイムが大きく影響する場合、安全在庫が必須な場合などは拡張モデルや確率在庫モデルを使います。
A3. 需要が極めて変動的で確率モデルが必要な場合、数量割引や発注リードタイムが大きく影響する場合、安全在庫が必須な場合などは拡張モデルや確率在庫モデルを使います。
関連キーワード: EOQ、経済的発注量、発注費用、保管費用、発注量最適化

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