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応用情報技術者 2021年 春期 午前254


問題文

PMBOKガイド第6版によれば、リスクにはマイナスの影響を及ぼすリスク (脅威)とプラスの影響を及ぼすリスク (好機)がある。プラスの影響を及ぼすリスクに対する“強化”の戦略はどれか。

選択肢

いかなる積極的行動も取らないが、好機が実現したときにそのベネフィットを享受する。
好機が確実に起こり、発生確率が100%にまで高まると保証することによって、特別の好機に関連するベネフィットを捉えようとする。
好機のオーナーシップを第三者に移転して、好機が発生した場合にそれがベネフィットの一部を共有できるようにする。
好機の発生確率や影響度、又はその両者を増大させる。(正解)

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好機の強化戦略【午前2解説】

正解の理由

選択肢は「好機の発生確率や影響度、又はその両者を増大させる」とあり、PMBOKガイド第6版でいう「Enhance(強化)」に相当します。Enhanceは好機の発生確率やベネフィット(影響度)を高めて、プロジェクトが得る有利な結果を増やすことを目的とする戦略です。したがって、好機に対する“強化”の戦略は選択肢が適切です。

解法ステップ

  1. PMBOKにおける「好機(opportunity)」の主要戦略を思い出す:Exploit(確実化)、Enhance(強化)、Share(共有)、Accept(受容)。
  2. 各選択肢の記述がどの戦略に対応するかを照合する。
  3. 問題は「強化(Enhance)」を問うているため、「発生確率や影響度を増大させる」と明記したものが該当することを確認する。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 「いかなる積極的行動も取らないが、好機が実現したときにそのベネフィットを享受する。」
    • これは「受容(Accept)」に相当します。受容は積極的対策を取らず、好機が起きたら利益を得る方針です。以前の誤りで「受容」を「Exploit」と混同していた表現は誤りです。受容は英語で Accept、Exploit ではありません。
  • イ: 「好機が確実に起こり、発生確率が100%にまで高まると保証することによって…」
    • これは「確実化(Exploit)」の説明です。Exploitは好機の発生を確実にして、ベネフィットを必ず得るための戦略であり、発生確率を100%にする点でEnhanceとは明確に異なります(Enhanceは高めるが必ずしも100%にはしない)。
  • ウ: 「好機のオーナーシップを第三者に移転して、好機が発生した場合にそれがベネフィットの一部を共有できるようにする。」
    • 好機に対して第三者と利得を分かち合うのはPMBOKの「共有(Share)」に該当します。用語を間違えて「移転(Transfer)」として説明されたケースがありましたが、移転は脅威に用いる「移転(Transfer)」と区別され、好機では「共有(Share)」が正しい用語です。
  • エ: 「好機の発生確率や影響度、又はその両者を増大させる。」
    • これが「Enhance(強化)」の定義であり、設問の意図どおりです。

よくある誤解

  • Exploit(確実化)と Enhance(強化)を同一視する:Exploitは発生を100%にする明確な戦略であり、Enhanceは確率や影響度を高める(必ずしも100%にしない)点で異なります。両者は目的が似て見えても効果の“確実さ”において区別されます。
  • 好機の「共有(Share)」を脅威の「移転(Transfer)」と混同する:好機の共有は利得の分配や共同実行(ジョイントベンチャー等)であり、脅威の移転(保険や委託)は損失の負担を他へ移すことです。用途が逆になります。
  • 「受容(Accept)」を消極的すぎるものと見なして常に避ける:受容はコスト対効果に基づく合理的な判断であり、対策コストが見合わない場合や対応が不必要な場合に選ばれます。

補足コラム

Enhance(強化)の具体例:
  • 発生確率を高める対策例:パイロット実施により成功確率を上げる、早期市場投入でタイミングの利をとる、リソースを追加して実施可能性を高める。
  • 影響度(ベネフィット)を増す対策例:機能拡張で得られる価値を増やす、報酬構造を変更して得られる利益を拡大する、補完的活動を組み合わせて効果を増強する。
    留意点:Enhanceは費用を要する場合が多く、費用対効果(コストに見合う追加ベネフィット)が重要です。場合によってはExploitを選び、確実に得られる状態へ移行する判断もあり得ます。

FAQ

Q: EnhanceとExploit、どちらを選ぶべきか?
A: 状況次第です。確実に得たい重要な好機で実現可能かつコストが許容できるならExploit(確実化)を検討します。コストや実現の制約がありつつも発生確率や効果を高めたいならEnhanceを選びます。
Q: 好機に対して「移転(Transfer)」は使えますか?
A: 好機に対しては通常「共有(Share)」を用います。移転(Transfer)は脅威の対策として使う用語であり、用語を混同しないようにしてください。
Q: Enhanceの効果はどう評価すればよいですか?
A: 発生確率と影響度の増加分を見積もり、期待値(期待ベネフィット)の増分と対策コストを比較して費用対効果を評価します。

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