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応用情報技術者 2021年 春期 午前202


問題文

桁落ちによる誤差の説明として、適切なものはどれか。

選択肢

値がほぼ等しい二つの数値の差を求めたとき、有効桁数が減ることによって発生する誤差(正解)
指定された有効桁数で演算結果を表すために、切捨て、切上げ、四捨五入などで下位の桁を削除することによって発生する誤差
絶対値が非常に大きな数値と小さな数値の加算や減算を行ったとき、小さい数値が計算結果に反映されないことによって発生する誤差
無限級数で表される数値の計算処理を有限項で打ち切ったことによって発生する誤差

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桁落ち(有効桁数の減少)【午前2解説】

正解の理由

選択肢は、値がほぼ等しい二つの数の差をとったときに、差の有効桁数(意味のある桁数)が大きく減少する現象を端的に表しています。桁落ちとはまさに「引き算による前後の桁の打ち消し」であり、計算結果に残る有効桁が減るため誤差が相対的に増大します。したがってが正解です。

解法ステップ

  1. 問題文で問われている誤差の発生原因(どんな操作・状況で起きるか)を把握する。
  2. 各選択肢のキーワードを確認する:
    • 「値がほぼ等しい二つの数値の差」 → 桁落ちの定義に一致
    • 「指定された有効桁で切捨て・四捨五入」 → 丸め誤差
    • 「大きな数と小さな数の加算で小さい数が反映されない」 → 小さい項の吸収(丸めによる情報損失)
    • 「無限級数を有限項で打ち切る」 → 打切り(截断)誤差
  3. 定義と照合して正しい選択肢を決定する。

選択肢別の誤答解説

  • :正しい。差をとるときに桁が打ち消され、有効桁数が減少して誤差が相対的に大きくなる現象を示す。
    • 例:有限精度(有効桁6桁)の下で を扱うと、差は だが有効桁は1桁しか残らず精度が大きく低下する。
  • イ:誤り。切り捨て・切上げ・四捨五入による誤差は「丸め誤差(rounding error)」と呼ばれ、桁落ちとは異なる分類。桁落ちは操作(特にほぼ等しい数の差)による有効桁数の喪失を指す。
  • ウ:誤りだが注意が必要。絶対値が非常に大きい数と小さい数の加算で小さい数が結果に反映されない現象は、桁あふれ(オーバーフロー)ではなく「小さい項の吸収」や「丸めによる情報の消失」として説明するのが正確です。つまりウは「丸め誤差の一形態(小さい項の吸収)」であり、桁落ち(差による有効桁の喪失)とは原因が異なります。
  • エ:誤り。無限級数を有限項で打ち切ることによる誤差は「打切り誤差(截断誤差)」であり、桁落ちとは別の種類の近似誤差である。

よくある誤解

  1. 桁落ちと丸め誤差を混同する:桁落ちは「近接する値の差による有効桁喪失」であり、丸め誤差は「表現精度に合わせて下位桁を削る操作」そのものを指します。原因が違います。
  2. ウの現象を桁あふれと呼ぶ誤り:大きい数と小さい数の加算で小さい数が消えるのは桁あふれ(overflow)ではなく、丸めによる小さい項の吸収(情報の消失)です。
  3. 桁落ち対策は単に桁数を増やせば良いと考える誤り:確かに精度向上は有効だが、根本的には計算の式変形(打ち消しを避ける)やアルゴリズムの工夫も必要になることが多いです。

補足コラム

  • 回避・軽減策
    • 高精度型(精度の高い浮動小数点や多倍長)を使う。
    • 数学的に式を変形して差による打ち消しを避ける。例:(差の形を除去して安定化)。
    • Kahanの補正付き和(Kahan summation)など、丸め誤差を低減するアルゴリズムを用いる。
  • 実用例:数値微分では のような差を用いるため桁落ちが起きやすく、差分幅 の選び方と高精度計算が重要になります。

FAQ

Q1: 桁落ちを見分ける方法は?
A1: ほぼ等しい値の差で結果の有効桁数が極端に小さくなる場合や、計算の前後で相対誤差が急に増加する場合は桁落ちが疑われます。条件数の評価や高精度計算との比較で検出できます。
Q2: 桁落ちとウの現象(小さい項が反映されない)はどちらが深刻か?
A2: 両者とも深刻になり得ますが原因が異なるため対策も異なります。桁落ちは式変形や高精度化、ウのような小さい項吸収は精度の増加や適切な順序での加算・補正アルゴリズムで対処します。
Q3: 「有効桁数」を増やす以外にすぐできる対策は?
A3: 演算順序を変える(小さいもの同士を先に加える)、差を安全に評価する式変形、補正和アルゴリズムの導入が効果的です。

関連キーワード: 浮動小数点、桁落ち、丸め誤差、小さい項の吸収、打切り誤差、情報の消失、Kahan補正、有効桁数
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