応用情報技術者 2021年 秋期 午前2 問53
問題文
PMBOKガイド第6版によれば、リスクの定量的分析で実施することはどれか。
選択肢
ア:発生の可能性や影響のみならず他の特性を評価することによって、さらなる分析や行動のためにプロジェクトの個別リスクに優先順位を付ける。
イ:プロジェクトの個別の特定した個別リスクと、プロジェクト目標全体における他の不確実性要因が複合した影響を数量的に分析する。(正解)
ウ:プロジェクトの全体リスクとプロジェクトの個別リスクに対処するために、選択肢の策定、戦略の選択、及び対応処置を合意する。
エ:プロジェクトの全体リスクの要因だけでなくプロジェクトの個別リスクの要因も特定し、それぞれの特性を文書化する。
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リスクの定量的分析【午前2解説】
正解の理由
PMBOKガイド第6版での「定量的分析(Perform Quantitative Risk Analysis)」は、特定された個別リスクとプロジェクト全体に影響する他の不確実性要因が合成してプロジェクト目標へ与える影響を数量的(数値的)に評価する活動です。したがって、個別リスクとプロジェクト全体の不確実性を組み合わせて数値解析する記述を含む選択肢が正解となります。問題文の選択肢のうち、この定義に該当するのが イ です。
解法ステップ
- 問題のキーワードを確認:「定量的分析」「数量的に分析」など数値化を示す語句に注目する。
- PMBOKのプロセス定義を想起:定性的分析は優先順位付け、定量的分析は数値モデルやモンテカルロ等による影響の測定であることを思い出す。
- 選択肢を動詞・目的で分類:評価(prioritize)→定性的、数量的に分析→定量的、対応策の選定→対応計画、リスク特定→識別。
- 数値的な「合成」や「プロジェクト目標への影響」を明示している選択肢を選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- ア: 発生確率や影響などの特性を評価して優先順位を付ける活動は、定性的リスク分析(Perform Qualitative Risk Analysis)に該当します。選択肢の表現は「優先順位付け」を強調しており、定性的の説明です。
- イ: 個別リスクとその他の不確実性要因が重なった影響を数量的に分析する、すなわち定量的分析の定義に一致します(正解)。
- ウ: 選択肢の内容は選択肢の策定や戦略の選択、対応策の合意に関するもので、これは「リスク対応計画(Plan Risk Responses)」および実行に関連するプロセスに該当します。定量的分析そのものではありません。
- エ: リスクの要因を特定して特性を文書化するのは「リスク特定(Identify Risks)」のプロセスです。定量的分析はその後に行われるフェーズです。
よくある誤解
- 定性的分析と定量的分析を混同する:どちらもリスク分析だが、目的が異なる(定性的=優先順位付け、定量的=数値で影響を測る)。
- 定量的分析がリスク対応(対策決定)そのものだと思う:定量的分析は意思決定を支援するための数値情報を提供するが、対応策の計画・合意は別プロセスである。
- 「個別リスク」と「全体リスク(プロジェクトリスク)」の違いを見落とす:定量的分析は個別リスクの集積がプロジェクト目標に与える合成的影響を評価する点が重要。
補足コラム
PMBOKガイド第6版におけるリスク管理の主要プロセスは次の7つです(英語名・概略を併記)。これらは時系列で分けられるが反復的に実行されます。
- Plan Risk Management(リスクマネジメント計画): リスク管理の方針や手順を定義。
- Identify Risks(リスク特定): 個別リスクおよび全体の不確実性要因を特定・文書化。
- Perform Qualitative Risk Analysis(定性的リスク分析): 発生確率や影響等に基づきリスクの優先順位を付ける。
- Perform Quantitative Risk Analysis(定量的リスク分析): モデルやシミュレーションで数値的に影響を評価し意思決定を支援。代表的手法はモンテカルロ・決定木・感度分析・期待値(EMV)等。
- Plan Risk Responses(リスク対応計画): 個別リスク・全体リスクに対する対応策を策定・選択。
- Implement Risk Responses(リスク対応の実行): 計画した対処を実施するプロセス。
- Monitor Risks(リスクの監視): リスク状況と対応策の効果を監視し必要なら修正する。
定量的分析でよく使う手法と簡単な式例:
- 期待値(EMV: Expected Monetary Value):
- モンテカルロ・シミュレーション:確率分布を与えて多数回試行して目標変数(期間・コストなど)の確率分布を得る。
簡単なEMV計算のPython例:
# 期待値の計算例
risks = [
{'prob': 0.3, 'impact': 10000},
{'prob': 0.1, 'impact': 50000},
]
emv = sum(r['prob'] * r['impact'] for r in risks)
print(f"合計EMV = {emv}")
FAQ
Q1: 定性的分析だけで済ませて良い場面はありますか?
A1: 小規模・低複雑性のプロジェクトや情報不足の初期段階では定性的分析で十分な場合がありますが、重要度が高いリスクや不確実性が大きい場合は定量的分析が推奨されます。
A1: 小規模・低複雑性のプロジェクトや情報不足の初期段階では定性的分析で十分な場合がありますが、重要度が高いリスクや不確実性が大きい場合は定量的分析が推奨されます。
Q2: 定量的分析の出力は何ですか?
A2: プロジェクト目標に対する確率分布、重要リスクのEMV、感度分析の結果、決定木の期待値など、意思決定を支援する数値的情報です。
A2: プロジェクト目標に対する確率分布、重要リスクのEMV、感度分析の結果、決定木の期待値など、意思決定を支援する数値的情報です。
Q3: 定量的分析を行うために必ずモンテカルロが必要ですか?
A3: 必須ではありません。モンテカルロは強力ですが、簡易なケースではEMVや決定木、トルネード図などで十分なこともあります。
A3: 必須ではありません。モンテカルロは強力ですが、簡易なケースではEMVや決定木、トルネード図などで十分なこともあります。
関連キーワード: PMBOK第6版、リスク定量分析、モンテカルロ、EMV、定性的リスク分析、リスク対応計画、感度分析

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